「劇場版 機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」をU-NEXTで視聴 https://video-share.unext.jp/video/title/SID0012952?utm_source=com.apple.UIKit.activity.CopyToPasteboard&utm_medium=social&utm_campaign=nonad-sns&rid=P0001914997
同時視聴
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機動戦士ガンダム
めぐりあい宇宙
…
ロマンアルバムⅢAR用台本(部分)に後半(#111~/本編1:10:15~)のみ以下の情報を数カ所追加訂正
旭屋出版フィルムコミックスⅢ
マイアニメ1982.4-5付録録音台本
◼️ガンダムⅢめぐりあい宇宙編
#1スペース・コロニー浮かぶ宇宙空間
ナレーション(以下Nと略す)「地球のまわりには巨大なスペースコロニーが浮かび人類の半数が宇宙生活者となった。宇宙世紀0079」
ビームに撃ち抜かれるコロニーの内壁。
ムサイ撃つ。ザクの編隊、ジオンの艦隊。
N「サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた」
#2 地球
大地に激突するコロニー。
N「連邦軍の新鋭戦艦ホワイトベースの少年パイロット、アムロ・レイは、いくつかの戦いを経て、いつしか、一人前の戦士に育っていった。それを、彼らの仇敵シャア・アズナブルが追う」
カタパルトより発進するザンジバル。
#3 宇宙空間・ホワイトベース・ブリッジ
計測しているマーカー。
マーカー「総員艦隊戦用意!1隻であることにまちがいはありません」
セイラ「シャアがくるんだわ」
ミライ「どうしてわかるの?」
セイラ「い、いえ、ただ・・・・・・」
ブライト「セイラ!コア・ブースター、スタンバイだ!」
セイラ「は、はい!」
ブライト「ミライ少尉、予定どおりポイントE30で加速する」
ミライ「了解!そうすれば、ホワイトベースはいかにも月に向かうように見えるわね」
出てゆくセイラを見送りながら。
ミライ「セイラニュータイプだから?」
ブライト「ニュータイプに予知能力があるとでもいうのか?」
ミライ「まさかね」
#4 同・格納庫の前・エレベーターの入口
スレッガー、セイラのあとを追う。
スレッガー「ご同道願いたいもんですな。同じコア・ブースターのパイロットじゃあないですか」
#5ザンジバル・ブリッジ
腰かけて、モニターに見入るシャア。
兵士A「木馬の推定コースが出ました。このままですと月へ向かいます」
トクワン「月だと?!?!キシリア様のグラナダへ向かうのか?」
シャア「まさかな。ひっかかったんだよ、我々は木馬はおとりだ。いまごろ、ジャブローからは主力艦隊が発進している頃だろ」
トクワン「ならば、転進して、それを......!」
シャア「本気か?我々が背を向ければ、木馬が攻撃してくる!この近くにいる艦隊は?」
トクワン「キャメル・パトロール艦隊がいるはずです」
シャア「呼び出せ」
兵士A「はっ!」
モニターに映るドレン。
兵士A「ドレン大尉!ザンジバルのシャア大佐からであります」
ドレン「ほう!ごぶさたであります、大佐」
シャア「元気そうだなドレン、また貴様の手を借りたいのだ。木馬を追っている。ちょうど貴様の艦隊の位置なら、木馬の頭をおさえられる」
ドレン「ご縁がありますな、木馬とは......。わかりました。追いつけますか?」
シャア「わたしを誰だと思っているのだ、ドレン?」
ドレン「申しわけありません、大佐。やはり大佐は宇宙のほうがお似合いですな」
シャア「お世辞かい?」
ドレン「ハハ!軌道変更、マイナス110!」
キャメル、スワメル、トクメル、3隻のムサイタイプが行く。
#6 ホワイトベース・格納庫
カイのガンキャノン108、続いてハヤトのガンキャノン109発進。
#7 ガンダム・コクピット
正面の宇宙を、アムロ、じっと見つめる。
アムロ「アムロ!行きます!」
ガンダム射出。コア・ブースター・コクピットセイラ、ふと回想する。
#9 回想・ジャブロー・ドック
セイラとスレッガー。
#10 コアブースター・コクピット
スレッガー「ふーん、あんた男の人のことで悩んでいる相が出ているよ」
セイラ「男のことではないわ。兄さんのことよ」
#11 回想・ジャブロー・内
シャア「軍から身をひいてくれないか?アルテイシア、いいな!」
去りゆくシャアをセイラが追う。
セイラ「あ…」
#12 コア・ブースター・コクピット
セイラ「こだわるのよね、父のうらみをはらすとか、この艦を沈めたいとか」
オスカ「コア・ブースター006、発進どうぞ!」
セイラ「セイラ!、006行きます」
#13 ホワイトベース・格納庫
スレッガーのコア・ブースター射出、発進。
#14 ムサイ艦・ブリッジ・宇宙空間
ドレン「いいか!一気にけりをつける!一撃でしとめるぞ!」
兵士B「大尉!ノーマルスーツを着用してください!」
ドレン「バカ、指揮官がまっさきにノーマルスーツを着られるかよ。兵たちをおびえさせてどうなるか。各機!最大戦速!」
ムサイ、6機のドム、白い炎を吹く。
#15 ザンジバル・ブリッジ
シャア「キャメル隊はどうだ?」
兵士C「ハッ!あと30秒で接触します。我も3分遅れで接触できます」
シャア「予定以上に良好だな…ドレン大尉もよくやるようになった。我々もこのまま接近して木馬を殲滅する」
#16 回想ジャブロー・内
セイラ現われる。
シャア「アルテイシアはあのとき、地球連邦軍の制服を着ていた。聰明で、争いごとを人一倍嫌っていたはずのアルテイシアが...」
シャア、ふと我に返る。
シャア「フ...再び宇宙戦艦に乗り込むな……あり得んな……………よし!第1戦闘配置!急げよ!」
#17 宇宙空間・戦闘
ドム3機、現われる。キャノン・ビームを撃つカイ。が、逆にドムの至近弾を受けて吹っ飛ぶ。
ハヤト「カイ!うかつだぞ!」
セイラの発射したビームがドムを貫く。
セイラ「ホワイトベース、援護に向かいます」
ホワイトベースのメガ粒子砲がムサイに集中する。トクメル爆発。
#18 キャメル・ブリッジ
キャメルの前にリック・ドム入ってくる。
ドレン「あのリック・ドムは?」
兵士B「フランシイのです!ヤツはガンダムを見ていないといっています」
ドレン「バカなっ!そんなはずはない!ガンダムはいるはずだ!どこなんだ!」
スクリーンに映る点。
兵士C「ドレン大尉!ゼロ方向から接近するものがあります。モビルスーツらしきもの……!高熱源体接近!」
ブリッジへバズーカの直撃。光とともにガンダム来る。
ドレン「ガガンダムだ・・・あ、あの白い奴だ」
ガンダムの発射するビームが次々とムサイに決まる。吹き飛ぶドレン。爆発。
#19 ホワイトベース・ブリッジ
マーカー「敵艦全滅です!」
ブライト「わがほうを追尾中の敵艦は!」
マーカー「あと30秒で有効射程距離に入ります!」
ブライト、ミライにふりむいて。
ブライト「どう思うか?ミライ」
ミライ「え?ええ……いまのわたしたちの戦いを見れば追いかけてこないでしょうね。ことにシャアのような人ならね」
ブライト「……そうだな、そう思う。後部ミサイル、けんせいの弾幕をはれ!モビルスーツ、コア・ブースター、後方に対しライン展開。コースこのまま、最大戦速で現空域を脱出する」ザンジバルのビーム飛ぶなか、脱出。
#20 ザンジバル・ブリッジ内
兵士D「撃ちかたやめー!」
シャア「ドレン隊をのけた手並みはあなどれん。このサンジバル1隻で撃滅できるとは予測しがたいな」
モニター点滅。数字輝く。
兵士A「月、もしくはサイド6のコースに向かうようであります」
ドレン「このまま木馬のコースをコンピューター・トレースしろ!木馬を追撃するぞ」
#21 ホワイトベース・ブリッジ
アムロ、来る。
ブライト「さすがだな、アムロ」
カイ「よう!ニュータイプ、ニュータイプ」
アムロ「作戦はソロモンなのですか?グラナダなのですか?」
ブライト「それはいえん。時間をかせぐために本艦はサイド6に直航する」
ミライ、どきっとする。
ブライト「次の作戦までの陽動の意味がある。サイド6が中立サイドで、戦闘行為はできないが、わが軍の行動を予測させないためにはやむを得んな」
カイ「そんなことすりや、オレたちは包囲される」
スレッガー「しかしながら次の作戦までに多少の休暇はとれる」
カイン「じゃ、中尉には、コア・ブースターのシミュレーションをやってもらう」
スレッガー「い――っ!」
ミライを見るブライト。
ブライト「不服なのか、ミライ」
ミライ「ま、まさか......。
ホワイトベース、舵輪に向かいながら。サイド6へ向かいます」
#22 回想・ジャブロー・会議室
作戦会議終了後、ゴップ、思い出して、
ゴップ「ああフィアンセがいたっけな?すまんすまん」
ブライト「どこにいるんです」
ミライ「い、いえ......。フィアンセといったって、親同士の話よ」
ミライ「戦争を避けるために、サイド6へ逃げたとか......」
#23 ホワイトベース・ブリッジ
ひとりつぶやくブライト。
ブライト「軍令がなければ誰が寄るものか」
#24 ジオン軍宇宙要塞ソロモン・空域
ムサイ・ブリッジ、ドズルのむこう、コンスコンのチベが行く。ドズルに敬礼を返すコンスコン。
N「かつて、サイド1のあった空域。現在、ここにはドズル・ザビ中将の指揮する、宇宙攻撃軍の拠点ソロモンがある。いま、ここからコンスコン機動部隊が発進する。ドズル中将は、彼が罷免したシャア・アズナブルを、姉のキシリア・ザビが使っていることに反感を抱いていた。シャアの無能を教えてやらねばならないと思う。しかし、ルナツーに集結しつつある"ティアンム艦隊〟の目的がわからぬ限り、これ以上の兵力を出すわけにはいかなかった」
#25 宇宙空間・コロニー群
サイド6のパトロール艦のむこう、ホワイトベース、ゆっくり前進。
N「一方、シャアの追撃を受けているホワイトベースは、中立サイドであるサイド6の空域に入りつつあった」
#26 ホワイトベース・内
エア・ロック開きカムラン入って来る。
カムラン「サイド6の検察官、カムラン・ブルームです」
ブライトに封印を見せながら。
カムラン「ホワイトベースのミサイル発射口、大砲、ビーム砲にこれを封印しました。これが1枚破られますと......」
ブライト「わかっています。大変な罰金を支払わなければならない」
カムラン「はいっ」ブライト「補給はどの程度できましょうか?」
カムラン「それも、サイド6のなかではできません。すべて戦争協力になりますので」
ブライト、ムッとする。
ブライト「ブリッジへご案内しましょう」
#27 同ブリッジ
ミライのところへ来るブライト、カムラン。
ブライト「ちょうどよかった。入港するところです」
マーカー「サイド6、パルダ・ベイに入港!各員、係留作業用意!」
港口開き、ホワイトベース入っていく。
ミライ「360度、レーザーセンサー開放!」
カムラン、ハッとしてミライをのぞく。
カムラン「ミライ!ミライじゃないか!」ミライカ、カムラン!あ、あなた......」
カムラン「生きていてくれたのかい、ミライ」
ミライ「あ、あなたこそ元気で......」
不思議そうに2人を見るアムロ、セイラ。
アムロ「誰なんだろう?」
ブライト、ふり向いて。
ブライト「カ、カムラン検察官、入港中です。遠慮していただきたい!ミライ少尉も!」
カムラン「ああ…中尉…すまない。ミライ!」
うなづいて、正面を見るミライ。ブライト、チラとふたりを見返す。
#28 同・甲板
ミライとカムラン、立っている。
カムラン「うれしいだけだよ。もう君には会えないと絶望していたんだ。そしたらこの戦争だろう。君の父上が亡くならなければ戦争だって……」
ミライ「そうね…私がサイド7へ移民することもなかったかもしれない」
カムラン「それなんだ。なぜそれを、ぼくに知らせてくれなかったんだ?ミライ。君の消息を得るために、ぼくは必死だった」
ミライ「必死で?」
カムラン「ああ、必死で捜させた。いくら費用がかかったか知れないくらいだ」
