2026年3月10日火曜日

赤毛のレドメイン家-イーデン・フィルポッツ 感想 | 感想の森

赤毛のレドメイン家-イーデン・フィルポッツ 感想 | 感想の森

赤毛のレドメイン家-イーデン・フィルポッツ 感想

5.0

イーデン・フィルポッツ

スリラー、犯罪、ミステリー小説

概要

1922年、作者のイーデン・フィルポッツが61歳の時の作品。江戸川乱歩による「万華鏡賛辞」によってか、海外よりも日 での人気が高いという作品です。

書籍、文学

あらすじ

休暇でダートムアにやってきた、スコットランド・ヤードの名刑事マーク・ブレンドン。しかし、休暇を楽しんでいた彼のすぐそばで殺人事件が起こる。あまり乗り気ではなかったのだが、調査の依頼にやってきた被害者の妻というのが、以前出くわした絶世の美女であったことを知り…

みどころ

乱歩の「万華鏡賛辞」が本当にその通りです。この作品のみどころが、しっかりと書かれていると思います。それに付け加えるべきものはないようにも思えるのですが、乱歩の紹介文に沿って、個人的にみどころを書いてみます。

最初はちょっと退屈ですが、美しい風景描写。そしてそこには恋愛要素もあります。まぁ、30も過ぎて中学生みたいなことやってんじゃないよ、とも思いたくもなりますが、それは温かい目で見てあげましょう。

次に、中終盤にかけてのサスペンスあふれる展開。犯人と探偵の知力と知力のぶつかり合い、それまで押され気味だった探偵チームの反撃開始です。犯人を罠にかけようとするところが最高に格好いいです。そして最後は、驚きの真相です。ハラハラドキドキが止まりません。

読後しばらくたつと、登場人物のそれぞれについていろいろ思うところが出てきます。肉体を持った人間のようにも思えてきます。そしてまた読み直すことになります。すると再読時には、登場人物たちの本当の心の内が感じられて、さらに面白く読めるんですね。

この作品は二度目こそが本番かもしれません。

登場人物

  • マーク・ブレンドン(スコットランド・ヤードの刑事)
  • マイケル・ペンディーン(元貿易商)
  • ジェニー・ペンディーン(マイケルの妻)
  • アルバート・レドメイン(ジェニーの叔父、書籍蒐集家)
  • ペンディゴー・レドメイン(ジェニーの叔父、元船長)
  • ロバート・レドメイン(ジェニーの叔父、元大尉)
  • フローラ・リード(ロバートの婚約者)
  • ジュゼッペ・ドリア(モーターボート操縦士)
  • アッスンタ・マルツェッリ(アルバートの家政婦)
  • エルネスト(アルバートの召使い)
  • ヴィルジーリオ・ポッジ(アルバートの友人)
  • ピーター・ギャンズ(アルバートの友人、引退した刑事)
  • ハーフヤード(プリンスタウン警察署の署長)
  • ダマレル(ダートマス警察の署長)

どの登場人物も素晴らしく生き生きとしています。誰をとっても捨てキャラがいません。これだけの人物をしっかりと書き分けられるのは、 当にすごいです。特にレドメイン兄弟のそれとなく感じられる、性格の違いが面白く感じました。

スリラー、犯罪、ミステリー小説

個人的にはその中でもベンデイゴーがお気に入りです。最初の気難しい様子から、徐々にブレンドンのことを気に入って仲良くなっていく様子が、微笑ましいですね。

警句・ことわざ

この作品には多くの警句やことわざが出てきます。面白いなぁと思ったものを抜き出してみました。

  • だれもがみな、世間にその名を馳せるまではうぬぼれる権利がある
  • 黄金が口を開けばだれもが沈黙する
  • 計画は人にあり、決裁は神にあり
  • どんな犬も自分の犬小屋じゃ百獣の王ライオンですからね
  • どんな逆風でもだれかの得になる
  • 猫に手袋をしたら、鼠をとらなくなる
  • 芸術が存在するのは、あまりにも多くの真実から人間を救うためだ
  • より善いはつねに善の敵であり、最善は殉教者か英雄にのみ使われるべき貴重な言葉といえる
  • 兎と一緒に逃げながら、同時に猟犬と一緒に兎を追うことはできない
  • 新しい箒はいい仕事をする
  • 雌鶏から生まれたものはなんでもつつく

