2024年9月9日に日本でレビュー済み
記憶に残る創作物は必ずどこかに引っ掛かりがある。
綺麗すぎる作品は心に残らない。
そういう引っ掛かりの面をこの作品は非常に上手くコントロールしてる。
一見、海と風間は兄弟ではないね!よかったね!となるのだが、よくよく考えると兄弟でなければ辻褄が合わない点が多数ある。
・風間が写真の澤村に似ている
→風間自身が自分が澤村に似ているというし、海も同じく。しかも、この写真には風間の実の父であるはずの立花が写っているのだから、澤村に似ていると判断するのはありえない。
・風間と海の顔がそっくり
→兄弟としか思えないくらい似てる
・風間と澤村の顔がそっくり
→髪型までちょっと似てる
・風間と澤村の声がそっくり
→そもそも両方とも岡田准一さんです。血の繋がりがないのに声を同じにする意味がありません。
・風間と澤村の性格がそっくり
→無鉄砲なところが共通してます。
・小野寺に話を聞く必要性がない
→そもそも海の母親が真実を解説しているんですから、謎解きは終了しています。なのに、海の母親はわざわざ風間父に連絡をとり、小野寺と会えるよう手配しています。海は母親の話だけでは信じられないのです。
もちろん、逆に兄弟であっては矛盾が生じる演出もあります。
いちばんおかしくなるのは、澤村が風間を海の母親に見せた時のシーンでしょう。風間が実の子だとしたら、澤村の演技力はアカデミー賞ものです。
結局、何度見ても正解がどちらなのかは判断できません。
ちなみにジブリのインタビューによれば、宮崎駿監督の書いた当初の脚本ではもっとストレートに兄弟でないことが明示されるストーリー展開だったそうです。それを吾郎監督がわざわざ順序を入れ替えた……と。
作り手2人の意思が交錯した結果、異様に味わい深い作品になっているんです。
なお、この作品には他にも気になるところが多々あります。
たとえば徳丸社長。海の父親が徴用船で死んだと聞くや、いきなり物分かりがよくなり、その後も海に目をかけています。
社長も戦争上がりなのでしょうか。
また、風間は志望校を「国立」とだけいいますが、これは舞台が横浜であることを考えると、単なる国立大学ではなく横浜国立大のことでしょう。
とにかく全体を通して説明が省かれまくっているのです。
その省かれている部分をいろいろ想像できる面白さが、この作品の密かな魅力。傑作です。
綺麗すぎる作品は心に残らない。
そういう引っ掛かりの面をこの作品は非常に上手くコントロールしてる。
一見、海と風間は兄弟ではないね!よかったね!となるのだが、よくよく考えると兄弟でなければ辻褄が合わない点が多数ある。
・風間が写真の澤村に似ている
→風間自身が自分が澤村に似ているというし、海も同じく。しかも、この写真には風間の実の父であるはずの立花が写っているのだから、澤村に似ていると判断するのはありえない。
・風間と海の顔がそっくり
→兄弟としか思えないくらい似てる
・風間と澤村の顔がそっくり
→髪型までちょっと似てる
・風間と澤村の声がそっくり
→そもそも両方とも岡田准一さんです。血の繋がりがないのに声を同じにする意味がありません。
・風間と澤村の性格がそっくり
→無鉄砲なところが共通してます。
・小野寺に話を聞く必要性がない
→そもそも海の母親が真実を解説しているんですから、謎解きは終了しています。なのに、海の母親はわざわざ風間父に連絡をとり、小野寺と会えるよう手配しています。海は母親の話だけでは信じられないのです。
もちろん、逆に兄弟であっては矛盾が生じる演出もあります。
いちばんおかしくなるのは、澤村が風間を海の母親に見せた時のシーンでしょう。風間が実の子だとしたら、澤村の演技力はアカデミー賞ものです。
結局、何度見ても正解がどちらなのかは判断できません。
ちなみにジブリのインタビューによれば、宮崎駿監督の書いた当初の脚本ではもっとストレートに兄弟でないことが明示されるストーリー展開だったそうです。それを吾郎監督がわざわざ順序を入れ替えた……と。
作り手2人の意思が交錯した結果、異様に味わい深い作品になっているんです。
なお、この作品には他にも気になるところが多々あります。
たとえば徳丸社長。海の父親が徴用船で死んだと聞くや、いきなり物分かりがよくなり、その後も海に目をかけています。
社長も戦争上がりなのでしょうか。
また、風間は志望校を「国立」とだけいいますが、これは舞台が横浜であることを考えると、単なる国立大学ではなく横浜国立大のことでしょう。
とにかく全体を通して説明が省かれまくっているのです。
その省かれている部分をいろいろ想像できる面白さが、この作品の密かな魅力。傑作です。
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