2025年11月22日土曜日

果てしなきハムレット

@luminous woman: 基本的にスクリーン右から左へという方向性で見果てぬ場所への行程は描かれる。それだけ知っておけばストーリーを見失うことはない。

プレスシートより:


『生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ』
今、世界のあちこちで起こる争いや戦争の光景は、「地獄」のように凄惨なものだ。
この悲劇を前に、大人も若い人も子供も、未来に希望や明るさを持てないでいる。
先の見えない不安な世界で、私たちはどう生きるべきか。それが問題だ。
世界中の誰もが、答えを求めている。

父を殺された中世デンマークの王女スカーレットが、
復讐に失敗して堕ちた 「死者の国」で、仮死状態でやってきた現代日本の看護師の青年と出会い、 旅をする。
王女の最終目的地は、「見果てぬ場所」と呼ばれる天国のような所。 そこにいる絶対に許せない父の仇に復讐すること。
もしできなければ、虚無となり存在が消え去ってしまう。血だらけ泥だらけになりながら、彼女は父の仇を追い求める。
現実主義な王女と理想主義の青年は、何もかも対照的で、事あるごとに衝突する。
だが旅の中で、両者は対立を超え、やがて信頼とささやかな愛情を育むことになる。
果たして王女は、憎き父の仇に、復讐を果たすことができるのか?
それとも青年は、復讐を超えた人生の価値を、王女に示すことができるのか?

復讐劇の古典、シェイクスピアの『ハムレット』は、「生きるべきか死ぬべきか」、
つまり、より自分らしい生き方とはなにか、を説いた。
400年後の現代でも、私たちは同じ問題を突きつけられている。
先の見えない今、私たちの苦悩と葛藤、 そして希望はどこへ向かうのか。
不自由の中で自分らしく生きることができず、自由を求めている人は老若男女を問わずたくさんいる。
映画『果てしなきスカーレット』は、死者の国を旅する男女が 「生きる」ことを見つける物語である。
血と泥にまみれた死者の国を描くのは、生きづらい現実の切実な反映であり、逆説的に現世を肯定したいがためである。
「死」を描く、 とは、つまり「生きる」を描くことなのだ。

人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。
今、この「生きる」という大きなテーマを、観客と一緒に考えたい。

                                        ―細田守

15分

15:50



ーーーーー
ーーー



。。。。


5:55
この映画のメッセージは明確です。本家のハムレットみたいにボケたフリをしてる場合じゃないということ。
自分は3回見ましたが見れば見るほど面白くなります。細かい違和感はなくなります。ハートが技術を上回っているからだと思います。

アニメ専門声優ファン、さらに死後の世界を信じていない人がリトマス試験紙のように反応しているのでしょう。そうした人は夢オチだと考えればいいのです。細田守だって死んでシェークスピアに褒めてもらおうなんて考えてない。「超野心的」という評があったがまさにその通り。



⁦‪@key_chan_asd‬⁩ 本当に見るべき映画ですね。
死者の国の赤い風景が脳を想起させるという説があります。
x.com/funashows/stat…

2025/12/09 14:20

ネット上で唯一『果てしなきスカーレット』を絶賛している動画【映画読解レビュー】
大橋直樹
すごく勇気ある動画で感動しました。映画は自分は3回見てここ数年のベストです。死後の世界を信じていない人がこの映画を叩いているのだと思っていましたが、もう少し考えてみます。
小説版では龍は鳥たちの集合体だそうです。映画でも龍の最後に鳥の声が重ねられていましたがわかりづらかったかもしれません。
(剣を刺された龍が復讐を果たして解体したという解釈でもいいと思いますが)
分離壁を民衆が壊すシーン、ダンスのシーン、集合力への期待がこの映画にはあり、そこが興味深いです。
最後は群衆ではなく対話する個人という形で描写されましたが。
集合力は戦艦ポチョムキン、ゴジラマイナスワンでも描かれたように映画の醍醐味ですが、扱いが難しい場合があります。
匿名のマスは悪意に流されるいうのはこの映画の反響が証明してしまいました。
スカーレットでは集合力を断片的ですが上手く描いていたと思います。



東京都渋谷区広尾4-1-22

日本赤十字社医療センター

https://www.med.jrc.or.jp


聖(ひじり)の勤務先という設定


https://x.com/fukuko2025/status/1998318530140200961?s=61













































"The truth about anything in this society, as you know, is too threatening. Gossip is King. It's like 'conscience' is a dirty word. Whatever is truthful haunts you and don't let you sleep at night. Especially anybody who's living a lie gets hurt. You get a lot of ugly reactions from people not familiar with it. A lot of times you don't even bother.…”


《「この社会のことに関する真理は恐しいものだ。 ゴシップが王様だ。 まるで「良心」 という言葉は卑猥な言葉ででもあるかのようだ。 真実であるものは何であれ、人の心に付きまとい、 夜れなくなってしまう。 特にうそっぱちな生き方をしている者たちは、真理を聞かされると傷つくんだ。 そこでいろんな険悪な反応が返ってくるんだ。 多くの場合は少しも気にしないけどね。 …」》

ボブ・ディラン、バイオグラフ旧版ブックレット38頁より

Dylan considered the thought.
"The truth about anything in this society, as you know, is
too threatening. Gossip is King. It's like 'conscience' is a dirty
word. Whatever is truthful haunts you and don't let you sleep at
night. Especially anybody who's living a lie gets hurt. You get a
lot of ugly reactions from people not familiar with it. A lot of
times you don't even bother. Not that I'm an expert or anything
but I've always tried to stick that into my music in some kind of
way or at least not to leave it untouched. The old stuff stayed in
your head long after it was over, you know, even something as
simple as 'to know, knou, know him is to love, love, love him, it
became monumental in some kind of way, now it's just blabber-
ing noise and after you shut it off you've forgotten about it and
you're glad-Some Like It Hot. Oh mercy! Spare me please! These
things are just hooks, fish hooks in the back of your
neck...nothing means anything, people just showing off, danc-
ing to a pack of lies-lotta people gotta be dead first before any-
body takes notice, the same people who praise you when you're
dead, when you were alive they wouldn't give you the time of
day. I like to wonder about some of these people who elevated
John Lennon to such a mega-god as if when he was alive they
were always on his side. I wonder who they think he was singing
to when he sang 'just give me some truth.' Everything is just too
commercial, like a sprawling octopus, too much part of the sys-
tem. Sometimes you feel like you're walking around in that
movie Invasion Of The Body Snatchers and you wonder if it's got
you yet, if you're still one of the few or are you 'them' now. You
never know do you? When people don't get threatened and chal-
lenged, I mean in some kind of way, they don't get confronted,
never have to make decisions, they never take a stand, they never
grow, live their lives in a fishtank, stay in the same old scene for-
28