ドリアの発言が多いですね。「黄金が口を開けばだれもが沈黙する」はよくわからなかったですが、要は「お金が大事」ということでしょうか。

書籍、文学

犯人とトリック

驚愕のトリックだと思います。ですが他の人の感想を見ていると、「犯人やトリックは丸わかり」とかいう意見が多くみられますが、本当に? と思います。

この作品はちょっと特殊で、ところどころで犯人をほのめかす表現があるんです。そこだけを見てそう言っていませんかね。この作品は地の文で犯人をほのめかしつつ、そこから探偵がどんどん離れていくところに妙があるんです。モブ刑事たちの方がまっとうな推理や意見を述べていて、それを名探偵であるブレンドンが切り捨てるところがポイントなんですね。つまりその地の文での正しいほのめかしが、偽の手がかりであるかのように偽装しているわけです。

つまりジェーンを疑った方がいいんじゃないですか、とモブ刑事が示唆していることを含めて、「ジェーンを疑ってくださいよ」という誘導なんです。そこから終盤ではドリアが犯人だという証拠が集まりだします。そして最終的に、ジェーンとドリアのどちらが犯人なのかという謎に集約されていきます。

「ジェーンかと思わせてドリアなの? それともここからまたひっくり返るの?」という感じです。それが実は両方ともが犯人だったという真相なわけです。そこまで見抜いていましたか? またそう考えていたとして、ドリアとマイケル・ペンディーンが同一人物だったことも見抜いていましたか?

第一の事件の時点では、犯人と被害者の入れ替わりを疑うかもしれません。被害者の死体が見つからないというのは、確かに怪しいです。しかし第二の事件において同じ展開を繰り返すことで、その疑惑を薄めています。そして第三の事件においては、迫りくる犯人から被害者を守る展開になっています。ここにおいて、被害者と思われていた人物が犯人だったという最初の疑念は、遠い過去のようにかなり薄れているはずです。

そもそもマイケル・ペンディーンという存在すら忘れているはずです。

そこまであったうえで、「犯人やトリックは丸わかり」なら、それはもう感服します。

つまりこれは「表に見せようとしているけれど、裏なんだろうなぁ… と思わせておいて種類の違う硬貨の表だった」という作品なんです。単に「犯人やトリックは丸わかり」と言っている人は、「表ってわかるじゃんか」という、浅い部分でしか楽しめていないんじゃないかなぁ。そういう意味ではかなり程度の高いトリックを使っているともいえるのではないでしょうか。

あとはこの作品の紹介において、ネタバレが多くあることも問題だと感じます。

ブレンドンがワトソン役で、本当の名探偵はピーター・ギャンズだというのは、紹介でばらしちゃいかんでしょう。それも驚きの一つですし、そのネタバレがあると最初からブレンドンの捜査に疑念を持ってしまいます。

社会派の足で稼ぐタイプの捜査として読めば、ブレンドンのやっていることは普通です。失敗を繰り返しながら、それを修正しつつ徐々に追い詰めていくタイプなんだろうなぁ、と思わせておく。そのうえで、探偵変更からの捜査が根本的に間違っていたという話なのに…

そのネタバレのせいで、評価を落としている部分もあるのではないかとも思います。

ロバート・レドメインを見たドリアの反応

まさか! 見ましたよね──この道のすぐそこに──ロバート・レドメインが!

「まさか!」の部分に違和感があります。

実際にはロバート・レドメインがうろついている前提なのですから、「まさか!」なんて言葉が出るわけはありません。また、前回ロバート・レドメインを見かけたと言ったときは、必死で追いかけたと言っていましたので、本来なら今回も追いかけなくてはいけなかったです。

やれやれ──いったいどうしちゃったんでしょうね、ぼくは! ほこらの影でしたよ!

いや──違いますよ、シニョール。神経をやられてはいませんし、なにも見ていません。ただの影だったんです

何も見ていないというギャンズに合わせる形で、自分も何も見ていないと言ったドリア。

ですが、これは失敗でした。その瞬間は本当に幽霊でも見たのかと思ったのかもしれません。いるわけがないものが見えたからです。しかしその様子をギャンズに観察されてしまいました。また冷静になって考えると、実物として見たのは間違いありません。するとそれがギャンズの作為であることは明らかです。

むしろここは「ロバート・レドメインがいましたよ、追いかけましょう」と言うべきでした。その後の警戒している様子は、そこに考えが至ったからでしょう。つまりこれでドリアは、ロバート・レドメインがそこにいるわけがないと自分が考えていることを、明らかにしてしまったのです。

するとドリアがこれまで言ってきたロバート・レドメイン遭遇の発言は、全て虚偽だったとわかります。そしてその中にはベンデイゴーが生きていた時の、ドリアとジェニーが海岸線を捜索していて、ロバート・レドメインを発見したものもあります。つまりそれはドリアとジェニーが共謀して、虚偽の報告をしていたことになります。

