2024年12月29日日曜日

2024年&ムービー1振り返り!【おまけの夜】

https://www.youtube.com/live/0qWRJ4upBOU?si=sc0kLAzA0-DBk6Nn

15:30
籤引きは重要なシステム

1:53:00
高畑勲は『アニメーション、折りにふれて』等でもファンタジーがイメージトレーニングにならないと批判しているが、
わかりやすい明示的なナウシカ批判は『山田くん』の時のドキュメンタリーにある。
YouTubeでは削除されてしまったが以下書き起こしてみた。
高畑勲、ファンタジー批判で検索すれば出てくるかも。

高畑勲
「言ってしまいますけど(『ナウシカ』を)批判したいんです。ってことは二つに分けて批判したいんです。ひとつは、えっと、圧倒的なもの凄い力のあるファンタジーであるってことについてはもう完全に脱帽します。けど、しかし、あれしか見ない人がね、《自然と人間》の関係ということついて、若者なんかがすごい誤解をしているって思うんですね。あれが本当かどうかもすごく怪しいと、その、いや僕は本当じゃなくて間違いだと思ってますけど、はっきり言いますけど。ファンタジーの中で愛とか勇気とか正義とかっていうのも言いますね。けれどそれは現実を生きるためのイメージトレーニングにはなりませんって僕はもう断言したいんです。」

2024年12月27日金曜日

「お引越し」4種の海外版ビジュアル解禁、相米慎二の演出捉えたメイキング映像も - 映画ナタリー

「お引越し」4種の海外版ビジュアル解禁、相米慎二の演出捉えたメイキング映像も - 映画ナタリー

「お引越し」4種の海外版ビジュアル解禁、相米慎二の演出捉えたメイキング映像も

12月27日に封切られる相米慎二の「お引越し(4Kデジタルリマスター版)」より、4種の海外版ポスタービジュアルが到着。あわせて1993年の初公開時に読売テレビで制作・放送されたメイキング映像の一部がYouTubeで公開された。

ひこ・田中による児童文学を実写化した本作は、両親の別居から家族の危機に揺れる小学6年生の少女・レンコを描いた作品。オーディションで選ばれた公開当時12歳の田畑智子がレンコを演じたほか、父親のケンイチ役に中井貴一、母親のナズナ役に桜田淳子、担任教師役に笑福亭鶴瓶が扮している。

撮影監督の栗田豊通が監修した4Kデジタルリマスター版は、2023年に第80回ヴェネツィア国際映画祭のクラシック部門に出品され、最優秀復元映画賞を受賞。その受賞をきっかけに世界中で新しい観客による相米の再評価の波が訪れているという。ヨーロッパ各国や北米で注目され、中でもフランスでは130館以上にまで拡大公開された。

アメリカ公開時に現地で反応を目の当たりにした栗田は「私はアメリカの劇場で、若い観客が活き活きと反応している姿を見ました。公開当時、日本のポスターはレンコのほっぺたをナズナとケンイチが引っ張っているデザインでしたが、今回のフランス版、アメリカ版、台湾版、イタリア版と絵柄が全然違うのが面白いですよね」とコメント。

さらに「今回の4K版の日本のポスターは新しい日本の観客に向けて家族、夫婦関係と個人の課題を三角形のテーブルを囲んでデザインされていています。女性にとってはキャリア形成や社会進出についての物語でもあり、日本での1990年代ではちょっと早いテーマだったのかもしれないのです。時代が追いつき、新しい観客に発見されていくことを期待しています」と語っている。

メイキングは、今回の日本版ビジュアルでも使用された家族で夕飯の食卓を囲むシーンの撮影現場。別居することが決まっている夫婦の空気はどこかきごちなく、レンコがふいに立ち上がって「食卓で 会話の弾む 明るい家庭」と標語のように言葉を発する場面だ。当時は演技未経験だった田畑に、相米が「食べるのに一生懸命になるよりも、"明日家族がばらばらになってしまう。お父ちゃんとお母ちゃんがこんなことじゃなければいいのにな"という気持ちがもっとはっきり(演技に)出ないと」と伝える様子も確認できる。