この映画のメッセージは明確だ。本家のハムレットみたいにボケたフリをしてる場合じゃないということ。

だが細田守はタブーを破った。だから批判される
そのタブーはアニメ専門声優を起用していないということなどではない。
新海誠も宮崎駿も神道的価値観を貫いている。だがこの映画で度々言及される「見果てぬ場所」は明らかにユダヤ的だ(実は『君たちはどう生きるか』は旧約聖書的なのだが)。それが日本人には受け入れられない。ただし日ユ同祖論的にはユダヤ教と日本の神道は直結している(例えば禰宜の語源は、王子、統治者を表すヘブライ語 נגיד (nagid、ナギッド)ではないかという説がある)。


とりあえずアニメファンにハムレットの名が刻まれれば良しとするか。

「名前だけでも覚えて帰って下さいね」




ハムレットは馬鹿のふりをして復讐を遂げるが、スカーレットは逆の性格で猪突猛進。オルフェウスの象徴である竪琴を聖(ひじり)は最初は全く弾けない。ここだけ押さえれば恐ろしく面白い映画。教養が必要というよりも人類の叡智への謙虚な姿勢が必要。

チャップリンの独裁者のように、民衆を前に率直に対峙するスカーレット。アニメファンには偏見を捨ててこのシーンを見て欲しい。

勘違いしている人がいるがこれは親から娘へのメッセージだ。

自分の理解を超えるものを排除する風潮は危険だ。この映画はそうした風潮に抗っている。次の世代により良いものを残そうと…

ちなみに殺陣は椿三十郎を想起させるアイデアがいくつかあって秀逸。これは文句なしに楽しめる。

スラムダンクもそうだがアニメ専門の声優を使わないとどうしても反発するアニメファンが多い。シェークスピア俳優を集めたのはこの作品の完成度としては成功しているが。

予告編では物語の舞台を死者の国ではなく狂気の世界と紹介しているようだが、これは秀逸。

何も知らず狂気の世界に入る主人公たちのようにこの映画を楽しめば良い。

多くの人に見てもらいたい。この映画が行き渡ることが世界平和につながるとさえ思う。


とにかくこの映画に対する批判コメントはレベルが低い。外国人の貴族が主人公の物語を日本のアニメ会社の奴隷たちが主人公として描くとは何事かというレベルだ。

アニメファンにはこれを機会にハムレットを読んでもらいたい。
読まなくても楽しめる映画だが、読んだ方が人生が豊かになる。アニメよりも広い世界があるのだ。
またアニメに興味を持たない人にも見て欲しい。
イタリアでは芸術扱いされて、英語圏では極上のエンタメとして楽しまれたようである。
日本では低俗なエンタメとして蔑まされている。
『君たちはどう生きるか』へのアンサーとしてはこれ以上のものはないのに。
ジョージ・ルーカスはスターウォーズを鍋みたいなものと言っている。いろんな要素を入れることの出来る器ということだ。この映画も臨死体験をストーリーの器にして多様なものを入れている。これらは世界情勢に反応した真摯なものと評価出来る。
フラダンスは海洋系の民族にとっての宝のようなものだ。
見果てぬ場所、太陽への眼差し、これらは日ユ同祖論的な渡来人の苦労を彷彿とさせる。
死者の国では飢餓の問題はないようだが、ドラゴンからマナが降ってきたのではという想像も膨らむ。


ハムレットについてはタルコフスキー 『映像のポエジア』が参考になる。


《…私は物質的なルーチンワークに敵対しようとしている人間のエネルギーに引きつけられる。ここで私のもっとも新しい構想の糸玉が巻かれるのである。 

 このような観点から私にとって興味深いのは、シェイクスピアの『ハムレット』である。『ハムレット』を私は、いずれ、映画にしたいと思っている。このもっとも偉大な劇のなかには、最高度の精神的レベルにありながら、同時に低劣で汚れた現実との相互関係のなかに入っていくことを余儀無くされた人間についての、永遠の問題が考察されている。これは、もし未来の人間が自分の過去のなかで生きることを余儀無くされたとするならばどうなるか、というような問題を抱えている。ハムレットの悲劇も、私の考えによれば、ハムレットが破滅するということのなかにではなく、ハムレットが死を前にして自分の精神的欲求を放棄し、普通の殺人者にならなければならないということのなかにある。このような変節のあとでは、死は彼にとって至福の出口と言えるのである。あのように決闘で死ななかったならば、ハムレットは自殺することで自分の生命を絶たなければならなかっただろう。》


さらにタルコフスキー日記における遺稿



《1986年12月15日 パリ(遺稿)

 ハムレット……一日中ベッドのなかだ。身を起こすこともできない。下腹部と背中が痛む。神経も、足を動かすことができない。シュヴァルツェンベルクはこの痛みがどこから来るか分からないでいる。化学療法のせいで昔のリューマチがぶりかえしたのではないかと思う。 腕もひどく痛む。これも一種の神経痛のようだ。結節か何かだろう。身体がひどく弱っている。死ぬのだろうか。まだひとつ可能性がある。治療と私自身を、サルセールの病院でも私を診てくれたあの医者の監視のもとにおくのだ。 ハムレット 腕と背中の痛みがなければ、化学療法で回復したと言えるのだが。しかし今は、何をする力も残っていないそれが問題だ。》

『タルコフスキー日記 殉教録』549頁

1991年7月6日 

著者 アンドレイ・タルコフスキー 訳者 鴻 英良/佐々洋子 株式会社キネマ旬報社



臨死体験はファンタジーとして片付けられるか?高畑勲に聞いてみたい。


最初はスラムダンクの時のようにアニメ専門声優ファンがキャンペーンを張っていたようですが、知識人が右に倣えして酷評し始めました。空気を読むというやつです。こうなると映画の内容は関係ないですね。映画は鏡です。


「嘘っぱちな生き方をしている連中は真実を言われると傷つく。それで陰険な反応が返ってくる」ボブ・ディラン

「つまらない人間がつまらないと言うのは面白いと言うこと」黒澤明


『果てしなきスカーレット』初日鑑賞。争いに満ちた世界へ日本アニメ界からベタな一撃。これは見た方が良い。細かい批判はどうでもいい。アニメファンがハムレットや神曲を読み始めることを期待する。


https://x.com/yojisekimoto/status/1993223781159219313?s=20



https://youtu.be/Ek3gdx9YuoU?si=8Bj_maboFcGkJvTV
スカーレットはプペルもそうだが見た方がいい映画。アニメファンはアニメ専門の声優を使わないとスラムダンクの時のように反発する傾向がある。ハムレットは読んでなくとも楽しめる(出来れば映画を見た後読んで欲しい。)主人公のキャラが正反対だということだけ押さえておけばいい。宮崎駿の『君たちはどう生きるか』が好きなら必見。

https://www.amazon.co.jp/%E6%9E%9C%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%8D%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E3%81%A4%E3%81%B0%E3%81%95%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%B4%B0%E7%94%B0-%E5%AE%88-ebook/dp/B0FVK6PJ2Q/ref=tmm_kin_swatch_0

