2026年5月31日日曜日

『他の人々とは異なって』(1919年、独) Anders als die Andern 。Different From The Others (1919 Film)

 


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%89


リヒャルト・オスワルド[1][2][3][4][5][6]Richard Oswald1880年11月5日 - 1963年9月11日)は、オーストリア映画監督脚本家リヒャルト・オズワルド[7]リヒャルト・オズヴァルト[8]、あるいは英語読みでリチャード・オズワルドとも表記される。

経歴

ウィーンの生まれ。最初はウィーンで舞台俳優をしていた。監督デビュー作は『Das eiserne Kreuz』(1914年)。プロデューサーJules Greenbaumと組んだ作品が多い。1916年にはドイツに自身の製作会社を興し、監督と脚本を手がけた。『ドリアン・グレイの肖像』や『ペール・ギュント』『八十日間世界一周』の翻案もの以外では、同性愛を犯罪とした刑法175条への抗議を目的とした[9]『Anders als die Andern(他の人々とは異なって)(英語版)』(1919年)を撮った。この映画は世界で最初に作られたプロのゲイ映画と言われている[10]

オズワルドはユダヤ人であったため、ナチスから逃れ、占領下のフランスを経て、アメリカに移り住んだ。第二次世界大戦後、再びドイツ(西ドイツ)に戻り、デュッセルドルフで亡くなった。


Different From The Others (1919 Film) https://youtu.be/mMz3FmcnpbI?si=-PeKUIRVS3W9o2Rc @YouTubeより


Anders als die Andern


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



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議論はこのページのノートを参照してください。(20265月)

Anders als die Andern



Anders als die andern』のドイツ語ポスター


監督

リヒャルト・オスワルド

脚本

リヒャルト・オスワルド

マグヌス・ヒルシュフェルト

製作

リヒャルト・オスワルド

出演者

コンラート・ファイト

フリッツ・シュルツドイツ語版

ラインホルト・シュンツェル

アニタ・バーバードイツ語版

マグヌス・ヒルシュフェル

カール・ギーゼドイツ語版

撮影

マックス・ファスベンダードイツ語版

配給

Richard Oswald-Film Berlin

公開

1919630

上映時間

50分(断片)

製作国

ヴァイマル共和政

言語

無声映画

ドイツ語インタータイトル

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Anders als die Andern』(英題:Different from the Others、意味:他の人々とは異なって)は、ヴァイマル共和政下のドイツで製作された、メロドラマ無声映画[1]。コンラート・ファイトラインホルト・シュンツェルが出演し、1919年に初公開された[2]。監督はリヒャルト・オスワルドが務め、マグヌス・ヒルシュフェルトがオスワルドと共に脚本を共同執筆し[3]、ヒルシュフェルトもまた映画で脇役を務め、自身の性科学研究所を通じて製作資金の一部を拠出した。本作は、当時ドイツで施行されていた同性愛を犯罪化する刑法175条への論争を意図して制作された[4]。映画におけるゲイ男性に共感的な表現の先駆けの一つであった[3]。

本作のような映画への反発から検閲法が制定され、1920年10月までには本作を鑑賞できるのは医師と医学研究者のみとなった。映画のコピーは、1933年以後のナチス政権下で焼却された数多くの「退廃的」作品の中に含まれていた。

撮影は、本作の2年前にオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』を映画化した初期作品の一つである『Das Bildnis des Dorian Grayドイツ語版)』を手がけたマックス・ファスベンダードイツ語版)が務めている。監督のリヒャルト・オスワルドは後に主流映画の監督となり、息子のゲルト・オスワルドドイツ語版)も同様だった。ファイトは本作公開の翌年、『カリガリ博士』で大スターとなった。

映画の主なプロットは、1961年のダーク・ボガード主演のイギリス映画『Victim英語版)』でも使用された[3]。

脚注

[脚注の使い方]

出典

  1. Malakaj, Ervin (2017). “Richard Oswald, Magnus Hirschfeld, and the possible impossibility of hygienic melodrama”. Studies in European Cinema 14 (3): 216–230. doi:10.1080/17411548.2017.1376857 2022年10月10日閲覧。.
  2. Ito, Robert (2013年11月15日). “A Daring Film, Silenced No More”. The New York Times. 2017年8月19日閲覧。
  3. John Baxter (2009). Carnal Knowledge: Baxter's Concise Encyclopedia of Modern Sex. New York: HarperCollins. pp. 11–12. ISBN 978-0-06-087434-6 2011年12月24日閲覧。
  4. Beachy, Robert (2014). Gay Berlin: Birthplace of a Modern Identity. New York: Vintage Books. p. 166. ISBN 978-0-307-47313-4

