2026年7月31日金曜日

【 特別企画 】20周年記念 スペシャル・トーク Murder, we talked ~町田暁雄さんを迎えて~ 第5部 めとLOG ミステリー映画の世界 を語る: metoLOG : The World of Mystery Movies

【 特別企画 】20周年記念 スペシャル・トーク Murder, we talked ~町田暁雄さんを迎えて~ 第5部 めとLOG ミステリー映画の世界 を語る: metoLOG : The World of Mystery Movies

【 特別企画 】20周年記念 スペシャル・トーク Murder, we talked ~町田暁雄さんを迎えて~ 第5部 めとLOG ミステリー映画の世界 を語る

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 皆さま、こんにちは。
 めとろんです。

 2026年2月15日、「めとLOG ミステリー映画の世界」創設20周年を迎えました。
 長きにわたるご声援に、心から感謝申し上げます。
 前回に引き続き、20周年記念企画町田暁雄さんとのスペシャル・トーク第5部 めとLOG ミステリー映画の世界 を語る をお送りします。
 
 ごゆっくり、お楽しみください。




● 町田 暁雄(まちだ あけお)●
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 1963年(昭和38年)東京生まれ。「日本における、刑事コロンボ研究の第一人者」。個人誌『刑事コロンボ読本―全45エピソード考察』(99)に始まり『刑事コロンボ完全事件ファイル』、『刑事コロンボ完全捜査ブック』(宝島社)ほか多くの企画・監修・著作を通じて『刑事コロンボ』の時代を越えた魅力を、倦むことなく普及されてきた「伝道師」である。
 また、プロ/アマを問わない『刑事コロンボ』ファンの梁山泊、同人誌『COLUMBO!COLUMBO!』も主宰し、作品研究の裾野を広げてこられた。
 デアゴスティーニ『刑事コロンボ』DVDコレクション『古畑任三郎』DVDコレクションの「監修」を担当。著書に『モーツァルト問―大作曲家徹底攻略問題集』(若松茂生氏と共著 東京書籍 2004)等。漫画原作『Eチェイサー: 最速電獣 超激戦!ワールドレース』(画:岡崎つぐお 情報通信振興会2002)。『私の映画史~石上三登志映画論集成』(石上三登志・著 同2012)を企画・監修。『刑事コロンボ 黒衣のリハーサル』(ウィリアム・リンク・著 論創社2013)、『アパートの鍵貸します』(ビリー・ワイルダー/I.A.L.ダイヤモンド・著 同2024)を翻訳。『ミステリの女王の冒険~視聴者への挑戦』(《原案》エラリイ・クイーン 《企画》レヴィンソン&リンク 飯城勇三・編  同2010)、『ダイヤルMを廻せ!』(フレデリック・ノット・著 同2018)で解説を担当。「協力」として『福家警部補』シリーズ(大倉崇裕・著 東京創元社)、アドバイザーとしてクレジットされた映像作品として『黒井戸殺し』(2018)・『死との約束』(同 2021)・映画『記憶にございません!』(同 2019)がある。『刑事コロンボ完全捜査記録』(監修とメインライターを担当 宝島社 2006)で本格ミステリ大賞 評論・研究部門、『刑事コロンボ読本』(編者としてクレジット 映画秘宝コレクション 洋泉社 2018)で本格ミステリ大賞 評論・研究部門、日本推理作家協会賞 評論・研究部門にノミネート。直近の話題作に『刑事コロンボとピーター・フォーク』(監修 デイヴィッド・ケーニッヒ・著 原書房2025)がある。

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 また、未撮影シナリオを扱った、ケーニッヒ氏の研究書第2弾『UNSHOT COLUMBO』では、資料や情報の提供等で協力。同書冒頭の献辞は町田氏に贈られ、まえがきでも「No one was more vital to this project than Akeo Machida, the leading authority on Columbo in Japan—if not the world. His knowledge, insight and collection of Columbo materials pale only in comparison to his generosity.」と紹介されている。
 日本推理作家協会、本格ミステリ作家クラブ会員。









2026年2月26日(木) 於:都内某所


(文責・めとろん)