文庫版にはついていない挿絵があるから読みやすい。内容はほぼ同じでルビと挿絵が加わっている。

文庫版のレビューで書いたが「市場」の章が個人的に興味深い。作者は歴史上の戦争についてよく調べたに違いない。



竜は西欧では退治される対象。日本では龍は神そのもの。

本作は両者の折衷。

人間に剣で刺され続けた龍は復讐の機会を窺い続け、それが成就されたと考えられる。



小説では龍は鳥の集合体だが映画ではそうは見えない。設定を変えたのではないか?


https://x.com/fukuko2025/status/1993860143327379591?s=61

新海誠も宮崎駿も神道的価値観を貫いているが、この映画で度々言及される見果てぬ場所は明らかにユダヤ的だ。それが受け入れられない。ただし日ユ同祖論的にはユダヤ教と日本の神道は直結している。例えば禰宜の語源は、王子、統治者を表すヘブライ語 נגיד (nagid、ナギッド)だという説がある。


聖は渋谷で刺されて死ぬのだからダンスシーンはそれと合わせて解釈すべきでしょう。

自分としては多様なライフスタイルを描写可能にした臨死体験というストーリーの器は評価したいです。

過去の細田作品にこのスケールの大きさはありませんでしたし、他作家のバーチャル空間、世界系作品といってもここまで歴史を包括する作品はありませんでした。

実を言えば核心としては新海誠や宮崎駿が帰依した神道的価値観がないからこの作品は批判されていると思います。

見果てぬ場所はあからさまにユダヤ的です。

(しかし神道は実はユダヤ教に影響を受けているのですがこれはまた別の話です。)

フラにしたって海洋民族の聖典で無関係に見えますが、海洋民族とユダヤは関係します。

声優を使わないことに反発するアニメファンの先導に誤魔化されてはいけません。『スラムダンク』も『君たちはどう生きるか』(これは実は旧約聖書的だが)も今では評価は落ち着いてきています。この作品もきっとそうなるでしょう。

言いたくはないですがこの作品は鏡です。この作品を酷評するyoutuberは自らの教養のなさをさらけ出しているだけです。

ハムレットに関してはタルコフスキー 『映像のポエジア』を読んで欲しい。

映画系youtuberはみんなアクセス数を稼げるジャンル映画をおもちゃにしすぎてどうかしてしまった。


クリシェを批判するというクリシェ。

細田守は一歩づつ階段を上がっているのに観客側がそれに気づいていない。


https://x.com/fukuko2025/status/1993860916996395254?s=61


ハムレットは馬鹿のふりをして復讐を遂げるが、スカーレットは逆の性格で猪突猛進。

オルフェウスの象徴である竪琴(映画ではリュート)を聖(ひじり)は最初は全く弾けない。

神曲ではダンテの相棒は経験豊富だが本作では心許ない。

これだけ押さえておけばいい。



細田守は一歩づつ階段を上がっているのに観客側がそれに気づいていない。

ハムレットについてはタルコフスキー 『映像のポエジア』が参考になる。


《…私は物質的なルーチンワークに敵対しようとしている人間のエネルギーに引きつけられる。ここで私のもっとも新しい構想の糸玉が巻かれるのである。 

 このような観点から私にとって興味深いのは、シェイクスピアの『ハムレット』である。『ハムレット』を私は、いずれ、映画にしたいと思っている。このもっとも偉大な劇のなかには、最高度の精神的レベルにありながら、同時に低劣で汚れた現実との相互関係のなかに入っていくことを余儀無くされた人間についての、永遠の問題が考察されている。これは、もし未来の人間が自分の過去のなかで生きることを余儀無くされたとするならばどうなるか、というような問題を抱えている。ハムレットの悲劇も、私の考えによれば、ハムレットが破滅するということのなかにではなく、ハムレットが死を前にして自分の精神的欲求を放棄し、普通の殺人者にならなければならないということのなかにある。このような変節のあとでは、死は彼にとって至福の出口と言えるのである。あのように決闘で死ななかったならば、ハムレットは自殺することで自分の生命を絶たなければならなかっただろう。》

ハムレットは豪華なソ連版(Hamlet - Grigori Kozintsev - Innokenty Smoktunovsky - 1964 -Multiple Sub…)がyoutubeで視聴可能。自分のオススメは低予算のイーサン・ホーク版ハムレット。黒澤明『悪い奴ほどよく眠る』も巌窟王というよりハムレットでそう思ってみると見方が変わります。


これはジェンダーについて意識的な知識人にも刺さる言葉です。

Hamlet - Grigori Kozintsev - Innokenty Smoktunovsky - 1964 - Multiple Su...

https://youtu.be/OzN1isLYc_A?si=Tr9PJ3B5aa5jj5WL


Hamlet (2000) - Ophelia's Funeral


https://youtu.be/0UwyhqmI4aw?si=zsiStCF4GtgnarG9


墓掘り人が見張り塔からずっとを歌っている

Hamlet 2000 Ethan Green Hawke


https://youtube.com/playlist?list=PLZbXA4lyCtqrKybzWtvPBgfTMQrMm42hR&si=C4O7Wh6OYxkG6xeU


Hamlet (2000) - "Get thee to a nunnery"


https://youtu.be/5FXNIAHkq8g?si=1pnauutahTF6DjOq


Hamlet (6/11) Movie CLIP - To Be or Not To Be (2000) HD


https://youtu.be/1Up-oGfiosE?si=gEN1NxYea6tOc-8X


Hamlet (8/11) Movie CLIP - The Mousetrap (2000) HD

https://youtu.be/oBfLI1WWrAI?si=gZvcCYuHxrysVSRj


11/11

https://youtu.be/0XjLzDVi03c?si=diGid8sqYL6XnJec


https://x.com/fukuko2025/status/1992187398445572435?s=61



目次 

1プロローグ     


『──ここは、生も死も混じり合う場所。対立するものではない。時もまたしかり。ここでは過去も未来も、常に溶け合っている──』  老婆のしわがれた声が、虚空に響き渡った。



2エルシノア城  


「敵対より友好と信頼を。わたくしは父さまの望む王女になります」  と父の目をまっすぐ見つめた。揺るぎない心からの敬愛を込めて。  アムレットは苦笑した。 「王女の前に君はひとりの女の子だ。気にせずのびのび生きなさい」  彼女は「できた」と言って、嬉しそうに描いた紙を見せた。そこには、幼い筆致でいくぶん歪んだアムレットの顔が描かれていた。  彼は絵を見て、 「アハハ。いい男だ。嬉しい」  と、心から楽しそうに笑った。