外部リンク


https://x.com/nagi_ijima/status/2061049124292841724?s=61


先日、新宿武蔵野館にて、同性愛は犯罪とされていた時代に同性愛を肯定的に描いた初めての映画『他の人々とは異なって』(1919年、独)見た。弁士の片岡一郎氏による活弁も解説も素晴らしく、ヴァイオリンとピアノの演奏も素敵で、見に行って良かった!主演は『カリガリ博士』『笑ふ男』で有名な怪優コンラート・ファイト。


当時のドイツは帝政廃止(1918年)後の共和国体制下(所謂ワイマール共和国)で、自由が尊重された最先端の民主主義国家だったが、同性愛は犯罪とされ「刑法175条」で禁じられていたそう。

映画は、その175条をふりかざして脅してくる男と、引き裂かれるふたり、という重くて悲しいストーリー。

しかもその公開翌年には、映画検閲法で上映自体が禁じられてしまったのだとか…。


だけど1933年にナチスが政権を取るまで続いた、1920年代のドイツ、特にベルリンは、自由と退廃の街としてさまざまな映画や文学で描かれていて、個人的に大好き!


ミュージカルの傑作『キャバレー』とか、デーブリーン『ベルリン アレクサンダープラッツ』とか、イルムガルト・コイン『人工シルクの女の子』とか、クリストファーイシャウッド『イカサマ師ノリス』とか、ケストナーの諸作品も。


そう言えば、『キャバレー』の原作の一つになっている『ベルリンよさらば』の作者クリストファー・イシャウッドも同性愛者で、ベルリンではその自由が満喫できるということもあってイギリスからベルリンに居を移した、と読んだことがある。


また、『他の人々とは異なって』の脚本に参加しているマグヌス・ヒルシュフェルト(Magnus Hirschfeld)、この人については初めて知ったが、当時の著名な性科学者とのこと。

同性愛だけでなく、異性装など多様なセクシュアリティを研究し、その権利を訴える精力的な運動家だったそう。wikiを見るととても興味深く、フェミニズム運動もしていた、と(当時犯罪とされていた「堕胎」の権利を訴えるなど)。


そんな最先端の民主主義国家だったのに、1933年にナチスが政権を握ると状況は一変。

ヒルシュフェルト性科学研究所の蔵書は燃やされ、また、映画『他の人々とは異なって』のフィルムも全て焼かれてしまう…。


ところが、ドキュメンタリー映画『愛の法則』にこの映画の短縮バージョンが挿入されていることがわかり、それが1970年にウクライナで発見!


このあたりの解説を弁士の片岡一郎氏がしてくれたのだが、経緯がとても面白く、3分の2くらいしかない短いフィルムだけど解説やナレーションのおかげで楽しく拝見できた。

日本初劇場公開、行けてよかった。

井嶋ナギ(@nagi_ijima)さん

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「声たちの島」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン|踏み跡

「声たちの島」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン|踏み跡

「声たちの島」 ロバート・ルイス・スティーヴンソン

見出し画像

高松雄一・高松禎子 訳  バベルの図書館  国書刊行会

このバベルの図書館編では、「声たちの島」、「壜の小鬼」、「マーカイム」、「ねじれ首のジャネット」収録。
これら4編に、ヴィヨンが登場する話「その夜の宿」と、「水車屋のウィル」の2編を加えた短編集が岩波文庫にある(2011年出版)。訳者は同じ。

スティーヴンソンは「宝島」や「ジキル博士とハイド氏」の作家だけど、祖先は灯台作りで(「灯台守の話」を参照)、晩年はサモアに住んだ。サモアでの植民地批判なども書いているみたい。この作品集の中にも「南洋もの」あり。
(2015 08/23)

