2025年8月4日月曜日

DepressedBergmanさんによるXでのポスト

 
 
DepressedBergman
⁦‪@DannyDrinksWine‬⁩
Akira Kurosawa explains why the antagonist in 'High and Low' (1963) ended up as a sympathetic character:

"Interviewer: You also show so much sympathy in the film toward the kidnapper.

Kurosawa: It is very funny, but I just cannot help it. I always think even the worst pic.x.com/B2OSnpg1vH
 
2025/08/05 5:54
 
 
黒澤明は、『ハイ・Low' ( 1963年)の敵役が最終的に同情的なキャラクターになった理由を次のように説明しています。

インタビュアー:映画の中では誘拐犯に対しても非常に同情的な態度を見せていますね。

黒澤:本当に面白いんですけど、どうしてもそうなってしまうんです。どんなに凶悪な犯罪者でも、自分の意見は言うべきだといつも思っています。そういう同情的な感情はなるべく避けようとしたんですが、どうしてもうまくいかなかったんです。当初、誘拐犯の山崎が家に向かって歩いているシーンでは、色々な音楽を試したんです。ところが、あのシーンでラジオから流す音楽は、より共感を呼び起こすものを選びました。観客が本当に「ああ、なんて無力な男なんだ」と感じてくれるような音楽だったんです。

最終的にシューベルトの「鱒」に落ち着きました。犯罪者に同情心を抱かせるという意図は本当はなかったのですが、演出家として抑圧された人に同情するのは自然な流れでした。結果として、完全に孤立した作品にはならなかったのではないでしょうか?(笑)

インタビュアー:では、あなたは彼の経歴や不幸に対して理解と同情を抱いていたのですか?

黒澤:部分的には。でも、私が彼を憎みきれなかった大きな理由の一つは、あの役に山崎を起用したという事実です。彼は非常に強い個性を持っていて、それが彼にとって初めての映画出演でした。当時、彼は劇団の中では目立たない存在でした。彼はとても新鮮でエネルギッシュだったので、私は彼の資質を抑えたくなかったのです。

『酔いどれ天使』の時も同じことを経験しました。あの映画では、三船はダメ男を演じていましたが、彼の魅力、エネルギー、そしてフレッシュさが主題を凌駕し、志村の役さえも覆い隠してしまうほどでした。私は三船を抑えることができず、彼の役割はどんどん大きくなっていきました。そもそも、どんな監督でも抑えられるものなのだろうか。山崎にも同じようなものを感じました。まあ、この男にサディスティックになろうとすれば、どうしても少しは同情心も湧いてくるんですよね。  |とにかく抑えられなかったんです。

インタビュアー:とても興味深いですね。彼の個性が映画の最後を支配していますね。

黒澤:ある意味、今回の出来事は私の誤算でした。三船さんも山崎さんもこれらの作品がデビュー作で、彼らの新鮮さ、個性を無視できないことは分かっていました。あまりに圧倒的で、私の力ではどうにもならない。観客もすぐに理解し、共感してくれたのです。俳優の個性によってドラマの形式が変わってしまうのは、監督の責任、誤算と言えるでしょう。おそらく私の方が間違っていたのでしょう。企画段階から、俳優の個性を事後的に考慮するべきでした。

インタビュアー:批評家としても観客としても、誤算だったとは思いません。『天国と地獄』は傑作になったと思います。

黒澤:まあ、少なくとも私は自分の自然な感覚に従っただけです。そうであってほしいですね。

(黒澤明とジョーン・メレンのインタビュー、1975年)

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