 アムレットが王女に気がつくと、それまで冷静だった表情が瞬時に崩れた。娘を見上げて、眉を顰め悲痛な表情で何かを叫んだ。 「……○○○……」  しかし言葉は、人々の騒然とした声にかき消され、聞こえない。



3復讐 



「自分だけは毒を盛られないと思うお前は、赤ん坊でなくて何だ?」  クローディアスは完全に覚醒しており、酔った様子は微塵も見られなかった。  傍らのガートルードが、哀れな子供よ、お前に王位など相応しくない、と嗤っている。  スカーレットは悔しさで涙をぽろぽろ流しながら、怒りと屈辱に震えた。 「許さない……」  全身が経験したことのない痛みに包まれる。それでも歯を食いしばってクローディアスを見た。 「絶対に……許さない」  クローディアスはその言葉を嘲るように笑いながら背を向け、大広間から立ち去っていった。  慌てて駆けつける侍女たちの声が聞こえる。 「……王女様? 王女様……?」  視界がぼやけ、深い井戸の中へ落ちていくように、意識が遠のいていく。 「王女様!?……王女様……!?」


4死者の国  

  ──そう、私は死んだ──。  暗闇が、心の声を静かに吞み込んだ。  スカーレットの汚れなき白い顔が驚愕に引き攣り、現実を受け入れられない瞳は見開かれていた。純白のドレスを纏ったまま、ゆっくりと落下してゆく。  ──憎き仇への復讐に失敗して、死んだ──。  生の領域から足を踏み外し、ゆっくりと深淵へと堕ちていく。  血と泥の上へと着地した。  が、泥のように思えたものは、様々な時代の戦士たちの無数の遺体だった。古代ローマの軍団兵、遊牧民の騎馬兵、中世の騎士、中東の戦士……。赤黒い液体の中から次々と浮かび上がる。彼らの顔には恐怖や痛みの表情が刻まれ、この地が全ての戦いの終着点であることを如実に物語っていた。  スカーレットの純白のドレスが、どす黒い血に染まっていく。髪は泥で汚れ、顔にも血が飛び散っている。恐怖で青ざめた唇で、荒い息を繰り返していた。震える手で体を支え、よろめきながらも立ち上がろうとした。  そのとき、突如として戦士の遺体が動き出し、スカーレットの髪を摑んだ。 「!?」  朽ちかけた手が次々と伸びて、彼女のドレスを摑む。驚愕の声を上げる間もなく、遺体の山の中へと引きずり込まれる。必死に抵抗を試みるが、多くの手に捕らわれ、身動きが取れず、血と泥の中へと埋もれていく。 「ハアッ……ハアッ……」  荒い息遣いの中で、スカーレットの瞳から涙が溢れ出す。恐怖ではなく、悔しさの涙だった。震える唇を血が滲むほど嚙みしめた。どうしてこんなことになったのか?  生きた者の足音が届かぬ孤独の中、ポツリとつぶやいた。 「ここが死んだ後の世界なら、父さんと再会できるかな……」  せめてもの気持ちだった。



 その声を聞きつけ、遠くから老婆の嗄れた嘲笑が風に乗って届いた。 「ヒヒヒ。人間とは愚かなものよ。もう既に死んでおるというのに、まだ死にたくないと願っておる」  と、崖の上から見物するように見下ろしている。


5聖    


「俺は看護師です」  彼──聖は胸に手を当て、簡潔に答えた。  看護師──。彼女にとっては初めて聞く単語だ。 「僧侶なら寺へ行け」  

  見回すと、自然にできた岩のアーチが目に留まった。そこに刻まれたイタリア語の落書きを見つける。 『Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate(cancello dell'inferno)/この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ(地獄の門)』 「地獄? 地獄だって? 笑う」


https://x.com/studio_chizu/status/1990706550579642514?s=61



  𝟎𝟔 | 古戦場跡


スカーレットと聖が出会う

<死者の国>にある場所。


"この地獄の門をくぐる者は、一切の希望を捨てよ"

という文字が彫ってある。



6砂漠   


力任せに摑んで耳元で怒鳴りつけた。 「現実を受け入れろ! 目の前を見ろ、いい子ちゃん!」






「職場でよく言われた。看護師だったら、人が死ぬのに慣れていかないと仕事にならない。いちいち悲しんでいたらキリがないって。でも、死ぬのに慣れて心が麻痺したら、きっと別の何かを失う」



愛について教えてよ  誰もが知っている奇跡  この胸を満たして  愛のすべてを教えて  私が生きる意味を  心を無くしてしまう前に  歌は、病院の外の、渋谷の街並みにも届いた。宮益坂のいつもと変わらない日常。街路樹に差し込む夏の眩しい光──。



 聖は、焚き火を見つめながら呟いた。 「何のために人は生きる? 人生は何のためにある? いつかわかる時が来るのか?」 「そんなもの、生きているうちに考えておけ。今更もう遅い」




7年寄りたち 


「……どんな手を使ったんだ?」 「手なんてない。みんなの今までの頑張りを、ゆっくり聞かせてもらっただけだ」


8遺跡にて 


「私には……何も聞こえなかった!」 「では知りたくはないか? 俺が伝えなければ、あんたは決して王の最期の言葉を知ることはできない」  ヴォルティマンドは、脂汗を浮かべながら、選択を迫るように問いかける。



 視界を覆い尽くす古代と中世の、アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパなど、様々な戦士たちが、狂おしいほどの思いで手を伸ばしている。  クローディアス王は両手を広げ、戦士たちに応えた。分厚い鎧に身を包んだたくましい姿は、全世界の運命を掌中に収めているかのように見えた。 「我と共に戦う者は、ひとり残らず見果てぬ場所へ迎え入れる」  戦士たちは歓喜の涙を流し、武器を天高く掲げて絶叫した。




9許せ 


「俺の意見だが──。言ってもいいか?」  彼は確認するように見る。 「……なんだ?」 「『憎き叔父、クローディアスを、許せ』」  それを聞いて、スカーレットは怒りを隠すことなくヴォルティマンドを睨みつけ、拳を固く握りしめた。 「……なぜ? なぜだ? 叔父は父を殺し、国を、民を、故郷を、何もかもを奪った。そんな悪逆非道な男を許せる訳がない」 「その悪逆非道な男を、許せ、と、俺は解釈した」 「絶対に無理だ」  スカーレットは激しく首を振る。 「俺もそう思う。聖人だとしてもできない」 「なら、どうして」 「だが近くでその言葉を聞いた俺は、なぜかそうとしか思えない。そこには何か、王の真意のようなものを感じた」


