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「七人の侍」で野武士を圧倒する菊千代を演じ、
"世界のミフネ"と呼ばれていた絶頂期の
**三船敏郎**が――
1958年9月、死者・行方不明者1000人以上を出した狩野川台風で、
静岡県伊東市の自宅周辺が一気に浸水したその夜、
暗闇と豪雨で視界も利かない中、
まず家族を高所へ避難させ、
その直後、自宅にあった小型ボートを引き出し、
逆流する濁流へ自ら漕ぎ出していった。
屋根や二階に取り残された近隣住民のもとへ向かい、
高齢者を抱きかかえ、
子どもを先に乗せ、
危険すぎると止められても耳を貸さず、
何度も何度も往復し続けたという。
軍隊時代に培った判断力と体力で流れを読み、
ただ黙々と人命を優先した。
しかも――
その行為を本人が誇ることは一切なかった。
後年、地元の証言によって静かに語られたこの話は、
スクリーンの中で命を懸ける侍を演じた男が、
カメラのない現実の災害現場でも、
同じ覚悟で動いていたことを物語る、
あまりにも出来すぎた"本物の英雄譚"である。
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