お引越し(4Kデジタルリマスター版)」は東京のBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほか全国で順次公開。相米による「夏の庭 The Friends(4Kリマスター版)」も同時公開される。

映画「お引越し」メイキング映像

©1993/2023讀賣テレビ放送株式会社 原作:ひこ・田中「お引越し」

「お引越し」「夏の庭 The Friends」4Kデジタルリマスター版 予告編

相米慎二の映画作品

リンク

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相米慎二監督『お引越し』『夏の庭 The Friends』4Kリマスター版 公式さんによるXでのポスト

https://x.com/somaifilm_4k/status/1872448993218937053?s=61

 
 
相米慎二監督『お引越し』『夏の庭 The Friends』4Kリマスター版 公式
⁦‪@somaifilm_4k‬⁩
◌𓈒𓐍𓂃
映画『#お引越し
貴重なメイキング映像 📽
         𓂃◌𓈒𓐍

後世の映画人から熱烈に支持される
#相米慎二 監督の演出方法が明らかに!

中井貴一、桜田淳子、田畑智子が
食卓を囲む、30年前の公開当時の
貴重なメイキング映像🎞

▼詳細▼
natalie.mu/eiga/news/6055… pic.x.com/2xIfJzNggs
 
2024/12/27 10:06
 
 

DepressedBergmanさんによるXでのポスト コッポラ

映画『パドレ・プロジェクト/父の影を追って』公式サイト

映画『パドレ・プロジェクト/父の影を追って』公式サイト

映画『パドレ・プロジェクト/父の影を追って』公式サイト

コロナ禍の真っ只中、2歳で生き別れた父を探してイタリアへ
"ハーフ"として日本で育った監督が自らの旅を記録した、
ルーツを巡るドキュメンタリー

日本人とアフリカ人の間に生まれ、日本で生まれ育った武内剛(たけうち・ごう)は2歳のときに父と生き別れになった。「若い頃は映画監督を目指していた」という母の話から浮かび上がるのはクリエイター気質の父の姿。その影を追うように、エンターテインメントの世界で活動していたが、2020年に予期しない契機が訪れる。「COVID-19」それは命を落とす可能性もある正体不明のウイルスの世界的なパンデミックだった。もしかすると、もう二度と父親に会えないかもしれない――そう思った剛は父を探すためにイタリアへ旅立つことを決意。さらには、その記録を映画にすることに。

しかし緊急事態宣言の只中、渡航のハードルは高く、認知症の母から聞き出せる父の情報は驚くほど少ない。手元にあるのは40年前の父の写真だけ。10日間という限られた滞在期間、イタリアの人口・約130万人の中から会ったこともない一人の肉親を探し出すのは予想以上の困難を極めた。日本で"ハーフ"として育った自分自身の過去にも向き合いながら、異国の地で必死に捜索を続ける剛だったが、ある日ついに父親の手がかりを掴んで……。

1980年11月16日、愛知県・名古屋市生まれ。日本人の母とカメルーン人の父のMix。2004年に渡米、2012年までニューヨークで暮らす。演劇学校「HB studio」で3年間演技を学び、卒業後は演劇、ミュージカル、映画等に出演、シンガーソングライターとしても活動する。日本帰国後はお笑い芸人・ぶらっくさむらいとして、SMAよりピン芸人デビュー。 音楽を使ったパフォーマンスを武器にテレビ(代表番組:エンタの神様、おはスタ など)やライブに出演し活躍する(R-1ぐらんぷり2017準決勝・第1、2回歌ネタ王準決勝進出)。2018年にサンミュージックに移籍。2020年に独立。講演活動など活動の幅を広げる中、2023年、初めて監督した映画『パドレ・プロジェクト』がニューアーク国際映画祭でワールドプレミア上映、デトロイト・トリニティ国際映画祭では最優秀国際映画賞を受賞した。

