2024年6月22日土曜日

NAMs出版プロジェクト: Cronenberg’s “A Dangerous Method”:再掲

NAMs出版プロジェクト: Cronenberg's "A Dangerous Method":再掲

Cronenberg's "A Dangerous Method":再掲

「ザビーナ・シュピールラインはすでにこの考え方(引用者注:「死の欲動」)をうちだしている。その論文は内容も思想も豊富だが、残念ながらわたしは完全には理解できない」(フロイト『快感原則の彼岸』一九二〇 の脚注より)


2011年公開予定のクローネンバーグによるフロイト伝記映画『デンジャラス・メソッド』のスチール写真及び撮影風景。
(近年再評価の声が高い)ザビーナ・シュピールライン(*)をキーラ・ナイトレイが演じるようです。










http://www.filmshaft.com/very-interestink-more-images-from-a-dangerous-method/

http://eiga.com/news/20100312/3/
以下上記サイトより

デビッド・クローネンバーグ監督とビゴ・モーテンセンが、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」以来3度目となるタッグを組むことが分かった。クローネンバーグ監督の新作「The Talking Cure」から当初キャスティングされていたクリストフ・ワルツが降板したため、モーテンセンが代役で出演する。

同作は、クリストファー・ハンプトンの同名戯曲を映画化するもので、精神分析学の創始者ジークムント・フロイトとカール・ユング、そして患者として知り合ったユングと恋に落ち、のちに自身も精神分析家となる美女ザビーナ・シュピールラインの3人の複雑な人間関係を描く。フロイト役をモーテンセン、ユング役をマイケル・ファスベンダー、そしてザビーナ役をキーラ・ナイトレイが演じる。5月中旬のクランクインを予定。


以下、wikiより

ザビーナ・シュピールライン(Sabina Spielrein 1885年 - 1942年)はロシア出身の精神分析家。

ロストフの裕福なユダヤ人の家庭に生まれ育つ。父ニコライは商人、母エヴァは当時のロシアでは珍しい大学卒(歯学部)の女性だった。
ロストフの女子ギムナジウムを経て、1904年8月17日、統合失調症患者としてチューリヒ近郊のブルクヘルツリ精神病院に入院し、ここで医師として働いていたユングと知り合い、恋に落ちる。1905年6月1日に退院した後、チューリヒ大学医学部に入学し、1911年、統合失調症に関する論文を提出して医学部を卒業するまでユングとの関係は続いた。ユングは彼女が学位論文を書くにあたっての助言者だったが、同時に彼自身もザビーナから学問的に多大な影響を受けた。しかし既婚者のユングが、彼の子を産みたいというザビーナの希望を撥ねつけたため、二人の愛は破局を迎えた。同じ1911年、ウィーンでフロイトと会い、ウィーン精神分析学協会に参加。ユングとの恋愛体験に基づく論文『生成の原因としての破壊』は、フロイトのタナトス概念に影響を与えた。
1912年、ロシア系ユダヤ人医師パヴェル・ナウモーヴィチ・シェフテルと結婚し、ベルリンで暮らした。第一次世界大戦中はスイスで暮らしたが、1923年、ソヴィエト政権下のロシアに帰国し、ロシア精神分析学協会に参加すると共に、モスクワにて幼稚園を設立。なるべく早い時期から子供たちを自由人として育てることを旨とした幼稚園であり、スターリンが息子ヴァシリーを偽名で入園させたこともあったが、3年後、幼児たちへの性的虐待という冤罪をかけられたため、閉鎖を余儀なくされた。背後には、精神分析学に対するスターリン政権からの弾圧があった。
1936年、大粛清の最中に夫が病死し、ザビーナと娘たちは1942年に故郷ロストフにて、侵攻したナチの手で殺害された。
2002年、『私の名はザビーナ・シュピールライン』と題するドキュメンタリーがスウェーデンの映画監督エリザベト・マルトンによって作られ、2005年には米国でも封切られた。近年、精神分析学に対する彼女の貢献に関して再評価が進みつつある。