「灯台守の話」はこちら ↓

「声たちの島」

昨夜バベルの図書館シリーズからスティーヴンソンの短編を1,02編くらい(笑)読んだ。この短編集は4編から成っていて、その選択基準は編者ボルヘスの印象の残り具合からだそう。
そのボルヘス曰く、「ジキル…」の話はスコットランドにある、誰かが死ぬ直前に遠くの知り合いのところに分身が現れるという言い伝えの変容で、こういう深層はジョイスやオブライエンのアイルランドとも共通している…南洋もの2編。都市もの?2編。

前者からの標題作「声たちの島」は魔術師とその婿という幻想話を構造的にはきれいにぱたぱた織り込んだような話。魔術師の家がかなり西洋化されてたり、紙幣制作浜辺?が出てきたりと単なる南洋幻想ものだけではない近代批判もあるような短編ですが、そこについてはやはり?ボルヘスは沈黙…
(2015 08/25)

「壜の小鬼」

2つのハッピーエンドの比較
スティーヴンソンの2つの「南洋」ものを読んだ。2つとも最後は主人公たちが苦境を脱して終わるのだけれど、一昨日読んだ「声たちの島」は魔術師がいつまた戻ってくるかもしれないという保留付きだったのに対し、昨日読んだ「壜の小鬼」はもっと明らかな脱し方。これは主人公の性格の違いによるところなのかもしれないけれど、最後に出てきた水夫長はひょっとしたら壜の小鬼の親分かなんかで、人間界から壜を取り返しただけなのかも(そっち側から読み返す或いは書き直すのも楽しそう?)。

この話の核は、死ぬまで持っていると地獄落ちのこの壜を他人に売り付けるのは買った時より安く売らなければならない、というルールで、ナポレオンやクック船長から最後の水夫長に向かって安くなるに従って、人物像や背景がだんだん細かく惨めになっていく…というのが読みどころ。
(2015 08/26)

「マーカイム」

昨夜のスティーブンソンは「マーカイム」。序文でボルヘスが二重人格或いは分身的な短編が含まれるとしていたのは、まあこの作品だろうけど、読みどころはそれより?前の殺人者の心理描写にある。
(2015 08/27)

「ねじれ首のジャネット」

スティーブンソン短編4つ目終了でこれも読み終わり。「ねじれ首のジャネット」…他のイギリス短編集か怪奇小説集かなんかに入っていたかも…は死骸?にとりついた悪霊の話。黒い男が悪霊だというのはスコットランドの古くからの伝統だという。
まあ、とにかく、(大)男が立ち去るイメージが最初と最後にあるのね、この短編集は。表紙も合わせて…
(2015 08/28)

関連書籍

"エラリー・クイーン・ミステリー" Too Many Suspects (TV Episode 1975) - IMDb https://www.imdb.com/title/tt0072929/ https://youtu.be/pdLKyNEEn0s iPhoneから送信

 https://x.com/cluytens1905/status/2060825449601880150?s=61


エラリー・クイーンの映像化作品って意外と多くなくて、最初の映画化は『スペイン岬の謎』(1935)。

『チャイナ橙の謎』を緩く翻案した『The Mandarin Mystery』(1936)、『ニッポン樫鳥の謎』を大幅変更した『Ellery Queen, Master Detective』(1941)と続きます。作品のチョイスが謎。

きょう5月31日がジム・ハットンの誕生日ということで、彼がエラリーを演じ、1シーズンだけ放送されたドラマ版について。

パイロット版+22本が制作され、評判は良かったようです。それというのも、制作したのが『刑事コロンボ』のリチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンクだったのです。

日本でも、フジテレビで1978年に字幕版で放送され、ミステリーチャンネルでも一度、確か20年くらい前に放送されました。

毎回、冒頭に事件のさわりと容疑者たちが紹介され、「Whodunit!」とナレーションされて本編スタート。フェアプレイを目指した作りで、エラリーとクイーン警視が登場します。

このドラマに関しては『ミステリの女王の冒険』(論創社)の巻末に非常に詳しい解説が載っていますので、興味のある方はそちらを参照してください。

ところで、このドラマのうち8本に、エラリーのライヴァル探偵役として、サイモン・ブリマーという人物が登場します。



https://40388303.at.webry.info/201204/article_2.html

"Ellery Queen"US版DVD

『刑事コロンボ』のファンなら、クリエイターのウィリアム・リンクリチャード・レヴィンソンエラリー・クィーンを主人公にしたTVシリーズを製作していた、ということは多くの方がご存知と思います。