『パドレ・プロジェクト』は物心ついた頃から心の片隅にありました。
僕の褐色の肌は、未だ見ぬ父の存在を嫌でも思い出させました。反抗期を迎えると、女手一つで育ててくれた母に背を向け、日本を憎むようになりました。「映画監督を目指していた」「DJをしていた」―― 母がボケる前に教えてくれた父の断片的な情報を辿るように、エンタメの世界に飛び込んだ僕は、ついに結末のわからない旅に出る決意をしました。
誰もが少なからず自分の家族について、悩みや問題を抱えているのではないでしょうか。親子の関係とは何かを捜索している人、心に蓋をしたままの何かを抱えている人、また、画一性を求められる社会の中で生きづらさを感じている人へ、この映画が人生を動かす勇気を与えられることを願っています。

撮影監督

成富 紀之

Noriyuki Naritomi

1983年10月7日、東京都出身。19歳で日活芸術学院へ入学、美術と録音技術を学ぶ。卒業後、出版社で写植のアルバイト、制作会社でドラマの装飾のアルバイトを経て、22歳のときに武蔵野美術学院へ入学。イラストを学んだのち、卒業後はフリーの映像作家として活動。起業CM、舞台、ドラマ撮影等を手がけるほか、数多くのドキュメンタリーを自主制作している。主な担当作品として、『花とアリス殺人事件』(2015年/コンポジット作業で参加)、キュウソネコカミ「NO MORE 劣化実写化」MV(2017年/メイキング撮影)などがある。また、2015年より自身のYouTubeチャンネルで開始した「100人のドキュメンタリー」企画では、第35回『とても幸福な障がい者』の撮影をスウェーデンにて敢行。2020年には、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系列/7月11日放送分)にて、第25回『山奥ニート』前後編が取り上げられた。

沖縄

1月25日 (土)

14:30開場
15:00開演

会場情報

沖縄

1月26日 (日)

13:15開場
13:30開演

会場情報

監督・プロデューサー:武内 剛

撮影監督:成富紀之 構成:吾妻蓮

整音:藤木和人 カラリスト:星子駿光 音楽:青木晋太郎 通訳:Compagnone Francesca
 字幕:三浦アーク /Elly/Maxwell Powers デザイン:鈴木篤史
配給:ミカタ・エンタテイメント 宣伝協力:Xhora

2023年/ 日本語・英語・イタリア語 / カラー / 80分 / 16:9 / Stereo

大原綜合事務所

株式会社おおきに ありがとう市場 野寄聖統

NOVE,

株式会社リライフテクノロジー

株式会社 On-do

弁護士 吉川幹司

医療法人 やまびこ会

コースター美術館

Allyin project

石森法律事務所 弁護士 石森博行

吉田 隆

Aoki

Masahiro Ishizuki

Takeoka Takayoshi

Yoshio Matsunaga

2024年12月25日水曜日

『陪審員2番』感想(ネタバレ)…都合のいい結末はやってこない | シネマンドレイク:映画感想&レビュー

『陪審員2番』感想(ネタバレ)…都合のいい結末はやってこない | シネマンドレイク:映画感想&レビュー
「陪審員2番」をU-NEXTで視聴 https://video-share.unext.jp/video/title/SID0160686?utm_source=com.apple.UIKit.activity.CopyToPasteboard&utm_medium=social&utm_campaign=nonad-sns&rid=P0001914997
https://cinemandrake.com/juror2

『陪審員2番』感想(ネタバレ)…都合のいい結末はやってこない

都合のいい結末はやってこない…映画『陪審員2番』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Juror #2
製作国:アメリカ(2024年)
日本では劇場未公開:2024年にU-NEXTで配信(日本)
監督:クリント・イーストウッド
DV-家庭内暴力-描写

