2026年1月24日土曜日

冒険物語の元祖『オデュッセイア』|きくちょ

冒険物語の元祖『オデュッセイア』|きくちょ

冒険物語の元祖『オデュッセイア』

西洋文学の原点といえるホメロスの英雄叙事詩『イリアス』についてはこちらで書かせてもらいました。
ここではホメロスのもう一つの作品と考えられている『オデュッセイア』の魅力に触れていこうと思います。
ホメロスより前に素晴らしい創作をされていた方はたくさんいたと思われますが、私たちの知る「冒険物語」の原点は紛れもなく『オデュッセイア』にあります。

『イリアス』の続編なのか

ギリシア神話をあまり知らない人は『イリアス』の続編が『オデュッセイア』なのだと安易な結論を出します。両作品とも当時は誰もが慣れ親しんだ神話をアレンジした歴とした文学であり、そういう文学からしか現代の私たちには神話を知る手立てがないために生まれた誤解です。ホメロスが何者であろうと、後に書かれた『オデュッセイア』が『イリアス』を意識した姉妹編という認識が正しいでしょう。

背景として知っておきたいこと

前記事と同様に役立つ予備知識を書き連ねます。冒険物語のため一部を除けば一度きりの登場がほとんどのため登場人物も組み込んでいます。

オデュッセウス:本作の主人公でギリシャ西部イタケの王。『イリアス』ではギリシャ軍でも指折りの頭脳派として活躍。10年かかったトロイア戦争に勝利したもののなかなか帰れない。
ペネロペ:オデュッセウスの忠実な妻でイタケの女王。夫の帰りを信じて待ち続けた。ちなみに従姉妹のヘレネはその美と浮気がトロイア戦争の原因となった。
テレマコス:オデュッセウスとペネロペの息子。父の出征時は赤ん坊だったが立派な青年に成長中。本作のもう一人の主人公といえる。
アテネ:知恵の女神。物語を通してオデュッセウスを全力でサポートする。
冥界:どの文化にも存在するであろう死後の世界。通称は冥界の神に因んで「ハデス」。当のハデスは決して閻魔大王のような冷酷なキャラではなく融通の効くそこそこいいやつなのに、お陰でイメージは悪い。ギリシャ版では一般ピーポー・VIP・重罪人にそれぞれ専用エリアがある。冒険の都合上オデュッセウスは特別に立ち寄ることを許され、『イリアス』でおなじみのあんな人やこんな人にも会う。前の時代を生きた数々の男女たちと言葉を交わすオデュッセウスの姿は今も昔も眩しい。アドベンチャーにありがちな「冥界に潜入する」「死者と交信する」モチーフの原点。
キルケとカリュプソ:魔性の女(神)たち。この二人のせいで我らがヒーローが無駄に過ごした時間はなんと8年。
求婚者たち:王の長期不在のため宮殿に居座りペネロペを妻にしようと企む108人のイタケの豪族たち。全員極悪人という訳ではないがツートップがろくでもないため当然ながら(以下略)
結末:合計24歌からなる『オデュッセイア』ですが、最後の第24歌は後の時代の誰かが付け加えたとされるエピローグだと考えられており、第23歌で良い感じに完結しているので学者によっては本編から省くこともあります。ただし24の冒頭は『イリアス』にも通じるエモい話なのでそこについては一読の価値はあると筆者は思います。後はご自由に(笑)

ここが見所

冒険物語なだけあって、軍記物の『イリアス』より格段に読みやすいです。怪物、部下、神々、敵、味方、そして自分。主人公オデュッセウスを軸に進められる色鮮やかな展開に飽きることはありません。オデュッセウスが自身の弱さと向き合いながら成長し難題に立ち向かっていくのが魅力的です。ウルッとくる場面もちらほらあります。

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