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アーカイヴの重要性


めとろん:「レヴィンソン&リンクの世界」も、スタートして20年。
 最初、3年で終わるだろうなんて、余りに浅はかな見積もりでした。

町田:我々の同人誌(『COLUMBO!COLUMBO!』)も、最初は、「半年ごとに出して、3年で終わる」なんて言っていたのに、結局11年もかかってしまいましたから――そんなものかもしれません。

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めとろん:10年前の作品でも、すでに過去のものだったりして知らない人も多い。
 風化の速度が速まっていると痛切に感じます。TVシリーズ『福家警部補の挨拶』ですら、放送からあっと言う間に12年ですものね。ですから、過去の作品についてアーカイヴするということは、ものすごく意味があると思っています。

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町田:そう思います。私も、ポスト『コロンボ』として一推しの『名探偵モンク』についてだけは、2年ほどかけてnoteにエピソードガイド的な全話解説をまとめました。書いておけば、それをベースに何かにつながる可能性が生まれますから、残しておくべきものは残しておく方向がいいのだろうなと思います。
 今年の春からは、ハイドンの交響曲についても、noteでまとめはじめて、全106曲中、30曲ぐらいまで進みました。素人が素人に向けて書いた、わかりやすい全曲鑑賞ガイドが日本にはまだないもので……。ハイドンが最後の交響曲を書いたのが63才なので、3月30日の誕生日までに――同い年のうちに第1稿を書き上げたいなあ、と。なので、何とか今年度じゅうに書き終えられれば、と思っています。




『殺しのリハーサル』放映をどうやって知ったか?


めとろん:それではあらためまして、ぼくが町田さんと初めてお会いしたころや、2006年にブログを始めましたというところから始めたいと思います。

町田:私とめとろんさんがお会いする前の接点は『刑事コロンボ読本』を注文してくださったことでしたが、あれはブログ開設より前でしたかね?

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めとろん:その通りです。その後もう一段階、ぼくがヤフオクで『テキサスの五人の仲間』のVHSビデオテープを出品した時に、たまたま落札されたのが町田さんで、そのやり取りも大きかったです。

町田:そうでした、そうでした!

めとろん:『刑事コロンボ読本』を、なぽべんさんの「安葉巻の煙」ホームページで知りまして。町田さんにメールして購入して、以前からブログに記してきた通り、ひじょうに感銘を受けました。
 ある日、ヤフオクでお取引きしている相手のメールアドレスに見覚えがあるなあと……。それが、『読本』を購入した際にやり取りした方と一緒であることにはたと気づいて、「おお、これは同一人物ではないか」という。
 そこで、ブログ設立の際に、勇気をふりしぼって連絡させていただきました。(笑)

 それでは、それぞれの簡単なプロフィールみたいなところからということで。
 ぼくは、1969年(昭和44年)生まれです。今年、57歳になります。このブログを始めたのは、36歳のとき、ということになりますね。

町田:1963年(昭和38年)生まれで、63歳です。

めとろん:大先輩です。ふつうに考えて、同じ作品をリアルタイムで観ていないと思うのです。

町田:そうですよね。とはいうものの、めとろんさんの方が、古い映画などについて私よりもずっとご存知で……。知り合いの間では、「めとろんさんは絶対に年をごまかしている、古いことを知りすぎている」と言われています。

めとろん:いやいや、そんなことないです。

町田:それは、お兄さんの影響があったりしますかね。

めとろん:3歳上の兄の影響は大きいですね。ただ、もって生まれた部分も否めない。
かつて、フジテレビの「お正月・お年玉プレゼント」で、ベータマックスJ10という当時の高価なものを、「どうしても当たれ!」とハガキ3枚出して応募して、見事に当たったというのがありました。

町田:それはすごい!