陪審員2番

ばいしんいんにばん
『陪審員2番』のポスター。

『陪審員2番』物語 簡単紹介

ジョージア州で出産間近の妻と暮らすジャスティン・ケンプは、ある事件の陪審員に選ばれる。それはひとりの女性が道路の橋の脇下で無残な姿で発見されたという事件であった。検察は殺人と考え、容疑者として法廷に立たされたのがその被害女性の恋人であった男性だった。直前にいたバーで被害女性に乱暴な言動をふるっているのを目撃されていた。しかし、裁判でその話を聞いたジャスティンは自分の記憶が蘇る。

この記事は「シネマンドレイク」執筆による『陪審員2番』の感想です。

『陪審員2番』感想(ネタバレなし)

クリント・イーストウッド監督作を劇場で観たかった…

"クリント・イーストウッド"監督の最新作、日本で劇場公開ならず!

そんな失望のニュースが年末を控えた日本の映画ファンに届けられました。

語るまでもないハリウッドの巨匠となった"クリント・イーストウッド"。何度も引退の予感を漂わせていましたが、2021年に監督&主演作の『クライ・マッチョ』を手がけ、「ああ、この人は映画に骨を埋めるつもりなんだな」と実感したのでした。

まだ映画作りをするのであっても、2024年で94歳。いつ最期の作品になってもおかしくない。そんな見守りの気持ちでいるしかない私たち観客ですよ。

その"クリント・イーストウッド"監督が2024年に命を削ってもう1作、映画を作ってくれたのです。

それが本作『陪審員2番』。原題は「Juror #2」

そんな老齢の名監督が渾身の力を振り絞って送り届けてくれたこの映画…日本では劇場未公開で配信スルーです。「U-NEXT」で独占配信されることになりました。

正直、嫌な予感はしていました。日本ではワーナー・ブラザースの動画配信サービスである「Max」はこれまで展開しておらず、最近になって「U-NEXT」と提携を結ぶ形で展開が始まりました。「Max」でのみ扱われる作品がやっと日本でもまとめて観やすくなり、これはこれで嬉しい話だったのですけど、懸念事項がひとつ…。つまり同時に、ワーナー・ブラザースの新作映画を劇場ではなく配信に移す場も出来上がったということです。

そして…案の定ですよ。

これは別に「日本ではクリント・イーストウッドの映画はヒットしないとみなされたから」ではないと思われます。そもそも"クリント・イーストウッド"監督作は近年も洋画の中ではそこそこ観客の入る映画でした。日本でも"クリント・イーストウッド"は根強く人気です。

じゃあなぜ?と言えば、それはワーナー・ブラザースの企業方針だから…としか…。実はアメリカ本国でも前作『クライ・マッチョ』は劇場公開と同時に「Max」(当時は「HBO Max」)での配信でも扱われていました。今回の『陪審員2番』も当初から「Max」オリジナル映画として配信する予定だったらしく、アメリカの限定的な劇場公開も「配信前の宣伝」とワーナー・ブラザース側は言い切っており、2024年12月20日に「Max」で配信されました(日本でもこの日に配信される)。

ひとりで700億円以上の報酬を貰っているワーナー・ブラザース社のCEO"デビッド・ザスラフ"は儲けしか考えていない奴なので、特大ヒット作以外は興味ないんですよ…。

たぶん今後はこういう目に遭うワーナー・ブラザース映画が増えるだろうな…。

暗くなるばかりだから、話を『陪審員2番』に戻しましょう。

この『陪審員2番』はタイトルからわかるとおり、法廷劇であり、裁判官や検察や弁護士ではなく、陪審員を主題にしています。陪審員を扱った映画と言えば、『十二人の怒れる男』(1957年)のような有名作もありますが、本作『陪審員2番』も陪審制度を通して人間の倫理観や道徳を扱っています。

詳しく述べるとネタバレになるので控えますが、個人的には90歳を超えた"クリント・イーストウッド"監督がここにきてまたズシンと来る良作を生み出してくれたな…と。「正しさ」を冷笑する輩ばかりになってしまった今の世の中に対し、「正しさから逃げるなよ」と忠告するような…そんな味わいがあって…。直球で真面目な映画を作ってくれました。