ミライ、悲しげにうつむいて。
ミライ「そう……なぜ······ご自分で捜してはくださらなかったの?」
カムラン「このサイド6に移住する間際だったから......」
ミライ「結局、親同士の決めた結婚話だったのよね」
カムラン「そ、そりゃ違う、ミライ。君の誤解だ。いいいかい、ゆっくり話し合おう。これから来ないか?父も喜んでくれるよ」
ミライ「え?で、でも......」
カムラン「悪いようにはしない。ミライのための骨折りなら......」
ミライ「ち、ちょっと待って・・・・・・」
上がって来たスレッガー、カムランの眼鏡をはずして殴る。飛ばされるカムラン。
カムラン「うわっ!」
スレッガー「へたなチョッカイ出して欲しくないものだな」
ミライ「ス、スレッガー中尉、い、いいのよ」
スレッガー「本当ですか?」
ミライ「ええ」
スレッガー「フン。だとさ・・・やさ男さん、ホラ!眼鏡いったぜ」
カムラン、あわてて眼鏡を捕え、かける。
ミライ「カムラン、大丈夫?」
カムラン「あ、ああ。ご婦人の口説きようがまずいというわけさ。な?中尉?」
スレッガー「そういうことさ……なんせ、ミライ少尉は、ホワイトベースのお袋さんなんだからな」
#29 同・通路
バギーのチビたち、フラウ、タムラが、街へ買い出しに向かう。
フラウ「中尉、お金は両替してもらったの?」
タムラ「ああ、大丈夫」
#30 サイド6・断面図
N「スペース・コロニーの中心ブロックは、重さを感じることのない無重力地帯である。エレベーターは3千メートル余りを降りて、重さを感じることのできる人口の地上へ着く」
#31 同・地上・並木道
N「そこには、山や森や川がつくられていて、あたかも地球と同じ景色をつくり出している」
#32 同・マーケット街
チビたち、タムラ、フラウ、大荷物を持って出てくる。
タムラ「これで、少しは変わったものを食べさせられるな」
アムロ、車線の反対側をみてアッとなる。
アムロ「と、父さん!!」
本屋の店先にいるテムを見つける。
テム「急げ!おまえだって、軍人になったんだろ!」
アムロ「さ、先に戻ってて!ち、ちょっとむこうの本屋に寄ってくるから」
フラウ「どうしたの、アムロ」
車の合い間をぬって車道を横切るアムロ。テム、ふっと駆け出してバスに乗る。走り出したバスをアムロが追いかける。
アムロ「父さん!」
バスから降りたテムに駆け寄る。
テム「おう!アムロか!」
アムロ「父さん!」
テム「ガンダムの戦果はどうだ?順調か?」
アムロ「は、はい!父さん!」
テム「来るがいい」
せかせかと歩くテムのあとにアムロ続く。
#33 ジャンク屋テムの部屋
プレハブ工場の入口。立っているアムロ。
テム「ホラ!何をしてる!入って入って」
アムロ「ここは?」
テム「ジャンク屋というところは、情報を集めるのに便利なのでな、ここに住み込みさせてもらっている」
テム、箱のなかのメカをとり出す。
テム「こいつをガンダムの記憶回路に取りつけろ。ジオンのモビルスーツの回路を参考に開発したものだ。こいつはいままでの...」
呆然とした面持ちで父を見るアムロ。つぶやく。
アムロ「こ、こんな古いものを…………と、父さん…...酸素欠乏症にかかって......?」
テム、メカを差し出す。
テム「すごいぞ、ガンダムの戦闘力は数倍にはね上がる。もっていけ!そして、すぐ取り付けて試すんだ」
アムロ「は、はい。でも父さんは?」
テム「研究中のものがいっぱいある。また連絡はとる、ささ!行くんだ!」
アムロ「う、うん。父さん…ボク、故郷で、母さんに会ったよ」
ライトをつけ、机にしがみつくテム。
アムロ「父さん!か、母さんのこと気にならないの?」
アムロ、泣きそうになる。アムロと、父さん……父…」
テム「う、うむ。戦争はもうじき終わる。そしたら、地球へ1度行こう」
アムロ、ジャンク屋を走り出て、メカをほうり投げる。プラスチックの悲しい音。泣いている。
アムロ「アア....。う..................」
#34 サイド6パルダ・ベイ・港内
着陸しているホワイトベース。
#35 ホワイトベース・ブリッジ
ミライ、つくろいものをしている。ブライト来る。
ミライ「お帰りなさい」
ブライト「ああ」
ミライ「いられないの?」
ブライト「なんだかんだと追い出したがっている。戦局は最後のどたん場を迎えているからな。サイド6のランク政権も神経質になっているんだ」
ミライ、つくろいものを差し出す。
ミライ「はい」
ブライト「ン?おれのか?」
ミライ「当番兵の手つきじゃ不安なので」
ブライト「す、すまん」
ミライ「要するに、寄港しているだけでも問「題だというのね」
ブライト「そうなんだな。ランク内閣はザビ家がテコ入れをしているのさ。すまなかった。上陸はしないのか」
ミライ「ちょっとね......」
ブライト「カムラン検察官とは話はしたのだろう?」
ミライ「違うのよね、あの人。戦争を自分とは関係のないもののように思っている。あれてはたまらないわ」
ブライト、かすかにほほえんで。
ブライト「そうか……しかし、人の縁は大事にしたほうがいい」
ミライ「本気でいってるの?」
ミライに見つめられ、ブライト動揺する。
ブライト「おれは生きている間ぐらいは上手に生きてみたいと思うけれど、おれは無器用だからな」
去って行くブライト。ミライ、ムッとしてつぶやく。
ミライ「本当・・・・・・」
#36 サイド6内、湖畔
雨のなか、アムロのバギーが走る。
アムロ「うわーっ!天気の予定表ぐらい、くれりゃあいいのに......」
#37 湖畔のバンガロー
アムロのバギー、バンガローの前で止まる。雨宿りをしようとなかをのぞく。湖上を舞う1羽の白鳥。最後の羽ばたきをしようとしている。
ララァ「かわいそうに......」
アムロ、ベランダに座っているララァを見つける。アムロ、ある予感をする。失速して湖に落下する白鳥。
アムロ「みんな・・・・・・かわいそうだったんだ。みんな………かなしかったんだ」
瞳に涙をためているアムロ。ララァを見て近づいていく。不快そうなララァ。
アムロ「すみません、突然。あの鳥のこと...好きだったんですか」
ララァ「美しいものが嫌いな人がいるかしら。それが歳老いて死んでゆくのを見るのは悲しいことではなくって?あなたは、何も感じなかったの」
アムロ「いえ、ぼくの聞きたいことは、そういうことではなくって….....」
ララァ「やんだわ」
雨が消えてゆく。ララァ、アムロを見つめる。ドキッとするアムロ。
ララァ「フ、きれいな目をしているのね」
アムロ「そ、そうですか」
ふわっと飛ぶように行くララァを、アムロ、ベランダに立ちつくして見送る。ミライとカムランが話している。
#38 港内・ホワイトベース・外
ミライ「で?」
カムラン「だから、父の力を借りれば、君がサイド6で住めるようにしてやれるから」
ミライ「そうじゃないの。ホワイトベースを捨てるわたしに、あなたは......あなたは何をしてくださるの」
カムラン「だからぼくは父に頼んでやるって、さっきから......」
ミライ「わかってくださらないのね。それでは、私はホワイトベースは捨てられないわ」
カムラン「ミライ。君は昔は、そんなことをいう君ではなかった。いったい、ぼくに何をしてほしいんだ!!!」
ミライ「戦争がなければ・・・け、けどね・・・そうじゃないわ」
カムラン、あなたは戦争から逃げすぎて、変わらなすぎているのよ」
カムラン「君を愛している気持ちは、変えようがないじゃないか!」
ミライ「ありがとう......うれしいわ」
ホワイトベースのなかへ上昇するミライ。カムラン叫ぶ。
カムラン「ミ、ミライ!ぼ、ぼくの何が気に入らないんだ、ミライ!教えてくれ、直してみせるよ!き、君のためならば……」
#39 ジャンク屋テムの部屋
アムロ前にアムロのバギーが止まっている。
テム「そうか…私はうれしいよ。おまえがガンダムのパイロット......」
突然、アムロの肩を揺さぶるテム。
テム「ゆうべ渡した部品はどうだった」
アムロ「え?」
テム「ホラ、おまえに渡した新型メカだ。あれは絶大な効果があっただろう??」
アムロ「え、ええ。......そ、そりゃあもう」
テム「そ…そうか。うまくいったか。ハハハ・・・よし。やるぞ。やるぞ。じっくり、新開発に打ち込むぞォー······ハハハ・・・・・・」
アムロ呆然となる。
「父さん......」
テム「そうか、うまくいったか······ハハハ····うんうん……そうさ、わたしがつくったものだからな。ガンダムの癖を1番知っているんだ」
机の上をかき回すテムをアムロ見る。
アムロ「父さん・・・さようなら、父さん」
涙あふれる。去ってゆく。
#40 並木道路上
泣きながらバギーを運転しているアムロ。
#41 回想・サイド7・内
アムロ「待避カプセルがなんの役に立つんです。父さんは、人間よりモビルスーツのほうが大切なんですか。父さん!!」
テム「ホワイトベースへ行け!」
#42 並木道路上
アムロ「......?あっ……ああっ、うわっ」
バギーぬかるみの道に車輪をとられる。
アムロ「し、しまった!こいつ!」
エンジンをふかすが、車輪からまわり走り来るエレカ。アムロ右手を上げる。泥水をあげて去ったエレカ、バックで戻ってくる。車上のシャアとララァ。
アムロ「シ……シャア!!」
アムロ、驚愕する。
シャア「すまんな、君。なにぶんにも、運転手が未熟なものでね」
アムロ「いいえ······よけられましたから」
ララァ「ごめんなさい。スピード出しすぎたみたいね」
シャア「車で引かないと無理だな。ララァ、トランクあけてくれ」
シャア「君も....」
アムロ「アムロ・レイです。」
シャア「アムロ・レイ君?不思議と知っているような名前だな」
アムロ眉がふるえる。つぶやく。
アムロ「そ、そう…し、知っているぼくは、あなたを知っている」
土の上に膝をついてロープを結ぶシャア。
アムロ「すみません。お、お手伝いします」
シャア「かまわんよ。すんだ」
アムロ「お名前は?」
シャア「シャア・アズナブル。ごらんの軍人だ」
ララァに命じて車を発進させるシャア。アムロ、考え込んでいる。
アムロ「は、初めて会った人だというのに、.......なぜ、シャアだってわかったんだ?それに、あの娘ララァといったな」
アムロ、ララァに見とれる。ロープをたばねるシャアにハッとして手伝う。
シャア「君は歳はいくつだ」
アムロ「じ、16です」
シャア「そうか・・・・・・若いな。敵の士官を見て固くなるのはわかるが…せめて、礼のひとことぐらいはいってほしいものだな」
アムロ「ありがとうございます」
シャア「いや、汚れるのはわたしだけでよかったのにな?」
バギーに乗って走り去るアムロを、ジャアララァが見送る。
シャア「どうしたんだ?あの少年」
ララァ「フフ…おびえていたんですよ。大佐が赤い彗星のシャアだって聞いたんで」
#43 港ホワイトベース・ブリッジ
スレッガー「しょうがねえでしょう。出撃命令が出ているとなりや、サイド6の空域から出なくちゃならんでしょうが」
ブライト「1個戦団が待っているんだぞ」
カムラン入ってくる。
カムラン「あなたがたを待ち伏せているのはコンスコン隊です。ドズル中将麾下の。サコンスコン隊です。ドズル将麾下の。サイド6の空域内でも、このホワイトベースを攻撃してくるかもしれません。せめて、この空域内だけでもわたした水先案内をさせてください。自家用機がありますので、盾がわりにはなると思います」
ブライト「それはありがたい」
ミライ、カムランを怒りをもって見る。
ミライ「余計なことしないでいただきたいわ。これは、あなたには関係ないことでしょう」
カムラン「ミ、ミライ······き、君がこの船を降りないというなら、せめて」
ブライト以下、一同沈黙。
ミライ「それが余計なことでなくて何なの?」
カムラン「そういういいかたこそ、侮辱じゃないか」
ミライ「いまさらわたしに対して、自分が役立つ人間だと思わせたって」
カムラン「そんな卑屈な気持ちじゃあない」
ミライ「わたしの1番辛かったときには知らぬ顔で」
カムラン「でもぼくにできることって、これくらいかも知れないけれど、君にわかって欲しいから」
ミライ「結構です」
カムラン「ミライ、ぼくは押しつけるつもりは」
