2025年4月23日水曜日

ヨシフ・ブロツキー - Wikipedia Письмо генералу Z Z将軍への手紙

ヨシフ・ブロツキー - Wikipedia

「Z将軍への手紙」

ヨシフ・ブロツキー

 ‘Письмо генералу Z’ 

Иосиф Бродский 

池田嘉郎訳

https://researchmap.jp/wysiwyg/file/download/192692/295539


出典: 

https://lit-ra.su/iosif-brodskiy/pismo-generalu-z/

https://iosif-brodskiy.ru/pisma/pismo-generalu-z.html


https://youtu.be/a4z1C7ti-uQ?si=tPuC5LHw3RiRLT1d












Письмо генералу Z
Иосиф Бродский
Источник: https://lit-ra.su/iosif-brodskiy/pismo-generalu-z





再改訂版:

再々改訂版:







Генерал! Наши карты — дерьмо. Я пас.
Север вовсе не здесь, но в Полярном Круге.
И Экватор шире, чем ваш лампас.
Потому что фронт, генерал, на Юге.
На таком расстояньи любой приказ
превращается рацией в буги-вуги.
Генерал! Ералаш перерос в бардак.
Бездорожье не даст подвести резервы
и сменить белье: простыня — наждак;
это, знаете, действует мне на нервы.
Никогда до сих пор, полагаю, так
не был загажен алтарь Минервы.
Генерал! Мы так долго сидим в грязи,
что король червей загодя ликует,
и кукушка безмолвствует. Упаси,
впрочем, нас услыхать, как она кукует.
Я считаю, надо сказать мерси,
что противник не атакует.
Наши пушки уткнулись стволами вниз,
ядра размякли. Одни горнисты,
трубы свои извлекая из
чехлов, как заядлые онанисты,
драют их сутками так, что вдруг
те исторгают звук.
Офицеры бродят, презрев устав,
в галифе и кителях разной масти.
Рядовые в кустах на сухих местах
предаются друг с другом постыдной страсти,
и краснеет, спуская пунцовый стяг,
наш сержант-холостяк.
_______
Генерал! Я сражался всегда, везде,
как бы ни были шансы малы и шатки.
Я не нуждался в другой звезде,
кроме той, что у вас на шапке.
Но теперь я как в сказке о том гвозде:
вбитом в стену, лишенном шляпки.
Генерал! К сожалению, жизнь — одна.
Чтоб не искать доказательств вящих,
нам придется испить до дна
чашу свою в этих скромных чащах:
жизнь, вероятно, не так длинна,
чтоб откладывать худшее в долгий ящик.
Генерал! Только душам нужны тела.
Души ж, известно, чужды злорадства,
и сюда нас, думаю, завела
не стратегия даже, но жажда братства:
лучше в чужие встревать дела,
коли в своих нам не разобраться.
Генерал! И теперь у меня — мандраж.
Не пойму, отчего: от стыда ль, от страха ль?
От нехватки дам? Или просто — блажь?
Не помогает ни врач, ни знахарь.
Оттого, наверно, что повар ваш
не разбирает, где соль, где сахар.
Генерал! Я боюсь, мы зашли в тупик.
Это — месть пространства косой сажени.
Наши пики ржавеют. Наличье пик —
это еще не залог мишени.
И не двинется тень наша дальше нас
даже в закатный час.
_______
Генерал! Вы знаете, я не трус.
Выньте досье, наведите справки.
К пуле я безразличен. Плюс
я не боюсь ни врага, ни ставки.
Пусть мне прилепят бубновый туз
между лопаток — прошу отставки!
Я не хочу умирать из-за
двух или трех королей, которых
я вообще не видал в глаза
(дело не в шорах, но в пыльных шторах).
Впрочем, и жить за них тоже мне
неохота. Вдвойне.
Генерал! Мне все надоело. Мне
скучен крестовый поход. Мне скучен
вид застывших в моем окне
гор, перелесков, речных излучин.
Плохо, ежели мир вовне
изучен тем, кто внутри измучен.
Генерал! Я не думаю, что ряды
ваши покинув, я их ослаблю.
В этом не будет большой беды:
я не солист, но я чужд ансамблю.
Вынув мундштук из своей дуды,
жгу свой мундир и ломаю саблю.
_______
Птиц не видать, но они слышны.
Снайпер, томясь от духовной жажды,
то ли приказ, то ль письмо жены,
сидя на ветке, читает дважды,
и берет от скуки художник наш
пушку на карандаш.
Генерал! Только Время оценит вас,
ваши Канны, флеши, каре, когорты.
В академиях будут впадать в экстаз;
ваши баталии и натюрморты
будут служить расширенью глаз,
взглядов на мир и вообще аорты.
Генерал! Я вам должен сказать, что вы
вроде крылатого льва при входе
в некий подъезд. Ибо вас, увы,
не существует вообще в природе.
Нет, не то чтобы вы мертвы
или же биты — вас нет в колоде.
Генерал! Пусть меня отдадут под суд!
Я вас хочу ознакомить с делом:
сумма страданий дает абсурд;
пусть же абсурд обладает телом!
И да маячит его сосуд
чем-то черным на чем-то белом.
Генерал, скажу вам еще одно:
Генерал! Я взял вас для рифмы к слову
«умирал» — что было со мною, но
Бог до конца от зерна полову
не отделил, и сейчас ее
употреблять — вранье.
_______
На пустыре, где в ночи горят
два фонаря и гниют вагоны,
наполовину с себя наряд
сняв шутовской и сорвав погоны,
я застываю, встречая взгляд
камеры Лейц или глаз Горгоны.
Ночь. Мои мысли полны одной
женщиной, чудной внутри и в профиль.
То, что творится сейчас со мной,
ниже небес, но превыше кровель.
То, что творится со мной сейчас,
не оскорбляет вас.
_______
Генерал! Вас нету, и речь моя
обращена, как обычно, ныне
в ту пустоту, чьи края — края
некой обширной, глухой пустыни,
коей на картах, что вы и я
видеть могли, даже нет в помине.
Генерал! Если все-таки вы меня
слышите, значит, пустыня прячет
некий оазис в себе, маня
всадника этим; а всадник, значит,
я; я пришпориваю коня;
конь, генерал, никуда не скачет.
Генерал! Воевавший всегда как лев,
я оставляю пятно на флаге.
Генерал, даже карточный домик — хлев.
Я пишу вам рапорт, припадаю к фляге.
Для переживших великий блеф
жизнь оставляет клочок бумаги.

