- ニーベルンゲン クリームヒルトの復讐 Die Nibelungen: Kriemhilds Rache (1924)
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「捜索」を発表して認められた「不思議な少年」のフレッド・ジンネマンが監督した1949年作品で、コリアー・ヤングの原作をロバート・L・リチャーズが脚色した。撮影は「恋愛放送」「嘘つきお嬢さん」のロバート・サーティース、音楽はプロニスロー・カバーが作編曲した。キャストは「大地は怒る」「カンサス騎兵隊」のヴァン・ヘフリン「猟銃街道」のロバート・ライアンの主演、新人ジャネット・リー「偉大な嘘」のメアリー・アスター「大草原」のフィリス・サクスター「鉄のカーテン」のベリー・クローガー「百万人の音楽」のコニー・ギルクリスト等の助演である。
新聞でフランク・R・エンリイの記事を読むと、ジョー・パークスンはピストルをポケットに、ニューヨークからカリフォルニアのサンタ・リザへ急行した。そのエンリーは妻エディスとの間に子供もあり、模範市民として尊敬されている男だ。エンリーの家を訪ねたジョーは、魚釣りに行ったと聞くと、すぐ後を迫ったが、湖上で行き違った。帰宅したエンリーは足の不自由な男が尋ねて来たと聞くと恐怖にふるえた。妻に問いつめられて、その男ジョーが軍隊時代の部下だったと答えたほか、何事も語らなかった。夫が殺されるのだと直覚したエディスは、警察を呼びかけたが、夫に止められた。その晩家のまわりに妙な足音がきこえたが、夜半すぎ、ようやく立ち去った。夜明け頃エンリーはロス・アンゼルスへ商用で行くと置手紙して出て行った。朝になるとジョーが再び来てエディスに家中を案内させ、エンリーを探した。また来たら警察を呼ぶ、とエディスがいうとジョーは、奴の裏切は警察に誉められたのか、と捨てぜりふを残して去った。エディスは隣のマーサに留守を頼んで、夫の許へ急いだ。そして夫の告白を聞いた。B17の機長だったエンリーはジョーと共に撃墜され捕虜と成った。ナチの虐待にたえかねた部下達は脱出を計画した。成功しまいとみたエンリーは密告すると、ナチはエンリーとジョー以外の捕虜を虐殺してしまった。ジョーに戦友10人の敵としてニンリーを射っているのである。ジョーの愛人アンは心配してニューヨークから来たが、ジョーは張りきってロス・アンゼルスへ向かった。エディスはサンタ・リザへ帰って夫のためにジョーを殺そうとピストルを持って待っていると、意外にもアンが訪れ、ジョーはロス・アンゼルスへ行ったと聞かされた。一方エンリーは酒に苦悩を忘れようとしていたが、ジョーが現われたので機先を制して一撃し、夜の町へ逃げだした。通りの酒場にとび込んだ彼は酒と恐怖になかは理性を失い、夜の女パットの仲介で、殺人業者に1万ドルでジョー殺害を依頼した。翌朝理性を取りもどした彼は殺人依頼を取り消そうとしたが、相手は1万ドルを得たさに承知しない。夜の9時ジョーを停車場へ呼び出して射殺する手はずである。それを承知でジョーはアンを振り切って停車場へ出掛ける。8時30分、決心したエンリーは万事落着したと妻に偽り、停車場へ向かった。万策尽きたアンは停車場へ迫って来ると、警官に頼ったが、ジョーとエンリーは操車場で向かい合い、次第に距離を詰めつつあった。列車がごう然とさしかかった時、待ち伏せた殺人屋はジョーを射とうとした。その刹那エンリーは殺人屋に組みつき、相うちとなって共に倒れた。
評価:★★★★☆
君塚良一がかつてキネマ旬報という映画雑誌で「脚本(シナリオ)通りにはいかない!」という連載をしていた。
取り上げられている作品が必ずしも歴史的な名作ではなく、君塚氏独自の視点で選ばれた作品で、「デーブ」など何本かの作品はこの本をきっかけに見た。
この連載の第1回目がこの「野獣狩り」だった。
<ストーリー>
コーラ会社の社長が誘拐され、犯人は社長の命と引き換えに、コーラの原液の成分を公開しろと言ってきた。ポップコーラの幹部たちは、8000万円を用意して、金銭で解決することを提案してくる。誘拐犯は社長と8000万円の交換を飲むのだが・・・。
脚本家のお薦め映画だったが、徹底的に映像とアクションを楽しむ作品でもあった。
封切り時は加藤泰監督の「日本侠花伝」の併映作品に過ぎなかったが、これほどまでにカルト化した理由は君塚良一のお気に入り作品であると同時に、本作が撮影監督デビューの木村大作の手持ちカメラの迫力と無茶な仕事ぶりに尽きる。
全編、銀座を舞台に手持ちカメラを使用してゲリラ撮影が行われているが、さすがに歩行者天国の和光前では通行人に気づかれまくっていた。
銀座の路地裏での追跡劇では手持ちカメラの撮影の利点が十分に生かされている。
WAKO前(中央に小さく藤岡弘)
銀座の路地裏
50年前の有楽町駅日比谷口
札束を並べるシーン
そして伝説の後半15分。
・車を追いかけ走る藤岡弘の長回し(NGが出たらもう一回できるだろうか?)
