「BANANA FISH」←原作ネタバレ含む超ネタバレ
ネタバレに一切考慮していませんので、お気をつけください。
アニメ化したのいつだっけ。2年前か。2018年の夏アニメですね。いろいろアニメもドラマもみているんですが、レビューしなくなってから結構たっちゃったなぁ。そんなわけで「BANANA FISH」です。まさかアニメ化するとは思ってなかった(内容が内容だから) とりあえず今だからこそできたんだろうなとは思いました。BLが市民権を得てから結構たってますからね。とはいえ、私、原作を読んでいたときはこれがBLだとはまったく思ってませんでしたよ。アッシュにとって英二は兄ちゃんとかおかんみたいな存在なので(アッシュを食べさせて寝かせて起こして心配しながらやさしく包みこむ、無償の愛をそそぐおかあさんな感じ) それがアニメをみていて「ん?」ってなったのは、私が年くったからなのかと思ったけど、二次創作とか読んでいると、まぁそう感じる人が大半だよねって感じに認識をあらためることになりました。
「BANANA FISH」のテーマはいま思うと「再生」です。番外編の「光の庭」で完結しているお話です。アニメではその後の話もなく終わっていますが、本当のラストは原作を読めばいい。あ、でも、そのあと奥村英二の写真集というカタチでイラスト集を出版しているので、光の庭の数年後を垣間見ることもできるようです(これは私は知らなかった)
あらすじは簡単にいってしまえば、人の脳を多幸感とは程遠いバッドトリップへ100%陥れて心的外傷を植えつける(ことによって人の心を操ろうとする)ドラッグ(BANANA FISH)をめぐる陰謀話です。日本で挫折したアスリート(棒高跳びの選手)の英二が、ジャーナリストの伊部さんの助手としてニューヨークのストリートギャングを取材するところから始まる物語でもある。取材に応じるのは「リンクス」のボスであるアッシュ。アッシュって「灰」ですね。灰から蘇るのは不死鳥ですね。不死鳥といえばフェリックスですね。
アッシュの容姿モデルは、リバー・フェニックスです(とはいえ初期のモデルはステファン・エドベリ) BANANA FISHの連載がはじまったのは1985年。リバー・フェニックスが俳優としてデビューしたのと同年ですが、日本で知られるようになったのは「スタンド・バイ・ミー」(1986年)が公開されてからなので、途中からリバー・フェニックスに似てきます。
そして不思議と符号している(フェニックス繋がりからして) この符号は偶然です。リバーの経歴がアッシュの生育歴と似ているなんて、その頃にはリバー側は公表してなかったと思う(というか時期的にズレている。リバー・フェニックスがそれを言葉にしたのは1991年の雑誌取材でだったから、BANANA FISHはもう連載して6年めに入ってる) 吉田秋生さんのすごい嗅覚なんだと思う。
リバー・フェニックスは親が入信していたカルト集団の性的な風習によって4歳のときから性的虐待を受けていたし、そのことがずっとトラウマとして残っていて性的なことに対して混乱したまま成人し、ドラッグを嫌いながらもドラッグをやっていて最終的にオーバードーズで(23歳という若さで)死んでいる。リバーの姉と弟妹たちは俳優してますけども、違いは注目度? リバー・フェニックスは全世界といってもいいくらいの圧倒的アイドルになっちゃってましたから。
このどうしようもない親たち(客観的に考えるとそう感じてしまう) 彼をとりまいていた環境と大人たち。当人でないとわからない混乱と鬱屈があったのかなぁと想像します(想像しかできない) あれだけ恵まれた容姿と才能をもっていながら。
アッシュは7歳で野球クラブ(リトルリーグ)の監督にレイプされ、8歳でこの男を射殺している。他の被害少年たちは殺されている。そのなかでアッシュが殺されずにいたのは「お金を貰っていた」から。金を貰えと幼いアッシュにいったのは実の父親でした。この父親は愛情表現の下手くそな頑固親父として登場するんですが(最終的にはアッシュを庇うけど) アッシュの転落人生の発端になった大人のひとりです。アニメでは原作の時代背景とは違っていて、ニューヨークの描写が本当にまったくファンタジーになってました(まったくありえないという意味で) 原作の時代背景は、英二の生年が1966年なので、80年代のニューヨーク。アニメは現代になっているため、アッシュの兄が兵士として向かった戦争はベトナム戦争からイラク戦争に変更されています。でもニューヨークの治安の悪さや地下鉄の落書きとかは80年代のままになってるので、なんだか、ちぐはぐになってました。でもまぁそこがよかったです。