Источник: https://lit-ra.su/iosif-brodskiy/pismo-generalu-z


Z将軍への手紙


ジョセフ・ブロツキー
出典: https://lit-ra.su/iosif-brodskiy/pismo-generalu-z



将軍!私たちの地図はひどいです。合格です。
北はここではなく、北極圏にあります。
そして、赤道はあなたのストライプよりも広いのです。
将軍、前線は南にあるからです。
このような距離ではどんな注文でも
ブギウギのトランシーバーに変身します。

将軍!イェララッシュ・ペレロスは大混乱に陥った。
オフロードの状況により予備兵力の投入は不可能
リネンを交換します:シート-サンドペーパー。
ご存知のとおり、これは私をイライラさせます。
おそらく、これまでそんなことはなかっただろう
ミネルヴァの祭壇は汚されなかった。

将軍!私たちは長い間泥の中に座っていました、
虫の王が前もって喜んでいる、
そしてカッコウは沈黙している。神様、ごめんなさい。
しかし、彼女のカッコウの鳴き声は聞こえます。
ありがとうと言うべきだと思う。
敵が攻撃して来ないこと。
我々の銃は下を向いていた、
穀粒が柔らかくなりました。ラッパ手だけ、
パイプを抜き取る
カバーは、まるで自慰行為の常習者のように、
彼らは何日も殴り続け、突然
音を発します。
警官たちは規則を無視して歩き回り、
さまざまな色のズボンとジャケットを着ています。
乾燥した場所の茂みに潜む兵士たち
互いに恥ずべき情事に耽り、
そして赤面し、深紅の旗を降ろす。
私たちの独身軍曹。
_______
将軍!私はいつも、どこでも戦った、
たとえその可能性がいかに小さく不安定なものであったとしても。
もう星は要らなかった。
帽子についているものを除いて。
しかし今、私はその釘についてのおとぎ話の中のようです。
壁に打ち込まれ、帽子を奪われた。