軽快な膝上丈のシンプルな紺のワンピース。薄桃色の軽やかなショートボブの髪。ノースリーブの腕を広げ、生き生きと踊っていた。  その女性の顔を見て、スカーレットは、自分の目を疑った。 「あれは、私……?」  その女性は、スカーレット自身だった。  聖の時代に生きて、聖の時代の服を身にまとい、聖の時代の音楽に合わせて踊る、もうひとりの自分がいた。素肌の腕と足を大胆に放り出し、ワンピースの裾をふわりと広げてしなやかに回転している。この世界のありとあらゆる喜びを享受して、キラキラと輝いているように見えた。 「もうひとりの……私……」  スカーレットは呆然としたまま、自分自身を見つめ続けた。  再び、あの歌が聞こえてきた。


https://youtu.be/vOPY3hEYM4Y?si=f4Tazn4EQFOCH4Uh








 唇を震わせ、子供のような無防備さで、聖の院外医療用の制服の裾を、ぎゅっと摑んだ。  そんな彼女の切実さが、聖の胸を打った。 「スカーレット。泣くな。俺がそばにいる。だから、もう泣くな」  そう聖が言ってくれて、スカーレットは心の底から救われた気がした。彼女は、求めるままに聖の頭に両手を回した。その温もりが、自分の存在を繫ぎとめる錨のように感じられた。聖も、彼女に応えるように抱き寄せた。湿った肌と肌が、初めて触れ合った。聖に抱かれて、スカーレットはいままでにはなかった新たな経験を得た。






10市場    


 人々は、代金を支払って望みのものを手に入れる。利用する人々の数だけ、時代も地域も異なる多くの種類の通貨も存在した。だがここではそれぞれの貨幣の絶対的価値が不思議と決まっているらしく、両替を介さず取引できた。時代も地域も異なる多くの言語が、ここでは不思議と翻訳なしに話せるのに似ていた。


聖は躊躇した。リュート弾きの女性にもらった物だ。しかし、この弓籠手は今後の戦いに不可欠かもしれない。 「必ずや、ふさわしい持ち主の許へと届けよう」



だが少女は、憧れるような眼差しで言った。 「もしわたしがお姫様だったら、したいことがあるの」 「……なに?」 「わたしたちみたいな子供が、死なない世界にする」


11戦い 


「見果てぬ場所への階段が……、ない……」


12見果てぬ場所 


 左右に逃げ場はない。左からの横一文字で斬りつけてくる剣を、咄嗟に彼女は体をうしろに反らせ、ぎりぎりのところで躱した。しかし間髪を容れずポローニアスが、仰向けになった王女に覆いかぶさってくる。彼女は反射的に両手で押し返すも、顔前に剣を突きつけられてしまう。  風が鳴る。戦いのせいで散らしたたくさんの粉雪が、宙を舞う。 「うううう……」






「ここまできたなら復讐を果たせ」  コーネリウスが、王女へ低く付け加えた。


 空の海を見上げると、光が水面越しに静かにたゆたっている。 「……」  口から小さな驚きの声が漏れた。光は祝福するように優しく輝いた。それは希望の光であり、未知への入り口のように思えた。瞬きもせず、じっと光を見つめた。  胸の中は興奮と不思議な多幸感で満ちていた。これまでの人生で経験してきた全てのものが、今この瞬間、あまりにも小さく感じられた。復讐心も、憎しみも、恐れも、全てが遠い記憶のように感じられてしまう。  空の海の先には何が待っているのだろう? きっと想像を絶する光景なのではないか。現実とも幻想とも区別がつかない、まったく新しい世界なのではないか。  彼女の体が宙に浮かび、眩しい輝きの中へと溶け込んでいった。




13クローディアス 


スカーレットは、はっとして目を見開いた。 「自分を……」  唇から、かすかな言葉が漏れた。 『許せ』  父の声が、深い記憶の底から響いた。  彼女はもう一度、声にならない声でその言葉を繰り返した。 「自分を……」 『許せ』  再び父の声が、胸の奥に静かに響いた。  彼女は空を仰ぎ見て、自分自身の唇で呟いた。 「自分を……、許せ……」  まるで長い闇の旅路の果てに、突如として光明を見出したかのように。  雷が鳴る。

 閃光がクローディアスを再度直撃し、火花が四方八方に飛び散った。 「あああああああああ」  雲の向こうで、ドラゴンの影が、ひとつの巨大な塊から細かい粒に分割されていく。ひとつひとつの粒が羽ばたいているように見える。  鳥だ。鳥の群れだ。  ドラゴンの影のように見えていたものは、無数の鳥の集合体であった。この死者の国において、ドラゴンとは一体何なのか、それが放つ雷とは何なのか、誰にもわからない。だが、この世を司るたったひとつの絶対の存在、というわけでは必ずしもなさそうだった。


14生と死 


「……ええ。それは彼のことです。最初から言っていました。自分は死んでいないって。何かの間違いでここに来たんだって。だから──」  聖は彼女の言葉を遮った。 「違う。俺じゃない」 「え?」 「それは君だ。スカーレット」

 胸の中の心臓が鼓動に合わせて光を放っている。ドクッ、ドクッ、と心臓が脈打つ力強い律動を手のひらに感じた。彼女がまだ生きていることを、はっきりと証明するように。彼女は戸惑い、混乱し、思わず胸を手で隠した。聖に背を向け、手のひらで顔を覆って俯いた。自分の鼓動を聖に見られたくなかった。 「生きるべき(to be)じゃない……。復讐に取り憑かれていた私が死ぬべき(not to be)なんだ……」  死ぬべき、という言葉が、胸の鼓動を見るからに弱らせた。光が徐々に萎んでいく。聖より自分なんかが生きる価値が少しでもあるだろうか、と自らの心臓に問う。聖の命が消えゆく運命と現実を、彼女はどうしても受け入れることができない。

「死ぬとは? 生きるとは? そして──、愛とは?」


15帰還


 エルシノア城の教会は、荘厳な静けさに包まれていた。  巨大なステンドグラスから差し込む光が、赤や青、金色の光となって大理石の床に描かれた紋章を浮かび上がらせている。  スカーレット王女は、戴冠式用の衣装に身を包み、ゆっくりと歩みを進めながら、教会の奥にある祭壇へと向かっていた。大司教が王女の前に立った。デンマークの慣習に従い、スカーレットは聖油を両肩の間と腕に塗油された。大司教の手には、デンマーク王国の歴代の君主が戴いてきた王冠が輝いている。王女は軽く頷き、息を整える。 「新しい女王に神のご加護を」  大司教は厳かな声で宣言し、ゆっくりと王冠を頭に載せた。王女は、その重みを感じながら背筋を伸ばした。  貴族、諸侯、家臣たちが一斉に跪き、声を揃えた。 「新しい女王に栄光あれ」  エルシノア城の鐘が鳴り響いた。  鐘の音は遠く離れた村々にも届き、国中に新しい時代の訪れを告げた。