原作のままだと共感しにくいだろうし。
スマホはおろか携帯も普及していない(だから電話は固定か公衆電話しかない) テレビもパソコンもブラウン管だし、パソコンのことはコンピュータといっていたし、記録媒体はフロッピー。写真はネガ。でもだからこその意思疎通の不便さとかですれ違いが起きたりもする。そういう微妙なところがアニメ版ではスルーされちゃっているんだなってことに、原作を読みかえして気づきましたけど。
リバー・フェニックスが死んでしまったとき、私は、アッシュも死んじゃうんじゃないかなと思って。ラストを読んで「あーあ」と思ったのを憶えています。けど、吉田秋生さんはアッシュは死ぬべきだと最初から考えていたようなので(どんな理由があったとしても大勢を殺しているから)作画モデルにしていたリバー・フェニックスが死んでしまったとき(死なすか死なさないか)どうしようかと迷ったそうです。ふわっと、どちらにもとれるラストにしておきながら「光の庭」でその後をしっかり書いたのも決着つけたい気になっちゃったのでしょうね。
今になってまとめて読み返すと、こうすれば、ああすれば、一歩ちがえばこうはならなかったという、どうしようもないことの連続だなって感じます。8歳で殺人をおかしたアッシュは町にいられなくなって家出してしまうんですが(理由はわからないけど、自由になりたかったのかもしれない) 家出少年はすぐに悪の手におちて、えげつないキッズポルノを撮影されて(そのまえにレイプもされている。媒体は写真、ビデオテープ、フィルム) コルシカマフィアのゴルツィネに見いだされるまではクラブコッドという店で地位ある男たちを相手にする男娼にさせられていた。ゴルツィネに買われてからは高級男娼に。アッシュの飛び抜けた知能がわかってからは、ゴルツィネは稀代のマフィアの首領をつくりあげようとする。つまり自分の後継者にする。しかもその後継者は自分がつくりあげた美しい作品で、しかもそれを魂から支配しているのは自分という征服欲のなせるわざです。断じて「愛」ではない。
こどものときに読んだときは、ゴルツィネはなんだかだいってアッシュを愛してるんだなとか思っていたんですが、読み返すとなんというかアッシュの実父もだけど、最終的に助けたにしろなんにしろ遅すぎるし、しょうもない。くそったれです。
アッシュの魂を救済したのは、英二です。
あたりまえで平凡な、アッシュを特別扱いにはしない、ごくふつうの少年(アッシュより2つ年上) 戦力的には何の役にもたたない。けど、根性だけはあるし、いざというときに躊躇わない潔さもある。アニメでも感じたし、こどものときも思ったし、読みかえしてもつくづく思うけど、英二と出会わなかったらアッシュは死ななかったと思うんですよね。肉体的には。魂は死んでたかもしれないけど。
あとショーターも。英二がいなかったら、アッシュにとっての究極的な弱点がないわけだし、そもそもああいう局面には至らなかったかもしれない(ショーターは華僑に脅されてアッシュを裏切り英二ごと囚われて、BANANA FISHの実験体にされたうえに、死後も脳のデータを研究されつづけていた) アニメ版の英二はかわいらしくなってましたけど(笑) 原作のほうも読み返してみたらアニメ版と同じくかわいらしかったです。ストリートギャングのボスのそばにいる平々凡々とした日本人の少年。不思議なことにアッシュはこの英二のためなら命を捨てることなど一瞬も迷わない。英二の立ち位置は主人公に守られるヒロインそのものです。
