戦争プロパガンダ映画「東京暗黒街・竹の家」1954年当時の日本が舞台! 懐かしいシーンが満載!
「東京暗黒街・竹の家」
(原題:House of Bamboo)
![東京暗黒街・竹の家 [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/51pG1Er9jvL._UF1000,1000_QL80_.jpg)
1955年7月1日公開。
異色監督サミュエル・フラーによるフィルムノワール。
戦争プロパガンダ映画?
日本の国辱映画?
興行収入:$1,700,000
脚本:ハリー・クライナー、サミュエル・フラー
監督:サミュエル・フラー
キャスト:
- ロバート・ライアン:サンディ・ドーソン
- ロバート・スタック:エディ・スパニア
- 山口淑子:マリコ
- 早川雪洲:キタ警部
- キャメロン・ミッチェル:グリフ
- ブラッド・デクスター:ハンソン
- デフォレスト・ケリー:チャーリー
- ビフ・エリオット:ウェバー
- サンドロ・ギグリオ:セラン
- 英百合子:叫ぶ日本人女性
- ハリー・ケイリー・ジュニア:ジョン
- ピーター・グレイ:ウィリー
- ロバート・クオリー:フィル
- デフォレスト・ケリー:カーリー
- ジョン・ドゥーセット:スキッパー

あらすじ:
日本の富士山麓で列車ギャング事件が起こり、アメリカ軍の兵器が 奪われ、軍曹が殺される。
東京警視庁のキタ警部(早川雪洲)はアメリカ憲兵隊と協力し、ハンスン大尉(ブラッド・デクスター)と共に捜査に乗り出す。
数日後、ギャングは東京の工場を襲い、その時傷ついた一味の1人ウェッバー(ビフ・エリオット)が逃げおくれて死ぬ。
ハンスン大尉は男の所持品の中からスパニア(ロバート・スタック)という男の手紙を発見し、その内容から、スパニアがアメリカの刑務所に入っていること、出所したら東京へ来ることなどが判明する。
またナゴヤ・マリコ(山口淑子)という日本人の女性の写真も発見され、この女はウェッバーと結婚していたのである。
東京へ来たスパニアはマリコに会い、ウェッバーが殺されたことを知る。
彼はやがてグリフとその親分サンディ(ロバート・ライアン)の組織するギャングの仲間入りをしたが、実はハンスン大尉の頼みでスパイとして一味の行動を探ることになったのである。
スパニアとマリコは次第に親しくなり、ギャングが大工場を襲撃した際、自分がスパイであることを告げてハンスン大尉への連絡を頼むようになる。
サンディ一味は次に銀行の現金輸送車を襲う計画をたてるが、マリコが事前に憲兵隊へ知らせたので失敗に帰し、スパニアがスパイであったことを知る。
そこでサンディは計略をつかって彼を警官に射殺させようとするが失敗し、かえってスパニアに殺されてしまう。
スパニアはマリコと結ばれる。

コメント:
サミュエル・フラー監督のサスペンス映画である。
この人は、ユダヤ系移民の父母を持つ、異色映画で名を馳せたハリウッド映画監督である。
タイトルからして日本を馬鹿にした作品との評価が一般的になっており、これを戦争プロパガンダ映画だと決めつける向きもあるようだ。
本作は、ウィリアム・ケイリーのFBI潜入捜査映画『情無用の街』(1948年)の舞台を戦後の東京に置き換えたリメイク作品である。
昭和の日本で、殺人事件を捜査する潜入捜査官を主人公にしたフィルムノワールなのである。
東京(浅草、月島、銀座など)、神奈川(横浜港、鎌倉など)、山梨で、43日間にわたりロケ撮影が行なわれた。
室内シーンの多くは、アメリカの撮影所に作られたセットである。
2012年にはサミュエル・フラーの生誕百年を記念して、デジタル修復版が第13回東京フィルメックスで上映された。
"これは1954年の日本で撮影された映画である"と冒頭にクレジットが出たあと、富士山が綺麗にシネマスコープの横長画面に収まる場面から、54年の貴重な風景資料になっている。
冒頭の富士山に始まり、横浜港、浅草の国際劇場、上野公園の五重塔、どこかの川に浮かぶダルマ船の群れ、皇居前、鎌倉の大仏(大仏のすぐ隣に建てたイントレからの俯瞰画面が見事)、銀座界隈、そしてラストの浅草松屋デパート屋上の遊園地に至るまで、東京近郊の名所を悉くキャメラに収めていて、当時をしのぶことが出来る映像が数多い。
日本の銭湯の女湯のシーンも出てきて、日本ならではの独特のエロスも見られる。


女性がみんな着物ばかり着ているとか、セットに書かれた日本語が変だとか、出演している日系人役者の日本語が下手くそだとか、日本の風習が正しく描かれていないとか、ハリウッドのスターだった早川雪洲の台詞すら吹替えているとか、欠点をあげつらって国辱ものだと決め付けている人たちも多かったようだ。

しかし、サンフランシスコ条約が発効した1952年から3年後の日本では、既に米国人の妾として暮らす女性には侮蔑的な視線が投げかけられていたことは、当時のリアルな生態だったのだろうし、そんな中で米国からやってきた潜入捜査官ロバート・スタックが、死んだギャングの未亡人・シャーリー山口(山口淑子)と秘かな恋愛関係を結ぶというお話を横糸に織り交ぜながら、フラーらしい直截的なアクション映画として倉庫襲撃や宝石店襲撃などを描いてゆくスピーディーな作劇には、観客を飽きさせる時間などひと時もない。

そうして導かれた浅草松屋の屋上場面では、警視庁の警官たちによる退避命令を受けた日本人客たちの整然とした退避ぶりに日本人気質が良く出ていると感心するとともに、銃撃戦が繰り広げられ始めると、デパート前の道路には野次馬根性丸出しの市民たちが鈴なりになっていて、中には流れ弾の犠牲者まで現れるという描写にも、日本人気質のもう一つの側面を見事に描き出している。
これは、国辱ものどころか、サミュエル・フラーという名監督の観察眼の鋭さに感心させられるという評価もあるようだ。
いずれにしても、戦争プロパガンダ映画の範疇に含めるべき作品とは言えないだろう。
この映画は、YouTubeで全編無料視聴可能。
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