獅子文六『てんやわんや』
これは、獅子文六の小説『てんやわんや』を元に作った動画です。
今から約80年前、終戦翌年の1946年、故あって東京から愛媛県南部の相生町に来て長逗留している、物語の語り手である「私」犬丸順吉は、地元で知り合った悪友の越智に誘われ、愛媛県と高知県の県境にある黒霧山の山村「檜扇」(ひおぎ)へ二日掛かりの旅に出かけることになります。
この村は、平家の落人が住み着いたと伝えられ、海抜1000メートル近くの人里離れた山奥に隠れるように30戸ほどの家々が点在し、自給自足に近い生活をしています。
道中、犬丸は美しい自然に囲まれながら山路を進み、険しい道のりに苦労しながらも、越智や田鍋拙雲和尚たちと共に目的地を目指します。
村に着くと、驚くほどに村人たちは遠来の客を丁寧に出迎え、歓待してくれます。越智の妻がこの村の出身であるため、犬丸たちは一夜の宿を提供されることになります。宿を割り当てるためにクジ引きが行われ、犬丸は「平城銅八」さんの家に泊まることに決まります。銅八の家では、彼の美しい娘アヤメが犬丸を迎え、甲斐々々しく世話をします。
その晩、父に促されたアヤメが犬丸に酒を注ぎ、盃が進むうちに犬丸はあまりに強い地酒の泡盛のせいで酩酊し意識も朦朧としてきます。そして、その後に犬丸に幻想か現実か定かでないようなことが起こります……
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