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めとろん:たしか、小学校高学年くらいでした。11歳として、80年くらい。ぜったいに家では買えないものでした。

町田:私は高校1年か2年の冬にアルバイトして、足りない分を親に出してもらって、ベータを買いました。同じくSONYのJ7――名機でした。まだワイヤーリモコンでね。(笑)
 上からガチャンと出し入れして、ベータⅢモードはまだない。凄まじく画質と音が良かったのですが、当時は本当に生テープの価格が高くて。最初に録ったのは「闘牛士の栄光」のNHKでの再放送。本放送のときは、中学の修学旅行中で、旅館のテレビにかじりついて1人で見ていました。

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めとろん: NHKの放映が終わった後に、83年「水曜ロードショー」『コロンボ』が始まった時の、3週連続放映の時に録画した覚えがあります。『殺しのリハーサル』のNHK放映が85年の3月。それも録画できて、レヴィンソン&リンクを意識した機会はいくつかあったのですが、それが決定的な出会いとなりました。

町田:85年に『殺しのリハーサル』を観た時、おいくつでした?

めとろん:85年の3月23日ですから、私が中学を卒業して高校に入る直前の時期に、たまたま観たのだと思います。
 少年時代、「あかね書房」のジュブナイルのシリーズとか、とにかく推理小説が好きだったので、本格っぽいものを常に探していまして、だいたい裏切られていたのです。そんな時に『殺しのリハーサル』というタイトルをみて、これは本格ミステリーかもしれないぞ、みたいな感じで。

町田:それは、テレビ欄でふつうに見つけましたか?

めとろん:テレビ欄だったと思います。

町田:私も観たのですが、何で観られたか覚えてないんです。最初の10秒間だけ録画し損なっているので、多分やることを知って気になっていて、録らなきゃと思ってあぶなく忘れかけたんだと思うのですが、よく覚えていない……。
どうやって、知ったのか……「レヴィンソン&リンク作品」ということでは観ていないと思うんです。やっぱりタイトルだったのかなあ。
なぜチェックしたか、覚えていますか?

めとろん:タイトルで魅かれたっていう感じでしょうか。テレビ誌でもなく、当日の新聞だと思います。その前に、NHKでピーター・フォーク主演のTVムーヴィーがありますよね、『恋人たちの絆』というビデオタイトルの。

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町田:『残された日々』(GRIFFIN AND PHOENIX: A LOVE STORY)ですね。

めとろん:コロンボの「水曜ロードショー」放映の前でしたが、なぜかぼくはそれを観て大変に感銘を受けて、NHKが昼間に放送する海外ものは、当たりがあるのではないか、みたいな感覚があったと思います。
 レヴィンソン&リンクの名前を朧げに意識し出したのは、ノヴェライズ版『二つの顔』(二見書房)を、高校時代に古本屋で購入した時でした。『刑事コロンボ』をもっと観たいけれど観られない。常に「水曜ロードショー」で次にいつ何をやるかっていうのを、受け身でずっと待つ日々でしたから、古本屋で「ついに見つけた!」という感じだったと思います。

町田:なかなかやってくれませんでしたものね。

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めとろん:あの3本の後に、また放映されるのか、ひじょうに不安な時期がありました。
 さらに『特選 刑事コロンボ』を購入して、初めて他にもたくさん面白そうなエピソードがあるのを、巻頭に載っている粗めのカラー・スティール写真の数々で知りまして。

町田:もう、その辺も今となっては、なかなか伝わらないですよね。




「めとLOG」事始め


めとろん:(過去のメールを示して)2006年2月24日、これが町田さんから最初に戴いた、「ブログを拝見致しました」というメールです。それからずっと励ましていただいて。

町田:そう、この時の「町田さん」は、ものすごく感激してメールを差し上げました。
ブログを始めるに当たっての、最初の構想は、どんな感じだったんですか。

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めとろん:はい、流れとしては2方向ありまして、本当に最初の取っかかりとしては、その頃、思い立って『思いつき「悪魔の手毬唄」考』という文章を書き上げたんです。
 現在、アップされている記事の原型のような内容なのですが、当時の自分にはそれなりに達成感があって、どこかに発表できる場所はないかなと考えたんですね、若気の至りで。(笑)

 まず、権田萬治さんにメールで送ったり、今や横溝正史研究の大家である木魚庵さんのサイト「金田一耕助博物館」に載せてくれませんか、と相談させていただいたりして。
 そのアプローチに対する温かいアドバイスをもとに、自分でサイトを立ちあげることにしたんです。