将軍!残念ながら、人生は一度きりです。
より大きな証拠を求めないように、
私たちは底まで飲まなければならない
この小さな茂みの中に私のカップがある。
人生はそんなに長くないかもしれない、
最悪の事態を長期間先送りすること。

将軍な!肉体を必要とするのは魂だけです。
ご存知の通り、魂は得意げなところがない。
そしてそれが私たちをここに導いたのだと思います
戦略ではなく、兄弟愛への渇望です。
他人のことに干渉する方が良い
自分自身のことを理解できなければ。

将軍!そして今、私は緊張しています。
理由が分かりません。恥ずかしさからでしょうか、それとも恐怖からでしょうか?
女性が足りないから?それともただの気まぐれでしょうか?
医者も治療師も助けてくれません。
それはおそらくあなたの料理人のせいでしょう
塩がどこにあり、砂糖がどこにあるのかわかりません。

将軍!残念ながら行き詰まりに陥ってしまいました。
これは斜尋空間の復讐です。
私たちの山頂は錆びつつあります。ピークの存在 -
これはまだ目標を保証するものではありません。
そして私たちの影は私たちより遠くには動かない
日没時でも。
_______
将軍!ご存知のとおり、私は臆病者ではありません。
ファイルを取り出して問い合わせてください。
私は弾丸には無関心だ。プラス
私は敵も賭け金も恐れません。
ダイヤのエースを私に突きつけさせてください
肩甲骨の間 - 辞任をお願いします!
私は死にたくない
2人か3人の王が
目にも見えなかった
(それは目隠しの問題ではなく、埃っぽいカーテンの問題です)。
しかし、私も彼らのために生きなければなりません。
不本意。二重に。

将軍!もう全てに疲れた。私にとって
十字軍は退屈だ。私は退屈です
窓に凍りついた景色
山、雑木林、川の曲がり角。
外が平和だと悪い
心の中で苦しんでいる人々によって研究されています。

将軍!列は
あなたを離れることで、私は彼らを弱体化させます。
これには大きな害はありません:
私はソリストではありませんが、アンサンブルにとっては異質な存在です。
パイプのマウスピースを外して、
私は制服を燃やし、サーベルを折った。
_______
鳥は見えませんが、鳴き声は聞こえます。
精神的な渇きに苦しむ狙撃手は、
妻からの命令か手紙か、
枝に座って二度読む、
そして私たちのアーティストは退屈から抜け出す
鉛筆に銃をつけた。

将軍!時間だけがあなたを認めてくれるでしょう
あなたのカンヌ、フラッシュ、スクエア、コホート。
アカデミーでは彼らは恍惚状態に陥るでしょう。
あなたの戦いと静物画
目を大きく見開くのに役立つだろう、
世界観と大動脈全般についての見解。

将軍!あなたに言わなきゃいけないのは
入り口の翼のあるライオンのように
ある入り口に。あなたにとっては、悲しいかな、
自然界には全く存在しません。
いいえ、死んでるわけじゃないんです。
またはビート - あなたはデッキにいません。

将軍!私を裁きを受けさせてください!
このケースについてご紹介したいと思います。
苦しみの総和は不条理をもたらす。
不条理なものに肉体を与えよう!
そして彼の船を浮かび上がらせ
白いものの上に黒いもの。

