ボブ・ディランバイオグラフ旧版ブックレット
92~4頁
エヴリィ・グレイン・オブ・サンド
EVERY GRAIN OF SAND
1981年5月、ロサンゼルスで録音。
ディランは言う。「この歌は霊感を受けてできた歌だ。少しも困難なことはなかった。どこからかやってくる言葉を紙に写しているような感じだった。 とにかく最後まで写したんだ。 クライディーが一緒に歌っている。 1回で録音したと思う。 クライディーは最高の歌手だ。 彼女が息をするのを聞くだけで背筋がぞくぞくする。声の質に特色がある。 深くて、 ソウルフルで、タフであると同時にとても繊細なんだ。彼女は電話帳を歌っても、聞く者を感動させることができる歌手だ。 この歌の最初の2行を初めて聞いただけで、とにかく彼女が言ったんだ。この歌はクラシックになるってね。100年たったらわかるだろう。 この歌は、時代の流れに遅れまいとするようなことは超越しているんだ。 時代に遅れまいとしたり、80年代の詩人であるとか、90年代のロックンローラーであるというようなこととは一切関係がない。 罠にはまってはいけない・・・・・・あらゆることを学び、必要な時に呼び出せればいい。 古いやり方が、今でも一番役に立ち、窮地から脱することを可能にしてくれる。今はすべてのものが歪んでいる時代ですべてのサインは間違った方向を指している。 バベルの塔の時代に住んでいるかのようだ。あらゆる言語が混乱している。我々は金星に向けて塔を建てている。 一体それはどこにあるんだい。 何をそこで見い出すことができるだろう。 聖書には「愚か者でも口を閉じている時は、賢く見える」と書かれている。 聖書の言葉なんて言うと、すぐにそっぽを向いてしまう人がいる。なにか宗教的なものに対しては、 人は面と向かわないで、関係ないよと言わんばかりの顔をする。 「悔い改めよ。 天国は近づけり」というような言葉を聞くと、人は脅えてしまう。そんなことは避けて通りたいんだ。 誰かにその言葉を言ってごらん。 彼の敵になってしまう。 だけど、 事実に直面しなければならない時が来るし、 信じたくても、 信じたくなくても真理は真理であるという時が必ず来る。 人間の側で、真理にしたりしなかったりすることはできない。
人は誰も自分の真理を心に持っているという偽りが、多くの害をもたらし、人々を狂わせたんだ。自分の敵を征服するためには、まず最初に自ら悔 い改め、ひざまづき、あわれみを乞わねばならないということを聞いたことがあるかい。 ウェスト・ポイントではそのことを教えるかな。 神は傲慢な態度を嫌うんだ。現在の状況は、とても混乱している。人々は自分が誰であるかわからないように仮面をつけて、仮装して歩き回っている。このことだけは言えるーー誰かに自分の夢や希望を話す時は、その人が兄弟のように愛してくれているということだけは確かめておいた方がいいということだ。さもなくば、その夢や希望は、恐らく実現することはないだろう。生きのびるためには、少々迷信深いことも必要だ。 人はアメリカの新しいイメージについて語りたがるが、ぼくにとっては昔ながらのアメリカだ――マーロン・ブランド、ジェームス・ディーン、マリリン・モンローであっコンピューター、コカイン、デイヴィッド・レターマンじゃない。そういうものからは逃げ出さなければいけない。 ヘディ・ラマー、ドロシー・サンドリッジ、それがぼくのアメリカのイメージだ。 そして一体、誰がアメリカのイメージをよくしただろうか。 ある架空のくだらん兵隊が、空想上の外国で10万人の人間を殺すことだってありえる。でもそれは幻想にすぎず、長く続きはしない。人はもし選択することができるならば、今でもレット・バトラーになりたいと思うだろう。90年代には、あるいは21世紀には、人々は80年代はマスターベイションの時代であったと考えるだろう。しかもそれが極限まで押し進められた時代であったと考えるだろう。とにかく、どこを見てもそのような状態ばかりだ。 だからぼくはぼくの価値観を聖書の言葉に基づいて置きたいんだつまり変化することのないものの一部でありたいんだ。実際それはそれほど大変なことではない。 人は今でも、愛し憎しみ、 結婚し子供を産み、 心の中の欲望に隷属し、互いの顔面を張りたおしたり、あなた電気を消してくれない、 と言ったりしている。古代ギリシャの時代と全く何も変っていないんだ。何も変わっていない。 アブラハムが父親の偶像をこわしたのはいつのことなのか。 先週の火曜日だ。神は今でも審判者であり、 悪魔が今でも世界を支配している。 何も変化したものはない。 自分が重要人物だと考えているうちに、歴史は過ぎて行ってしまう。 まるで牧師のようなしゃべり方だね。世に出ようとしているソング・ライターやシンガ一に言いたいのだが、今流行しているものはすべて無視し、忘れるようにした方がいい。 ジョン・キーツやメルヴィルを読んだり、ロバート・ジョンソンやウディ・ガスリーを聞いた方がよっぽどいい。 映画についても同じことが言える。 沢山の映画を見たが、心に残っているのはどんな映画だろう『シェーン』、『赤い河』、 『波止場』、『フリークス』、それにもう二、三本だけだ。 先日、 映画を見たが、終ったとたん、 その映画について何も思い出すことができなかった。 見ている時はとても重要なものに思えたんだが」
93
DP401~3
OF40-3
92
2025年12月4日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
神曲 1911
https://www.instagram.com/reel/DR0PWFajE_u/?igsh=MTFienkzN2w5YmVmMw== Agrippa's Diary | Alchemy & Occult Wisdom - Instagram: "O...
-
フィル・オックス - ウィキペディア Phil Ochs • “I Ain’t Marching Anymore" • 1968 [Reelin' In The Years Arch... https://youtu.be/o6Cs5QQpI5k?si=_qzs...
-
【小学生でもわかる】ペール・ギュントのあらすじを図解で解説! | ムジクラス -MUSICLASS-|音楽科教員のための授業ブログ https://mujikurasu.com/peer-gynt-story/ 【小学生でもわかる】ペール・ギュント...
-
https://songmeanings.com/songs/view/35352/ by kenny10073 10y ago Thanks for the Art Siegel note. I found this: http://www.allmusic.com/alb...
0 件のコメント:
コメントを投稿