 でも、ホームページの作成は技術的な自信がなくて、当時(2006年)流行り始めていた「ブログ」という形式なら行けるかもしれないと思いまして。
 さっそく、近所の本屋さんで『ブログの始め方』というような指南ムックを買ってきて、にわかの知識で初めてしまった……。

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 ちょうどその頃、海外から『ギルティ・コンサイエンス』のビデオ・ソフトを取り寄せたんです。当然、字幕無しのVHSでしたが、初めてのチャレンジでした。
 それに加えて、『殺しの演出者(VHSタイトル:謎の完全殺人)』『殺しのリハーサル』『アーカンソー物語』など、国内でソフト化されていた主要な作品は手もとにありましたので、それで何とか書けるのではないか……という、非常に安易な考えで、「レヴィンソン&リンクの世界」をブログの柱として位置づけ、始めてしまったわけです。
 ――完結まで3年ぐらいかなあなんて、気楽なものでした。

町田:3年ぐらいで終わるというのは、どこから?

めとろん:そのぐらいあればひと通り、彼らの作品を網羅できるんじゃないか…という、浅はかな考えでした。(笑)

町田:その時には、現在のクロニクル的な発想はなかったんですね。

めとろん:全く無かったです。何となく見切り発車で始めたという感じでした。

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町田:現在、レヴィンソン&リンクだけで58件の記事がありますが、その時は頭の中で、まとめるのは何作品ぐらいのイメージでしたか?

めとろん:イメージとしては、20作品ぐらいでしょうか。

町田:クロニクルまで行かなくても、手に入ったソフトについては、その都度発表していく場にしよう、というお考えではあった……。

めとろん:はい。当時は、動画サイトにアップされている作品も、今ほど多くはなかったと思います。
 幻の作品扱いだった『バニーレークは行方不明』を海外から取り寄せて、台詞を言うたびに一時停止して、英語字幕を書き出して翻訳する、なんてこともしていました。
 その後、国内ソフト化された作品も多く、隔世の感がありますよね。

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町田:仮に3年で 20作品だとしたら、年間6~7作品は書くことになりますよね。

めとろん:当初は全然、行けるつもりだったんです。(笑)
 始めた頃は、ひと月に複数の記事をアップするぐらいの勢いでした。書きたいことが溢れてくる感じで。
 初期は文体もめちゃくちゃ。語尾の感じが「~ですよね~」という風で、顔文字も多用したり、何とか「世間一般のブログ」を精いっぱい、模倣している感じでした。

町田:変わっていったのは、クイーン『驚愕の10日間』あたりからでしょうか?

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めとろん:「レヴィンソン&リンクの世界」『殺しの演出者』J・リー・トンプソン監督の『Tiger Bay(追いつめられて…)』などで、張られた伏線をひとつずつ並べて考察したりして、そのあたりから長くなっていき……めとLOG名物「長文地獄」の記事になっていきました。
 ひたすら伏線をあげつらって書いていくようなスタイルは、もう初期だけで、今はもうそこまでの気力というか、体力はないですね。
 ブログの前半は、「レヴィンソン&リンクの世界」を中心に書いていました。
 最近は、日本の映画やドラマの記事が、比較的増えていますが。

町田:「レヴィンソン&リンクの世界」を束ねた記事(『ザ・クロニクル・オブ・レヴィンソン&リンク』)を作ったのは、プラットフォームが変わった時でしたっけ?