「みなさん」  彼女の力強い声が、広場全体に響き渡る。 「もしわたくしをこれからの国の責任を担う者として選んでくださるなら、みなさんの幸せのため、最善を尽くし奉仕します」  人々は驚きのあまり目を見開いて彼女を見た。 「隣国とは友好と信頼を。子供は絶対死なせない。たとえ苦しみながらでも、もがきながらでも、もう争わないで済む道を諦めずに探すことを約束します」  彼女は、誠実なまなざしで人々を見つめ、訴えた。言葉のひとつひとつに、過去の旅路で得たねばり強さが漲っていた。  人々は息を吞んで、彼女の声に聞き入った。 「これまで争いがなくなるように願って亡くなった、全ての人々のために。これから幸せを願い生まれてくる、全ての人々のために」  言い終えると、彼女の言葉の重みを受け止めるような沈黙が広場に漂った。  最初に声を上げた女性が、声を震わせながらその沈黙を破る。 「ほんとうに、争いがなくなる世界がやってきますか?」  と胸に手をあてて、切実そうに問いかけた。 「……はい」  とスカーレットは、真っ直ぐに女性を見つめた。「あなたが賛同して、協力してくれたら」













①ハムレットは馬鹿のふりをして復讐を遂げるが、スカーレットは逆の性格で猪突猛進。
②オルフェウスの象徴である竪琴(映画ではリュート)を聖(ひじり)は最初は全く弾けない。
③神曲ではダンテの相棒は経験豊富だが本作では心許ない。
これだけ押さえておけばいい。
ハムレットについてはタルコフスキー 『映像のポエジア』が参考になる。

《…私は物質的なルーチンワークに敵対しようとしている人間のエネルギーに引きつけられる。ここで私のもっとも新しい構想の糸玉が巻かれるのである。 
 このような観点から私にとって興味深いのは、シェイクスピアの『ハムレット』である。『ハムレット』を私は、いずれ、映画にしたいと思っている。このもっとも偉大な劇のなかには、最高度の精神的レベルにありながら、同時に低劣で汚れた現実との相互関係のなかに入っていくことを余儀無くされた人間についての、永遠の問題が考察されている。これは、もし未来の人間が自分の過去のなかで生きることを余儀無くされたとするならばどうなるか、というような問題を抱えている。ハムレットの悲劇も、私の考えによれば、ハムレットが破滅するということのなかにではなく、ハムレットが死を前にして自分の精神的欲求を放棄し、普通の殺人者にならなければならないということのなかにある。このような変節のあとでは、死は彼にとって至福の出口と言えるのである。あのように決闘で死ななかったならば、ハムレットは自殺することで自分の生命を絶たなければならなかっただろう。》

ハムレットは豪華なソ連版(Hamlet - Grigori Kozintsev - Innokenty Smoktunovsky - 1964 -Multiple Sub…)がyoutubeで視聴可能。自分のオススメは低予算のイーサン・ホーク版ハムレット。黒澤明『悪い奴ほどよく眠る』も巌窟王というよりハムレットでそう思ってみると見方が変わります。

とりあえずアニメファンにハムレットの名が刻まれれば良しとするべきでしょうか。
「名前だけでも覚えて帰って下さいね」


ハムレットは豪華なソ連版(Hamlet - Grigori Kozintsev - Innokenty Smoktunovsky - 1964 -Multiple Sub…)がyoutubeで視聴可能。自分のオススメは低予算のイーサン・ホーク版ハムレット。黒澤明『悪い奴ほどよく眠る』も巌窟王というよりハムレットでそう思ってみると見方が変わります。

とりあえずアニメファンにハムレットの名が刻まれれば良しとするべきでしょうか。
「名前だけでも覚えて帰って下さいね」


Hamlet (Ethan Hawke  2000) - Ophelia's Funeral 
https://youtu.be/0UwyhqmI4aw?t=50s

Gravedigger sings ALL ALONG THE WATCHTOWER.

http://hyperion2satyr.blogspot.com/2014/05/vi-gravedigger-scene-hamlet-2000.html
 A gravedigger "with no feeling of his business" sings Bob Dylan's All Along the Watchtower. 


この映画のメッセージは明確です。本家のハムレットみたいにボケたフリをしてる場合じゃないということ。ハムレットについてはタルコフスキー 『映像のポエジア』が参考になります。

《…私は物質的なルーチンワークに敵対しようとしている人間のエネルギーに引きつけられる。ここで私のもっとも新しい構想の糸玉が巻かれるのである。 
 このような観点から私にとって興味深いのは、シェイクスピアの『ハムレット』である。『ハムレット』を私は、いずれ、映画にしたいと思っている。このもっとも偉大な劇のなかには、最高度の精神的レベルにありながら、同時に低劣で汚れた現実との相互関係のなかに入っていくことを余儀無くされた人間についての、永遠の問題が考察されている。これは、もし未来の人間が自分の過去のなかで生きることを余儀無くされたとするならばどうなるか、というような問題を抱えている。ハムレットの悲劇も、私の考えによれば、ハムレットが破滅するということのなかにではなく、ハムレットが死を前にして自分の精神的欲求を放棄し、普通の殺人者にならなければならないということのなかにある。このような変節のあとでは、死は彼にとって至福の出口と言えるのである。あのように決闘で死ななかったならば、ハムレットは自殺することで自分の生命を絶たなければならなかっただろう。》

ハムレットは豪華なソ連版(Hamlet - Grigori Kozintsev - Innokenty Smoktunovsky - 1964 -Multiple Sub…)がyoutubeで視聴可能。自分のオススメは低予算のイーサン・ホーク版ハムレット。黒澤明『悪い奴ほどよく眠る』も巌窟王というよりハムレットでそう思ってみると見方が変わります。

とりあえずアニメファンにハムレットの名が刻まれれば良しとするべきでしょうか。
「名前だけでも覚えて帰って下さいね」


これはジェンダーについて意識的な知識人にも当てはまる言葉です。


1986年12月15日

十二月十五日 パリ(遺稿)

 ハムレット……一日中ベッドのなかだ。身を起こすこともできない。下腹部と背中が痛む。神経も、足を動かすことができない。シュヴァルツェンベルクはこの痛みがどこから来るか分からないでいる。化学療法のせいで昔のリューマチがぶりかえしたのではないかと思う。 腕もひどく痛む。これも一種の神経痛のようだ。結節か何かだろう。身体がひどく弱っている。死ぬのだろうか。まだひとつ可能性がある。治療と私自身を、サルセールの病院でも私を診てくれたあの医者の監視のもとにおくのだ。 ハムレット 腕と背中の痛みがなければ、化学療法で回復したと言えるのだが。しかし今は、何をする力も残っていないそれが問題だ。


549


タルコフスキー日記殉教録

ⓒ 1991 Printed in Japan

1991年7月6日 初版発行

著者 アンドレイ・タルコフスキー

訳者 鴻 英良/佐々洋子

装幀 友成 修

(ドイツ語翻訳 飯沼隆一)