ミライ「アッ!」
スレッガー、ミライを叩く。
スレッガー「この人は、本気なんだよ。わかる?そうでもなきゃ、こんな無茶はいえるか!いくらサイド6の空域だからといっても、ミサイル1発飛んでくりゃあ、命はないんだ。あんたもあんたじゃないの。あんなにぐたぐたいわれてなぜ黙ってるの」
カムラン「なにも殴らなくたって……」
スレッガー「本気なら殴れるはずだ!」
カムラン「そ、そんな野蛮な・・・・・・」
ムッとしているミライを見るスレッガー。
スレッガー「なァ?少尉?」
ミライ「いまさら!」
スレッガー「ハハハ…悪かった、悪かった」
ブライト「お気持ちが変わらなければ、お願いできませんか?カムラン検察官」
カムラン「え?ええ」
ブライト「いいな?少尉」
ミライ「!......艦長のよろしいように」
#44 サイド6・領空内
カムラン機の誘導でホワイトベース飛ぶ。
#45 サイド6・外・宇宙空間
兵E「木馬がサイド6の領域を出た合図です。最大戦速で反対側に脱出するようすです!」
コンスコン「させるかよ。リック・ドム全機発進させろ。急げよ。領空侵犯もかまわん。どの道、戦闘は領空外でやるしかないのだからな!」
ムサイの前、12機のドムが前進する。
#46 ホワイトベース・ブリッジ
ブライト「サイド6の領空内で発砲は禁止だ。いいな!撃ってきても撃つんじゃあない」
#47 カムラン艇・内
パイロット「話が違うじゃないスか。手当てはずんでもらいますぜ」
カムラン「わかっている」カムラン艇の横、ドムがすり抜けて行く。
パイロット「ヒッ、カ・・・カムランさん。もう領空内いっぱいですよ。これ以上行けば・・・」
カムラン「わ、わかっている」
#48 ホワイトベース・ブリッジ
モニターにカムラン映る。
ブライト「カムランさんは、ここまでで結構です。我々は最大戦速でここを突破します」
カムラン「い、いや、領空を出るまでは・・・いや、この船のスピードでついて行ける限り、おともさせてもらいます」
サイド6の領空線。ガンダム、最大戦速。4カムラン艇・内TVモニターに映るブライト、ミライ。
ブライト「カムランさん!さがってください。我々は戦闘へ入らざるを得ないでしょ」
ミライ「カムラン…あ、ありがとう。お気持ちは充分いただくわ。でも、もう…。帰ってください。お父様、お母様によろしく」
カムラン「ミ、ミライ……」
パイロット「ひき返します」
カムラン、パイロットを促す。カムランたのむ!ブ、ブリッジを!」
ホワイトベースと並行になるカムラン艇。手を上げて見つめ合うカムランとミライ。離れてゆく。
#50 サイド6領空外・戦闘
ブライト「110、100、メガ粒子砲、後方ムサイを攻撃しろ。悪いがむこうはまだ撃てない」
ムサイに突っ込む数条のビーム。爆発。
コンスコン「う、うおー!クワメルがやられたのか?!木馬め!こちらが撃てないうちに攻撃してくるとは汚ない。撃て!」
#51 カムラン艇・内
カムラン「は、始まってしまった!ミライ」
パイロット「テレビ局だ!」
カムラン艇とすれ違うTV局の船。
#52 サイド6テムの部屋
テム、テレビの画面に見入っている。
アナウンサー「ドラマではありません。これは実戦です。宇宙の片隅で、連邦とジオンが戦い続けているのです」
テム「ガンダムを映せ!ガンダムの戦いぶりを!そ、そうだ……そう!ええい!アムロめ!何をやっておるか!」
#53 ホワイトベース・格納庫
発進しようとしているコア・ブースター。
セイラ「慣れていくのね…自分でもわかる」
#54 宇宙空間・戦闘
ドムとガンダムの激しい攻防戦。
#55 サイド6・内・部屋
テレビを観るシャアとララァ。
アナウンサー「何度も繰り返すようですが、これは本当の戦争です。サイド6の、すぐ外で行なわれている戦いなのです。連邦のホワイトベースは1隻で、ジオン包囲網を突破できるでしょうか?あまりにもわかりきった結果をみるのではないでしょうか。ホワイトベースが出撃しなければならないのも、次の連邦の作戦に参加するためには、やむを得ないわけであります」
シャア「フラナガン機関の連中は優しくしてくれたか?」
ララァ「はい。わたし、優等生ですからね」
シャア「そうだな・・・よく見ておくのだな。実戦というのは、ドラマのように恰好のよいものではない。戦場にいてもこんなものだ」
#56 同・高級クラブ
アナウンサー「この事実を目撃した我々は、戦禍に巻き込まれないためには、何をなすべきか考えるべきでしょう」
観客たち「おー、やられたぞ」
ガンダムのビーム、ドムを貫く。
#57 同・ホテルの部屋
ララァ「白いモビルスーツが勝つわ」
シャア「?ガンダムは映ってないはずだな?」
ララァ「わかるわ。そのために大佐はわたしのような女を拾ってくださったんでしょう」
シャア「ララァは賢いな…」
ララァ「ククそういういいかた嫌いです。おとなっぽくて」
シャア「そうだな、気をつけよう」
#58 宇宙空間・戦闘
ガンダムのビーム、ドムを次々と撃破。
#59 チベ・ブリッジ
コンスコン「ぜ、全滅?1機のリック・ドムが全滅?3分もたたずにかァ?傷つ戦艦1隻に、リック・ドムが?12機も・・・・・・ば、化け物か?」部下F来ます、ガンダム」
コンスコン「おとせ!」
撃つチベに向かってガンダム上昇。サーベルで船底に穴をあけられ、チベ爆発。
#60 サイド6・内・ホテルの部屋
ララァ「ね、大佐?」
シャア「だからいったろ?ララァは賢いと」
ララァ「フフ・・・・」
シャア「ガンダムのパイロットは、ニュータイプとしての覚醒を始めている。ララァと同じレベルか……それ以上のな」
ララァ「はい」
#61 同・テムの部屋
テム「勝った!あの新しいパーツの威力だ。みたか、ジオンめ!ハッハハ、勝てるぞ。地球連邦ばんざい!ばんざーい! オ!」
テム両手上げて倒れ、階段を落ちて行く。
#62 カムラン艇・内
カムラン「フ!帰ってくれ。・・・いいよ」
カムラン、目を閉じ、涙浮かべる。
カムラン「生き延びてくれよ・・・・・・!」
カムラン艇、サイド6領域内へと消える。
#63 サイド3・執務室
キシリア、ドズルと交信中のギレン。
ギレン「地球連邦はソロモンに速攻をかけてくる確率のほうが高い。しかし案ずるな、ドズル。ニュータイプを投入する手だてはついているのだろうが!」
キシリア「無論です。多少テストは残っていますが...。グラナダからの増援も可能な限り出しましょう」
ドズル「ア・バオア・クーだよ。ア・バオア・クーの戦力を、いますぐふり向けてくれればいい。間に合う!」
ギレン「ビグ・ザムを送っておいたはずだ。あれ1機で、2、3個師団の戦力になる」
ドズル「戦いは数だよ兄貴!偉そうにふんぞり返る前に、勝つための手だてを......」
ギレン「しているよ。父のデギンが、頑固すぎるので手間だったが、しかし、策は講じてある。だいたいいまになって直接会話は盗聴される危険性もある。あとは命令書どおり、作戦を遂行すればいい。キシリアもな」
キシリア「はい、兄上も」
ギレン「ドズル、支えてくれればジオンは勝つよ」
ドズル「ふん」
画面から、ドズルとキシリア消える。
ギレン「ま……ソーラ・レイはほかにも転用できる。無駄にはなるまい」
#64 ザビ公王の公邸
ダルシア「わたしとて傀儡です。議会はギレン閣下が押さえておいでです」
デギン「たとえば・・・・・・和平交渉が成り立てば君に時間をあげることはできよう?」
ダルシア「そりゃ・・・議会工作はできます。ソロモンなりグラナダが健在なうちに、なんとかルートを開いてみましょう」
#65 テキサスコロニー・外景
ホワイトベース、テキサスの前に止まっている。
#66 同・ホワイトベース・ブリッジ
ブライト「108と109はコロニー外、ガンダムは中を偵察させろ!ワッケイン隊との合流まで何時間だ?」
ミライ「3時間ってとこね」
N「テキサスコロニー、牧畜と観光のために建設されたコロニーである。今次大戦で放棄され、砂漠化がすすんで人も住まない」
#67 同・荒野
幌馬車に乗っているシャアたち。
シャア「結果はどうだ、フラナガン?」
フラナガン「順調です。ララァ少尉はテストターゲットを70%の確率で当てています。モビルアーマーのエルメスが届けば、実戦テストもできるのですが」
シャア「ザンジバルに戻るぞ。私のゲルググの調整もしなければならん」
ララァ、あっとシャアを見上げる。
シャア「どうした?」
ララァ「うふ、大佐がわたしの心をさわった感じ…」
シャア「そういう冗談はやめにしてくれないか?」
#68 同・エレベーター・前
シャア「まちがいないのだな!」
兵士G「はっ!機種不明の戦闘機を2機目撃墜しました」
エレベーターで上がるシャアとララア。
シャア「ララァが先刻感じたのは敵が近づいていたからだな」
ララァ「大佐がさわったような優しい感じでしたから......そうは思えませんでした」
シャア「ということは、もしララが敵と意志が通じ合える可能性がでたとき、戦闘力は維持するものなのかな?」
ララァ「わたしには大佐を守っていきたいという情熱があります」
シャア「わたしはおまえの才能を愛しているだけだ」
ララァ「それはかまいません。大佐は男性でいらっしゃるから……。ですから、わたし、は女としての筋をとおさせてもらうのです。これを迷惑とは思わないでください」
シャア「強いな・・・。そういうデラァは好きだ」
ララァ軽くお辞儀をする。
#69 同・格納庫・内
シャッター開き、シャア来る。
マリガン「1隻ですが、反対の港ブロックに停泊しているようです」
シャア「わたしのゲルググは出動できるのか?」
マリガン「しかし......」
シャア「テストを兼ねて偵察してくる。その間にフラナガンチームを収容。脱出できるようにしておけ」
#70 同・エアロック
上下に開いたハッチから、なかのようすをのぞき込もうとするガンダム。途端に、爆弾爆発。ガンダム、叩きつけられる。
アムロ「ううっ!やはり何かあるな、ン?」
#71 同・格納庫内
ゲルググに乗り込むシャアを見送る。
マリガン「ノーマルスーツを着てはいただけませんか?」
シャア「わたしはモビルスーツに乗っても必ず帰ってくる主義だ。死にたくない一心でな。だからノーマルスーツなどは着ないのだ」
#72 同・荒野
ハイド・ボンズ、連鎖爆破。
アムロ「ジオン軍の敷設機雷だ。ひとつやふたつの部隊がいるということか?」
#73 同・格納庫外
シャア「モビルスーツとの接触があるかもしそのときは安全なところからよく見ておけ」
ララァのバギーを伴ってゲルググ発進。パネルに閃光が映る。
シャア「ン?地雷原にひっかかったのか?」
#74 荒野・戦闘
爆発のなかのガンダムにゲルググが迫る。
シャア「ガンダムとは!よくもこんなコロニーに」
両者の剣が交叉。ララァのバギー、来て停まる。息をのんで戦いを見るララア。
ララァ「この感じだわ………さっきの感じ…」
ガンダム核地雷原にとび込む。爆発。ララァをかばうゲルググ。流れる土砂からガンダム上昇。爆発口から荒野へ逃げる。着地したガンダム、アムロ何かを感じる。
アムロ「こ、これは誰?誰が見ているんだ」
ララァ、同様な感じを抱く。
ララァ「こ、これは誰?……」
ララァ、シャアの命令でザンジバルへとバギーで去ってゆく。
#75 同・入口
キャノン109、108、流れてくる。
カイ「爆発は観測されたんだな?」
ハヤト「スレッガー中尉が外壁の破壊を目撃しました」
#76 同・ホワイトベース・ブリッジ
フラウ「以後、変化はないようです」
ブライト「入港する。ほかにも援軍があるかもしれん」
#77 ガンキャノン・コクピット
カイ「ハヤト!Cブロックに爆発の光が見えた!わかるか」
ハヤト「い、いいや!反対方向の港ブロックに気をとられて……」
#78 ホワイトベース・ブリッジ
ブライト、108、109と交信する。
ブライト「2機は反対のブロックを偵察しろ!敵艦がいる可能性もある。用心しろ。ガンダムの偵察隊は別に出す」
#79 同・草原
ガンダムの偵察隊、セイラたちのバギーイヌの前に現われ四散してゆく。騎馬1騎。馬上のシャアにあっとなる。
セイラ「兄さん!」
シャア「アルテイシア軍を抜けろといたはずだ……それが士官とはな」