将軍、もう一つ言わせていただきます。
将軍!私はその言葉の韻を踏んでいると思った
「死にかけていた」 - 私に何が起こったのか、しかし
穀物から籾殻まで、最後まで神は
私はそれを分離しなかった、そして今は
使うというのは嘘です。
_______
夜になると火が燃える荒れ地で
二つのランタンと腐った馬車、
衣装が半額
道化師の制服を脱ぎ、肩紐を引きちぎり、
彼の視線に出会うと私は凍りつく
ライツの部屋またはゴルゴンの目。
夜。私の考えは一つのことばかり
内面も横顔も素晴らしい女性。
今私に何が起こっているのか、
天の下だが屋根の上。
今私に何が起こっているのか、
あなたを怒らせません。
_______
将軍!あなたはここにいません、そして私のスピーチは
今日もいつものように
端が端であるその空虚の中に
広大な人里離れた砂漠、
あなたと私がカードに書いた
見えなかったが、視界にさえ入らなかった。

将軍!もしあなたがまだ私を望むなら
聞こえますか、砂漠が隠れています
それ自体が一種のオアシスであり、魅力的である
これによりライダー;そしてライダーは、
私;私は馬に拍車を掛けます。

将軍、馬はどこにも走っていません。
将軍!いつもライオンのように戦い、
旗に汚れを残します。
将軍、トランプの家でさえ豚小屋です。
私はフラスコから飲みながらレポートを書いています。
大きな断崖を生き延びた人々のために
人生は一枚の紙を残す。

出典: https://lit-ra.su/iosif-brodskiy/pismo-generalu-z


Z将軍への手紙


Z 将軍への手紙 ヨシフ・ブロツキー (訳 池田嘉郎) 「戦争は、閣下、空しい遊戯です。 今日は――成功、明日は――穿孔・・・」 ラ・ロシェル包囲戦の歌 将軍!われわれの地図は――糞です。私は降ります。 北は全然ここじゃなく、北極圏にあるのです。 赤道も広いのです、あなたのズボンの飾り筋よりも。 なぜかといえば前線は、将軍、南にあるのです。 こんなに距離があればどんな命令でも 無線機がブギウギに変えるでしょう。 将軍!混乱は無秩序になりました。 ぬかるみは予備軍を届けることを許しません 下着を替えることも:シーツは――やすりです; これが、お分かりでしょうが、私の神経にさわるのです。 これまで決して、思うに、こんなに ミネルヴァの祭壇が汚されることはありませんでした。 将軍!われわれはあまりに長く泥の中に座り込んでいるので、 虫の王が先回りして喜んでいます、 カッコウは黙っています。それでも、 どうか、カッコウが鳴くのを私たちが耳にしませんように。 メルシーと言わねばならないと私は思います、 敵が攻撃してこないことに われわれの大砲は砲塔をすくめて縮こみ、 弾丸も萎えました。ラッパ手たちだけが、 自分のラッパをケースから引き出して、 名うてのオナニストのように、 それらを幾日も磨いては、突然 音を射放っています。 将校はうろついています、操典を軽んじ、 

いろんな柄のズボンと立ち襟の制服で。 兵卒は潅木の茂みの中の乾いた場所で 互いに恥ずべき情念に身をまかせています、 それにまた決まり悪がって、真紅の旗竿をおろしているのが、 われらの独り身の軍曹。 ――― 将軍!私は常に、どこでも戦ってきました、 チャンスがどれだけ小さく、あやうくとも。 私が求めてきた星はただひとつ、 あなたの帽子に輝くものだけです。 でもいまや私は物語のあの釘のようです: 壁に打ち込まれ、頭の帽子も失いました。 将軍!残念ながら、人生は、一度です。 さらなる証拠を探さずともすむよう、 われわれはなめつくす羽目になるでしょう 自身の杯を、この地味な茂みの中で: 人生は、多分、それほど長くはないのです、 最悪のことをずるずると引き伸ばすためには。 将軍!ただ魂だけに躰が必要なのです。 魂はと言えば、知られている通り、他人の不幸を喜びません、 ここにわれわれを、思うに、連れこんだのは 戦略でさえなく、兄弟愛の渇望です: 他人の事柄に口をつっこむ方がよいのです、 もしわれわれには、自分の事柄も分からないのであるならば。 将軍!それでいまや私は慄いています。 分からないのです、なんでなのかが:恥からなのか、恐怖からなのか。 足りないから与えるのか。それとも単に――気まぐれなのか。 医者もまじない師も助けてはくれません。 なので、恐らく、あなたの料理人には 分からないのでしょう、塩がどこで、砂糖がどこだか。 