『陪審員2番』で主人公を演じるのは、『ザ・メニュー』『レンフィールド』、ドラマ『THE GREAT エカチェリーナの時々真実の物語』などで活躍の"ニコラス・ホルト"。何かと不憫な役や糞野郎な役にハマる俳優ですが、今回も"ニコラス・ホルト"らしい役柄でした。

共演は、ドラマ『パワー』"トニ・コレット"『レッド・ワン』"J・K・シモンズ"、ドラマ『ナイト・エージェント』"ガブリエル・バッソ"『ノット・オーケー!』"ゾーイ・ドゥイッチ"『ゼイ・クローン・タイローン/俺たちクローン』"キーファー・サザーランド"など。

ちなみに本作で被害者女性を演じたのは、"クリント・イーストウッド"の娘である"フランチェスカ・イーストウッド"です。

『陪審員2番』を鑑賞して、"クリント・イーストウッド"による公正さに関する訓示を傾聴しましょう。

『陪審員2番』を観る前のQ&A

✔『陪審員2番』の見どころ
★正しさの価値を真面目に描き切るストーリーテリング。

✔『陪審員2番』の欠点
☆劇場公開されない…。

鑑賞の案内チェック

基本 恋人間の暴力を描くシーンがあるほか、無残な遺体を映す描写がわずかにあります。また、アルコール依存症を描いています。
キッズ 3.0
子どもにはシリアスすぎる物語です。

↓ここからネタバレが含まれます↓

『陪審員2番』感想/考察(ネタバレあり)

あらすじ(前半)

ジョージア州サバンナにて暮らすジャスティン・ケンプは妻のアリーに子ども部屋をみせていました。可愛らしい小物や壁のデコレーションに囲まれており、アリーは感動しながら気に入ってくれました。暖かい光の差し込む窓の傍にはベビーベッドがあります。

膨らんだお腹を抱えた妻とともに庭にでて、すでに参加者でいっぱいのパーティで挨拶します。もうすぐ新しい命を迎える。その未来にワクワクしていました。

それが終わって、台所で片付けてしていると、陪審員に召集された手紙の話題になります。ジャスティンは陪審員候補に選ばれたのです。単にちょっと裁判に参加するだけだと気楽に笑い合いながら、次の日、ジャスティンは車で家を出発します。

裁判所の前では報道陣が待ち構えており、検察官のフェイスが駐車場の車から歩き出したところでした。ジャスティンは車のドアの下にフェイスの落し物があったのに気づき、拾って渡します。

その後にジャスティンは裁判所のある部屋に行き、他の人と一緒に裁判所からの説明ビデオを見ることになります。

一方、フェイスは張り切っていました。地方検事選挙にでる予定で、今回は有権者に実力をアピールできる最大のチャンスなのです。

各陪審員候補からジャスティンは陪審員2番として振り分けられます。

そして別の日、いよいよ裁判が開始。今回裁定されるのは、ケンダル・カーターの死に関する事件です。カーターは1年前に地元のバーにて恋人のジェームズ・サイスと喧嘩し、その後、橋の下で遺体で発見されました。サイスはカーターの殺人罪で起訴されることになりました。

目撃者によれば、その事件の夜、サイスは酒に酔って騒いでいたそうで、恋人のカーターに暴力的だったとのこと。カーターが怒ってバーを出て行った後、サイスが彼女を追いかけたと証言がなされます。

話を聞いていたジャスティンはすぐにある記憶が蘇ります。自分もその日の夜のバーにいたことに…。そして真っ暗闇を車で走っているときに、バーの近くの橋あたりで何かを轢いたことも…。あのときは車を降りて確認しましたが何も見つけられず、きっと鹿に違いないと考えてそのまま無視してしまいました。