セイラ「兄さんこそ、父さんの仇討ちをする。といってわたしから離れたのに、連邦軍の敵になって……筋違いじゃないですか」
シャア「ランバ・ラルはわたしたちを育てギン・ザビ公王が父を暗殺したとい続けていた。父の死をもたらした病を仕掛けたのがデギンであるのは事実だ。しかし、それを悟られぬため、公王制をしいジオン公国と父の名を使ったのだ。宇宙移民者の独立主権を唱えて地球連邦政府に独立運動を起こした父は宇宙の民をニュータイプのエリートだとしたところデギンのつけ込むスキがあった。宇宙移民者はエリートであるから地球に従う必要はないという論法にすりかえられたわげだ」
セイラ「けど、この戦争で、いえそれ以前から人の革新は始まっていると思えるわ」
シャア「それがわかる人とわからぬ人がいる。だからオールドタイプは殲滅するのだ」
セイラ「オールドタイプがニュータイプを生む土壌になっているのよ。古きもののすべ悪しきものではない」
シャア「しかしな、体制により囲まれたニュータイプが私の敵となっているのはおもしろくない。それは私のザビ家打倒をはばむ」
セイラ「アムロはわかっているわ」
シャア「アムロ?パイロットでは、体制は崩せんよ。ニュータイプ能力を戦争の道具に使われているだけだ」
セイラ「兄さん!あなたは何を考えているの」
シャア「父の仇を討つ」
セイラ「父さんのいっていたニュータイプは誤解し合わないで理解できる人たちのことよ。その上で人に何ができるのか考えればいいんじゃなくって!!!ひとりのニュータイプの独善的な世作りをすることじゃない」
シャア「わたしはそんなにうぬぼれていない。ニュータイプがニュータイプとして生まれでる道をつくりたいだけだ。悪しきオールドタイプを排除したいだけだ······すぐに木馬から降りろ。地球に降りられるくらいの金塊は残してゆく。おまえには戦争は似合わん!」
駆け去るシャアを追いかけるセイラ。
セイラ「キャスバル兄さん!あ…兄さん!」
泣き崩れる。バギーの回線は開いている。
#80 同・ホワイトベース・ブリッジ
バギーからの回線に!となるブライト。ミライの不審そうな顔に気を取り直す。
マーカー「ガンダム発見!」
フラウ「艦長! 108が敵機らしいものを発見しているようです」
ブライト「いまはけしかけるなといえ!ガンダムの収容が先だ!」
#81 同・格納庫内
シャアの馬来る。エレベーターに乗る。
シャア「敵艦は木馬だ!」
マリガン「ゲルググはエルメスで収容しました」
シャア「むこうもガンダムを収容するまでは仕掛けてこないだろう。脱出するぞ!」
#82 同・港内
ホワイトベース発進。キャノン108のカイ、ハッチのところのトランクに驚く。
#83 ホワイトベース・ブライトの部屋
ブライト「トランクにはりつけてあった手紙セイラだということしか、わたしは知らん。カイにも口止めしてある。わたしには検閲する権利もあるが......教えてもらえんか?」
セイラ「トランクの中身はきっと金塊だと思います」
ブライト「差し出し人は?」
セイラ「シャア・アズナブル。赤い彗星です」
ブライト「??そ、そんなバカなっ!」
シャアの手紙を読むセイラ。
シャア「先の約束を果たされんことを切に願う。あの優しきアルテイシア・ソム・ダイクンへ。キャスバル・レム・ダイクンより、愛をこめて」
セイラ、手紙を握りしめ、泣き伏す。
#84 宇宙要塞ソロモン・司令室
ドズル「グラナダのキシリアは何といってる」
ラコック「援軍を出すとの返事です」
ドズル「ギレンのソーラレイのほうはどうだ」
ラコック「デギン公王が難色を示しておられるようです」
ドズル「ソロモンに落ちろ、というのか!」
#85 ソロモン上空・戦闘
ホワイトベース、第3艦隊と合流する。
N「対ソロモン戦が開かれた。それは熾烈をきわめた」
#86 ソロモン・ミネバの部屋
ドズル、ゼナとミネバの部屋へ入る。
ドズル「万一のことがある。女どもは退避カプセルに移れ!」
ゼナ「戦局はそんなに悪いのですか?」
ドズル「このソロモンが落ちるものか。万一だ!ミネバのためにも負けるかよ」
#87 ソロモン上空・戦闘
飛び交うビーム。ガンキャノン、ザク胴をやられる。
ハヤト「くそオ、こんなところで、ひとり死ねるか」
N「生か死か、それは終わってみなければわからなかった。確かなことは、美しい輝きがひとつ起こるたびに、何人か、何100人かの人々が、確実に、宇宙のチリとなっていということだ・・・・・・」
#88 マゼラン・ブリッジ
岩のむこう、連邦軍のミラー並んでいる。
ティアンム「ミラーの準備はあと?」
士官A「ハッ!あと4分ほどであります」
ティアンム「ソロモンも、そろそろこっちに気づくぞ」
#89 ソロモン・司令室
サイド1の残骸に隠れていたティアンム艦隊に気づくラコック。驚愕する。
ドズル「敵本隊に戦艦グワランとムサイを向かわせろ!」
ラコック「第7師団に援軍を求められました」
ドズル「キシリアにか?!?!これしきのことで!国中のもの笑いの種になるわ」
#90 ソロモン上空・戦闘
兵H「ミラー配置完了!」
ティアンム「ソーラ・システム目標ソロモン右翼!スペース・ゲート!」
ミラー全面に光が走る。
兵H「3、2、照準!入ります」輝きソロモンに当たる。光の渦。
アムロ「ソ、ソロモンが・・・・・・焼かれている!」
ブライト「連邦軍の新兵器の威力なのか?!?!?!」
#91 ソロモン・司令室
中央モニター、白色に輝く。
ドズル「な、何事だァー!」
ラコック「第6ゲート消えました!敵の新兵器です!」
ドズル「レ、レーザーとでもいうのか?!?!」
ラコック「方位は敵主力艦隊です」
ドズル「グワラン隊が向かっているはずだな」
グラワン、ムサイ、ビーム砲攻撃で前進。
#92 宇宙空間・ホワイトベース
マーカー「109着艦しました。損傷度B、パイロット負傷しています」
#93 ソロモン・司令室
モニター、ソロモンと主力隊の展開図。
ドズル「敵の本隊が出てくるぞ!衛星ミサイルで軌道上にあるものは、すべて発射しろ!」
衛星弾、ソーラ・システムに的中。
#94 ホワイトベース・医務室
失神中のハヤト、うなされている。
フラウ「あなたは充分に戦ったわ」
ハヤト「く、くやしいな。ぼ、ぼくだけこんなんじゃ…セイラさんにもカイさんにもかなわないなんて・・・・・・。情けないよ」
フラウ「何いってるの!立派よ。あなたも」
ハヤト「!...やめてくれよ。慰めのことばなんて。こんなぼくだってホワイトベースに乗ってからこっち、アムロに勝ちたい、勝ちたいって思ってて。このザマだ!」
フラウ「アムロは・・・あたしたちとは違うのよ」
#95 ザンジバル・ブリッジ
ソロモン救援の暗号電文を受けるシャア。
通信兵「……ともかくキシリア閣下の命令でソロモンへ向かえとのことです」
シャア「間に合うとも思えんが......。最大戦速!目標ソロモンだ」
#96 宇宙要塞ソロモン・脱出ポッド前
ドズル「脱出して姉上のグラナダへ行け」
ゼナ「あなた!?!?!いけないのですか?」
ドズル「大丈夫だ。案ずるな。……ミ、ミネバを頼む。強い子に育ててくれ」
驚愕の表情のゼナ。その額にキスをする。
ドズル「わたしは軍人だ。ザビ家の伝統をつくる軍人だ。······死にはせん。行け!ゼナ!ミネバとともに!」
脱出ポッドが宇宙空間に射出される。
#97 同・整備塔内
ドズル「モビルスーツ隊の編成を急げ!敵は上陸しつつある!決戦用、リック・ドム!ザク!出動用意!ガトル戦闘隊、ミサイル補給のすんだものから発進させい!決戦はこれからである!」
#98 ホワイトベース・ブリッジ
損傷を受けたコア・ブースター帰還。
マーカー「スレッガー機、帰還します。左翼エンジンに被弾のもよう。スレッガー!聞こえるか!応答しろ!」
スレッガー「聞こえるぞ。第3デッキに着艦」
心配顔のミライ、ふり向く。
ブライト「なにか?少尉?」
ミライ「い、いえ・・・・・・」
ブライト、きっとなる。ボタンを押す。
ブライト「戦闘中の個人通話は厳禁だが......水くさいぞ。ミライ。君のことを見守るぐらいのことは、このぼくだってできるつもりだ」
ミライ「ブライト......」
ブライト「君の気持ちはわかっている。が、ぼくはいつまでも待っているよ」
ボタンで呼び出されたバンマス来る。
ブライト「ミライ少尉の気分が悪いのだ!少しの間、変わってやれ!」
バンマスと変わるミライ。出てゆく。
#99 同・待機ボックス内
ハンバーガーを食べているスレッガー。
スレッガー「少尉。こんなところへどうしたんです?えっ!?」
ミライ涙を浮かべている。
ミライ「中尉。けがはないようね。良かった」
狼狽するスレッガー。目線をはずして。
スレッガー「やめましょうや。うかつですぜ」
ハワドから発進用意完了の通信が入る。
スレッガー「それじゃな......」
ミライ「中尉・・・死なないでください......」
スレッガー「ミライ少尉。人間若いときは、いろんなことがあるけど・・・。いまの自分の気持ちを、あんまり本気にしないほうがいい」
ミライ「どういうことでしょう?」
スレッガー「……まあ…いいでしょう」
金の指輪を差し出して。
スレッガー「オレは、少尉の好意を受けられるような男じゃあない」
ミライ「スレッガー......」
スレッガー「オレにとっちゃあ、少尉はまぶしすぎるんだ。世界が違うんだな......。安物なんだがね・・・・・・お袋の形見なんだ......。宇宙で失くしたら大変だ。預かっといてくれ」
ミライ、指輪を受けとる。艦が揺れてよめくミライの体をスレッガーが抱き上げる。目を閉じるミライ。スレッガー、優しく抱擁して口づけをする。
スレッガー「指輪を頼むよ、少尉」
通路のむこう消えていくスレッガーを、ミライ見送る。手のなかの指輪見て。
ミライ「中尉・・・・・・」
#100 宇宙機動軍基地・グラナダ
N「キシリア・ザビ麾下の宇宙機動軍基地グラナダ。明らかに遅すぎる援軍が発進しつつあった」
#101 ソロモン・内・戦闘
GM、ボール、グラナダ基地内に侵入。巨大な影がビーム砲発射して迎え撃つ。
シン「注意しろ、新型だ!でかいぞ!!!」
パイロットB「なんだと、何機いる」
パイロットC「新型は2機だけのようだ。うしろはリック・ドムかザクしかない。やるぞ」
シン「ま、待て。相手の戦力を......」
#102 ビグ・ザム・コクピットのドズル
ドズル「来るぞ!こわっぱどもが!このビグザムがそこいらのモビルアーマーやモビルスーツと違うところを見せてやれ」
マイヤー「ハッ!」
ボール吹っ飛ぶ。GMのビームをそらすビグザムシンおびえて叫ぶ。
シン「うわぁぁ・・・ビームが曲がっちまう」
GM、ビグザムのロケット噴射で溶けていく。
銃で壁を破壊しながら、奥へ進むガンダム。上昇するビグ・ザムに驚く。
アムロ「な、なんだ!!!」
#103 ビグ・ザム・コクピット
マイヤー「残った艦は敵主力艦に特攻をかけます。ビグ・ザムの目標は?!?!」
ドズル「後方の指揮艦を狙う!ザコには目をくれるな!」
#104 ホワイトベース・ブリッジ
ミライ「すみません、大尉。もう大丈夫です」
ブライト「よし、バンマス!サブブリッジに戻ってくれ」
舵輪にとりつくミライ。ブライト見る。
ブライト「10度回頭だ!急げ、ミライ」
ミライ「はい!」
#105 ソロモン上空・戦闘
炎に包まれてサラミス爆発。ガンダム、ドムを倒す。上昇してゆくスレッガーのコア・ブースターのあとを追う。
#106 ビグ・ザム・コクピット
ドズル「ビグザムは、主力艦隊に特攻する。その前に、各自脱出命令の発光信号上げろ」
マイヤー「ハッ?し、しかし……」
ドズル「戦力をズタズタにされすぎた。遺憾ながらソロモンを放棄する。操縦系を切りかえ、わたしのところへ回せ。おまえらも各個に脱出しろ!」
マイヤー「し、しかし、閣下!」
ドズル「無駄死にはするな!ドムとザクがいる。それに引いてもらえば、戦場から抜けられるぞ!発光信号をあげい!ビグ・ザムはわたしが預かる!」
自嘲気味につぶやくドズル。
ドズル「フッフッフッ、こうも簡単にソロモンが落ちるとはな......」
敬礼するマイヤー、ハッとしてふり返る。
マイヤー「う?!?!ガンダム!!」
#107 ソロモン上空・戦闘
スレッガー、ガンダム来る。ビグ・ザムに向けて発射されたビーム、四方へ拡散。