将軍!私は怖れます、われわれは袋小路に入ってしまいました。 これは身の尋の報いです。 われらの槍は錆びています。槍があること―― それはまだ標的を保障しないのです。 そしてわれらの影はわれらよりも遠くには伸びぬでしょう 日没のときにさえも。 ――― 将軍!あなたはご存知でしょう、私は臆病者ではありません。 ファイルを引っ張り出してみてください、照会してみてください。 銃弾を私は気にしません。くわえて 私は敵も、司令部も、怖れません。 囚人の証を私に貼り付ければよいでしょう 肩甲骨の間に――退役の願い出をいたします! 私は死にたくはありません 二人か三人の国王 私が間近に見たこともない彼らのために (問題は目隠しにではなく、埃だらけの日覆いにあります)。 とはいえ、彼らのために生きるのもまた私にとっては 気が進みません。二倍にです。 将軍!私は全てにうんざりです。私は 十字架行進が退屈です。私は退屈です 私の窓の中で凍り付いた情景の 山、木立、川の蛇行が。 まずいことではないですか、もし世界がその外部から、 内部の疲弊したものによって学ばれるのならば。 将軍!あなたの隊列を去ることで 私がそれを弱めるとは思いません。 そこには大きな不幸はないでしょう: 私はソリストではないですが、アンサンブルには不向きです。 自分の笛から唄口を抜き取り、 自分の軍服を燃やしてサーベルを折ります。 

――― 鳥を目にすることはできませんが、聴くことはできます。 狙撃手は、精神の渇きに倦みながら、 あるいは命令を、あるいは妻の手紙を、 枝に腰を下ろしながら、二度読みます、 そしてわれらの芸術家はさびしさから 鉛筆に大砲を向けるのです。 将軍!ただ時間だけがあなたを値踏みするでしょう、 あなたのカンヌ、突角堡、方陣、歩兵部隊を。 アカデミーではエクスタシーに耽るでしょう; あなたの戦闘と静物画は 広げることに役立つでしょう、視界を、 世界への視点を、とどのつまりは大動脈を。 将軍!私はあなたに申し上げねばなりません、あなたは まるでどこかの玄関口の入り口にいる 有翼のライオンのようだと。なぜならあなたは、ああ、 自然界にはそもそもいないものだから。 いや、あなたが死んでいるとか 敗れたとかいうことではなく――あなたはトランプの一組の中にいないのです。 将軍!どうか私を法廷に引き渡してください! 私はあなたに問題を知ってもらいたいのです。 苦しみの総和は馬鹿げたものになっています; 馬鹿げたものに躰を得させなければ! そしてその脈管を浮かび上がらせよ 何か黒いもので、何か白い地の上に。 将軍、もう一つあなたに申し上げます: 将軍ゲネラール!私があなたを選んだのはリズムのため 「死にかけていたウミラール」という言葉に寄せての――それが私にあったことなのですから、だが 神は穀粒から籾殻を終わりまでは 分かちませんでした、それでいま籾殻を 

費やすことは――うそになります。 ――― 夜に二つの街灯が灯り 貨車が朽ちてゆく荒地にて、 道化めいた衣装を中途半端に 脱いで肩章を引き剥がし、 私はじっと立ちすくみます、ライカの視線 あるいはゴーゴンのまなざしに見つめられながら。 夜。私の思考はいっぱいです、 内面も、横顔も、魔法のような一人の女で。 いま私に生じていること、 空の下、だが屋根よりも遥か高くで。 私にいま生じていること、 それはあなたを侮辱はしません。 ――― 将軍!あなたはおらず、私の言葉は いつものように、いまではあの虚無へと 向けられます、そのきわ――何か広大な、 辺鄙な広野のきわ、 その広野はあなたと私が見ることのできた 地図では、思い出されすらしない。 将軍!もしそれでもあなたに私が 聞こえているなら、つまり、広野は 何かのオアシスを隠しており、それによって 騎士を手招きしています;そして騎士とは、つまり、 私です;私は馬に拍車を入れます; 馬は、将軍、どこにも駆けはしません。 将軍!常にライオンのように戦ってきた 私は旗にしみを残します。 