発行所 株式会社キネマ旬報社


‪アニメ専門声優を起用しないとアンチキャンペーンが始まるんですよ。‬

‪『スラムダンク』でも『君たちはどう生きるか』もそうでした。それで映画の内容に関する議論が出来なくなる。『果てしなきスカーレット』という傑作にインスピレーションを与えた『ハムレット』の名前だけでも覚えておいて欲しい。‬





ボブ・ディランバイオグラフ旧版ブックレット97頁

しばらく前にすべてを納得したので、今はどっちの方向にだって行けるんだ。ぼくのいかなる歌の中にも、ぼくが大きくて不思議な虹の端にある失われた黄金を探しているなんてことを示唆しているところはどこにもない。プロパガンダ、それだけだ。ぼくが内側をのぞき込んでいるアウトサイダーだなんて考えたこともない。ぼくの行動はすべて内側から外に向けられているんだ。ぼくと同じ経験をしたことのない者たちにとってのみぼくは神秘なんだ。ぼくの歌を言葉で表現することはできない。
告白的な歌は書かない。感情というものとそれとは関係がない。ただそう見えるだけだ。ローレンス・オリヴィエがハムレットだと思われているのと同じようにね。そんな感じの歌を昔書いたことがあったが、あまりいい出来ではなかった。それを録音したのは間違っていた。後悔している。3枚目か4枚目のアルバムに入っている。


ボブ・ディランバイオグラフ旧版ブックレット97頁

Fools, they limit you to their own unimaginative mentality. They never stop
to think that somebody has been exposed to experiences that they haven't
been...anyway it's not even the experience that counts, it's the attitude
toward the experience. There is so much misunderstanding by people who
are caught up in their own little worlds laid on you...contrary to what some
so-called experts believe, I don't constantly 're-invent' myself-I was there
from the beginning. 

I'm also not any seeker or a searcher of God knows what, had it all together awhile back and can go any kind of way. There's nothing in any of my songs to ever imply that I'm even halfway searching for some lost gold at the end of any great mysterious rainbow-propaganda, that's all that is...never have considered myself as an outsider looking in, everything I do is done from the inside out, you know, I'm a mystery only to those who haven't felt the same things I have...you can't take my stuff and verbalize it, like 
I don't write confessional songs. Emotion's got nothing to do with it. It only seems so, like it seems that Laurence Olivier is Hamlet...well, actually I did write one once and it wasn't very good-it was a mistake to record it and I regret it...back there somewhere on maybe my third or fourth album."
同64頁


ボブ・ディランバイオグラフ旧版ブックレット

92~4頁


エヴリィ・グレイン・オブ・サンド

EVERY GRAIN OF SAND

1981年5月、ロサンゼルスで録音。


 ディランは言う。「この歌は霊感を受けてできた歌だ。少しも困難なことはなかった。どこからかやってくる言葉を紙に写しているような感じだった。 とにかく最後まで写したんだ。 クライディーが一緒に歌っている。 1回で録音したと思う。 クライディーは最高の歌手だ。 彼女が息をするのを聞くだけで背筋がぞくぞくする。声の質に特色がある。 深くて、 ソウルフルで、タフであると同時にとても繊細なんだ。彼女は電話帳を歌っても、聞く者を感動させることができる歌手だ。 この歌の最初の2行を初めて聞いただけで、とにかく彼女が言ったんだ。この歌はクラシックになるってね。100年たったらわかるだろう。 この歌は、時代の流れに遅れまいとするようなことは超越しているんだ。 時代に遅れまいとしたり、80年代の詩人であるとか、90年代のロックンローラーであるというようなこととは一切関係がない。 罠にはまってはいけない・・・・・・あらゆることを学び、必要な時に呼び出せればいい。 古いやり方が、今でも一番役に立ち、窮地から脱することを可能にしてくれる。今はすべてのものが歪んでいる時代ですべてのサインは間違った方向を指している。 バベルの塔の時代に住んでいるかのようだ。あらゆる言語が混乱している。我々は金星に向けて塔を建てている。 一体それはどこにあるんだい。 何をそこで見い出すことができるだろう。 聖書には「愚か者でも口を閉じている時は、賢く見える」と書かれている。 聖書の言葉なんて言うと、すぐにそっぽを向いてしまう人がいる。なにか宗教的なものに対しては、 人は面と向かわないで、関係ないよと言わんばかりの顔をする。 「悔い改めよ。 天国は近づけり」というような言葉を聞くと、人は脅えてしまう。そんなことは避けて通りたいんだ。 誰かにその言葉を言ってごらん。 彼の敵になってしまう。 だけど、 事実に直面しなければならない時が来るし、 信じたくても、 信じたくなくても真理は真理であるという時が必ず来る。 人間の側で、真理にしたりしなかったりすることはできない。


人は誰も自分の真理を心に持っているという偽りが、多くの害をもたらし、人々を狂わせたんだ。自分の敵を征服するためには、まず最初に自ら悔 い改め、ひざまづき、あわれみを乞わねばならないということを聞いたことがあるかい。 ウェスト・ポイントではそのことを教えるかな。 神は傲慢な態度を嫌うんだ。現在の状況は、とても混乱している。人々は自分が誰であるかわからないように仮面をつけて、仮装して歩き回っている。このことだけは言えるーー誰かに自分の夢や希望を話す時は、その人が兄弟のように愛してくれているということだけは確かめておいた方がいいということだ。さもなくば、その夢や希望は、恐らく実現することはないだろう。生きのびるためには、少々迷信深いことも必要だ。 人はアメリカの新しいイメージについて語りたがるが、ぼくにとっては昔ながらのアメリカだ――マーロン・ブランド、ジェームス・ディーン、マリリン・モンローであっコンピューター、コカイン、デイヴィッド・レターマンじゃない。そういうものからは逃げ出さなければいけない。 ヘディ・ラマー、ドロシー・サンドリッジ、それがぼくのアメリカのイメージだ。 そして一体、誰がアメリカのイメージをよくしただろうか。 ある架空のくだらん兵隊が、空想上の外国で10万人の人間を殺すことだってありえる。でもそれは幻想にすぎず、長く続きはしない。人はもし選択することができるならば、今でもレット・バトラーになりたいと思うだろう。90年代には、あるいは21世紀には、人々は80年代はマスターベイションの時代であったと考えるだろう。しかもそれが極限まで押し進められた時代であったと考えるだろう。とにかく、どこを見てもそのような状態ばかりだ。 だからぼくはぼくの価値観を聖書の言葉に基づいて置きたいんだつまり変化することのないものの一部でありたいんだ。実際それはそれほど大変なことではない。 人は今でも、愛し憎しみ、 結婚し子供を産み、 心の中の欲望に隷属し、互いの顔面を張りたおしたり、あなた電気を消してくれない、 と言ったりしている。古代ギリシャの時代と全く何も変っていないんだ。何も変わっていない。 アブラハムが父親の偶像をこわしたのはいつのことなのか。 先週の火曜日だ。神は今でも審判者であり、 悪魔が今でも世界を支配している。 何も変化したものはない。 自分が重要人物だと考えているうちに、歴史は過ぎて行ってしまう。 まるで牧師のようなしゃべり方だね。世に出ようとしているソング・ライターやシンガ