1シーズンだけで終わった短命なシリーズで、アメリカでも長いこと「幻の番組」状態だったらしいですが、2010年に全話を収録したDVDボックスセットが発売されています。


番組名は"Ellery Queen"ですが、商品名としては"Ellery Queen Mysteries"になっています。

ささやかなプロモーション・サイトがこちら。(デフォルトでテーマ曲が流れます。)
WATCH CLIPをクリックすると1話のオープニングが見られます。

最近になってこのセットの全話を見終えたので、これについて少し書きたいと思います。

まず、DVD商品としての説明です。


パッケージ
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日本製の「DVD-BOX」の堅牢な造りに比べると、外箱も中のディジパックの紙部分も簡易な造りですが、US版のDVDボックスセットは概ねこんな感じです。
日本のDVDよりも全体的に安価である理由の一つでしょう。


基本仕様

リージョンコード: 1
画面: 4:3
音声: 英語
字幕: 英語 (聴覚障害者用)
6枚組


ブックレット
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p2-3: ジェネット・ハッチンソン(EQMM)のエッセイ
p4-5: アンドリュー・ガリ(ストランド・マガジン)のエッセイ

p6-p7, p16-p17: 写真
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その他のページ: ディスク毎のエピソード・ガイド
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エピソード・ガイドでは各エピソード毎に以下の情報が書かれています:
- あらすじ
- オープニングのナレーション
- 初放送の日付
- 監督
- 脚本
- ゲスト出演者


メニュー画面

メインメニュー
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言語
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エピソード選択(エピソード内のチャプター選択画面はありません)
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特典

最後のディスクに、ウィリアム・リンクの「インタビュー」映像(18分)が収録されています。他には特典はありません。
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メニュー等では「インタビュー」と表記されていますが、質疑応答ではなく、リンクが一人で画面に向かって喋るだけです。即興ではなく事前に用意した原稿に従って喋っているような印象を持ちました。
内容的には、この番組についてはもちろんですが、既に他界した相棒のリチャード・レヴィンソンとの関係や、作家エラリー・クィーンとの出会い、などについても話しています。時折『コロンボ』との比較もしています。

短命に終わったのは意図したものなのか疑問でしたが、ここでリンクは「『コロンボ』や『ジェシカおばさん』と同じように、もっと長く続くべき番組だった」と言っているので、続けたいという意思はあったようです。
(ただし、続けられたとしても主演のジム・ハットンが1979年に45才で亡くなっているので長寿番組というのは無理だった、ということになりますが。)


画質・音質

十分良いと思います。
1975年製作のTVドラマのDVDとしては別に文句のないところだと思います。
宣伝によればディジタル修復処理が施されているそうです。たしかにゴミとかキズが気になる、ということはありません。

全体的に画面が少し暗い感じがしましたが、基本的に室内劇ですし、たまに外に出ても殆どの舞台はニューヨークで、太陽さんさんというような環境ではありませんから、これはこのシリーズの絵柄ということなのでしょう。

クィーン親子が釣りに出かけたり、映画撮影の見学でハリウッドに行ったりする話があるのですが、これらの野外場面はさすがに明るくなっています。しかし他の部分に比べて少し画質が落ちる(やや粗くボケ気味になる)ようです。

同時期の日本製TVドラマのDVDには、27インチ程度の画面で見てもかなりつらい画質のものもありますが、これはもう少し大きなサイズでも耐えうる画質です。
とは言え製作当時の標準的なTV画面サイズはもっと小さかったはずで、構図なども小さな画面を想定しているはずですから、あまり大きな画面で見るべきものではないでしょう。

音に関してもセリフはクリアに聞こえ、何も問題はありませんでした。


内容に対する感想

この番組が日本で放送されたことがあったのかどうか知りませんが、私はこのDVDで見たのが初めてです。

いや、面白いです。TV番組をこんなに楽しく見たのは久しぶりです。

現在でも『CSI』など面白いTV番組はありますが、"Ellery Queen"は「面白い」以上に「楽しい」のです。

私はエラリー・クィーンの小説は(ドルリー・レーンものを含めても)数冊しか読んだことがないのですが、あまり自分の好みには合わないと感じています。

また、キャラクターとしてのエラリー・クィーンにはあまり好感が持てません。

しかし、このTVシリーズでジム・ハットンが演じているエラリーは極めて好感度の高い人物で、小説のエラリーとはまるで別人です。
レイモンド・バーのペリー・メイスンが小説のメイスンとはまるで別人、というのと同じくらいに違う。
(ただし、原作者のクィーンはハットンのエラリーを大変気に入っていたそうです。)