華僑の李一族のなかでアッシュと同じように搾取されつづけてきた月龍(ユエルン)がいて、この美貌の少年は(美少女にしかみえない容姿してるんですけど) 自分と同類のアッシュが、英二という救いを手に入れていることが我慢ならなくてヒステリックになんとしてでもアッシュから英二を奪うために殺し屋を仕向けたりするんですが、なかなか複雑な性格をしていて、甘いところもある。どこか憎めないところがあるんですけど、結局のところ、アッシュに憧れがあるからその隣に平々凡々とした何のとりえもなさそうなちんちくりん(英二です)が特別な存在としていることが我慢ならないのか、アッシュには英二という救いがあるのに自分にはないということがつらいのか、まぁ、読みなおすと後者の色合いのほうが強そうだなと感じたし、李一族への復讐を果たしちゃったら腑抜けのアル中になっちゃうとことか、チャイニーズのボス(シン・スウ・リン)とのやりとりなんか、やってることひどいけど可愛げがあるんですよね。だから憎めない。こどものときに読んだときも、この月龍って適役だけど味方っぽいなと思ってましたし。
アッシュは自分を搾取しつづけてきた大人たちに復讐し、実の兄を狂わせたBANANA FISHの謎をといてそれを消滅させ、ゴルツィネも死んで、ようやく自由を手に入れた。殺人鬼アッシュ・リンクスは対外的には死亡したことになっていて、巧妙に偽造された身分も手に入れている(お金持ちのおぼっちゃん、クリストファー・ウィンストンとして) これからどうするとブランカ(アッシュに殺人技術を教えた教師でもあった元KGBの殺し屋)に聞かれて「変わらず街のダニさ」と答えたアッシュは、英二とはもう二度と会わないことを決めていて、本当に英二とは会わないんですよね。というのも英二が自分を庇って銃で撃たれ重傷を負ったから。
英二はアッシュからは事あるごとに日本に帰れといわれていたけど帰ろうとしては何かがおきて引き戻されたり自分の意志で帰らなかったり、来るなといわれたのに飛び出していったりするんですが、このときは「いったん帰ること」を選んでしまった。手紙に託して、シン・スウ・リンに預けて、アッシュが日本にきてくれることを願った。けど、自分で会いにはいってない。
英二が、アッシュはひとりになりたいときは図書館にいくと伝え、シン・スウ・リンは言われたとおりに図書館にいってアッシュを見つける。頑ななアッシュを残して英二の見送りのためにその場を離れるシン。残ったアッシュは、もう会わないって決めていたのに、手紙を読んだら何も考えずに空港へ向かうことを選んでしまった。そして、油断した。シン・スウ・リンは、英二を撃ったのがチャイニーズであること、英二を撃ったチャイニーズをアッシュが残酷に殺したことで、アッシュと決闘することになっていて、自分が負けて死ぬことでオトシマエをつけようとしていたんですが、この決闘そのものが「もうそんなことはやめようぜ」ってことで決着がついていたのに、そのことを知らなかったシンの兄が、弟のシンを死なせたくなくてアッシュの隙をついて、刺したんです。本当に、いともたやすく。結果的に相打ちになったけど、アッシュは急所は外れていたのに助けを呼ぶこともなく図書館に戻って手紙を読みながら逝ってしまうのですよ。英二が手紙を託さなかったら、シンがアッシュに届けなかったら、シンがアッシュのもとを離れなかったら、シンがアッシュとのことをきちんと兄に説明できていたら(といってもこれは難しいことだったけど) アッシュは隙をつくることなく簡単に刺されてしまうこともなかったし、生きあがくことよりも死を選ぶこともなかったように思う。
ああ、こういう死に方かぁとわかってはいたけど、読みかえすといろいろ腹がたつ。まだ19歳なのに。英二との時間はたったの2年。その後のものがたり「光の庭」は7年後。魂の救済と再生のものがたりではあっても、英二の魂はアッシュにもってかれたままだよね。というラストに、爽快感はまったくない。自分にとっては「幸せ」かもしれないけど、他の道はなかったんですかといってやりたい。
そんな思いがあるから、みなさん「もしもアッシュが生きていたら」話を二次創作で書き殴っているのね。私も読みたくて、読み漁ってますよ。原作は、うーん。読みなおすとね。アッシュはもうぎりぎりにいるってのがわかる。あたたかにふつうに光のなかでぬくぬくするような人生なんて自分には縁のないものだと思っていたから、思いがけずあたたかさを知って、あたりまえの年相応のやりとりのできる相手を得て幸せだったんだと思う。でも相変わらず自分は泥沼のなかにいて抜け出せないんですよ。フォックスという変態がいて(人を殺すことを愉しむような軍人がいて) アッシュを捉えたときに拷問するとともにレイプするんですよね。どんなに強くなっても魂に刻まれたトラウマがあって、性的な暴力を受ければ恐怖心をよびおこされる。アッシュの震えをとめたのは英二だったけど、なんかもうこれはもうだめだって、そういうギリギリなものを感じた矢先に、英二が撃たれちゃうし。自分を庇って。しかも生死に関わる場所を。怖くって、手放したくなってもしょうがない。英二がアッシュにあてた手紙には「君を守りたかった」ということと「君はひとりじゃない。ぼくの魂は君とともにある」ということが書かれていて、もはやラブレターでした。
