2025年3月19日水曜日

あるでん亭大丈夫日記:映画名言集 ― ナイル殺人事件 - livedoor Blog(ブログ)

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モリエール全集6
シチリア人第六場

ドン・ペードル あのセレナーデを演奏させた奴に心当たりはあるか?
イジドール いいえ、でも、どなたかはわかりませんが、感謝してますわ。
ドン・ペードル 感謝してるだって?
イジドール もちろんですわ、だって私を喜ばそうとしてくれたんですもの。
ドン・ペードル そいつはおまえが好きなんだぞ、そんなことでいいと思うのか?
イジドール 大変結構ですわ。ありがたいお話じゃありませんか。
ドン・ペードル ああいうことをしてくれる奴らには誰にでもいい顔をするつもりか?
イジドール ええ、もちろん。
ドン・ペードル いやにはっきり言うな。
イジドール 隠しても仕方ないでしょう? うわべではどんな顔をしていても、愛されるのはいつ
だって嬉しいものですわ。 「あなたは何て魅力的なんでしょう」と言われて不愉快なはずありま
せんもの。誰が何と言おうと、女が心から望んでいるのは、男の方に愛されることですのよ。 女
がいろいろと努力するのはそのためなんです。どんなにお高くとまっていても、自分の眼差しで
男の方を虜にして、「やったわ」って心の中で思わない女はいませんわ。
ドン・ペードル おまえは愛されて嬉しいかもしれないが、俺はおまえを愛してるんだからな、
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http://blog.livedoor.jp/yutethebeaute999/archives/50096978.html

映画名言集 ― ナイル殺人事件

どんなくだらない映画にも何かいいものがあるはず...とのたまわって、映画解説していたのが故淀川長治さん。お仕事とはいえ、ひどい駄作なんかの場合大変だったろうなぁ、と思うのです。

のっけから話題がそれますが、淀川さんってゲイだったんだってね。幼いころはぜんぜんそんなこと考えもしなかったけれど、いまから考えりゃ...思いあたりまくり。「Brokeback Mountain」の解説させてあげたかったなぁ。

話を元に戻して...私の場合くだらない映画なんか観たのを忘れちゃうほうだけど、映画のある一シーンやせりふが頭のすみっこに残っていて今でも忘れられないということはあります。その一つが「ナイル殺人事件」。調べてみたら1978年の作品...もう28年も前か...。

この映画、決してくだらないということはございません。ポワロ役のピーター・ユスティノフははまりまくっているし(大好きな役者、芸術家です...死んじゃったけど)、相棒役のデビッド・ニーブンはかっこいいイギリス紳士を演じきっている(もうこういう雰囲気の役者っていないね...死んじゃったけど)。脇役もベティ・デイビス、マギー・スミス、ミア・ファーロウ、アンジェラ・ランズベリー、そして元布施明夫人ことオリビア・ハッセーとつぶぞろい。

[ここネタバレです]小学生だった私は初めてこの作品を両親と観たとき、恋人の指図で金持ちの令嬢と結婚し、遺産目当てで妻となった令嬢を殺害してしまう犯人カップルの片割れの男の心理がまったく理解できなかった。令嬢、美人だったし...。だから大詰めでお約束の(生き残った)出演者全員を集めたところでポワロが犯人のカップルを追い詰め、進退きわまった二人が心中してしまう場面では「へっ???いったいどうしたの???」と両親に説明を求めてしらけさせてしまいました。

まぁその後少しは大人になってから観なおして、やっと理解できたんだけれど、そのこともあいまってポワロのユスティノフとレイス大佐のニーブンの最後のせりふが20ン年たった今でも私の頭の片隅にこびりついているのです。

ナイル河の船着場。物語の舞台となったナイル下りのクルーズ船から担ぎ出される死体と、去ってゆく乗客を見送りながら、二人は言葉を交わします。

Race: What are you thinking?
Poirot: I was thinking of Molière: "La grande ambition des femmes est d'inspirer l'amour."
Race: [sighs] I wish you'd speak some "known" language...

レイス大佐:何を考えているんだい。
ポワロ:モリエールの言葉さ。(フランス語で)「女の偉大なる野望は男に愛を吹き込むことである」
レイス大佐:(ため息をついて)ちゃんとした言葉でしゃべってもらいたいもんだね...

このあとポワロはレイス大佐と観客のために英語でモリエールのせりふを繰り返すわけです。

かっこいい~...

さすがユスティノフ、さすがアガサ・クリスティー。アガサ・クリスティーの一回目の結婚が夫の浮気でオジャンになっていたことや、考古学者であった二人目のご主人のフィールド・ワークにつきあってエジプトに行ったときの経験を元にこの作品を書いたことを考え合わせると、この何気ないキメぜりふもよりいっそう興味深いものになりますね。

そして、さすがモリエール。さすがフランス人。いい得て妙だな~。グーグルしたところ、これはモリエールの「シシリアン」という戯曲の中のせりふらしい。

à quoi bon de dissimuler? Quelque mine qu'on fasse, on est toujours bien aise d'être aimée: ces hommages à nos appas ne sont jamais pour nous déplaire. Quoi qu'on en puisse dire, la grande ambition des femmes est, croyez-moi, d'inspirer de l'amour. Tous les soins qu'elles prennent ne sont que pour cela; et l'on n'en voit point de si fière qui ne s'applaudisse en son cœur des conquêtes que font ses yeux.

フランス語のできる人、訳してください。

いやぁ、思い当たるなぁ...美人で、頭がよくて、はたから見て完璧に見える女性がいまいち満たされていない場合はたいていこれなんですね。多くの男性に求められて(ちょっかいだされて)いるかもしれないけれど、愛されていない...これが日本だと「恋がしたいわ~」とか「結婚したいのよ~」なんて陳腐で月並みなせりふになってしまいますが...。しかし、命短し恋せよ乙女。いつまでも受身ではなく、モリエール風に「『愛』を『吹き込む』」、篠原教授風に「『らむ~る』を『いんすぴあ~』」、竹村健一風に「『ラブ』を『インスパイアー』やね」、これで行きましょう。

しかし肝心の男のほうが「愛を吹き込まれる」のを座して待っているかといえば、さにあらず。男は男で可能な限りより数多くの女性から愛されたいと思っているんだから、こりゃ創造の神様の確信犯的目的の不一致だね。

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