サイモン・ブリマーという、自己顕示欲の強い気取った「ライヴァル探偵」が数話に出てくるのですが、このブリマーの方が私が想像する「小説の中のエラリー・クィーン」に近いくらいです。(ブリマーはそれ以上にファイロ・ヴァンスの雰囲気に近いと思いますが。)

何かを考えていると他のことへの注意が散漫になり、しじゅう物を忘れたり、あちこちにぶつかったりする。身なりに気を配っている様子はなく、いつも同じような格好をしている。こういうのは学究肌の人間にはよく見るタイプです。
それにしても殺人現場で机の上に兇器のナイフが置いてあるのに、その上に足を乗せようとしてリチャード警視に怒鳴られる、なんてのはちょっと原作のエラリーではありえないのではないでしょうか。

ブックレットによると、これより前の映画でもエラリーは多少そのような描かれ方をしているらしいです。ということはやはり、原作の人物像では一般大衆には受けない、と思われたのでしょうか。

驚いたことは「ミステリとしてのレベルの低さ」です。

殆どのエピソードはTV版オリジナルで、クィーンの小説とは無関係らしいのですが、
『コロンボ』と比べ物にならないのはもちろん、『古畑任三郎』どころか『名探偵コナン』でももう少しましだぞ、と思うものもありませす。

特に初期のエピソードは「ダイイング・メッセージ」に関わるものが多く、せいぜい「そう解釈することも出来る」程度のものでしかなく、「その程度の根拠で殺人という重大な罪を告発するのか」とか「言われた方も、たとえ真犯人でももう少し抗弁しろよ」とか感じることが多かったです。

にも関わらず。

一話としてつまらなかった、退屈したということがありませんでした。
パイロット版以外は1時間弱という短さのせいもあるのでしょうが、何と言ってもキャラクター、とりわけエラリーとリチャード・クィーン警視親子の魅力に尽きます。
極端に言って事件なんかどうでもいいというくらい、この二人のやり取りは面白い。ミステリ的な甘さなどは平気で許す気になってしまう。

小説でもリチャード警視はエラリーと違って魅力的な人物でしたが、このTV版でデイヴィッド・ウェインが演じるリチャードは見ていて飽きません。やや類型的ではあるかもしれませんが、このように生き生きと演じてもらえればそんなことはどうでもよろしい。
物語の構成上、結末近くになるまでは警察の捜査が物語を進めるから、自然とその指揮を執るリチャードの存在が大きくなる、という面もあるのでしょうが、それ以上に役者の魅力が大きいと思います。

この番組について書かれたもので必ずと言っていいほど取り上げられる特徴として、解決が提示される直前にエラリーが画面から視聴者に直接語りかける、ということがあります。
私はこの種の手法が嫌いで、それが『古畑』を好きになれない理由の一つでもあるのですが、なぜか"Ellery Queen"では気になりませんでした。

ところで、ヴェリー部長刑事(実際は「ヴィーリー」と発音するようですが)だけがエラリーを"Maestro"と呼んでいるのを面白いと思いました。(邦訳でどうだったかは記憶にありません。)

もう一人のセミ・レギュラーでフランク・フラニガンという新聞コラムニストがいるのですが、この人物はエラリーを"Junior"と呼ぶ。
また、エラリーはブリマーを"Simon"とファースト・ネームで呼ぶのにブリマーは彼を"Queen"としか呼ばない。

昔、野田昌宏がキャプテン・フューチャーについて、周囲の人物が彼を呼ぶ呼び方が原文では皆違い、そこに彼との関係性が現れているのに自分の翻訳ではそれが伝えられず残念だ、というようなことを書いていたのを、ちょっと思い出しました。


なお、ジム・ハットンの息子ティモシーは後に"A Nero Wolfe Mystery"という番組でネロ・ウルフの相棒アーチー・グッドウィンを演じているそうです。これもちょっと見てみたいな…と考え中。


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[2013-10-24: 商品リンク追加
『ジェシカおばさんの事件簿』全12シーズンのボックスセットと、シーズン終了後に製作されたスペシャル版4作のセット:

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[2015-06-12: Amazon.comの仕様変更に対応/商品リンク追加・変更]


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"エラリー・クイーン・ミステリー" Too Many Suspects (TV Episode 1975) - IMDb

https://www.imdb.com/title/tt0072929/

https://youtu.be/pdLKyNEEn0s

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エラリー・クイーン(Ellery Queen)(1975-1976・米)

エラリー・クイーン (Ellery Queen)

 「刑事コロンボ」のシリーズの生みの親であるリチャード・レビンソンとウィリアム・リンクのコンビで制作され、1975年から76年にかけて放映されて好評を博した、エラリー・クイーンのTVドラマシリーズ。日本でも1978年に放映されています。パイロット版を含め23のエピソードが制作されていますが、このうちパイロット版とシリーズ中の1作品を除く21作品は、クイーンの原作にはないオリジナルストーリーです。

 ノスタルジックな1940年代のアメリカを舞台に、ジム・ハットン演じる青年探偵エラリー・クイーンと、デヴィッド・ウェイン演じるニューヨーク市警のリチャード・クイーンの親子探偵コンビが捜査を展開。視聴者は毎回この二人と一緒に作中に周到に用意された手がかりや伏線を頼りに「誰が殺したのか」といういわゆる"Whodunits(フーダニット)"による謎解き・推理を楽しむことができます。

 また毎回有名スターをゲスト出演させる他、ジョン・ヒラーマン演じる威張りかえったラジオ番組の迷探偵サイモン・ブリンマーやケン・スウォフォード演じるフランク"フロントページ"フラナガンといったクイーンの原作には登場しないものの作品を大いに盛り上げてくれるオリジナル・キャラクターの存在も、このシリーズならではの魅力の一つです。

 エラリー・クイーンの映像化作品というと30年代から40年代にかけて作られた映画をはじめ、評論家やファンの間でも評価の芳しくない作品が多い中、このシリーズは毎週2千万人もの視聴者を惹き付けたと言われ、またクイーンの研究家としても知られるフランシス・M・ネヴィンズJr.が、評伝「エラリイ・クイーンの世界」の中で「疑問の余地なくクイーンの映像化としては最高の出来」であり、「全シリーズを通してテレビに釘づけだった」と評しています。