シン・スウ・リンは、このあとの作品「YASHA」と「イブの眠り」にも出てきていて「YASHA」では月龍のその後も知ることができます。「YASHA」も痛い物語だったなぁ…。
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2020-04-18 (Sat) 18:32 医療物資が手に入らなくなってきました。最前線へ医療物資を届けることを優先してほしい。けど、いち診療所も困ってきた。はじめは3ヶ月なんとかなれば流通が元に戻るんじゃないかと思っていたんですが、どんどんなくなっていくのです。いろんなものが。
マジで、ほんとにいろんなものがなくなっていく。
巷でいわれているマスク。デマに流されたペーパー関連。アルコール消毒液。そしていまは滅菌パック、紙エプロンなどのディスポ(使い捨て)関連。使い捨てのディスポは中国製に頼りきっているので中国から入ってこなかったら品切れになる。中国製を重宝してきたのは安いからです。多少、商品に難があっても使い捨てだから許されてきた。感染予防関連の診療報酬はあるけど、ディスポ関連にお金をかけすぎると赤字になります。昨今の高価すぎるマスクなんて使っていたら大赤字。それでも、ないよりマシだから買うしかない。フェイスシールドや防御ガウン(ディスポの)は早々になくなってた。ふだんなら購入しないような物品まですべて枯渇している。びっくりです。病院がまとめ買いしているならそれはそれでしょぅがないとは思うけど、その通販で購入したにちがいないマスクが転売されているのを見つけたときは頭がくらりとしました。はぁ? あほなの? 医療従事者だよね? このサイトで購入できるのって医療従事者だけだよね? 恥を知れ(言葉悪くてすんません) どんなに高額でも、手に入らないよりはいいと購入する人がいる。けど、買っちゃだめです。儲けさせちゃいけないのです。
なんでこれがなくなるの?と首をかしげちゃうものも手に入りづらくなってきました(滅菌済のカット綿とかロールワッテ) これらの医療物資が手に入らなくなったら、診療所をつづけることはできなくなります。さすがに代替品がない。うちの在庫はあと3ヶ月くらいなんで、それまでに物流が復活してくれないと、やばいです。それにしても、どうして日本ってそんなに備蓄がないの?? 緊急事態宣言すら出すことができなかった法律の欠陥(やっと出せるようになったけど) 国としてどうなのよ。
増産してるマスクは流通してないけど、一般より医療へ先にまわすのは正しいことなので続行してほしい(でもうちの診療所に届いたマスクは、笑っちゃうことにたったの1枚!でしたけどね)
このところ歯科のことテレビでやってたみたいで親からも「やめられないの?」と聞かれたりしています。このコロナのせいで、親から仕事をやめろといわれている医療従事者たくさんいると思うなぁ。私でさえいわれてるからね。今日いった皮膚科でも受付のところに飛沫防止シートがあったし、受付の人がマスクと手袋してたなぁ。ふだん使用していない人たちにも需要が発生しているから、いろんなものが品切れになっているんだろうなぁと思いました。声が聴こえなくて近づこうとすると、すっと離れられる…。
受付の人、きっと怖いんだろうなぁと思った。それいったらスーパーとかのレジはもっときついと思うんですけどね。接する人数がふえちゃってるしね。薬局にも飛散防止シートがあったなぁ。うち、それはしてないな。今後もしないな。
患者さんを待合室で待たせないようにはしてるんですが、うまくいかんときはたまっちゃうし。困ったもんです。