めとろん:最初は、KDDI系列の「LOVELOG」というプラットフォームで運営していました。その途中で、いったん@niftyの「ココログ」にsecond seasonと銘打って移ったのが2010年。
 でも、どうにもインターフェースが性に合わなくて、結局、「LOVELOG」に出戻ったのが2012年です。その「LOVELOG」も、時代の趨勢には勝てず、2014年に終了になってしまった。

 そこで2018年に、現在のSeesaaブログに引っ越しました。
 『ザ・クロニクル・オブ・レヴィンソン&リンク』を最初にアップしたのはその年の12月なので、町田さんのおっしゃる通りです。
 最初のヴァージョンは、大した資料性もなくざっくりとした内容だったのが、そこから小説関係やら写真やらも入れて、各作品の項目と記事とつなげて……と、段階的にアップデートしていきました。内容的には、多少は意味のあるものになっていったと思います。
 レヴィンソン&リンクの年表の中に、なぜか小栗虫太郎『完全犯罪』を入れるとか、少々個性的ですが。(笑)

町田:でも、レヴィンソン&リンク関係だけで58の記事はすごいですよね。

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めとろん:20年間で、「レヴィンソン&リンクの世界」は、小説編が 12件と、TVムーヴィー、ドラマ、映画を含めた映像編が46件 になります。
 それを含めた記事の総数が280件。
 単純計算でいけば、一応、毎月1件の記事はアップしてきた割合にはなりますね。
 
町田:20年……そうか、ということは、私たちの出会いからも20周年……いや、『読本』を購入していただいた時から数えると21~2年ほどになりますね。

めとろん:改めてこの長い期間、いつも見守っていただいて、ありがとうございます。
 ブログ開始の1年後、2007年2月に初めてお会いしたんですよね。

町田:そう。憶えています。

めとろん:あれから、ちょうど19年ですね。

町田:お目にかかる前には、同人誌『COLUMBO!COLUMBO!』4号への執筆をお願いしていたんですね。「めとLOG」ドストエフスキー『罪と罰』の文章を読んで、「これをぜひ書いてください」と……。
 私はあれを読んで感動しました。「これは、私に完全に欠けている視点なので、参加してほしい」と思ったんです。




ブログ=日記


めとろん:あの時はお声をかけていただいて、執筆陣の方々の豪華さを鑑みると恐縮しましたが、滅多にない、光栄なことなので、あの時の精一杯で書かせていただきました。
 心から、ありがとうございます。
 ブログという媒体は、やはり「日記」の側面が大きくて、私の人生が20年間書いてある、子どもが死にかけたとか。逆に、そうじゃないと意味がないという気持ちもあるし、逆にもっと、客観的に書かなければいけないという意識もなくはない。

町田:その匙加減は悩まれるでしょうね。

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めとろん:そうですね。
 ある意味、言われるように「研究エッセイ」的な位置付けの気持ちもある。
 どなたかに、良い意味で「論理の飛躍」があると言われましたが、それも善し悪しで。(笑)

町田:ご自身でよく仰るところの『妄想』ですよね。
 でも、めとろんさんは事実は押さえた上でそれをやられていますから、ある意味で理想的だと思います。

めとろん:あくまで事実を押さえた上で、ですね。
 以前、横溝正史の『悪霊島』について、上下で原作と映画について書いた時のことです。上の原作篇の最後に、正史の兄・五郎さんについて触れたのです。
 その時はちょうど兄が脳梗塞で倒れて、身よりも少ない中で、ぼくしか対応できる人間がおらず、かなり大変な時期で、それを記事の冒頭に近況報告の形で書いたのです。
 すると、ある方から「冒頭部分を読み返してハッとさせられた」と指摘して頂けて。
 冒頭と、最後が「兄弟の話」で繋がって、呼応していることを自分としては全く意識してなくて、驚いたことがありました。

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町田:興味深いです。あることを書こうと思いつく時には、何か無意識に理由があるのかもしれませんね。

めとろん:正直、両親が亡くなった時の記事は、今ちょっと読み返しにくい。読まされる人も困るだろうな、と思うのですが。(笑)

町田:でも、そのうちにお子さんたちも読むでしょうから。残っているのはいいことだと思いますよ。

めとろん:ありがとうございます。エッセイや日記的な部分が、生きている側面もあるということで……。
 ブログの最初の頃は、伏線について書くことも多かったのですが、1回中断してから、『放蕩息子の御帰還〜「ミステリによる映像」から人間の「謎」へ〜』という記事を書いて、どちらかと言えば、ギミックとかトリックとか伏線について語るより、ドラマ的なテーマ性や全体の構造について書く、そういう流れには なったな、とは感じます。

