2025年8月8日金曜日

松本清張の「砂の器」を歩く(伊勢、大阪)

松本清張の「砂の器」を歩く(伊勢、大阪)

松本清張の「砂の器」を歩く(伊勢、大阪)

「昭和35年4月のある日、私はデスクに呼ばれ、次の夕刊小説は松本清張氏の推理小説でゆくから君が担当してくれ、今から一ヶ月はある、詳しくは清張さんと打ち合せるようにといわれた。当時の朝刊小説はベテランの作家、吉川英治、獅子文六、大仏次郎、石坂洋次郎、石川達三氏等が交互に朝日、毎日、読売の三社に書き、二、三年先まで約束されていた。しかし夕刊小説の舞台だけは新進作家が登用され、源氏鶏太氏の"実は熟したり"、檀一雄氏の"夕日と拳銃"などが好評だった。そのため次の夕刊小説は誰が書くのか、各社の文壇記者の間では注目のマトだった。……挨拶は抜きで間髪を入れず、「新聞で推理小説を試みるのは初めてなので僕も真剣です。毎日読者に飽きさせずに読ませるのは相当の工夫を要します。ですから新聞の持つ機能をフルに利用出来るようにして下さい。作者、さし絵(朝倉摂氏)、編集者の三位一体となって協力すれば成功に漕ぎつける自信はあります」と清張さんは確信を持っていう。私は即座にこれはイケルと思った。……最終回の羽田空港の場面は朝倉摂さんと三日も調べて場所を設定するなど、小説の盛り上げに努力し、三百三十七回は好評のうちに終った。いまから十一年前のことだが、つい昨日のことのように懐しく思い出されます。」

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