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最終更新日 : 2020-04-18
2020-04-24 (Fri) 23:53 あたりまえのことなんですけどね。だってアルコールだもん。
アルコール綿をガスバーナーの火の近くに持っていくと燃える。器具をアルコール綿で拭いてバーナーにあてると燃える。青く。青いから見えづらいんですけど、ばっと燃えて、近くにある紙とか布とかに、ぼっと燃え移る。なのでアルコール消毒をするときには気をつけてくださいね。というお話でした。
次亜塩素酸水も使うときは換気必要だし、まぜたら危険な薬物だから気をつけて。
院内感染が増えてますね。このウイルスは換気の悪い場所で人が密集して会食することで感染率が跳ね上がります(でもこれどのウイルスでもそうですけどもね) じゃ他のウイルスとどう違うのかというと、ワクチンがなくて特効薬がないのに、ふつうの風邪みたいにひろがるってことでしょうか。ふつうの風邪なら寝てれば自力で治りますけど、このコロナは上気道炎から肺炎になっていっきに悪化するところが、とてもいやらしいです。しかも体内で息をひそめたかと思うと、増殖して免疫系を破壊していく。軽症者のほうが多いとはいえ重症化したらICUに入らなくてはならないくらい身体管理が必要になる。日本は以前流行した同じコロナウイルスのSARSとMARSを水際でくいとめたがために、そのおそろしさをわかってなかったように思う(私も甘くみてた)
アメリカでは感染リスクの高い職業のトップに歯科衛生士と歯科医があるようですが、日本ではそうはなってません…よね? ただ歯科衛生士が行うスケーリング(歯石除去)は超音波スケーラーを使うことで飛沫感染をおこしやすいのは確か。エアロゾルになりますから。口腔で増殖するウイルスだから口のなかにエアーをかけたら唾液ごとウイルスが空中散歩しちゃいますからね。でも病院での院内感染とか、最近おきた歯科医院での院内感染でも、思いつくのはスタッフルーム。
スタッフルームって狭いし、閉鎖空間。そこでお昼ごはんを食べながらおしゃべりしたりするから。
なんかもう「食べる時」気をつけて!って思う。
トイレいったら手を洗う。食べるまえによく手を洗う。タブレットとかスマホとかPCキーボードとか触ったら手を洗う。そして口元に手をあてない。空気感染じゃないからそれでわりと防げると思う。たぶん。あと口呼吸しないで鼻呼吸。
でもまあ感染予防のプロじゃないから、歯科衛生士としていえることは…。
こういうときこそお口の中は清潔に!
でも定期検診は延期してね(^^)ってことでしょうか(矛盾?) 口の中を清潔にすることで肺炎予防になります。けど、いま歯のクリーニングにいくことはオススメしません。というか、いまはやめてほしい。歯科衛生士や歯科医は怖い思いをしながら仕事しています。クリーニングはいまでなくてもいい。歯が痛くてどうしようもない人しかいまは診ないようにという歯科医師会からの要請もあるし、べつに指示ではないですけど、スタッフや患者のためにも患者数を減らしている歯科医院はとても多いと思います。
あと長めのGWに入るので来院前には必ず電話をするようにしてください。
でも働けるだけ幸せ、ともいえる。なんともいえない。コロナのせいで失業する人も多いだろうし、たちゆかなくなる業種も多いだろうし、なんだかもう…なんでこうなった?という気持ちでいっぱいですね…。
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最終更新日 : 2020-04-25
2020-05-13 (Wed) 18:12 なんかずっと前に勉強がてら書いたおぼえがあるんですが、んーと…見つからない…。ここに書いたんじゃなかったのかな。もしくは消しちゃったのか。とりあえず先に転載しておきます。書いたの、いつだ。日付がない。SARSの頃だと思います。
「細菌とウイルスの違い」
・細菌よりウィルスのほうが、ずっと小さい。
・細菌は細胞膜を持つ生命体だけど、ウィルスはデータしか持ってない無生物。
・細菌はどこてでも生きられるが、ウィルスは生体の中でしか生きられない。
・細菌に感染すると長引くが、ウィルス感染の場合は、通常、いっきに悪くなって治癒する。もしくは死亡する。