町田:それが「めとLOG」のスタイルになりましたね。

めとろん:また、記事を書くにあたって、自分のなかでの分類がありまして。
 「レヴィンソン&リンクの世界」のような、その作家性をある程度追求したいという《論文》領域の文章と、まずは自分が「この映画が好きだ!」という気持ちを表明したい……という《紹介》領域のものがあります。
 そこまで根を詰めて、すべてを深くは追求できませんので。(笑)
 「遊び」を込めた息抜きとして、あくまで自分も楽しむ、というスタンスで書かせていただいています。

町田:そう、その緩急もとてもよいなあ、と思っておりました。

めとろん:そう言っていただけるとホッとします。(笑)
 《論文》領域では、「レヴィンソン&リンクの世界」、そして「思いつき」シリーズに代表される横溝正史・映像化作品についての文章や、フランケンハイマー監督の『セコンド』と「赤狩り」『虚無への供物』を映像化した『薔薇の殺意』から現代を照射するヨナ書とビートニクについて書いた『渚の果てにこの愛を』、最近ではクリスティー『五匹の子豚』の戯曲化『殺人現場へもう一度』とアラン・レネ『去年マリエンバートで』を結びつける……など、それなりに自分が面白いと思えるようなことを書いています。

 《紹介》領域では、『署長マクミラン』のエドワード・D・ホック原作のエピソード紹介や、短編映画『九マイルは遠すぎる』ディクスン・カーの『B13号船室』の映像化作品比較トマス・バーク『オッタ―モール氏の手』『影なき男』と『昨日消えた男』を比較してみる……など、いやあ、20年にわたり、本当に気楽に好きなことばかり、よく書いてきたものです。

町田:でも、《紹介》領域の中にもかなり深く書かれたものがありますよね。

めとろん:たしかに正直、最近では両者が融合して判別がつかないものも多くなってきました。
 あと、『福家警部補の挨拶』の記事は、めとLOG名物・血を吐くような長文なのですが、『福家警部補の挨拶読本』的な、独立した一冊のムックを作るような気分で書きました。
 そして、原作者である大倉崇裕さんに、書簡による質問をさせていただくという、夢のような機会を提供していただき、町田さん、大変にありがとうございました。

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《スペシャル企画》『福家警部補の挨拶』 ~原作者・大倉崇裕氏に、ここが聞きたい!Q & A~
 大倉さんに、原作とドラマ版について、ぜひ質問してみたいと思っていたことを、無遠慮に聞きまくってしまったのですが、本当に気さくに丁寧にお答えいただき、大変に嬉しかったです。貴重な内容になっているので、福家ファンの方でもし読んでいない方がいらっしゃれば、ぜひ積極的にお勧めしたい記事ですね。
 素晴らしい作品なのに、いまだにソフト化がされておらず、そちらも引き続き、強く要望していきたい、と思っています。

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町田:デアゴさんの『古畑』冊子用に、佐藤祐一監督に3時間にわたってインタビューさせていただいたとき、職権乱用で、30分ほどドラマ版『福家』についてもお話を伺いました。あの毎回のキレキレのエンディングから、横山克さんへの音楽のオーダー、最終回でのさんと八千草薫さんのエピソードまで、貴重なお話ばかりですので、いつか監督に許可をいただいて、「めとLOG」とジョイントする形で記事にできればなあ、と思っています。

めとろん:おお、それは恐れ多い……。ですが、いつの日かお受けできるように、さらにもっと、力をつけていきます!