ドズル「クハハハ!なめるなよ。このビグザムは長距離ビームなぞ、どうということはない!わたしの道づれにひとりでも多く、地獄に引きずり込んでやるわ!」
ビグザム、160度にビーム撃ちながら前進。サラミス他、4隻のムサイ沈む。
アムロ「あ!あ、圧倒的じゃないか!」
ドズル「ハハハ!みたか!ビグ・ザムが量産のあかつきは、連邦なぞ、あっという間に叩いてみせるわ!」
マゼランに向かってビーム飛ぶ。
ティアンム「うわっ!!」
マゼランの船体ふたつになり、爆発。
スレッガー「おー、いやだ。見てられないじゃないの。ガンダムちゃん、面倒見てよ!」
アムロ「ビーム・バリアー。バリアーがあるのなら、直接攻撃をかけようというのか?」
スレッガー「悲しいけど、これ戦争なのよね」
コア・ブースター、ビグ・ザムの下方に回り込む。ビグ・ザムの足元、爆破。
スレッガー「まだまだァ!」上昇したガンダム、ビーム・サーベルをビグザムにふり降ろす。火花散る。
ドズル「う、うわっ!た、たかが、1機のモビルスーツにこのビグザムがやられるのか?!?!?!」
ドズル、無反動砲をかまえ、撃つ。
ドズル「やらせはせんぞ!きさまごときに、やらせはせん!」
ガンダムに当たりはじける銃弾。
ドズル「ジオンの栄光!このオレのプライド!やらせはせん、やらせはせんぞォ!」
アムロ「な、何者なのだ?なんだ?」
ドズルの背後に立ち昇る恐ろしい影。アムロ、たじろぐ。イメージ消えて、ビグ・ザム爆発。
#108 宇宙空間・グワジン・ブリッジ
ゼナとミネバの乗った脱出ポッドを回収するグワジン。マ・クベ、愕然とする。
マ・クベ「ソロモンが落ちた......な?」
バロム「ハッ・・・」
ナミネバに顔を埋めて泣いている。
マ・クベ「ゼナ様とミネバ様をお助けてきただけでもよしとすべきか······。あと数刻、ソロモンがもってくれればな」
バロム「ハッ・・・急ぎア・バオア・クーとグラナダの固めにまわりませんと......」
マ・クベ「そうだな」
泣き続けるゼナに目をやるマ・クベ。
#109 ホワイトベース・ブリッジ
アムロ、ブライトにスレッガーの死を報告する。立ち去ろうとするアムロ。
ブライト「誰だって死ぬんだよ......」」
アムロ、ドキッとふり向く。肩をふるわせているブライト。
ブライト「クッ!」
#110 同・エレベーター内
エレベーターに飛び込んだミライ、壁に体を投げ出して泣き叫ぶ。
ミライ「あ……ああ......!ああ、中尉…」
#111 スペース・コロニー
N「密閉型コロニー、四十数基をもって形成されたジオン公国。総人口は1億5千万を数え、今次(こんじ)大戦の損害のもっとも少ないサイドといえる」
#112 デギンの公邸・謁見室
ギレンと対峙するデギン。
ギレン「ソロモンへの増援が間に合わぬからと申して手をこまねいてはおりません。すでにキシリア麾下のニュータイプ部隊の尖兵る者がテストと陽動をかねて、ソロモンに攻撃をかける手はずをととのえております」
デギン「貴公はニュータイプ部隊と気やすくいうが......」
ギレン「方便ですよ。父上がジオンの大望を成すため公王制が必要とおっしゃり、実践なさった、それと同じです」
デギン「それは違うぞ。地球連邦はジオン公国をしてはじめて宇宙移民者の国家を認めた。ダイクンのやりかたではしょせん民間レベルの政治運動でしかなかった」
ギレン「ニュータイプ部隊ということばが国民の戦意高揚につながるのです」
デギン「ならば数100万の一般国民を疎開させてまで、ソーラ・レイを使うというのは、これは軍人の無能を示すことだ」
ギレン「わたくしに向かって......よくおっしゃる。ご覧を!」
デギン「作戦など、いい!」
ギレン、アイリーンからノートをとる。モニターがつくと作戦を説明し、計画の認可をデギンに求める。
ギレン「我がジオン本国にとって月とア・バオア・クーは最終防衛線です。それに対して地球連邦軍は3つのコースから侵攻することが考えられます。ここを突破されればジオンは裸同然です。その前にジオン本国内のソーラ・レイで地球連邦軍艦隊を討つ。この作戦の利点は我が国の密閉型コロニーを使うことによって経費も時間もかからずに絶大な効果を得られる点に
あります。この計画のご認可を」
デギン「やっておって今さら…直径6キロからのレーザーなら連邦を殲滅するもやさしかろう」
ギレン「はい!」
デギン「勝ってな……。どうするつもりか?」
ギレン「せっかく減った人口です。これ以上増やさずに、優良な人種だけをのこします。人類の永遠の存続のために、地球圏を汚さぬためにです。そのコントロールには船頭は少ないほうがよろしいかと…」
デギン「貴公、知っておるか。アドルフ・ヒットラーを?」
ギレン「ヒットラー? 中世紀の人物ですな」
デギン、書類にペンを入れる。
デギン「うむ。独裁者でな。世界を読み切れなかった男だ。貴公は、そのヒットラーの尻尾だな」
ギレン「わたくしとてジオン・ダイクンの革命に参加したものです。人類がただ数を増やすだけでは......。人の軟弱を生み、軟弱は人を滅ぼします。地球連邦の絶対民主制が何を生み出しましたか? 官僚の増大と情実の世を生み、あとはひたすら資源を浪費大衆を育てただけです。今次大戦のような共食いを生んだのも、連邦の軟弱ゆえです。もう人類は限界をこえましたよ。わたしはア・バオア・クーで、指揮をとります。ま、勝ってみせますよ。その上で、真のニュータイプの開花を待ちましょう。ヒットラーの尻尾の戦いぶりをごらんください」
ギレン行く。
デギン「いい草はいろいろあるものよ......。キシリアは何を考えているのか…ヒットラーは身内に殺されたのだぞ」
#113 コンペトウ・入口
軍楽隊が演奏するなか、マゼランから降りてくるレビルを士官が迎える。
レビル「ご苦労!」
将軍「ようこそコンペイ島へ」
レビル「ん…どうかねもとソロモンの使い心地は…」
将校「さすがです!」
#114 同・1室
レビル将軍ふたり。
レビル「ニュータイプ?」
将軍A「わかりません」
レビル「宣伝だよ。厭戦気分をカバーするためのな」
将軍A「しかし、閣下、ガンダムとホワイトベースの戦果は......」
レビル「彼らは、そうは思っておらんだろ。ニュータイプはな、戦争なぞせんですむ人類のことだ。超能力者たちのことではない」
レビル「…うっ…!? あ…当番兵にいって頭痛薬を届けさせてくれ」
レビル、当番兵に頭痛薬を届けさせる。
将軍A「いけませんな、星一号作戦前というのに......」
レビル「何だ?」
と、ララァの声、細くふるえるように聴こえる。
#115 同・外壁
閃光がきらめき、走る。マゼラン、GM、コロンブス、サラミス、次々に爆発する。
声「な…何だ!?」
声「わあ~!!」
#116 同作戦司令室
ノイズが交叉する。
兵M「ま、また聴こえるぞ!ララァだ」
叫ぶ士官。電気系統の整備不完全で敵が見えない。
レビル「これか?」
ララァ「ラ、ラ……ラ、ラ……ララァ」
#117 宇宙空間
シャアのゲルググのうしろにエルメス。エルメスのララァ、スパークすると光が走り、サラミスが爆発する。
#118 ホワイトベース・ブリッジ
ブライト「なんだ? 爆発だぞ? マーカー! 敵はどこにいるんだ?」
マーカー「見当たりません。どの道、ミノフスキー粒子がえらく濃いので敵をキャッチ出来ません……」
ブライト「総員! 対空監視! コア・ブースター、各モビルスーツ、発進させとけ!」
ミライ「なにかしら......。これ?」
ブライト「少尉、体の具合でも悪いのか?」
ミライ「いえ、そうじゃないの。何か変なのよ。このコンペトウのまわり、すごく…………」
ブライト「変? そりゃ殺気みたいなものは感じるがな...」
1:52:34
76:37
#119 同・バスルーム
緊急第1戦闘配置を伝えるフラウの声に、セイラ、タオルで体を拭き、出て行く。
放送「総員! 緊急第一戦闘配置!」
セイラ「半舷休息のはずなのに…!? 呼んでいる…?」
#120 同・格納庫
アムロ、カイ、リフトグリップで来る。
アムロ「…何だ…?」
カイ「人使いが荒いんだから全く!」
(#121 同・病室
腹をおさえつつ起き上がるハヤト、キッカたちにノーマルスーツをもってくるよう頼む。)
#122 同・ブリッジ
ブライトとモニター内のセイラ。
ブライト「セイラ少尉」
セイラ「はい」
ブライト「君を信じちゃあいるが、戦いに私情は持ちこむなよ」
セイラ「わたしの今までの行動にウソはなくてよ。それより、感じません? こう圧迫感のようなものを」
ブライト「いやおれには......。ミライも同じようなことをいってるんだが…」
カイの声「006!いきます!」
006、発進する。
ミライ「何かあったの?ブライト」
ブライト「あ?あ…セイラのことか…悩みごとがあるらしい…」
ミライ、セイラが気になるが、ブライト、うまくいいわけする。
ブライト「まだ感じるのか」
ミライ「ええ…」
衝撃。
ミライ「ああ!!」
ブライト「うわっ!!」
#123 宇宙空間・戦場
セイラのコア・ブースターゆく。
セイラ「無理ないわね。赤い彗星と知り合いだものね」
.....はっとセイラ、スパーク。マゼランに光がつきささり、ブリッジがとぶ。
セイラ「あっ!?」
ガンダム来る。アムロ、強圧的に何かを感じ、光のイメージが横切る。
アムロ「何隻やられたんだ? マグネット・コーティングで少しはガンダムの機動性は高まっているんだが…ムッ!?」
ララァ「ラ、ラ......!ララララ.........ララ......!」
アムロ「呼んでいる!?」
ガンダム、ふりあおぐと赤い宇宙。光の流れが左右し、輝きが上がる。
アムロ「何が…見えるんだ…!?」
シャア「あの輝きがララァの仕掛けたものか。すごいものだな......フ......」
ララァ「大佐…」
シャア「どうした?」
ララァ「頭痛がします」
シャア「フム…レベル9.4か。ひどいな」
ララァ「まだできます…」
シャア「引きあげる!」
ララァが頭痛を訴えたため、ゲルググとエルメス、ひきあげる。
アムロ「…あ? なくなった…」
#124 ホワイトベース・セイラの部屋
セイラに呼ばれてブライト来る。テーブルのカバンを見つめているセイラ、シャアとの関係と、艦を降りる意志のないことを告げる。
セイラ「すみません、わざわざ…」
ブライト「いや。こんなときになにかね…?」
セイラ「あなたの誤解を解いておきたくて」
ブライト「ボクの誤解?」
セイラ「腹が立つんでしょう? あたしがあのシャアを知っていて隠していたことを…」
ブライト「…まあな」
セイラ「シャアはあたしの兄なんです」
ブライト「兄!? 兄さん!? う…また、それが何で…」
セイラ「事情は…いろいろとね」
ブライト「フン…で鑑を降りるつもりなのか?」
セイラ「いえ…もうそれもできないでしょうね…ホワイトベースに愛着もあるし…それにできもしないことをできると信じている兄を思うと…刺し違えてもいいって…」
ブライト「セイラ!」
セイラ「兄は鬼子です。父の本当の望みをゆがめて受けとめて、自分ができるなんて...キャスバル兄さんじゃありません!」
ブライト「鬼子…本名かい? キャスバル…」
セイラ「ええ…キャスバル…ダイクン」
ブライト「何!?」
セイラ「あたしが…アルテイシア・ダイクン…」
ブライト「ジ…ジオンの、あの…ジオンの!?」
ブライト、セイラの本名を知り驚く。
セイラ「ええ…ええ! ジオンの子です!! でもね、そんなことあたしたちに関係のないことなんです。ザビ家に追われ…地球にも住めず……ああ、これ…」
セイラ、涙をふき、ケースを開く。
セイラ「兄がくれた金塊です。これを、ホワイトベースのみんなで分けてください」
ブライト「その方がいいのか?」
セイラ「あたしがすっきりします。こんな自分勝手ないいぐさはないと思いますけど…」
ブライト「セイラの選んだ道は辛いぞ」
セイラ「承知しているつもりです」
(ブライト「わ、わかった。以前と同じように君を扱うだけだ」…)
#125 グワジン・ブリッジ
シャア、ララァ、入って敬礼をする。
キシリア「わが隊は、ア・バオア・クーとグラナダの線上に展開させている。大佐はわたしの遊撃隊に入り、戦闘指揮をとれ!」
シャア「ハッ!」
キシリア「ララァ・スン少尉」