・細菌に感染すると炎症数値【CRP】が高くなる。ウィルス感染では高熱のわりに正常に近い。
・細菌に感染すると白血球が増える。ウィルス感染では正常もしくは減少。
・細菌には抗生物質、ウィルスには抗ウィルス薬
他にもあったかな。とりあえず簡単に書き並べてみました。
ウィルスはものすごく小さくて、電子顕微鏡が発明されるまでは確認することができませんでした。その構造には、まだ謎なことが多いです。ウィルスには細胞膜がありません。あるのはDNA、RNAです。つまりデータだけ。ウィルスは、生体に入ると細胞の中に自分のデータを組みこんでいきます。自分をつくるための材料をかき集め、いっきに爆発して大増殖します。ウィルスは生命体ではないので、自分でエネルギーをつくることもできません。
つまり、ウィルスは、生体の中に入りこむために、白血球を騙し、細胞の中に入りこみ、宿主を騙し、不当にエネルギーを食いつぶし、自分のコピーを大量に作り出して、宿主の組織を破壊する病原体です。
細菌は、あらゆるところに自分たちにとって住み心地のいい楽園をつくろうとする生命体です。細菌に関しては「もやしもん」を読むと、なんか、納得できるのでは…(笑) 悪さをする細菌もいれば、役にたつ細菌もいます。人の体にはあらゆる細菌が共生しています。細菌は自分たちの集合体をつくると、よそものを嫌います。細菌たちが心地よく生きている体なら、悪さをするような細菌が入りこんでくるようなことにはなりませんし、悪さをしてしまう細菌も仲間同士と手をつないで牽制しあい、ひとつだけが大増殖するなんてことにはなりません。人間が特化してしまったような強力な細菌でさえなければ……
細菌もウィルスも生き残るために自分を変化させています。
ウィルスは、変異します。細菌は、耐性をつけます。
抗生物質は、体を守ってくれていた細菌にも悪影響を及ぼします、結果的に抵抗力が弱くなることもあります。処方どおりにきちんと飲まないと耐性菌が現れて、深刻なことになりかねません。例えば院内感染として有名な「MRSA」は、人間たちの体に普通にいる細菌が、抗生物質によって他の細菌が死滅した為に大増殖してしまったことで起こります。MRSAに効く抗生物質を投与することで、その抗生物質に耐性を持った細菌がまたあらたに誕生しつつあります。
細菌は生きるために代謝し、物質を分解し、悪いものに変えてしまうこともあれば、有用な働きをする物質にすることもあります。つまり「生きているだけ」です。ただ、ほとんどの細菌のかたまり(カビ、コロニー)などは、アレルギーの原因ですので、除去したいものです。口の中も同じですよ。口の中の細菌のかたまりは「プラーク」と呼ばれています。
免疫反応とアレルギー反応は同じシステムで作動しますので、細菌に感染するとアレルギーがひどくなり、アレルギーがあると感染したときに過敏に反応しやすいです。
ちょっとした風邪が大病への引き金になることもあります。
ウィルスは生体を渡り歩いて自分のコピーを作りつづける自動機械のようなものです。
白血球などを騙すシステムキーを持っている為、体内でウィルスが大放出した後になってから、やっと免疫システムが作動することになります。大量のウィルスと闘うために免疫システムは大量の兵士を送りこみます。が、その兵士たちが暴れることで、生体は急性発作(大量のサイトカインが体中をかけめぐることでおこる頭痛、発熱など)を起こし、ますます疲弊していきます。急性発作を起こしたときに用いられる薬は抗ウイルス薬。もしくはステロイドなどの免疫抑制剤です。免疫を抑制するために用いる薬ですが、これを使用しないと、免疫システムによって生体が破壊されてしまうのです。←B型肝炎ウィルスによる劇症肝炎など。正常な免疫反応を促すために免疫グロブリン投与も行われます(いまはこれが主流かな) あとは血漿交換などもある。
ウィルスが寄生した細胞を殺さずに生かして居座りつづけると、慢性化(持続感染)します。
ワクチンを接種していると、T細胞による免疫システムが早めに正常稼動しやすくなって症状が軽くなります。
ウィルスってやつは、宿主を発症させてしまったら、長いこと同じところにはいられません。ほっといても一週間ほどで引越ししていなくなります。が、データの一部を体内の細胞の一部にこっそり忍ばせておいて、本体の体力が弱ったときに、また、ぽこっと細胞から顔を出して悪さをすることもあります。(水疱瘡→帯状疱疹)