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 『仮題・中学殺人事件』の記事の最初のヴァージョンでは、「なぜソノラマ文庫版で構成を変更したのか」については書かなかったのですが、自分の考えがないのは誠実さに欠けると思いまして、改訂版では加えました。辻真先先生に、コメントをいただけたのも嬉しかったです。
 唐十郎寺山修司で育ったせいか、メタフィクション的なものが大好物で、それが少年時代に『仮題』を読み、ガツンときたその衝撃たるや絶大なものがありました。

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町田:舞台でのメタ、というのには非常に興味があります。ただ、大きな意味ではなくて、例えば、シリアスな劇でも、客席を向いて笑いを取った後に、すぐシリアスに戻れるでしょう。常々、あれはすごいし、面白いな、と……。NHK版『福家警部補の挨拶』のときに、きたろうさんが突然『質問』というようなプレートをかかげている、というギャグがありましたでしょう。あれなどは舞台ではいけるんだけど、テレビドラマでは戻しにくい、というか無理がある。変身ベルトが突然腰に現れるようなものだから、あれがありだと密室だって出入りできてしまう。あと、足の悪いはずの被害者が踊ったりも――。舞台なら誰かが「お前、足が悪いんだろ」とツッコめば元に戻れる……。
 舞台の、あの「自在さ」は本当に面白いです。




「演劇的」な映画について



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めとろん:「演劇的な作品」の対極にあるような文学的と言われる作品、「よりリアルに近い作品」という話で、例えばテオ・アンゲロプロス監督の作品、『旅芸人の記録』アンドレイ・タルコスキーなどもそうですが、かえってリアルの正反対というか、ものすごく「抽象的で象徴的」な要素が強いと常々思っていまして。
「現実ではこんな画はありえない」と言うような、人工的な画ばかりなのです。
 タルコスキー『ノスタルジア』ひとつとっても、位置関係がまったく違うロケ地を、あたかも同じ場所にあるように編集で繋げていたりする。

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 それらはナチュラルな、現実を切り取ったような世界ではまるでなくて、非常に人工的で、ある意味ひじょうに「演劇的」。『旅芸人の記録』なんかも画の構図が自然じゃない。

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 テオ・アンゲロプロス監督作品では『霧の中の風景』も好きですが、リアルな現実を切り取ったみたいな言い方をされる場合もあって、それは異常なほどの「長回し」が醸す現実感だったりするのですが、「あんなに(人為的に)作られた世界ってないな」って思うのです。
 だから、人工的な世界の中に、「象徴性」であったり作者の何かを込めることで、唐突にストーリーがいきなり破綻したり、変わっていく。
 レヴィンソン&リンクの映像ミステリーなどの構築性が大好きな一方で、そういった世界に魅かれる、というのもあります。

町田:「詩」ですよね。イメージの連鎖に魅かれる、というのはよくわかります。筋は通ってないんだけど、それがつながっている……。

めとろん:例えばビリー・ワイルダーの作品などは、脚本も作り込まれた「人工的」という面では共通しているのですが、端正な完成度や整合性を突破してしまうような作品にも心掴まれる…という感じです、根がアングラ育ちなもので。

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町田:アングラ……それも私に大きく欠けている部分です。今度、いろいろと教えてください。

めとろん:いえいえ、恐縮です。
 映像として、自分たちが生きている「現実」という被写体があって、それを切り取る。その見え方・切り取り方が、作り手それぞれで違うのであって、それが面白い、ということだと思っています。だから、ジャンル分けやエンタメかアートか、それこそシネフィルかそうじゃないか……などというような垣根は、あらかじめ自分のなかに作らない方が、おそらく面白いと思っています。

町田:仕事や趣味で写真を撮るときのことを考えると、よく分かります。

めとろん:ですので、映画はエンタテインメントだから、 その筋もセリフもわかりやすくて楽しめる、最後には必ずオチがある…そうでなければいけないという感覚はあまりなくて。とはいえ、どうしても「ミステリー」というジャンルにこだわってしまう自分もいる。これは矛盾かもしれませんが……。

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 ここまで20年やってきたブログのテーマ、「ミステリー」というキーワードは、人に憑いて離れない「呪い」みたいなもの、なのかもしれません。(笑)




――次回、最終回 「第6部 レヴィンソン&リンクの世界 を語る」に続きます。


《つづく》


※次回の記事アップは、約半月後を予定しています。




プロローグ:「なるほど」と「リアリティライン」


第1部:『刑事コロンボ』を語る


第2部:『刑事コロンボ読本 -全45エピソード考察- 』を語る


第3部:好きなミステリーを語る


第4部:『古畑任三郎』を語る

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