一に言いたいのだが、今流行しているものはすべて無視し、忘れるようにした方がいい。 ジョン・キーツやメルヴィルを読んだり、ロバート・ジョンソンやウディ・ガスリーを聞いた方がよっぽどいい。 映画についても同じことが言える。 沢山の映画を見たが、心に残っているのはどんな映画だろう『シェーン』、『赤い河』、 『波止場』、『フリークス』、それにもう二、三本だけだ。 先日、 映画を見たが、終ったとたん、 その映画について何も思い出すことができなかった。 見ている時はとても重要なものに思えたんだが」





57~9頁に原語英文


2 EVERY GRAIN OF SAND

Recorded in Los Angeles 5/81

(SHOT OF LOVE-8/12/81)

"That was an inspired song that came to me," said Dylan. "It wasn't

really too difficult. I felt like I was just putting words down that were coming

from somewhere else, and I just stuck it out. Clydie sings this with me, I

think it's a first-take thing. Clydie's one of the great singers ever, I get chills

when I hear her just breathe, something about the texture of her voice so

deep and so soulful, so tough and sensitive at the same time. She's one of


them singers that could like sing the telephone book and it would just put a

bolt through you. Anyway, she said that this would be a classic when she

a hundred years. About the song,

heard the first two lines. Maybe I'll know in

you have to get past the keeping-up-with-the-times stuff. It's not about

keeping up with the times, being a poet for the eighties, rock 'n' roller for the

nineties, you don't want to get trapped...you have to learn about it all and

call it up when you need it. The old trades are still the most useful, can get

you out of a jam. Everything is crooked now and the signs all point you the

wrong way-it's like we're living at the time of the Tower of Babel, all our

tongues are confused. We're building a tower to Venus. Where the hell is

that? What are we going to find there? God? The Bible says 'Even a fool when

he keeps his mouth shut is counted wise, but it comes from the Bible, so it

can be cast off as being too quote religious. Make something religious and

people don't have to deal with it, they can say it's irrelevant. 'Repent, the

Kingdom of God is at hand! That scares the shit out of people. They'd like to

avoid that. Tell that to someone and you become their enemy. There does

come a time, though, when you have to face facts and the truth is true

whether you wanna believe it or not, it doesn't need you to make it

true...That lie about everybody having their own truth inside of them has

done a lot of damage and made people crazy. Did you ever hear that to

conquer your enemy, you must repent first, fall down on your knees and beg

for mercy? Does West Point teach that? I don't know, I do know that God

hates a proud look. It's a messy situation. People are just out parading

around in disguises, wearing faces that don't let you know what they

think...I'll tell you this much-when you tell somebody your dreams and


hopes you better make sure they love you like a brother or your dreams and

hopes probably won't come true... You got to be somewhat superstitious to

survive. People like to talk about the new image of America but to me it's still

the old one-Marlon Brando, James Dean, Marilyn Monroe, it's not

computers, cocaine and David Letterman, we gotta get off that-Hedy

Lamarr, Dorothy Dandridge, that's my idea of America..... and who's

improved on it? Some phoney imaginary soldier can kill a hundred thousand

people in a foreign country of his own mind but it's a fantasy and it doesn't

stick-people, if they had a choice, would still want to be Rhett Butler. Maybe

in the '90's or possibly in the next century people will look upon the '80's as

the age of masturbation, when it was taken to the limit, that might be all

that's going on right now in a big way...I like to keep my values scripturally

straight though-I like to stay a part of that stuff that don't change. Actually

it's not that difficult-people still love and they hate, they still marry and have

children, still slaves in their minds to their desires, still slap each other in the

face, and say 'honey can you turn off the light' just like in ancient Greece.

What's changed? When did Abraham break his father's idols? I think it was

last Tuesday. God is still the judge and the devil still rules the world so what's

different? No matter how big you think you are history is gonna roll over you.

Sound like a preacher don't I? To the aspiring songwriter and singer I say

disregard all the current stuff, forget it, you're better off, read John Keats,

Melville, listen to Robert Johnson and Woody Guthrie. Movies too, I've seen

hundreds of them, how many of them stay with you? Shane, Red River, On

The Waterfront, Freaks? Maybe a handful of others...I just saw one the other

night, as soon as it was over, I couldn't remember a thing about it. Seemed

real important at the time though."


映画のポエジア#5

 この考察の初めで、性格像と呼ばれるものを、われわれは視野から意図的に排除してきた。この文脈でこの問題を話題にすることは意味のあることだと思う。たとえばバシマーチキンやオネーギンを挙げてみよう。彼らは芸術的典型として、みずからのうちに、彼らを登場させることになった社会的法則性を蓄積している。これが彼らのひとつの側面である。ところがもう一方で彼らは全人類的なモチーフを内包している。実際、文学の登場人物が典型的であるのは、彼らのなじみの現象、それはある一般的法則性の帰結なのだが、その現象の全体を彼らが表現しているときなのだ。だから典型としては、バシマーチキンやオネーギンに似た人はたくさんいる。典型に関してはそうである! 確かにそうなのだ! しかし芸術的イメージに関しては、彼らはまったくユニークな、反復不可能な存在なのだ。彼らは芸術家によってきわめて具体的にされ、異常なほど大きく増幅されている。また彼らは、作家のまなざしをきわめて豊かにそのうちに抱え込んでいるので、オネーギンは、本当に、この人は、まるでぼくの隣人みたいだと言えるほどだ。あるいは、歴史的、社会的パラメーターのなかで決定されているラスコーリニコフのニヒリズムも、もちろん典型的だ。しかし彼のニヒリズムは、同時に、私的で個人的なイメージのパラメーターのなかで決定されたもので、やはり反復不可能なものだ。ハムレットも疑いもなくやはり典型的である。しかし乱暴な言い方をさせてもらえば、「あなたはどこかでハムレットとかいう人に出会いました、え!?……」というわけなのである。
  ここで、逆説的な状況が起こってくる。つまり、性格=イメージは典型的なもののもっとも完全な表現だけれども、イメージが典型的なものをより完全に表現しようとするときに、それ自体はより個人的な、よりユニークなものになるということだ。なんと幻想的なものだろうか、イメージというのは! ある意味で、イメージは人生そのものよりも遥かに豊かなものなのだ。おそらくそれは絶対的真理の理念を表現しているからだろう。


サクリファイス
言葉言葉言葉
(hamlet2:2)


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