2025年6月26日木曜日

「粉屋の話」とプロコル・ハルム「青い影」/そしてmiller's daughter | 流す日々

「粉屋の話」とプロコル・ハルム「青い影」/そしてmiller's daughter | 流す日々

「粉屋の話」とプロコル・ハルム「青い影」/そしてmiller's daughter

プロコル・ハルムの「青い影」は、荒井由実・ジョン・レノンなど内外の(ロック)ミュージシャンに影響を与えた至高の名曲と言っていい。当初からバッハの影響が語られた。「カンタータ114番」あるいは「管弦組曲第3番ニ長調」第2曲(いわゆる「G線上のアリア」)がモチーフになっている、と。個人的には後者と思う。

ともあれ、今日語りたいのは詞の方である。実は意味がいまいち良く判っていなかった。fandango(スペイン風舞曲)Vestal Virgins(処女神ヴェスタの巫女)と調べてもだ。

As the miller told his tale

That her face,at first just ghostly

Turned a whiter shade of pale

ファンダンゴを踊っているのになんで粉屋(miller)が出てくるのか。麻薬の売人という説もあるようだが、the miller'tale(粉屋の話)とはプロコル・ハルムの母国イギリスでは特別な意味があるようだ。我々も世界史で習う14世紀の詩人チョーサーの「カンタベリー物語」にそういう章The Miller's Taleがあり,浮気女の話という。つまり、この詞は、ダンス相手の女の浮気が暴露されて、幽霊のような顔がより青ざめた、というのが正しい解釈のようだ。初めて聴いてから実に半世紀以上経ってようやく詞の意味を理解できた気がする。上記下線部分はこの曲の原題ともなっており、これを「青い影」と訳したのは、わけが分からないながらも、逆に、ミステリアスで悪くない。

しかし、だ。現上皇が美智子さまとご成婚の時、miller's daughterと言われ、大製粉会社社長令嬢も、英語だと「粉屋の娘」なのかと思った記憶がある。「浮気女」と揶揄したのかと思うのは下衆の勘繰りか。というのは、カンタベリー物語、The Miller's Taleの前のお話がThe Knight's Tale(騎士の話)であり、そこでは「宮廷の愛」について語られているからだ。ハリウッド映画「猿の惑星」の原作者は、「猿は日本人を揶揄したもの」、というのが既に定説となってもいる。

0 件のコメント:

コメントを投稿

【坂東玉三郎】「こだわりに向かって努力しただけ」完全版

【坂東玉三郎】「こだわりに向かって努力しただけ」完全版 youtu.be