http://www.linkclub.or.jp/~kiri/r29.html
以下上記サイトより
「アルド・カロテヌート『秘密のシンメトリー』について

 1977年、スイスのジュネーヴで、女性精神分析家ザビーナ・シュピールラインの1909年から1912年にかけての「日記」と彼女の「手紙類(ユング宛、フロイト宛書簡を含む)」が偶然発見され、イタリアのユング派精神分析家アルド・カロテヌートが、それらの資料に「秘密のシンメトリー」と題した一文を付して、80年にイタリアで出版した。内容は欧米で反響を呼び、数か国語に翻訳されたという。この日本語版には、他にシュピールラインの生前の論文『生成の原因としての破壊』(1912年『精神分析学・精神病理学年報』)と英語版から訳出されたフロイト派の精神分析家ブルーノ・ベッテルハイムの解説文『ベッテルハイムのコメント』(1983年「ニューヨークレビュー紙」)を加えたものとなっている旨が、あとがきにことわられている。
 おそらく精神分析運動史の研究者でもなければ、その名を知ることもないであろう一女性分析家の半世紀以上も前に残した手紙や日記をまとめた書物が、なぜ欧米でことさら話題になったのかといえば、とりあえずは資料が分析心理学の創始者カール・グスタフ・ユングとザビーナ・シュピールラインとの間に生じた不幸な恋愛事件についての記録(スキャンダル)をあかすものだったからだとはいえよう。また、そうした暴露的興味とは別に、彼女がユングやフロイトに与えた思想的な影響ということに関して、フロイト派とユング派の研究者たちに激しい解釈上の対立を投げかける内容となっていることがあげられるかもしれない(註1)。
(略)
(註1)ユング派のカロテヌートは「シュピールラインはこの論文(「生成の原因としての破壊」1912年)で、フロイトが1920年に『快感原則の彼岸』の中で提出する概念を、ほとんどそっくり先取りしている」と指摘しており、フロイト派のベッテルハイムは、アニマの概念にとどまらず、ユング心理学の多くの基礎概念が「直接または間接的にシュピールラインに負うものである」ことが明白になったという論旨を展開している。解説者が、互いの属する学派の始祖の思想の核心となるような概念の独創性に疑念をはさんで辛辣にやりあっていることの意味や切実さは、私などにはとうてい了解できない。 」

追記:
フロイト関連映画では、(ヒッチコックやダグラス・サークなどの精神分析的映画もいいが)ジョン・ヒューストン監督、モンゴメリー・クリフト主演の伝記映画"Freud: The Secret Passion"(1962)がお勧めなのですが、残念ながら日本語版DVDは出ていないようです。 
サルトルの書いたシナリオ第一稿は邦訳が出版されているのですが、、、




追記の追記:

ざっと『秘密のシンメトリー』を読んだ感想としては、一人の女性(の転移)に翻弄された二人の医師というよりも、二人の偉大な思想家の中間点を探った女性という印象だ。ユングの集合無意識とフロイトの破壊衝動の中間点として、シュピールラインは個人的体験と違って種族的体験は自己犠牲的な死を自ら選ぶ場合があることを主張している(395頁)。三角関係に関しては、ユングの手紙が遺族によって公開を拒否されているのでよくわからない。
ブログ冒頭に掲げたフロイトの記述は(ちくま『自我論集』186頁の訳はニュアンスが少し違う)結果的に死の欲動におけるシュピールラインのプライオリティーを認めているが、同時にシュピールライン自身も語るユングのプライオリティー(参照:ユング『変容の象徴』**ちくま学芸文庫下294頁)を隠蔽しているところに複雑さがある(ジャネに対するフロイトの対抗心とも似ている)。

参考:http://www.shosbar.com/works/crit.essays/spielrein.html

**注:
シュピールラインが1912年の論文冒頭で引用したユングの『リビドーの変容と象徴』は、日本語版と少し訳文が違うようだ(内容的には重複するが「二重の母」という章はない)。多分『生命力の発展』(世界大思想全集44所収の方だと思われる)。

「情熱的な欲望にもふたつの面がある。それはすべてを美化するがまた事情によってはすべてを破壊することもある力である。‥」(ちくま学芸文庫『象徴と変容 上』「五 蛾の歌」225頁の訳)

参考:http://nirc.nanzan-u.ac.jp/Hito/watanabem/links/jungbib-b.htm 

追記:
日本語版トレーラー


カットされていないバージョン

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