シャア「はい」
キシリア「ソロモンに対してのテストも良好のようだったな…少尉の力を大いに期待している」
ララァ「はい。軍には助けていただきました。できる限り恩返しはさせていただきます」
キシリア「大佐はのちほど私の部屋へ」
シャア「ハッ!」
(マ・クベ「良い心がけだ。さて大佐。貴下は対木馬戦に連敗を重ねているが、信じてよいのかな?」
シャア「マクベ司令は、オデッサで破れたとはいえ、特殊鉱物を補給しつづけた戦果偉大であります」
マ・クベ「一方的な見方はしないでくれというのか?」
キシリア、マ・クベをさがらせ、シャア自室によぶ。)
(#126 グレート・デギン・私室
デギン、ぼんやりとテーブルを見ている。テレビのガルマにギレンの声が重なる。
デギン「だからこそ、戦争回避の努力をせねばならぬものを….....」
ギレン「そのためのソーラ・システムです。一挙に連邦を葬ってみせますよ、父上」
デギン「できるものかよ。なあ、ガルマ…」)
#127 宇宙空間
月の下を行くグレート・デギン一行。
N「デギン・ザビ公王は、ダルシア首相の和平工作を待ちきれずに自ら連邦軍との接触をとる決意をした」
ア・バオア・クー全景。
N「それはソーラ・レイの完成で戦力のバランスが崩れることを恐れたデギン公王のあせりでもあった。むろん、宇宙要塞ア・バオア・クーで指揮をとるギレン・ザビ総帥の知るところではなかった。しかし......」
#128 ア・バオア・クー・私室
ギレン「老いたな父上、時すでに遅いのだがな」
デスクの呼び出しチャイムがなり、スクリーンのアサクラ大佐、ソーラ・レイの準備状況、能力について報告する。
音「ピー!」
ギレン「なんだ?」
女の声(off)「技術顧問のアサクラ大佐からです」
ギレン「よし! つなげ」
アサクラ「ソーラ・レイは稼動態勢に入りました」
ギレン「ウム」
アサクラ「2時間後には臨界点に達しますが偏光ミラーがテスト用のものしか使えませんので一度しか発射できません」
ギレン「能力は? 予定どおり出るのか」
アサクラ「はい! それは間違いありません」
#129 グワジン・キシリアの個室
キシリア「そろそろ進行中の連邦軍の左翼の隊と接触をするようだ」
シャア「はい」
キシリア「グラナダを無視してア・バオア・クーへ向かうと見えたとなると…我が隊も一戦を避けられん。ギレンに対しても戦って見せねばな…」
シャア「はい」
キシリア「どうした? 座るがいい」
シャア「あ…はい」
シャア、座ってマスクをはずす。キシリア、小首をかしげてニッコリする。
キシリア「やはりな…いわれてみれば、父上の面影がある…………」
シャア「はい」
キシリア「(ガルマのな、士官学校時代のときのビデオだって見せてもらってはいたが……)気づかぬものだ…だってそうだろう? キャスバル・ダイクンとシャア・アズナブル…違いすぎる」
シャア「ドズル閣下から左遷されて、キシリア様から呼ばれたときにいつかこのようなときがくるとは思っておりましたが、いざとなると怖いものです。手の震えがとまりません」
キシリア「わたしだってそうだ。おまえの素性を知ったときはさすがに笑ったよ」
シャア「お笑いになった?」
キシリア「そうだろうが? わたしは4歳ごろのキャスバル坊やと遊んであげたこともあるのだよ。お忘れかい? それが、ガルマの死ぬときの赤い彗星らしからぬ働きとフラナガン機関に接触をはじめた、先読みのシャア。少しはおかしいと思って当然だろう? そういうしたたかな士官がキスバル坊やなんて、腹がたつよりかわいいじゃないか」
シャア「ありがとうございます、キシリア様」
キシリア、シャアの本心をたずねる。
キシリア「で…お前にニュータイプ部隊をあずけるからには本心を聞きたいな。ザビ家打倒をあきらめてなおキャスバルがではなく...シャアが目論んでいるものを...」
シャア「ガルマ様のとき……空しくなりました。キシリア様流にいえば、復讐のあとになんの高揚感もなくただ空しい自分をみつけたとき、おかしくなったのです。自分に笑ったのです」
キシリア「わたしの父もそうらしいな」
シャア「で、父のいうようなニュータイプの時代の変革があるのならば、見てみたい。それが自分の野心です」
キシリア「ギレン総帥をわたしは好かぬ……それだけは覚えていておくれ」
シャア「新しき時代のために」
キシリア「政治はむずかしいのだ」
シャア「ハッ」
立つシャア、敬礼をする。
#130 ホワイトベース・メインブリッジ
アムロ、カイ、セイラ、ブライトら、スクリーンのエルメスに対する案を考じる。
カイ「やれやれまたぞろ新兵器ってわけなのよね」
セイラ「ジオンてすごいのね…」
子供たち「アハハ…フフ…」
ミライ「これがニュータイプ専用機というわけ?」
ブライト「3時間前のウッドワード隊が接触したときにもララって音をキャッチしている」
ミライ「それがこのチューリップだかとんがり帽子みたいなのから発信されているの?」
アムロ「シャアですか? これ…?」
ブライト「…それは問題じゃあないな! 気がついたらやられているって戦法をどうかわすか...」
セイラ「どうそのとんがり帽子を殲滅するか!」
カイ「冗談じゃないぜ!! 教本でもあるのかよ! ないんだろ!?」
ブライト「連邦はジオンにくらべりゃ10年遅れているんだ。与えられたもののなかで最大限に考えて生きのびるんだな」
カイ「親孝行しにいっちゃいけないのか?」
ブライト、じろりと見る。
ブライト「生きのびたいだけなら、それもいい」
カイ「オレのいっていることはそういうことではないぜ。ジオン公国は地球連邦の独善からのがれようとして戦っているんだ。ザビ家独裁は倒さにゃならんが、問題なのはオレたちが連邦の無能な官僚や参謀の盾となって死ぬってことなんだし」
ミライ「カイのいうことは正しいわね。でも、いまの相手はザビ家そのものよ」
カイ「じゃあさ! そのあとで連邦もたたくかい? セイラさん?」
セイラ「え!? ああ…私には政治のことはわからないわ。自由のための戦いとしか理解していないから…」
セイラの意見に対しても不気嫌なカイ。
カイ「あいまいなのね、セイラさんみたいに利口な人はさ…」
アムロ「あいまいでいいんじゃないんですか?」
カイ「なんでだよ、ニュータイプ」
アムロ「それですよ。ジオン・ダイクンのいった人の革新論のいきつく先だってどういうものかわかってないんです。でも人間は環境に従って変化してゆく能力はもっています。そんな人の能力を阻止するものは拒否したい、(それはみんなの感情のなかにだってあるはずなんです。こいつはいやだなとか、危険だなって感覚です。)そんなものに対して戦わなくっちゃいけないってことです。(そう思いませんか)」
#131グワジン
シャア、兵士に指示してドアより入る。
シャア「まず艦隊特攻をかける」
ララァ「はい」
シャア「半分は沈めるつもりだ。その上でララァが中心にモビルスーツ隊をたたく!」
ノーマルスーツのファスナーをひき上げララァに、作戦の手はずを伝える。
シャア「きょうからわたしはララァの命令で動く」
ララァ「大佐」
シャア「そりゃそうだろう? ララァのほうが、すぐれているのだ」
ララァ「いえ大佐だって……」
シャア「わたしが教えた以上にやってみせてされた。自信をもつんだ」
シャア、ララァにキスして、
ララァ「大佐…きょうから、ノーマルスーツを着けて出撃なさってください」
シャア「ン、ララァがそういうのならな」
ララァ「ありがとうございます」
シャア去る。
いすに座るキシリア、シャアの発進後、援護射撃をかけさせる。
兵「モビルスーツの発進終了!」
キシリア「よし…!」
兵「シャア大佐のザンジバルを先頭に突撃隊形終了!」
キシリア「我がグワジンはここに固定! シャア大佐 発進30秒後に援護射撃を30秒かける!」
(#132 ホワイトベース
アムロ、セイラの勢いにはじかれるチビたち。
ハヤト、戦いが気になるが、サンマロに止められる。
ハヤト「恰好よくいかんものですね」
サンマロ「病人の恰好っていうのだってあるのさ。手間をかけさせるなよ」
サンマロ、行く。)
#133 宇宙空間・戦闘
連邦軍艦隊来る。
グワジン、ムサイ、撃つ。
カイ「うわーっ、オレたちの帰るところが、なくなんじゃあねえだろうな」
アムロ「きますよ!」
セイラ「右10度!1時半の方向?」
GM群が急上昇する。追銃火、ムサイ爆発。艦隊戦、ホワイトベース撃つと、ザンジバルの主翼、吹き飛ぶ。
ブライト「次はモビルスーツ戦だ!対空砲火用意」
オスカ「モビルスーツ5、6機編隊で来ます。総数不明です」
GM、ボール群、ドム群、戦闘続く。キャノンのビームでドム爆発。ガンダム来る輝く光。数本のビームをたくみによけるガンダム。
アムロ「"とんがり帽子"だな」
ガンダム、ビットの群れをすばやく回避。
アムロ「とんがり帽子の付録かっ!」
ビットがきて、ガンダム、ビーム撃つ。
アムロ「みえる!」
ガンダム、ビットを狙い撃つが、あたらない。
アムロ「だめだ!コントロール系を!」
わずかに銃を下に移動させて撃つと、ビットの移動とともにビームが当たり、爆発。ニッとなるアムロ。次々とビットを射とめる。
アムロ「見えるぞ」
アムロ「くっ キサマァァ!」
近づいてくるエルメスを中心に、光が流れてくる。ガンダム、エルメスと接触し、撃ち合う。アムロ、みけんからスパーク。エルメスのビーム、ガンダムの銃に当たる。ってはじける。白鳥のイメージに、見つめあうアムロとララア。
(ララァ「ララァなら…ララァ・スンならば、なぜ戦うのだ」
ララァ「あなたの力は大佐を傷つけます」)
ビット群、ガンダムのサーベルに斬られ
ララァ「あなたには力がありすぎる……あなたを倒さねばシャアが死ぬ!」
アムロ「シャア!! そ、それが…………?」
シャア「あなたが来るのが…遅すぎたのよ!」
アムロ「遅すぎた…!?」
ララァ「なぜ!? あなたは…今になって現れたの!?」
エルメス撃つ、よけるガンダム。ガンダム突っ込む、エルメスよける。
ララァ「あなたはこんなに戦えるじゃない! なぜなの! あなたには守るべき人も、守るべき物もないというのに…。わたしには見える!あなたにはふるさともなけれ家族もないわ。人を愛してもいない!」
アムロ「だから...だからってどうだっていうんだよ!」
カイ、スコープ合わせて撃つ。ビームよけるに、ドムやられる。地球の手前のガンダム、エルメス、ビット入り乱れ、スパークする。
アムロ「守るべきものがなくて、戦ってはいけないのか」
ララァ「それは不自然なのよ」
アムロ「ではララァはなんだ!」
ララァ「わたしを救ってくれた人のためにわたしは戦っているわ」
アムロ「......!! たった……それだけのために?」
ララァ「それは人の生きるための真理よ」
ララァのイメージがひいて戻る。
アムロ「ではこの僕たちの出会いは何なんだ?」
ララァ「なぜなの? なぜ遅れてわたしはあなたに出会ったのかしら」
アムロ「運命だとしたら、ひどいものだ。残酷だよな」
ララァ「あなたと出会ったからって……どうなるの、どうにもならないわ」
アムロ「しかし、これは事実だ。認めなくっちゃいけないんだ」
ハッとするシャア、セイラ、ミライ。光のなかのアムロとララァ。
ララァ「出会えば、わかりあえるのに......。なぜこういう風にしか会えないのかしら...。あなたはわたしにとって遅すぎて……」
波のしぶきのパターンがくる。
アムロ「ぼくにとってあなたは突然すぎたんだ。人同士って、こんなものなんだよな。(こんな!)」
せまりくる光のパターンのなかからシャアのゲルググが来る。
シャア「ララァーーッ!! ヤツとのざれごとをやめろ!」
ビクンとなるアムロとララァ。ゲルググのビームが、ガンダムとエルメスの間をいく。ゲルググとガンダム、接近戦。
セイラ「アムロ! 赤いモビルスーツ。兄さん! さがってください」
突っ込むゲルググ、刃で006の翼をこわす。
突っ込んでくるガンダム、撃ちあう両者。
ガンダムのサーベルに対するゲルググの刃。006、エルメスも撃つ。入り乱れて戦う四者。
006に斬りかかるゲルググに、ララァ、ビクンとして、
ララァ「大佐! いけません」
ゲルググの手が止まり、セイラ、見あげている。
シャア「アルテイシアか!!」
