九歌
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全11篇から成る:
- 東皇太一 - 至高神への頌歌
- 雲中君 - 雲の神を讃える
- 湘君 - 湘水の男神への思慕
- 湘夫人 - 湘水の女神との別離
- 大司命 - 寿命を司る神
- 少司命 - 子孫を守護する神
- 東君 - 太陽神の巡行
- 河伯 - 黄河の神との交歓
- 山鬼 - 山中の精霊との出会い
- 国殤 - 戦没将士を悼む
- 礼魂 - 終曲の送神歌
東皇太一
よき日、よき時、 謹んで上皇をたのしませましょう。 長剣と、その玉の柄とを手にとれば、 すずやかな音をたてて玉は鳴る。 瑶草を編んで作った敷物と美しい玉の宝器。
香り草を手にかざして、御霊を招きましょう。 香りのよい肴を、蘭の皿に盛って薦め、 桂の酒と山椒のスープを御前に捧げましょう。 バチを高く揚げて太鼓を打ち、 □□□□□(一句脱落があると思われる) ゆるやかな節回しにのって穏やかに歌い、 ふえやことを並べて大いにうたう。 巫女はしなやかに美しい衣裳をなびかせて舞い、 踏みしだかれた芳草の香りが堂一面に満ち広がる。 重層音の壮大なハーモニーの中、 降りたもうた御霊はよろこばしげに、楽しみくつろぐ。
雲中君
蘭湯に溶みし香正に髪洗ひ
五彩の衣に杜若の花を飾って神を迎へる。
神霊はうねりつい降りて立どまった
光り輝いて限りなく照らす。
はて、どうしたものか、まいよ宮居に安んじ
日月と共に輝かう。
龍車に乗り上帝の服を着て
まづ、ふはりゝと遊び廻らう。
(再び巫に戻った様子で)
神霊は輝いて降ったが
忽ち雲中に遠く擧つた。
共處からは冀州の外まで見え
四海のはてまでも行くであらう。
かの雲中君を思うて溜息をつき
くよゝと心を痛めるばかり。
湘君
タベ北渚に宿れば、
鳥は屋上に止まり
水は堂下を旋る。
まゝよ、吾が映を江中に捐(す)て
吾が佩物(おびもの)も澧浦に棄て、
芳洲の杜若を探って
いざ君の侍女に贈らう。
好機は再び得られない
まあ、ぶらゝしながら、 のびゝと暮さう。
東君
朝日は赤々として東の空に出ようとし、扶桑にある我が宮殿の欄干を照らしはじめている。
わたしの馬を撫でてやり、静かにさせて駆けだすと、夜は白々と明けて、もう明るく輝いている。
竜に車を引かせて雷雲に乗り、雲の旗をひらめかせて、ゆらゆらとたなびいている。
わたしは大きな長いため息をついて、いよいよ一気に天に上ろうとすると、心は去りがたく後ろのほうを振り返る。
ああ、歌声や美しい巫女の私をなぐさめる、見るものは皆心安らかに帰るのを忘れる。
張りつめた瑟の糸を締め、鼓をかわるがわるに打ち交わし、鍾をうち、簴(きょ)を瑤るがせる。
横笛を鳴らして、縦笛を吹けいている、そして巫女の徳すぐれてかしこく見た目が美しいことを思うのである。
巫女たちは飛びまわり、カワセミのように飛び上がる、そして詩を歌いながら舞いまわっている。
音律におうじて調子を合わせているうちに、神々がやってきて、日を蔽うように天から降りあつまる。
太陽のわたしは青雲の上衣に白霓の裳をつける、太陽光線の長矢を以て天狼星を射る。
私はそれを操って弓を持って下方へむかって降りてきて、北斗星の柄杓をとって肉桂の漿を酌むのである。
そしてわが手綱を振り上げて高く駆け上って、はるかな暗黒の中をわたしは東へと行くのである。
礼魂
祭りの礼を成しおわり、激しく太鼓を打ち鳴らす。 手から手へと花を伝え、代わる代わるに舞い踊る。 美しき巫女はうたいつつ、舞う姿もやわらいで、 春には蘭を、秋には菊をかざしておどる。 とこしなえに続く永遠の時間の中で。
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