ボブ・ディランの愛するソング・ライターは誰?

『Together Through Life』リリース前ということなので、かれこれ11年前(もう、そんな前なのか)のインタヴューですが、ボブ・ディランが好きなソング・ライターについて、また他のベテラン歌手のようにヒット曲を昔のままのスタイルでノスタルジックなライヴをやらないのかについて語っています。
HUFFPOSTの「Bob Dylan Exclusive Interview: Reveals His Favorite Songwriters, Thoughts On His Own Cult Figure Status」よりの引用です。
Bill Flanagan(BF):好きなソング・ライターはいますか?
Bob Dylan(BD):(ジミー・)バフェットかな、(ゴードン・)ライトフット、ウォーレン・ジヴォン、ランディ(・ニューマン)、ジョン・プライン、ガイ・クラーク、そんな人たち。
BF:バフェットのどの曲が好きですか?
BD:「Death of an Unpopular Poet」、あと 「He Went to Paris」みたいな曲。
BF:あなたとライトフットは昔からの友人ですよね。
BD:そうそう。ゴードはずっと私の近くにいる。
BF:好きな曲は?
BD:「Shadows」、「Sundown」、「If You Could Read My Mind」。嫌いなものは考えられないな。
BF:ジヴォンを知っていた?
BD:詳しくないけど。
BF:彼のどこが好きでしたか?
BD:「Lawyers, Guns and Money」 「Boom Boom Mancini」強い酒を呑むみたいなやつ。「Join me in L.A.」みたいな本格的なものと原始的なものの境界線をまたぐようなもの。パターンがいたるところに見受けられるのは、おそらく彼が古典的な音楽の訓練を受けているからだろう。ジヴォンの歌の中に3つの異なる歌があるかもしれないけど、それらはすべて易々とつながっている。 ジヴォンはミュージシャンズ・ミュージシャンであり、悩めるミュージシャンだった。 「Desperado Under the Eaves」にはすべてがあるよ。
BF:ランディ・ニューマンは?
BD:あぁ、ランディ。何が言える?彼の初期の曲「Sail Away」、「Burn Down the Cornfield」、「Louisiana」が好きだ、彼はシンプルにやっている。売春宿の歌だ。彼はプリンスだ、ジェリー・ロール・モートンの明らかな相続人だと思うよ。彼のスタイルは欺くことだ。彼はとてもレイドバックしていて、重要なことを言っているのを忘れてさせてしまうくらいだ。ランディは別の時代と結びついている、私みたいに。
BF:ジョン・プラインはどうですか?
BD:プラインの歌は純粋なプルーストの実存主義だ。中西部のマインド・トリップは不特定だ。彼は美しい曲を書いている。クリス・クリストファーソンが最初に彼を現場に連れてきたときのことを覚えているよ。ヤク中の帰還兵を歌った「Sam Stone」や10マイル離れて恋する人の「Donald and Lydia」といった全ての歌。あんな風に書けるのは、プラインだけだ。彼の曲を1曲選ばねばならないとしたら、「Lake Marie」かな。どのアルバムだったかは忘れたけどね。
BF:あなたの世代のライヴ演奏の多くは、ノスタルジアを売りにしてるように思えます。みんな過去30年間、同じやり方で同じ曲を演奏しています。あなたは何故そうしないのですか?
BD:やろうと思っても出来なかった。あなたが話題にしている人たちはみんな多くのヒット曲を持っている。反体制でスタートし、今は世界について歌っている。祝福の歌だ。壮大なディナー・パーティーのための音楽。一般的な文化に迎合したメイン・ストリームの音楽。私の歌はそういった人々の唄とは異なっている。もっとやけくそだ。
ダルトリー、タウンゼンド、マッカートニー、ビーチ・ボーイズ、エルトン、ビリー・ジョエル。
彼らは完璧なレコードを作った、だからそれらを完璧にプレイしなければならない...人々がそれらを覚えているのとまったく同じやり方で。私のレコードは完璧じゃなかったんだ。だから、それらを複製しても意味がないんだ。とにかく、私はメイン・ストリームのアーティストではないんだ。
BF:じゃあ、あなたはどんなアーティストなんですか?
BD:わからないよ、ビロネスク(ジョージゴードンバイロンの作品を彷彿とさせ、情熱的で傲慢で自己破壊的なヒーロー)かもね。思いだしてくれ、私が歌い始めたとき、メインストリームのの文化はシナトラ、ペリー・コモ、アンディ・ウィリアムズ、「サウンド・オブ・ミュージック」だった。当時、そういったものに迎合することは無かった、そしてもちろん、今も迎合していない。いくつかの曲はクロス・オーヴァーしてヒットしたけど、ぜんぶが他の歌手によって歌われたものだった。
BF:迎合しようと思ったことはない?
BD:あぁ、それはなかったな。私はフォーク・ミュージック出身で、それが私の固有言語で経験してきた典型的な美学だ。それが私の音楽の原動力だ。トライしたとしてもブリル・ビルディングの曲は書けなかった。ポップ・ミュージックとして合格するものは何であれ、その時はできなかったし、今もできない。
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