まさか…カーターを殺したのは自分なのではないか…。轢き殺したのでは…。

今、自分の目の前で法廷に立っているこの容疑者の男は無実であり、本当に有罪なのは自分だ…。陪審席に座りながらも頭は大混乱です。

そんな容疑者が有罪か無罪かをジャスティンは決めなくてはいけなくなり…。

この『陪審員2番』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2024/12/21に更新されています。

善良さに委ねる社会のシステムは機能しない

ここから『陪審員2番』のネタバレありの感想本文です。

『陪審員2番』は起きる展開自体は非常に抑制的で、シンプルな法廷劇ですが、道徳的・倫理的なジレンマを通して「正しさ」に誠実に向き合う真面目な物語でした。

"クリント・イーストウッド"監督の手腕はもう言うまでもないのですけど、今作はオリジナルで脚本を手がけた"ジョナサン・エイブラムス"という人の仕事も評価したいところ。実に良いスクリプトを用意したものです。この人、2024年にロックバンドの「ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース」が関与した『The Heart of Rock and Roll』というミュージカル劇を手がけたくらいで他にキャリアは見当たらないのですが、さりげなく急浮上の脚本家になるのではないでしょうか。

『陪審員2番』は法廷劇として淡々と始まりますが、序盤で一気にサスペンスの設定を全部明かします。陪審員に真の犯人がいる…。逆にこれ以上のサプライズはありません。徐々に明かされるミステリーなどではなく、次から次へと予想外の展開が起きるという技も駆使しません。後は100分以上ひたすらに葛藤させるだけです。

この主人公のジャスティンがまた絶妙な人柄で、序盤は本当に「善良な人」という感じの佇まいです。妻に献身的ですし、見ず知らずの他人の落し物も拾い、常に律儀です。絵に描いたような模範的人物像と言えます。

でも例のケンダル・カーター死亡事件の過去が明らかになると一転します。ここでジャスティンの人としての、何というか、姑息とも言える面がこぼれ出るわけです。どんなに善良であろうとも人間の内側には存在するジレンマゆえの決断の留保…みたいなものが…。

当初のジャスティンは、自分のせいで無実の人が有罪になるのは良心が苦しいのでジェームズ・サイスについては無罪にしようと考えつつ、でも自分自身に疑いが向けられないようにもしようという、非常にご都合的な結果を求めます。「私がやりました」と自白する気はなく、うやむやを狙っているんですね。

しかし、すぐにそれは無理だと悟ります。するとサイスを有罪にするほうへと方向を変えて画策しだします。といってもできることが限られ、陪審員同士の議論の場でなんとなく有罪な雰囲気を作ろうとするくらいでしかできません。その言動が余計に卑怯さを醸し出すのですが…。

つまり、こうなっている時点でこの陪審制度は破綻しています。陪審員の中に真の犯人がいるという想定がないからです。

そもそも今回の裁判は、検察のフェイスも地方検事選挙というキャリアを優先して不誠実な仕事をしてしまっていますし、サイスを弁護する公選弁護人エリックも雑な仕事しかしてません。

だからこその陪審員の出番なわけですが、結構意外なことに今回の陪審員たちは途中までいい仕事をします。元刑事がいたり、医療に詳しい人がいたりで、「あれ、この人たちだけで真犯人に辿り着けるのでは?」と思ってしまうくらいに奮闘します。それゆえにジャスティンが内心ではあたふたしていくのがちょっとユーモアもあるのですけど。

ところが最終的にはサイスの有罪が確定します。選挙みたいに投票でギリギリまで粘るも、(当人たちは知らぬことですが)不正義の結果を下してしまうのです。

要するにこれは社会システムの敗北です。民主主義であろうとも、優秀な人員を揃えても、不正義を招いてしまうことがある。

『陪審員2番』ではそれを陪審制度という司法の場で風刺した寓話であり、同じようなことは現実社会であちこちで起きていると思います。例えば、品位がないどころか不正や犯罪行為をしでかした人が政治選挙で当選してしまうとか。