ellaryThe Adventure of the Chinese Dog


https://vimeo.com/419584291


The Adventure of the 12th Floor Express 

https://dai.ly/x6o09wc



The Adventure of the Mad Tea Party

https://dai.ly/x6ucqx1

The Adventure of the Wary Witness


【放映順作品リスト】

No.作品名放映年原題本国
放映日
シー
ズン
MC備考
1エラリ・クイーン1975Too Many Suspects3/23パイロット版-監督:デイヴィッド・グリーン
脚本:リチャード・レビンソン&ウィリアム・リンク
原作「三角形の第四辺」
2螢の光の冒険The Adventure of Auld Lang Syne9/111-1-監督:デイヴィッド・グリーン
脚本:ピーター・S・フィッシャー(R・レビンソン&W・リンクとの共同原案)
3飛び降りた恋人の冒険
(恋人の崖の冒険)
The Adventure of the Lover's Leap9/181-21-3監督:チャールズ・S・デュービン
脚本:ロバート・ピロッシュ
4黄金のこま犬の冒険
(中国の犬の冒険)
The Adventure of the Chinese Dog9/251-31-2監督:アーネスト・ピントフ
脚本:ロバート・ヴァン・スコイク(ジーン・トンプスン原案)
5劇画作家たちの冒険
(コミック騎士の冒険)
The Adventure of the Comic Book Crusader10/21-41-12監督:ピーター・ハント
脚本:ロバート・ヴァン・スコイク
612階特急の冒険
(十二階行き急行の冒険)
The Adventure of the 12th Floor Express10/91-51-9監督:ジャック・アーノルド
脚本:デイヴィッド・H・バルカン&アラン・フォルソム
7さよなら興業の冒険
(ミス・アギーのさよなら公演の冒険)
The Adventure of Miss Aggie's Farewell Performance10/161-61-10監督:ジェイムズ・シェルドン
脚本:ピーター・S・フィッシャー(R・レビンソン&W・リンクとの共同原案)
8ニーヴン大佐の回想録の冒険The Adventure of Colonel Niven's Memoirs10/231-7-監督:セイモア・ロビー
脚本:ロバート・E・スワンソン
9奇妙なお茶会の冒険
(キ印ぞろいのお茶の会の冒険)
The Adventure of the Mad Tea Party10/301-81-1監督:ジェイムス・シェルドン
脚本:ピーター・S・フィッシャー
原作「キ印ぞろいのお茶の会」(「エラリー・クイーンの冒険」所収)
10ベロニカのベールの冒険
(ヴェロニカのヴェールの冒険)
The Adventure of Veronica's Veils11/131-91-11監督:セイモア・ロビー
脚本:ロバート・ピロッシュ
11ファラオの呪いの冒険The Adventure of the Pharoah's Curse12/111-10-監督:セイモア・ロビー
脚本:ピーター・S・フィッシャー(ルドルフ・ボーシャート原案)
12ハンマー型トロフィーの冒険
(鈍器の冒険)
The Adventure of the Blunt Instrument12/181-111-4監督:アーネスト・ピントフ
脚本:マイケル・ロバート・デイヴィッド(原案も)、ロバート・ヴァン・スコイク
13黒い鷹の冒険1976The Adventure of the Black Falcon1/41-12-監督:ウォルター・ドニガー
脚本:マーク・B・レイ
14スパーリング・ボクサーの冒険
(必殺パンチの冒険)
The Adventure of the Sunday Punch1/111-131-6監督:セイモア・ロビー
脚本:ラリー・アレグザンダー
15風変わりな技師の冒険
(変人技師の冒険)
The Adventure of the Eccentric Engineer1/181-141-5監督:ピーター・H・ハント
脚本:デイヴィッド・P・ルイス、ブッカー・ブラッドショー
16慎重な証人の冒険
(慎重な目撃者の冒険)
The Adventure of the Wary Witness1/251-151-13監督:ウォルター・ドニガー
脚本:ピーター・S・フィッシャー
17ユダの木の冒険The Adventure of the Judas Tree2/11-161-7監督:ウォルター・ドニガー
脚本:マーティ・ロス
18不吉なシナリオの冒険The Adventure of the Sinister Scenario2/81-17-監督:ピーター・H・ハント
脚本:ロバート・ピロッシュ
19二つの顔の女の冒険The Adventure of the Two-Faced Woman2/291-181-14監督:ジャック・アーノルド
脚本:ロバート・E・スワンソン
20ティン・パン・アレイの暴君の冒険The Adventure of the Tyrant of Tin Pan Alley3/71-19-監督:セイモア・ロビー
脚本:ロバート・ヴァン・スコイク
21シーザーの眠りの冒険
(シーザーの最後の眠りの冒険)
The Adventure of Caesar's Last Sleep3/141-201-15監督:リチャード・マイケルズ
脚本:ルドルフ・ボーチャート、マイケル・ローズ
22冷酷な行商人の冒険
(冷たい広告屋の冒険)
The Adventure of the Hard-Hearted Huckster3/211-211-8監督:エドワード・エイブロムス
脚本:ロバート・E・スワンソン(ルイス・デイヴィッドソンとの共同原案)
23消えた短剣の冒険The Adventure of the Disappearing Dagger4/41-22-監督:ジャック・アーノルド
脚本:スティーヴン・ロード、ロバート・ヴァン・スコイク

【ドラマ脚本集】

No.事件名発表年邦訳備考
1ミステリの女王の冒険
 視聴者への挑戦状
2010論創社 論創海外ミステリ89日本で独自に編纂、TVドラマ「エラリー・クイーン」のシナリオ集
1十二階特急の冒険1975第5話
脚本:デイヴィッド・H・バルカン&アラン・フォルサム
2黄金のこま犬の冒険第3話
脚本:ロバート・ヴァン・スコイク(ジーン・トンプスン原案)
3奇妙なお茶会の冒険の冒険第8話
脚本:ピーター・S・フィッシャー
原作「キ印ぞろいのお茶の会」(「エラリー・クイーンの冒険」所収)
4慎重な証人の冒険1976第15話
脚本:ピーター・S・フィッシャー
5ミステリの女王の冒険ドラマ未制作
脚本:ピーター・S・フィッシャー

【参考】「エラリイ・クイーンの世界」(フランシス・M・ネヴィンズJr.著 早川書房)
 Last Update: 2017/8/1

 



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