風邪をひいたら人に移せば治るってのは、あながち嘘ではありません。
またウィルスが脳にいくと、まず生きていられません。ウィルスを脳にいかせないためにも免疫システムに頑張ってもらう必要があります。免疫システムによって熱が出ますが、これは熱でウィルスを殺そうとする為でもあるので、むやみに熱を下げると、ウィルスを脳までいかせてしまうことになりかねません。
ウィルス性の場合、強力な解熱剤(ボルタレンなど)を飲んではいけません。
免疫システムの要でもあるT細胞をのっとってしまうのが、HIVです。(エイズ) 免疫システムを破壊されてしまうので、細菌などに対する抵抗力が失われ、体中に病変をきたします。SARSは、免疫細胞にとりついて増殖するので免疫機能の盛んな若い世代で重症化します。新型インフルエンザが10代に多いのも、免疫に関係しているのかもしれません。
以下、加筆。
CRPの件ですが、数値が高いということは炎症が起きているということなのでウイルス感染で発症すればCRPも高くなるし肺炎などが重症化すればかなり高くなります。ので、この記述は一部まちがいです。ウイルス感染の場合、高熱のわりにCRPが低いことがある。といったほうが正しいです。
SARSが若い世代で重症化した原因が免疫細胞にあるというのは当時の記事から引用しているんですけど、新型コロナウイルスがSARSの変異株であるなら、似た性質があるかもしれない。免疫とアレルギーは切っても切れない関係にあって、たとえばB型肝炎ウイルス感染症はインターフェロンが有効だということが確立するまでは治らない病で、無発症のまま感染力の高いウイルスを体内にとどめているキャリア(保菌者と訳されるけど無発症感染者のこと)が医療従事者(とくに外科医)を脅かしてきました(実はいまも怖いから観血処置の多い歯科医療従事者はB型肝炎ワクチンを打ってることが多いです) コロナでも無発症感染者が問題視されていますが、本人に自覚がないのがおそろしいのです。自分が感染しているかどうかなんて調べなければわかりませんからね。
「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が人体に感染するには、細胞の表面に存在する受容体タンパク質(ACE2受容体)に結合したのち、ウイルス外膜と細胞膜の融合を起こすことが重要」なので、ACE2受容体のある舌で増殖する可能性があります。だから味蕾が(免疫システムによって)壊されて味覚異常になるし、唾液中にウイルスがたくさんあったりするのですね。
ACE2が宿主側の受容体になるのは新型だけじゃなくてSARSもそうでした。ACE2は肺胞にもあってこれが呼吸器不全をひきおこす重要因子です。ACE2は循環器系にとっても大切な酵素なのでこれがウイルスに乗っ取られてしまったら? 宿主にとって大切な酵素をウイルス(敵)と認識した免疫細胞が、これを駆逐するために臓器を攻撃してしまうし、正常なACE2が減れば循環器の弱い人には打撃になるし、腸内のACE2が減ったりコロナにのっとられたら腸炎になります(下痢になる)
あとはもう専門分野になりすぎちゃって私の頭がふらふらになるので難しいお話はここまでにして。
重要なのは、ウイルスってのは生体外では増殖しない。ってことです。
そして生体外に出た新型コロナウイルスが3日とか7日とかドアノブとかにへばりついていたとしてもアルコール消毒すれば無効化できる。人が動かなければコロナウイルスは人を媒介して自分の分身を増やしていくことはできません。人が接し合わないこと。付着しているウイルスを消毒して無効化する。これでウイルスの量を減らすことができます。ウイルスが減れば感染する人も減って、ウイルスの流行は終息します。また息を吹き返しますけどね。駆逐できていないから。
あとはワクチンとか特効薬をつくれれば、このウイルスとも共存できるようになる。
ということなんだなぁと、ぼやっと思ったので、つらつらと書き書き。
雑記です(ふぅ)
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最終更新日 : 2020-05-13