将軍、トランプ札の家ですら――畜舎です。 
私はあなたに報告を書いて、水筒にしがみついています。
 大いなる虚勢を耐え抜いた人たちのために 
人生は一片の紙切れを残すのです。
 1968 年秋 

池田 嘉郎 (Yoshiro Ikeda) - 研究ブログ - researchmap
https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/108227/7207fdae0fa19ebb11b7d6fe0db6abd9?frame_id=561056
2022/03/20

ブロツキー「Z将軍への手紙」翻訳(池田嘉郎)

一つ前の項で記したとおり、現在Zの文字が翻るロシアにあって、ブロツキーの詩「Z将軍への手紙」(1968年)を思い出したと、モスクワの友人が書いていた。私は、この詩をすべて訳すことにした。その理由は、いまブロツキーを顕彰したいからではなく、そうすることで、私の友人たちの考えたことを、少しでも追体験したいからである。ヨシフ・ブロツキーは1940年に生まれ、96年に亡くなった。レニングラード生まれのユダヤ人で、72年に国外に放逐された。アメリカ合衆国に渡り、87年にノーベル文学賞を受賞した。「Z将軍への手紙」は1968年秋に、ワルシャワ条約機構軍のチェコスロヴァキア侵攻を受けて書かれたものである。訳においては、ぎこちない箇所や、作者の意を汲み取れていない箇所があるかと思う。一部、性的描写がある。テキストはhttps://brodskiy.su/pismo-generalu-z/からとった。私は、彼ら、私の友人たちを取り巻く状況が少しでもよくなるような、そのような戦争の終わり方を希望する。

ブロツキー「Z将軍への手紙」(池田嘉郎訳).pdf


ヨシフ・ブロツキー

ヨシフ・ブロツキーロシア語: Ио́сиф Бро́дский英語: Joseph Brodsky1940年5月24日 - 1996年1月28日)は、ロシア詩人、随筆家。本名ヨシフ・アレクサンドロヴィチ・ブロツキー(Ио́сиф Алекса́ндрович Бро́дский)。1987年にノーベル文学賞を受賞し、アメリカの桂冠詩人(1991-1992)にも選出された。ブロツキーはシレジア大学の名誉学位も保持していた。

ソビエト連邦時代

ブロツキーはレニングラードユダヤ人家庭に生まれる。父親はソ連海軍の写真家であった。第二次世界大戦ではレニングラード包囲戦を生き残った。ブロツキーは15歳で学校を卒業し、潜水艦乗組員養成校に入学しようとしたが希望は叶えられなかった。ブロツキーは旋盤工として働き、その後内科医になることを決意してクレスティ刑務所の死体安置所で働く。その後もブロツキーは病院、船のボイラー室、地質調査など様々な職を経験する。

この頃ブロツキーは独学で様々な内容を学ぶ。ブロツキーは英語ポーランド語を学び、チェスワフ・ミウォシュの作品翻訳を行った。それと同時に古典的哲学、宗教、神話、イギリスアメリカの詩に深い関心を持つようになる。後年ブロツキーはごみ捨て場を漁って本探しを行ったことを認めている。

ブロツキーは1957年頃から詩の著作と文学作品の翻訳を始めるようになる。ブロツキーの作品は政治色が無かった。若きブロツキーはブロツキーの作品を読んだアンナ・アフマートヴァから励まされ、影響を受けるようになった[1]

1963年にブロツキーは逮捕され、1964年に当局から寄生英語版(ロシア語: тунеядство)の罪で告発された。

ブロツキーは5年の国内流刑および強制労働が言い渡され、アルハンゲリスクで18ヶ月間服役した。エフゲニー・エフトゥシェンコジャン=ポール・サルトルといった国内外の著名人の抗議により、1965年に刑は減刑された。