ダッシュスタート
道路に出る
車には追い付かず遠ざかる
信号待ちで再び接近
・ビルの窓からぶら下がる死体
窓からぶら下がる死体(通報で本当に消防車が来た)
・エレベーターへの実弾の銃撃
下へ降りるタイミングを間違えれば大怪我
今ならコンプライアンス上絶対に許されない数々の撮影を担当したのは、過酷な撮影現場には欠かせない木村大作。
主演はいつでも暑苦しい藤岡弘。
エンドクレジット おかしな「、」なし
父親役は枯れた味わいの伴淳三郎。
一戦終わった後の髪をかき上げるけだるい仕草なら誰にも負けない渚まゆみ。
"ザ・飲み屋の女"
脇を固める稲葉義男、加藤和夫(黒澤明の「乱」でめちゃくちゃしごかれていた)、中条静夫、渥美国泰らの堅実な演技。
なかでも鬼やんの稲葉義男の演技が素晴らしい。
エンドクレジットでは松金よね子の名前あり(どこに出ていた?)
・鬼やんの手錠やバリケードの縦横の伏線も見事。
ベッド柵にかけられた鬼やんの手錠
バリケードの向きを変える警備員
銃砲店の襲撃や犯人の中の長い黒髪の女性は1970年前半の当時の連合赤軍事件の世相を反映している。
長髪の若者が多い
髪が邪魔で狙いが見えん!
樋浦勉がテロリスト唯一の短髪で逆に目立っている
DVD特典の木村大作のインタビューが面白い。
素晴らしい撮影技術がありながら一般常識が全く通用せず、空気読めない感が素晴らしい。
監督の指示は全く聞かず、ノーライト、ノーメイク、ノー移動(全編手持ちカメラ)。
ビルからぶら下がる死体役はまず自分で実演。
当時の無茶苦茶なコンプライアンスゼロの撮影エピソードを嬉々として語る木村大作。
撮影監督デビュー作でこの無茶苦茶ぶりでここから先は推して知るべし
死体がぶら下がっていた東宝ビルでインタビューを受ける木村大作
"野獣"は無茶なスタントを平気でこなしていた藤岡弘かそれとも監督の言うことを全く聞かないコントロール不能の木村大作か?
【鑑賞方法】DVDー東宝
カラー 83分
【制作会社・配給】東宝
【監督】須川栄三
【脚本】松山善三 西澤治
【原作】松山善三 西澤治
【制作】藤本真澄 安武龍
【撮影】木村大作
【美術】薩谷和夫
【編集】池田美千子
【音楽】村井邦彦
【アームズ・テクニカル・アドバイザー】トビー門口 ヘンリー荻野
【出演】
伴淳三郎:舟木長太郎
藤岡弘:舟木明
渚まゆみ:青山美矢子
富川澈夫:綾小路雅也
山口嘉三:花森功
菅原一高:原口覚
樋浦勉:風間喬
中村まり子:小森康子
稲葉義男:鬼丸係長
加藤和夫:団捜査一課長
中条静夫:今井重役
渥美国泰:佐竹重役
三谷昇:サラリーマン
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https://youtu.be/YY9Xq78zXJI?si=xzbV4uxRZv7KXGLp