この社会で経験することは避けられない、善良さに委ねたシステムの無力さを突きつける物語でした。

ラストの意味

しかし、『陪審員2番』はエンディングでひっくり返します。今まで淡々と無力さを噛みしめさせられた中、最後の最後で仕掛けてきます。おそらくこのラストこそこの映画の真骨頂なのでしょう。

サイスを有罪にして陪審員を終えたジャスティン。薄々はジャスティンが怪しいと気付き始めたフェイスと対峙するも、「結果は結果なんだからこれを受け止めるしかない」的な発言をして、事実上、共犯のように言いくるめようとします。ここでもズルいです。墓参りとかしてますが、「家族を守る」を言い訳にし続けています。

しかし、無事に赤ちゃんが出産できて暖かい家庭を築いていたジャスティンの家の玄関の前に現れたのは、神妙な表情のフェイスでした。ここで映画は終わります。

曖昧なラストですが、同時に避けようのない解釈を匂わすラストでもありました。地方検事に選出されたフェイスが庶民であるジャスティンのところに無駄話をしに来たり、単純な聞き込みをしに来るわけがありません。普通に考えればあのケンダル・カーター事件絡みです。逮捕しに来たのか、自首を促しに来たのか、それはわかりません。でもフェイスは黙殺しないことにしたようです。彼女のほうが先に善良な正義を果たそうと決意したのでしょうか…。

よくよく考えると今回の事件は真実が観客に提示されません

ジャスティンが結局犯人なのかもわかりません。本人はアルコール依存症だった過去があり、あの夜は酒を飲んでいないと主張していましたが、妻の前でのその弁解はあからさまに動揺していました。嘘なのか、本当に記憶が無いのか…。

サイスが本当に殺害した可能性だってあります。彼の無実を証明するものもないです。もしかしたら、サイスが被害者を殴って意識不明で路上に放置し、その後にジャスティンが轢いたのかもしれません。そうなると複雑な加害事件です。

真実を明らかにする手段はひとつだけ。ちゃんと捜査することです。ここからが本当のドラマの始まりです。簡単な捜査にはならないです。難航するでしょう。でもやらないといけない。なぜならそれが正義の果たすべき義務だから。そしてそれをジャッジする陪審員もまた選ばれるでしょう。次は正義を下せるでしょうか?

『陪審員2番』は「正しさからは逃げられない」という揺るぎない姿勢をみせるラストでした。この「正しさ」を絶対に切り捨てない信念というのは、"クリント・イーストウッド"が監督作で一貫して描き続けたことだったと思います。

今作はとくに英雄像の型にハマらない凡庸な人物だけで成り立たせているのが良かったです。

社会のシステムが機能しないからといって、正しさの価値まで損なわれるわけじゃない。むしろだからこそ正しさは問われるのだ、と。そして誰でも正しくあることはできるだろう、と。

安直に「正しさ」を冷笑していい気分に浸る輩ばかりになってしまった今の世の中、そんな愚か者には絶対になるなよと言っているような映画でした。

『陪審員2番』
シネマンドレイクの個人的評価
8.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)

関連作品紹介

クリント・イーストウッド監督作の感想記事です。

・『リチャード・ジュエル』

作品ポスター・画像 (C)Warner Bros. Pictures ジュア2

以上、『陪審員2番』の感想でした。

Juror #2 (2024) [Japanese Review] 『陪審員2番』考察・評価レビュー
#アメリカ映画2024年 #クリントイーストウッド #ニコラスホルト #トニコレット #JKシモンズ #ゾーイドゥイッチ #法廷劇 #アルコール依存症

映画『オデュッセイア』でクリストファー・ノーランは何を撮ったのか? | WIRED.jp

映画『オデュッセイア』でクリストファー・ノーランは何を撮ったのか? https://wired.jp/article/odyssey-review-ryo-yoshigami/?utm_source=twitter&utm_medium=social...