ではドリアが以外の人物がロバート・レドメインと遭遇したものはどうなのでしょうか。ストリー農場のブルックさん、ジェニーと一緒に遭遇したアンスッタ、そして当然ブレンドンも、ロバート・レドメインに遭遇しています。

しかしそれらいずれの場面にも、ドリアは立ち会っていません。ということは、ドリアがロバート・レドメインに変装していたと考えられるのです。

つまりここで全ての真相が明らかになったのです。

感想

 当に素晴らしい作品です。Wikipedia によると、「乱歩没後に評価が下がっていている」とありますが、ちょっと信じられないです。かなり隙が無い作品のように思います。ミスディレクションも適度に使われており、再読時には感心させられます。ブレンドンを埋めようとやってくる二人組の描写なんかは、かなり考えられています。

そりゃ言い出したら、「なんで最後の殺人事件が起こっちゃうんだよ」とか突っ込みどころはあります。そこは犯人の裏をかいて、迷(?)探偵だった彼の名誉を回復させてあげたかった。でもまぁ、それはいいです。それも含めて人間の愚かさと、探偵と犯人の名勝負だったのでしょう。

今回再読してみて、自分が好きなミステリー作品にこの作品との類似点があるとわかりました。それも複数作品にです。

喧嘩している男女が共謀しているという展開です。

それは物語の根幹部分のはずですが、なぜかそれぞれの作品は全く別物として楽しめました。もちろん途中が全然違うのもあるのでしょうけれど、共通部分はむしろベタ展開としてテンプレ化しているまであるのかなぁとか思いました。

漫画などで「これは最後にかつてのライバルが、仲間として助けに来るパターンだなぁ」とラストバトルを読んでいるときにうすうす感じていて、実際にそうなると「待っていました!」となるやつみたいな。ちょっと違うか。

まぁそういうベタ展開のため、古臭いという感じを受けるのもわかります。とはいえ、それだけでは語れないとも思います。英国の文学界の大御所が61歳という年齢において、彼の持ち得る技術の集大成として書かれたものという重みを感じさせるにふさわしい、素晴らしい作品だと個人的には思います。

劣化春秋 赤毛のレドメイン家 イーデン・フィルポッツ

劣化春秋 赤毛のレドメイン家 イーデン・フィルポッツ

赤毛のレドメイン家 イーデン・フィルポッツ



<あらすじ>
ダートムアに休暇に来ていたロンドン警視庁の刑事ブレンドン。彼はそこで出会った赤髪の女性ジェニーに恋をする。そして、ブレンドンは彼女の一族、レドメイン家をめぐる連続殺人事件に巻き込まれいく…。


江戸川乱歩が海外黄金時代のミステリーベスト1に選んだ事で有名な作品『赤毛のレドメイン家』。それ以外のベスト9は『黄色い部屋の謎』『僧正殺人事件』『Yの悲劇』『トレント最後の事件』『アクロイド殺し』『帽子収集狂事件』『赤い館の秘密』『樽』『ナイン・テイラーズ』というこれまた錚々たるラインナップです。(一部怪しいのもあるけど)
それらの名作を抑えて、1位なんだから、さぞかしい素晴らしい作品なんでしょうと期待して読むわけですが、はたして…。


作者がダートムア地方を舞台にした田園小説を手掛けていた事もあって、自然や風景の描写が非常に美しいです。イギリス、イタリアへと舞台を変えながら、話が進展していきますが、舞台となる自然の描写が毎回力が入っていて、読んでるだけで綺麗なとこなんだろうなぁと、うっとりしてしまうほど。これらの情景描写がいかにも名作であるかのような雰囲気を作っています。

さて、それならミステリーとしてはどうなのか。
事件は、ジェニーの叔父ロバート・レドメインが、ジェニーの夫マイクルを殺害した事により、始まります。しかし、事件現場には明らかに殺人があったと思わしき証拠があるのに、死体が見つからない。しかも、犯人とされる男は逃亡、厳重な捜査網でも男を見つける事はできない。いったいロバートはどこに消えたのか?
謎を解き明かされないまま、舞台はジェニーのもう一人の叔父ベンディゴー・レドメインの屋敷へと移動する。夫を亡くしたジェニーは、叔父の元で生活をおくり、事件の傷も和らぎつつあったという時に、再び消えた男ロバートの姿が。
ベンディゴーは弟のロバートを説得しようと試みるが、再び悲劇が起こる。しかも、前の事件と同じように、死体は消え、犯人も消えてしまった。
…といった具合で次々と不可解な事件が起きる状況は非常にわくわくします。
しかも、そっからさらに驚くべき展開があるのですが…。

