2025年12月26日金曜日

目からビーム!151母さん、激しい雨が降りそうなんだ~ボブ・ディランとパレスチナ問題|但馬オサム

目からビーム!151母さん、激しい雨が降りそうなんだ~ボブ・ディランとパレスチナ問題|但馬オサム

I believe only Orthodox Jews can fundamentally criticize Netanyahu. The depth of Masters Of War grows ever deeper.


https://x.com/nightly_moth/status/1954476183011365134?s=61


https://youtu.be/gFlSUriG2Vw?si=FrOPLfvw-yEviyOS


https://note.com/spectreman555/n/nd7ed4040c9ba

目からビーム!151母さん、激しい雨が降りそうなんだ~ボブ・ディランとパレスチナ問題

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 1974年、ボブ・ディランはザ・バンドと組んで、バイク事故以来初めてとなる全北米ツアーを敢行した。いわゆる「偉大なる復活」ツアーである。
ツアーで得た収益金のほとんどをディランはイスラエルに献金している。金額は具体的に明らかにされていないが、当時の音楽雑誌によると、ファンの間で、イスラエルが国号をディランド(Dyland)に変えるのではないかというまことしやかな噂も流れたとあるから、われわれの想像の上をいく額であるのは確かなようだ。よく知られたことだが、ディランはロバート・アレン・ジンマーマンという出生名をもつユダヤ系米国人である。
前年10月に起こった第4次中東戦争(今年は50周年にあたる)の傷跡もまだ生々しく、「どれだけ弾丸が飛べば、武器は永遠に禁止されるのか」と歌った男の金が、パレスチナ人を殺す弾丸になるのかと思うと皮肉だ。第4次中東戦争は、イスラエル対アラブの戦争だが、それぞれの後ろにいる米ソの代理戦争でもあり、米ソの最新兵器の見本市の様相も呈していた。ディラン・マネーは、巡り巡って、アメリカの軍産複合体、彼のいうところの「戦争の親玉」(Master of War)の懐を膨らませていたのである。

その後ディランはキリスト教福音派に改宗し世間を驚かせたと思へば、すぐまたユダヤ教に再改宗。再改宗後最初のアルバムのタイトルが『インフィデル』(Infidelis=異教徒の意)だ。これに収録された『近所の嫌われ者』(Neighborhood Bully)という曲の内容が、82年のイスラエルによるレバノン侵攻と民間人虐殺を露骨に肯定するものであると、一部から強い批判を浴びた。

「やつは嫌われ者。ただの男なのに。侵入者と言われ追い払われる。やつ一人に百万人の敵。やつのやったことは罪なのか。自分を攻撃するための爆弾工場を破壊しただけなのに」
 正直、ファンとしては複雑な部分もあるが、だからといって僕がディランの曲を聴くのをやめることはないだろう。今回の戦争に関して、必要以上にイスラエルに肩入れする気もないし、むろん、イスラム過激派のテロなど容認できるはずもない。
 そもそも、パレスチナ問題なんて実は何千年も前から始まっているのだ。
「容赦してはならない。男も女も、子供も、乳飲み子も、牛も、羊も、ラクダもロバも殺せ」(申命記)と、彼らの神が命じている。神の声を信じて21世紀の今も彼らは殺し合っているのだ。われわれ"インフィデル(異教徒)"に何ができるというのか。悲しいことだが…。
友よ、答えは風に舞っている?

(初出)
「八重山日報」2013年10月20日付

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(追記)
このアルバムを発表した1983年9月にエルサレムを訪れ、長男ジェシーのバル・ミツヴァ(ユダヤ教の男子成人式)を「嘆きの壁」の前でおこなっている。

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「嘆きの壁」の前で。キッパを被るボブ・ディラン。右端にいるのが長男のジェシー・ディラン。サラ夫人との最初の子で、現在ミュージシャンのジェイコブ・ディランの兄。
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ちなみに、ジェシーは現在、映像監督。劇映画も何本か撮っている。トム・ウェイツの『ボーン・マシーン』のジャケ写は彼によるもの。
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同じくエルサレムで。ディランのおでこにある箱はテフィリン(聖句箱)といって、敬虔なユダヤ教徒はお祈りのときに必ず身に着ける。中には、羊皮紙に書かれた旧約聖書からの4つの聖句の巻物が入っている。一番有名なのは、シェマ・イスラエル(聞け、イスラエルよ)という申命記の言葉。テフィリンは左の上腕にも装着する。ディランのヘブライ名はShabtai Zashiaというらしい。

シェマ・イスラエル

聞け、イスラエルよ。主は私たちの神、主は唯一である。心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛さなくてはならない。
きょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻み、あなたの子に教え、座しているときも、歩くときも、寝るときも、起きるときもこれについて語らなければならない。
これをしるしとしてあなたの手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい。   「申命記」第6章4~9

▲Chabad(ハバッド)設立25周年を記念して献金を呼びかけるテレソン番組で、ユダヤの祝い歌『ハヴァ・ナギラ』の演奏にハーモニカで参加するディラン。真ん中でギターを弾いているピーター・ヒンメルマンはディランの義理の息子(養女マリアの夫)。Chabadはユダヤ教最大の宗教団体のひとつ。

ディランの一連のシオニズム的言動に関し、とりわけ中東情勢が不穏になるたびに眉を顰める人も当然いる。『パレスチナ』の回想の著者で、パレスチナ系キリスト教活動家のサミア・ナシス・クーリーは、ディランのファンであることをことわった上で、2018年のガザでの軍事衝突のあと、マスコミに対しメールで「彼がパレスチナ人だったら『風に吹かれて』をこう歌う」とディランの代名詞的初期の名作をパロってこう茶化した。

どれだけ虐殺が続けば、私たちは人間として認められるのか
どれだけ立ち退きを経験すれば、私たちは住処を得られるのか
どれだけテロリストと呼ばれれば、私たちに権利が与えられるのか
友よ答えは風に舞っている

▲『偉大なる復活』のアンコール曲は『風に吹かれて』

僕の知る範囲だが、ディランは今回のハマス=イスラエル戦争に関して、今のところ発言はないようだ。
彼の答え自体が、風の中に舞っているのだろうか。

ボブ・ディランは2016年、ミュージシャンとしては初、ユダヤ人としては15人目のノーベル文学賞を受賞した。授賞式にはパティ・スミスが代理で出席、彼の『激しい雨が降る』(A Hard Rain's Gonna fall)を歌った。
1962年(但馬の生まれた年)に書かれたこの曲は、キューバ危機を歌ったものだという。

Oh, where have you been, my blue-eyed son?
どこに行っていたの? 青い目の息子よ
And, where have you been, my darling young one?
どこに行ってたの? 私のかわいい坊や
I've stumbled on the side of twelve misty mountains
12の霧深い山々の脇をよろよろと歩いていた
I've walked and I've crawled on six crooked highways
6つの曲がりくねった高速道路をノロノロと進んだら
I've stepped in the middle of seven sad forests
7つの悲しみの森に迷い込んだんだ
I've been out in front of a dozen dead oceans
1ダースの死の海と向かい合っていた
I've been ten thousand miles in the mouth of a graveyard
1万マイルも進んだら墓場の入り口だったんだ
And it's a hard, and it's a hard, it's a hard, and it's a hard
そして、激しい、激しい、激しい
And it's a hard rain's a-gonna fall
激しい雨が降りそうなんだ

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