1964年レオニード・ブレジネフが政権を握り、フルシチョフ雪解け期間が終了するとともに、ブロツキーの詩のうち4作がソ連で公表された。ブロツキーは検閲された作品の公表を拒絶し、ブロツキーの多くの作品は西側および地下出版で発表された。

1987年ノーベル文学賞を受賞。ちょうどロンドンのハムステッドジョン・ル・カレと昼食をとっていたときに受賞を知らされたことが、ル・カレの回顧録に記されている[2]

1989年、1964年の判決が取り消されて名誉回復された。1991年のソ連崩壊後、著作が公式にロシアで出版された。1995年、ブロツキーはサンクトペテルブルク市から名誉市民の称号を授与された。ロシア側からはたびたび帰国の誘いがあったが、終生帰国することはなかった。

1996年1月28日、心臓発作のためブルックリンの自宅で死去。55歳没。遺体は、紆余曲折を経て1年後にヴェネツィアサン・ミケーレ島に埋葬された。

アメリカで

ブロツキーは1972年6月4日にソ連から国外追放され、1980年にはアメリカの市民権を得た。ブロツキーはミシガン大学で教鞭を執り、その後コロンビア大学ニューヨーク市立大学クイーンズ校スミス大学、イギリスのケンブリッジ大学の客員教授でもあった。マウント・ホリヨーク大学の文学教授でもあった。

受賞歴

邦訳

  • 沼野充義 訳『大理石』白水社、1991年3月。normal 
  • 金関寿夫 訳『ヴェネツィア・水の迷宮の夢』集英社、1996年1月。 
  • 沼野充義 訳『私人 : ノーベル賞受賞講演』群像社、1996年11月。 
  • たなかあきみつ 訳『ローマ悲歌』群像社、1999年3月。 
  • ヨシフ・ブロツキー(詩)、イーゴリ・オレイニコフ(絵) 著、沼野恭子 訳『ちいさなタグボートのバラード』東京外国語大学出版会、2019年11月。  
  • 加藤光也、沼野充義、斉藤毅、前田和泉、工藤順 訳『レス・ザン・ワン 詩について 詩人について 自分について』みすず書房、2025年5月。 

全集収録・雑誌掲載など

[編集]
  • 長谷川四郎 訳「ユダヤ人墓地」『みすず』1969年6月。
  • 篠田一士 編『世界の文学』37巻(現代詩集)、集英社、1979年。(川村二郎小平武訳)
  • 加藤光也 訳「ダンテの影のもとで」『新潮』1988年1月。
  • 沼野充義 訳「特集ヨシフ・ブロツキー 言葉が私に耳打ちする」『中央公論文芸特集』1991年3月。
  • 沼野充義 訳「父をしのんで オーストラリア」『すばる』1996年4月。
  • 沼野充義・竹内恵子 訳「特集ヨシフ・ブロツキー 甦る言葉の力」『すばる』1997年11月。
  • 岡林茱萸『ロシアの詩を読む:銀の時代とブロツキー』未知谷、2017年8月。
  • 亀山郁夫 訳「愛」 / 亀山郁夫、エリス俊子 編『愛、もしくは別れの夜に』名古屋外国語大学出版会〈Artes MUNDI叢書 世界文学の小宇宙3〉、2023年3月。

脚注

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  1. ^ I・バーリン 著、福田歓一河合秀和 編『バーリン選集』 2 時代と回想、岩波書店、1983年9月、227頁。国立国会図書館書誌ID:000001637698 
  2. ^ ジョン・ル・カレ 著、加賀山卓朗 訳『地下道の鳩─ジョン・ル・カレ回想録』早川書房、2017年3月15日、188-190頁。ISBN 9784152096746 

参考文献

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  • 竹内恵子『廃墟のテクスト : 亡命詩人ヨシフ・ブロツキイと現代』成文社、2013年3月。ISBN 9784915730962 
  • 沼野充義『亡命文学論』(増補改訂版)作品社〈徹夜の塊 1〉、2022年4月(原著2002年)。ISBN 9784861827990 

外部リンク

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