ふりむくゲルググの腕を斬りおとしたガンダム、とどめを刺そうとしてエルメスにはねとばされる。
アムロ「シャア! 覚悟!」
ガンダムの剣がエルメスのコクピットに刺さり、ララァの脱出用シートが後退!ララァのサンバイザーが破れ、散る。
ララァ「ああ--っ!」
ララァからスパーク、天にのぼり、波のイメージ
ララァ「人は変わってゆく、わたしたちと同じように…」
アムロ「そ、そうだよララァのいうとおりだ……」
ララァ「アムロは本当に信じて?」
アムロ「し、信じるさ!き、君ともこうしてわかり合えたんだ。人はいつか時間さえ…支配することができるさ」
ララァ「ああ、アムロ! 時が見える……」
時のイメージ。ガンダム、エルメスのコクピットからサーベルを抜くと、エルメス、光を噴き出す。
火球が消えて、ガンダム来る。
アムロ「ぼくは、とりかえしのつかないことをしてしまったんだ。ああ……ぼくはララアを殺してしまった」
シャア「いまのわたしには……ガンダムは倒せん。ララァ、わたしを導いてくれ……」
飛ぶゲルググ、シャアのほおに涙。
#134 グワジン・ブリッジ
キシリア「先鋒隊は事実上全滅か。ひどいものだな」
シャア「はい」
キシリア「木馬をとり逃すとはな、フフ......。やや買いかぶりすぎたかな? わたしは」
モニターに兵士映り、ギレンからの特命を伝える。ソーラ・レイ、ビーム発射すると、反動でわずかに移動する。ビーム、月の裏を走る。
キシリア「ソーラ・レイを30分後に使うというのか? 急ぎすぎるな。ギレンめ......。どうしたというのだ?」
#135 ホワイトベース・ブリッジ
フラウ「艦長! このままでは本隊との集結時間に遅れます!」
ブライト「フム…ミライ! 後ろのサラミスがついてこれるかな?」
ミライ「無理ね…先行しましょう」
ミライ、本隊との集結のため、サラミスに先行することを提案する。
ブライト「しかし、大丈夫か?」
ミライ「大丈夫よ。この空域には、もうジオンはいないわ。それに、アムロに対抗できニュータイプもいなくなったから......」
ブライト「なぜそう言える…?」
ミライ「さあ…? …どのみちホワイトベースも少し遅れてるのよ」
#136 宇宙空間
ホワイトベース、先行する。
レビル艦隊。
N「その頃レビル将軍指揮する地球連邦軍艦隊は、ア・バオア・クーに対する、第3戦闘ライン上に集結しつつあった。ここに至り、レビル将軍は、攻撃目標を示した。ア・バオア・クーを抜き、ジオンに進攻すると」
マゼラン内、士官、レビルに近づいて、グレート・デギンが和平交渉のため投降してきたことを告げる。
士官「閣下」
レビル「ん?」
士官「グレート・デギンが和平交渉のため投降してまいりました」
レビル「デギン公王がか?」
士官「はい」
レビル「そうか…辛いのだな…ジオンも」
マゼランの脇に入ってくるグレート・デギンのブリッジには、デギンの姿。
ア・バオア・クー
N「しかし、ちょうどその頃…」
#137 ア・バオア・クー・司令室
ギレン、ソーラ・システム最終目標を伝え、スタンバイさせる。
ギレンの声「ア・バオア・クーのギレンである! ソーラ・レイの最終目標を伝える。敵のレビル艦隊の主力は3隊に分かれて進行中であるが、ソーラ・レイ、ゲル・ドルバ照準でこの半分を殲滅できる。ソーラ・レイ、スタンバイ!」
兵「了解であります!」
兵「ソーラ・レイ、スタンバイ!」
声「発電システム異常なし!」
声「マイクロ・ウェーブ送電良好!」
声「出力8500万ギガW/S(ワットパーセコンド)」
#138 同ソーラ・レイ・コントロール室
アサクラ「発射角調整ダウン0−2、ライト0032」
プログラマー「基本ターゲット! ゲル・ドルバ!」
小さいロケットを噴射しゆっくり回転すソーラ・レイ、制動がかかって止まる。アサクラ、発電システムに影をおとしているムサイをさがらせる。
ソーラ・レイ可動10秒前、サングラスをかけるアサクラ、プログラマー。
士官E「4……3……2……1‥….」
#139 宇宙空間
ソーラ・レイ、ビーム発射すると、反動でわずかに移動する。
ビーム、月の裏を走る。
#140 ホワイト・ベース・ブリッジ
飛び込んできて、アムロ、
アムロ「だ、だめだ! 前へ進んじゃだめだ! 人の渦が......と、溶けてゆく.…! あ…あれは…憎しみの光だ!!」
#141 マゼランブリッジ
士官B「デギン公のようで......」
レビル「うむ…」
#142 グレート・デギン・ブリッジ
デギン「これで、ギレンは…」
兵S「デギン公王!」
デギン「何か?」
#143 艦隊浮かぶ宇宙空間
光につつまれるグレート・デギンとマゼラン。
デギン「あう?!」
レビル「うわ?」
光のなか、艦隊吹き飛び、爆発。
溶けて流れる破片。
#144 ホワイトベース・ブリッジ
ブライト「あの光か?!」
ミライ「レビル艦隊の主力部隊のある方向よ」
アムロ「全滅じゃあないけど…ぜ、全滅じゃないけど……」
セイラ「何が起こったの?!」
#145 グワジン・ブリッジ
兵P「ソーラ・レイ! ゲル・ドルバ照準で発射されました。な? 聞いたろ?」
兵Q「ああ。聞こえていたがな。そっちでも聞けたか?」
キシリア「どういうことなのか? 第2戦闘配備中である。不明朗な会話はやめよ」
兵P、来て、
兵P「グレード・デギンの識別信号が、ゲルドルバの線上で確認されたのですが、どうも....」
キシリア「グレート・デギンが?」
兵P「はい。しかも、敵艦隊の主力とまったくの同一地点でもあります」
キシリア「出撃の報告はあったのか?」
兵P「いえ…………」
キシリア「わかった。敵の残存兵力の監視をおそらくとは思えん」
兵P「はい!」
キシリア「グレート・デギンが?妙な…」
#146 ホワイトベース・ブリッジ
艦隊集結に忙しい兵員たち
ブライト「ルザルはなんといっている」
フラウ「ホワイトベースを基点に、主力艦隊の集結をさせているから、動くなというこです」ブライト「いや、それ以外のことは何か」
ブラウ」「何も! だいぶ混乱しているようでじる。ブライト、第2戦闘配置のまま待機を命
フラウ「何かわかって?」
アムロ「ン。…ソーラ・システムを使ったらしいな」
フラウ「ソーラ・システム?」
アムロ「ソロモンのとき、連邦が使ったやつだ。パワーが段違いだけどね……」
兵F「ホワイトベース! 暗号コード・ベータト・トワ!」
フラウ「了解!」
#147 宇宙空間
空母ドロスを中心に展開するジオン艦隊。
ギレン「わが忠勇たるジオン兵士たちよ。いまや、地球連邦軍艦隊の半数が、わがソーラ・レイによって宇宙に消えた。この輝きこそ、我らジオンの正義のあかしである」
ア・バオア・クー
ギレン「決定的打撃をうけた地球連邦軍に、いようと、それは、あえていおう。カスである! と。軟弱の集団がこのア・バオア・クーを抜くことはできないと、わたしは断言する。」
#148 ア・バオア・クー・広間
中央のギレン、続ける。
ギレン「人類は我を選ばれた優良種たるジオン国国民に管理運営されて、初めて、永久に生きのびることができる。これ以上戦い続けては、人類そのものの存亡にかかわるのだ。地球連邦の無能なるものどもを思い知らせ、あずの未来のためにわがジオン国国民は立たねばならぬのである」
兵士たち、歓声をあげる。
#149 ホワイトベース・ブリッジ
居並ぶ面々、スクリーンを見ている。
マーカー「第2大隊と第3大隊がNポイントから進攻します。我々は、ルザルを旗艦と残存艦艇をまとめて、Sポイントから進みます」
戦力不足を心配するミライら。
アムロ「でも大丈夫だと思います。ア・バオア・クーの狙いどころは確かに十字砲火の一番くるところですけど一番もろいとのだといえます。作戦は成功します」
ブライト「ニュータイプの勘か?」
アムロ「はい」
時間合わせ、作戦スタートする。ブライト、第1戦闘配置を命じる。
アムロフラウのところに寄り、力づけてから行こうとすると、ハヤト来る。フラウと話すハヤト。
#150 同・エレベーター内
来るカツ、レツ、キッカ、ハロ。
カイ「ハヤトは?」
キッカ「お姉ちゃんとこにひっかかってる」
カイ「そりゃ結構、ヒヒヒヒ…」
セイラ「いやらしい笑いかた」
アムロ「いいじゃないですか」
セイラ「そうだけど」
ドア開って飛び出すチビたち。
レツ「がんばってね、信じてんだから!」
カイ「アムロ…さっきおまえのいったこと本当か?」
アムロ「うそですよ。ニュータイプになって未来のことがわかれば苦労しません」
セイラ「アムロにああでもいってもらわなければ、みんな逃げ出しているわ······。こわくてね」
カイ「そりゃそうだな。逆立ちしたって、人間は神様にはなれないからな」
#151 ア・バオア・クー浮かぶ宇宙空間・戦闘
ア・バオア・クーより発進するガトル。
ビーム、ミサイル交叉するなか、パブリク編隊行く。
#152 ア・バオア・クー・司令室
戦闘指揮をとるギレン、受話器を取り、
ギレン「空母ドロスは予定どおりだ。もう少待て......Sフィールドの艦艇の半分をNフィールドへまわせ。連邦め、主力隊がなくなったにしては、よくやる」
Eフィールドよりキシリアのグワジン進入、Nフィールドへまわさせる。
ギレン「しかし、妙だな、キシリアめ。出撃させてきた艦の数があわんが?」
#153 ア・バオア・クー・側面
グワジン舷側から内火艇出てきて、入口に入ってゆく。
#154 内火艇内
シャア「新型のゲルググタイプはすべて出動しているようで、わたしが使えるのは、残っていないでしょう」
キシリア「"ジオング"を使ってみるか? 80パーセントしか完成していないようだが。エルメスに搭載してあるサイコミュもとり入れてある。おまえなら使いこなせよう。エルメスを沈められた帳尻は合わせてもらいたいな」
シャア「はっ。(独り言で)80パーセントか…」
内火艇、止まり、シャア出る。
#155 戦場
マゼラン、サラミスに応戦するグワジン、ドロス。
司令官「全モビルスーツ隊、発進」
発光信号が出ると、連邦軍モビルスーツ隊、発進する。
マゼラン、ミサイル、ビームにやられる。
#156 ア・バオア・クー・司令室
通信兵「マゼラン隊撃沈。敵のモビルスーツ部隊が発進したようです」
ギレン「ん。さてドロス、うまくやれよ」
声「総帥、キシリア閣下が戻られました」
ギレン「遅かったな」
キシリア、来る。
キシリア「申し訳ありません」
ギレン「ふっ、エルメスが沈んだそうだな」
キシリア「はい」
ギレン「ガンダム一機に手こずるものだな」
キシリア「ジオングを使います」
ギレン「未完成品をか?」
キシリア「少しでもニュータイプと思えるものをぶつける以外、ガンダムは倒せません」
ギレン「また……シャアか?」
兵U(声)「ドロス、突入します」
ギレン「こだわりすぎるな」
キシリア「グレート・デギン、どこに配備されたのです? ズムシティですか?」
ギレン「沈んだよ、先行しすぎてな」
キシリア「ほう。デギン公王から調達なさったので?」
ギレン「歯がゆいな。······キシリア。......。父が、グレート・デギンを手離すと思うのか?」
キシリア「思いません」
ギレン「では、……そういうことだ」
#157 戦場
ドロスよりドム、ザク、ゲルググ発進し、GM、ボールこれらに応戦する。両者入り乱れ、爆発、相次ぐ。マゼランにビーム直撃し、爆発。ボール、GM、ガトルを撃破。マゼラン、サラミス、やられる。
ギレン「ククク…圧倒的じゃないか、わが軍は......」
#158 ア・バオア・クー・ジオングの工場
クレーン上のシャアと技術士官。
技術士官「80パーセント? 冗談じゃありません。現状で、ジオングの性能は100パーセント出せます」
シャア「脚はついていない」
技術士官「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのです」
シャア「使いかたは、さっきの説明でわかるが、サイコミュな? わたしに使えるか?」
技術士官「大佐のニュータイプの能力は未知数です。保証できるわけはありません」シャア、ニヤリとして飛び降りる。
シャア「はっきりいう。気に入らんな」
技術士官「どうも……。気やすめかもしれませんが、大佐なら、うまくやれますよ」
シャア「ありがとう、信じよう」
