細田守、21歳の初実写映画をドヤ顔で語る 小原篤のアニマゲ丼
「去年『果てしなきスカーレット』が大爆死しまして――」
長く映画を取材してきましたが、監督本人から“大爆死”(=興行的大失敗)なんて言葉を聞くのは初めて。インタビューで細田守さんはこの後もっと衝撃的な話をして下さったのですが、それは7月10日朝刊(一部地域)に掲載予定の「細田守の原点/展」(東京・京橋「CREATIVE MUSEUM TOKYO」で8月31日まで)特集紙面に書くので、今回は金沢美術工芸大在学中だった21歳の細田さんが初めて監督した実写映画「SILENT」(1989年、39分)のお話を。
展覧会場内で上映されていますが「だいたいムードは分かったからもういいや」なんて途中で見るのをやめてはいけません。夕日が海に沈むファーストカットから7人の男女が光の中に溶けていくラストまで、通しで見て下さい。序盤はタイトル通りサイレント、フォーレの「レクイエム」が流れてガッとギアが上がるのがちょうど19分。ちゃんと腕時計で確認しました。
「ミッドポイント(中間点)ですね?」と問う私。
「この映画は3幕構成になっているんです」とドヤ顔の細田さん。
古代ギリシャに端を発しハリウッドの脚本術でモデルとされる「3幕構成」とは、①設定/②対立/③解決。ミッドポイントとは第2幕の中間(物語全体の中間)に置かれるドラマの大きな転換点です。
「SILENT」は、世界崩壊を生き残ったが言葉を失ってしまった7人の男女の物語。浜辺や森でユートピア的な生活を送っていたが、残骸の中から詩集を見つけたことで言葉を取り戻す。言葉はやがて不和や対立といったそれまでなかった感情を生み7人の関係を破壊していく――というもの。①ユートピア②言葉の復活③破局という3幕構成です。上向きだった物語が下向きに転換するところで、荘厳なレクイエムが流れます。
油絵科の細田さんがデザイン…
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