モイライはゼウスの権威に従っており、ゼウスは彼女たちに、物事の自然の秩序が尊重されるべく計らうよう命じたとされている[7]。しかし、トロイア戦争の物語においてはゼウスがモイライの決定に逆らえないことが示唆されている[8]。この様に神々と運命との関係はしばしば矛盾に陥っており、ゼウスは時に運命を支配しているようであり、時に運命の決定に従っているようにも描写されている[9]。
- アポロンの使者: 太陽と芸術の神アポロンに仕える、賢く人間の言葉を話す鳥でした。
モイラ (ギリシア神話)
モイラ(古希: μοῖρα、古代ギリシア語ラテン翻字: moĩra)はもともとギリシア語で「割り当て」という意味であった。人間にとっては、「寿命」が割り当てられたものとして、もっとも大きな関心があったため、寿命、死、そして生命などとも関連付けられた。また出産の女神であるエイレイテュイアとも関連付けられ、やがて運命の女神とされた。
最初は単数で一柱の女神であったが、後に複数で考えられ、三女神で一組となり、複数形でモイライ(Moirai)と呼ばれる。人間個々人の運命は、モイラたちが割り当て、紡ぎ、断ち切る「糸の長さ」やその変容で考えられた。まず「運命の糸」をみずからの糸巻き棒から紡ぐのがクロートー(古希: Κλωθώ、古代ギリシア語ラテン翻字: Klōthṓ、「紡ぐ者」の意)で、その長さを計るのがラケシス(古希: Λάχεσις、古代ギリシア語ラテン翻字: Lákhesis、「長さを計る者」の意)で、こうして最後にこの割り当てられた糸を、三番目のアトロポス(古希: Ἄτροπος、古代ギリシア語ラテン翻字: Átropos、「不可避のもの」の意)が切った[1]。このようにして人間の寿命は決まるのである。
また、彼女たちはギガントマキアーにおいては戦線に参加し、青銅の棍棒でアグリオスとトオーンという2人のギガースを殴り殺している[2][注釈 1]。このほか、テューポーンを騙して「無常の果実」を食べさせて彼の力を奪い、神々の勝利に貢献した[3]。
ある時、テッサリアの王アドメートスは、アポローンの協力を得て想いを寄せるアルケースティスと結婚したものの、自身は重病にかかる。この時、延命をアポローンに依頼されたモイライは、親族の誰かが彼の身代わりになるという条件の下に承諾した。しかし名乗り出る者がいなかったため、結局アルケースティスが申し出て身代わりに重病にかかって死にそうになる。そこへたまたまヘーラクレースが立ち寄り、アルケースティスを迎えに来た死神タナトスを締め上げたため、彼女は死を免れた[4]。
また、この他にもメレアグロスの話に登場してアルタイアーにメレアグロスの運命を予言している。プラトーンの『国家』の末尾にある『エルの物語』ではクロートーが「現在」、ラケシスが「過去」、アトロポスが「未来」を司る神として登場している。
モイラたちの母
3柱のモイライをこのような名前で呼んでいるのはヘーシオドスである。ヘーシオドスは、『神統記』の最初の方では、モイライを、ニュクスの娘だと歌っている[5]。他方、同じ歌の中の後半では、ゼウスの王位継承と女神たちとの婚礼を歌い、最初の妻メーティスとの婚儀よりアテーナー女神が生まれたことをうたい、2番目に妻となったテミス女神とのあいだに、季節の女神ホーラーたち、すなわちエウノミアー(秩序)、ディケー(正義)、エイレーネー(平和)などの香しい女神をもうけられたが、それに続いて運命の三女神をもうけられたとうたっている[6]。
ピンダロスは、モイライをテミスの娘とはせず、花嫁としてのテミスの付き添いとして三柱の女神を登場させている。
ローマ神話での対応
ローマ神話では、パルカ(Parca,「子を産む者」の意)たちがモイラに対応する[7]。複数形はパルカエ (Parcae) となる。役割や性格はギリシア神話のモイライの引き写しである。クロトに対応するのはノーナ (Nona)、ラケシスに対応するのはデキマ (Decima)、アトロポスに対応するのはモルタ (Morta) である。
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- 天上の夜空にある「からす座」は、このアポロンの使者だったカラスの姿が星座になったものと伝えられています。
004.カラスに変身して戦士を鼓舞
死の女神モリガン、勝利の女神ネヴァン、怒りの女神マッハの3人は、ケルト神話の戦いの女神である。この3人姉妹はひと絶となって、三位一体神と見なされることもある。
彼女たちは戦場にカラスなど鳥の姿に変身して現れる。そして、その姿と叫び声で戦士たちがさらに激しく戦うよう、より残虐な殺教をして多くの血を流すようにそそのかすという。
また、敵に対しては逆に恐怖心を引き起こさせ、戦闘不能の状態にして打ちのめした。
たとえば、カラスに変身したネヴァンは戦士たちの頭上を飛びかって狂乱をもたらし、同士討ちをさせる。彼女はまた、戦士たちに水辺で血まみれの武具を洗う幻影を見せる「浅瀬の洗い手」と
しても知られるが、その武具
の持ち主は、近いうちに余
を菩としてしまうのだ。
マッハも同じくオオカラ
スの姿となって戦場を飛
び、無気味な叫び声を上げて戦士た
ちの間にパニックを引きおこす。そのうえ、なんといってもこの女神は、戦死者の首を食べてしまうのである。
ちなみに、ケルト戦士たちには倒した敵の首を切り落とし、釘を刺して門に飾る風習があるのだが、これは「マッハの木の実の餌」と呼ばれ、彼女に捧げられたものだという。
ところで、この三位一体神の第1人格ともいえるモリガンもまた、カラスの姿で戦場に現れるなど、戦いや復讐の女神であることは間違いないが、意外な一面もある。ふだんは恐ろしい老婆の姿をしているのだが、ときに美女の姿をとって男たちを誘惑するのだ。
あるとき、美女に化けたモリガンは、英雄クー・プーリンに愛をささやいた。だが彼は、その告白を一蹴した。
「今は戦いのときだ。愛にうつつを抜かしている
時間はない」
プライドを傷つけられたモリガンは復讐を誓った。それ以来、彼女はウナギや海蛇、狼などに変身してクー・プーリンの手足にからみつき、彼の戦いの邪魔をしたのである。
だが、後にふとしたことでクー・プーリンに命を救われた彼女は、それをきっかけに、何かにつけて彼の世話をやくことになったのだ。クー・プーリンが恵絶えたとき、彼のそばにつきそっていたのは、カラスに身を変えたモリガンであったといわれる。
ちなみに、この3人の女神はそろってケルトの王ヌァザの妃となり、ともにフォモール族と戦ったが、ネヴァンとマッハは邪眼の巨人バロールによって殺されたという。
また、モリガンはアーサー王の物語に登場する王の異父姉で、彼に敵対する魔女モーガン・ル・フ工イと同一視されている。
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