ぶっちゃけ、面白いのはそれまでの状況がひっくり返る中盤までです。
そっから、事件の解決へと物語は進むんですが、あまり話運びが上手くないというか、真相に驚きが少ないというか…なんというか序盤から中盤にかけての面白さに比べてうーん…って感じがしてしまうんですよねー個人的に。

まあ、それなりに楽しめたけど、これをアクロイド、Y、僧正、黄色い部屋、トレントといった名作を抑えて、1位にするかっつうとやっぱ疑問が出てくるわけで…。
カーのベスト1に「帽子収集狂」を選んでたりと乱歩先生の好みはよくわからん時があるなあ…。


※ここから続きはネタバレがあります
なんと中盤で探偵役と思われていた刑事ブレンドンはわき役へと引き下がり、新しい探偵役となるピーター・ギャンズが現れて、彼が事件を解決へと導く事になるのだ。

探偵役が途中で変わるというのは、なかなか面白いアイディアだと思います。が、最初からブレンドンがあまりにもアホで(本当に名刑事と謳われていたのかよ)、彼が騙されてる事は誰が見ても明らかで、しかも途中、文中で新しい探偵が登場する事が予告されているので、あまり大きなサプライズになってません。
ブレンドンを賢い探偵役として書くことが難しくてもせめて、新しい探偵が登場する事について予告が無かったら、驚きがあったろうに…。

そして、この事件の真犯人はなんと当初死んだと思われていたジェニーの元夫マイクルが犯人だったのだ!
…確かに意外性のある犯人だと思います。が、ギャンズさんが解決編に入るまでにロバート・レドメインが死んでるに違いないとか言っちゃってるので、となると…もしかしたら当初思われていた被害者と犯人は逆なのではないか?ってな感じで真相で気づいてしまいます。
ジェニーの新しい夫と元夫が同一人物だという真相も驚きなんですが(それには本当に気づかなかった)、ギャンズが新しい夫が犯人に違いないとかまたしても解決編の前に言っちゃってるので、驚きが半減です。
新しい夫はジェニーと再婚などしない方が良かったんじゃないかなあ。そしたら、財産目的という動機も消え、後でこいつが犯人→実は生きていた夫だったのだ!ってな感じでさらに意外性があったように思う。

トリックもアイディアも面白いのに、あまり上手く活かせてない感じがもどかしい作品でした。
なんつうか、それぞれの設定やキャラはいいんだけど、それを活かせてアニメみたいな感じー。どのアニメとはい言いませんよ、たくさんあって言えないw

テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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細田真保、現在のアニメシーンにおいて最も認知度の高い映画監督の一人であり、したがってドライシネマの分野でも知られています。『The Girl Who Jumped Through Time』や『The Wolf Children』、『Mirai』、『My Little Sister』、あるいは『Belle』といった名作を制作した後、彼は昨年ベネチアのフェスティバル『Scarlet』で、後にやや相対化された論理的な期待を持って発表しました。前述の映画ほどではありませんが、実際には、私たちは依然として壮大な作品に直面しており、それは監督が現代的な語り手としての経験を裏付けると同時に、古典的な精神に根ざしています

これは、ハムレットに触発された前提から証明されており、称号の王女が父親の死への復讐のために叔父を追うという変転を描いています。現在、このジャンルの典型として、その前提を利用してその幻想的な枠組みに影響を与えており、そのためほぼ全ての物語は死者の王国で展開されます。自らを償うことができる者には最終的な救済が可能となり、暴力や復讐への欲求を、より高貴な志向に置き換えることができます。物語から時間旅行さえも利用へと移行する別の要素があり、細田のフィルモグラフィーにおいてほぼ必須と言えるものですが、本質は単純です:正義を望む凶暴な王女です

そこから、結果が壮観であると述べました。特に、アニメーションのディテールや壮大なシーン、幻想的な生き物や多数の人々が描かれる場面、細田とそのチームの演出において、その鮮明さが最も感じられる瞬間です。本作は他のシーンでやや失敗し、裏切り者や殺人犯の叔父の手下が介入するなど、特定の対立を軽々しくあり得ない方法で解決できず、同時に別の時には過度に隠したいという罪を犯します。しかし幸いなことに、北は決して負けません。前提とその運命の強さにより映像が通過した後、単なる厳粛さや単純な道徳にとどまらず、十分な確信を持って最終的なメッセージが伝えられます

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赤毛のレドメイン家-イーデン・フィルポッツ 感想 | 感想の森 https://review.nekoeigo.net/redmaynes/ 赤毛のレドメイン家-イーデン・フィルポッツ 感想 みるよむ 2025.08.13 2025.1...