シャア、ハッチに飛び込む。ジオングの単眼が輝く。
#159 戦場
火を噴くサラミスとグワジン激突、爆発。押しつぶされるサラミス。
#160 ア・バオア・クー司令室
Nフィールド線上に、連邦軍の新しい艦隊が現われる。
キシリア「連邦もよくやります」
ギレン「そうかい? しょせんは、生き残り部隊の最後の悪あがきだろう?」
キシリア「フ、でしょうね。シャア大佐のジオングは、どうなっているか!」
シャア「行けます」
キシリア「ならば、Sフィールド上に新たな敵艦が発見された。第3モビルスーツ隊と、ともに、これを!」
モニター内のシャア、敬礼して消える。キシリア、ギレン、ふりむいて、
キシリア「連邦の戦力もこれまでだな」
ギレン「Sフィールドとて、このくらいの戦力なら支えられるな」
キシリア、腰のレーザー・ライフルをすっとなる。
キシリア「父殺しの男が......」
#161 戦場
砲撃するア・バオア・クーをうしろに降下するザク、ドムのなかにジオング。
シャア「さて……問題はこのわたしに、ララァほどの素養があるかどうかだ......」
ジオング行く。密集隊形のルザル隊。衛星ミサイルが奥のサラミスに命中、爆光の奥にホワイトベース。ミサイル集中攻撃のなか、来るドム。
ジオング、ビーム発射するとマゼランに命中し、爆発が近くのサラミス、マゼランに広がっていく。破片がホワイトベースにつき刺さる。
シャア「よし!......しかし、ヤツはどこにいるのだ?」
上からのバズーカ弾をよけてふり仰ぐと、モビルスーツ隊。ジオング、ガンダムと接触する。ジオングのビームを、ガンダムよける。
アムロ「シャア以上のニュータイプみたいだ…しかし、いま倒さなければならない敵はシャアじゃない。あのなかにいるんだ!」
ガンダム、ア・バオア・クーへ行く。ジオングが突っ込む前に爆発がくる。
#162 ア・バオア・クー・司令室
ギレン「フフ。Nフィールドは、ドロスの隊で支えきれそうだ」
キシリア「結構なことで…。グレート・デギンには父が乗っていた。その上で、連邦軍とともに……なぜです!!!」
ギレン「やむを得んだろう。タイミングずれの和平工作がなんになるか」
キシリア「死なすことはありませんでしたな?総帥......」
ギレン「冗談はよせ......」
キシリア「意外と兄上も甘いようで」
キシリア、引金をひき、ビームがギレンの脳天を貫く。ギレンの体が流れる。キシリア、いすの前に立つ。
キシリア「死体を片づけい! 父殺しの罪はたとえ総帥であってもまぬがれることはできない。異議のあるものは、この戦い終了後、法廷に申したてい!」
天井にひびが入ってコンクリート片飛ぶ。
トワニング将軍「ギレン総帥は名誉の戦死をされた! ドロス艦隊が破られたぞ!キシリア閣下。ご采配を!」
キシリア「ん… トワニング助かる。ア・バオア・クーの指揮はあたしがとる! Nフィードへモビルスーツ隊を!」
キシリア、トワニングに礼をいい、ア・バオア・クーの指揮をとる。
キシリア「Sフィールドはどうなっておるか!?」
兵「はい! 25隻中10隻撃沈しました。残りはSフィールドにとりつきつつあります」
キシリア「シャアのジオングを前面に押したてさせい!」
撃つア・バオア・クーの砲台にマゼラン突っ込み、司令室が揺れる。
キシリア「Sフィールドにモビルスーツ隊を集中させい!」
#163 戦場
ザクの編隊、撃ちながらせまる。
カイ「行け!」
ハヤト「次は!?」
セイラ「さすが新型…」
カイ、ハヤト、セイラも戦っている。ホワイトベースのまわりをビーム襲う。
ブライト「なんだろうな? ミライ、さっき一時的に敵の防御力が弱くなったな?」
ミライ「そ、そうね。何か妙だったわ。こちらもそうだけど、むこうもうまくいっていないようね」
ブライト「らしいな」
ガンダム、腰のビーム・ライフルをひき抜き、左手のバズーカで撃つと、ムサイに直撃する。
シャア「ああ…情けない! ガンダムを見失うとは! どこだ! ヤツは!」
ビームをよけるジオング、見失ったガンダムを捜す。連邦のモビルスーツ隊、ア・バオア・クーへ降下する。
#164 ア・バオア・クー・司令室
兵「やりますな Nフィールドもモビルスーツがとりついたようです」
キシリア「うむ…気がかりだな…」
敵にとりつかれ、戦況が思わしくない。
キシリア「シャアのジオングは?」
兵W「敵にはばまれてガンダムに近づけぬようです」
キシリア「いきなりジオングだからな」
#165 戦場
ガンダム、バズーカを撃ちながら来て、ア・バオア・クーにとりつく。光の輪を背にしてジオング来る。
アムロ「シャアか? こちらを見つけたな」
シャア「見えるぞ! わたしにも敵が見える!」
#166 ア・バオア・クー・司令室
キシリア「しかし、ゲルググ、ドムの動きが目立たないのはどういうわけだ?」
トワニング「はっ! が、学徒動員のパイロットが多いようですから」
キシリア「学生か」
トワニング「しかし、養成は万全でありました」
キシリア「うむ……。話は信じるが……戦果だけが問題なのでな……もろすぎるようだ」
トワニング「申しわけありません。しかし、彼らの救国の志は……」
キシリア「総帥がニュータイプの存在を信じてくれればよかったのだよ。傲慢にならず…ア・バオア・クーでしらみつぶしにしろ。残った敵の数。決して多くはない」
#167 戦場
アムロ「なぜ…出て来る!」
学徒兵「わぁ…! ひ 火… 火が…! 母さん!」
ガンダムとジオングが左右から来てすれ違う。降下するジオング、ビーム撃つが、ガンダム、よける。すれ違いざまにガンダム撃ち、ビームがジオングの腰をかすめる。
シャア「チッ!またか!」
(N「シャアは、はげしい焦りを感じ始めていた。ニュータイプ用に開発された、このジオングのパワーを最大限に発揮できぬ自分に……あのガンダムのパイロットは、いま、確実に自分を追い込んでいる!」
シャア「しかし! 私もニュータイプのはずだ!」
N「シャアはそう信じたかった」)
対峙するジオングとガンダム。ビームを撃つと、ジオングのスカートの一部が吹き飛ぶ。
艦隊戦。ホワイトベースがア・バオア・クーへ撃ち込んでいる。
パイロット「マリアァーー!」
#168 ホワイトベース・ブリッジ
ブライト「右舷の攻撃に集中させろ! 第28GM中隊は!!」
マーカー「とりついたようです。あと、1個大隊ですべて上陸します!」
ブライト「よし! フラウ・ボウガン、キヤノンはどうか?!?!」
フラウ「健在です。敵基地の入口に接近中です!」
#169 戦場
キャノン着地して、伏せ撃ちする。109降下する。
ハヤト「カイさんだけに、まかせられるもの鉄扉破られ、ボール、GM飛び込むが、奥からの集中砲火に撃ち抜かれる。
カイ「そそっかしいからよ! こういうときは臆病でちょうどいいのよね」
108、なにか投げて、爆発する。
ビームが四方からくるなか、交叉するジオングとガンダム、ガンダムのライフル、ジオングの左腕を吹っ飛ばす。ン! となるアムロ、重なり合うガンダムとジオング。
アムロ「こう近づけば、四方からの攻撃はムリだな! シャア!」
シャア「な、なんだ?」
アムロ「なぜ、ララァを巻きこんだのだ!ララァは戦いをする人ではなかった!」
ターンする両者。ガンダムの盾の一部が吹き飛ぶ。ジオングのビーム、ガンダム左腕を吹き飛ばし、ガンダムのビーム、ジオングの右腕に当たる。降下するジオングを、ガンダム、追う。ゆっくりと掃討していくホワイトベース。次々とハッチのなかに入っていく兵たち。ジオングのシャア、手早くヘルメットをつけて、
シャア「ガンダムのパイロット、アムロといったな、どうする? あのニュータイプに討ち勝つ方法は? ン?」
爆発のなかからガンダム来る。
シャア「ララァ! 教えてくれ! どうしたらいいのだ」
ア・バオア・クー地上の巨大砲、ホワイトベースの左舷エンジンに直撃、爆発。
ブライト「エンジン切り離せ! ミライ」
ミライ「はい!」
脱出するホワイトベース、エンジンは大爆発。
ミライ「着底します!」
ブライト「まかせる! 全員に告げろ! 陸戦の用意だ! 白兵だ!」
ミライ「了解!」
焼けただれた地上砲塔のむこう、ホワイトベースすべりこむと、GMが1機、防御に入ってくれる。
ミライ「コ、コントロールがききません!」
港口のひとつへ向かってすべりこむホワイトベース、降りてゆく。
チビたち、ミライの体がはねる。
ドム2機のぞくと、ホワイトベースがいる。ドムのバズーカで左舷エンジン爆破、ホワイトベース、揺れて前へ来る。
ガンキャノン立ち止まり、下から煙が吹きあがる。
カイ「うっ!? ホワイトベースのエンジンが両方とも!?」
109、着地する。
ハヤト「ああ!!の、乗組員のみんなは!?」
ブリッジのブライトとフラウ。
ブライト「ここは危険だ! 3人を連れて脱出しろ! 拳銃を忘れるな!」
フラウ「はい!」
ア・バオア・クーの表面、ドムが飛び込むが、ガンダムにけられる。ビームをよけながら、ガンダム、岩のむこうに隠れる。シャア、のり出し、ハッとふりむく。スパーク出る。
シャア「ア!?」
ガンダム、正面に飛び出し、ジオングの通常のコクピットと思われるところを撃つ。ハッとするアムロ、スパーク。
アムロ「違うか!?」
シャア「ガンダムッ!」
ジオングの首がはずれる。ジオングのビームで、ガンダムの首が飛ぶ。
アムロ「うわーっ! シ、シャアめ!」
ジオング、ガンダムのビームをよけて、岩かげにかくれる。ガンダム突っ込む。
アムロ「まだだ! たかがメイン・カメラをやられただけだ!」
#170 ア・バオア・クー・司令室
兵W「ジオング撃墜、識別信号解除」
キシリア「赤い彗星も地におちたものだな」
各フィールドとの連絡に忙しい兵たち。
キシリア「しかし、ガンダムのパイロットが、ニュータイプとして、異常発達したものならば、やむを得ぬというところか? そうだな?」
トワニング「ハッ!閣下!」
トワニング一歩来て、のり出す。
キシリア「わたしの脱出15分後に、ここを降服させるがいい。グラナダの戦力と本国の戦力が残っているうちに……」
トワニング「し、しかし……いまとなっては脱出こそ至難の技かとも......」
キシリア「わたしが生き延びねば、ジオンは失われる」
トワニング「降服後、わたしの身がらは?」
キシリア「捕虜交換のおりに、ひきあげよう」
トワニング「ハッ!」
キシリア「船の用意を」
トワニング「直ちに」
キシリア、船の用意をさせる。
#171 戦場
ホワイトベース機銃四方に撃つ。キャノン、壁のむこうのドムを撃つ。
カイ「まるで、アリじゃあねえか!あっち、こっち!」
ブライト「敵の陸戦隊が出てくるぞ! 総員バズーカ、ライフルで立ち向かえ!」
むこう、走る兵を、ブライト撃つ。
来るガンダム、機体がぶれ、排ガス出る。
アムロ「シ、シャアだってわかっているはずだ! 本当の倒すべき相手が誰かということを!」
歩むガンダム、スパークしている。
アムロ「……いるな……」
ガンダムのハッチ開いて、アムロ飛び出し、岩の陰へ行く。
一歩一歩入り込み、ガンダム、ライフルを撃つと同時に上からビームくる。
右腕を吹き飛ばされたガンダム、膝から下が溶けて、機体がおちる。
アムロ上昇する。
ジオング、右耳爆発し、ハッチより飛び出すシャア。ジオングの頭、爆発を起こしてゆく。
爆圧にあおられるアムロ、倒れるガンダム。アムロ着陸し、拳銃のスライドを入れる。
アムロ「まっすぐ行けば、ア・バオア・クーの核へ行ける。できるぞ」
シャア「そう思える力を与えてくれたのは、ララァかもしれんのだ。ありがたく思うのだな」アムロ「貴様がララァを戦いに引き込んだ!」
ぐっとふりむくと、奥にシャアがいる。
シャア「それが許せんというのならまちがいだな...アムロ君」
アムロ「何?」
シャア「戦争がなければ、ララアのニュータイプへの目覚めはなかった」
アムロ「それは理屈だ!」
シャア「しかし、正しいものの見方だ」
シャア、来る。
アムロ「それ以上近づくと撃つぞ!」
シャア「君は自分がいかに危険な人間かわかっていない。素直にニュータイプのありまうを示しすぎた」
アムロ「だから、なんだと言うんだ!」
シャア「......人は流れにのればいい。だから、わたしは君を殺す」
アムロの拳銃が火を噴き、シャア、レーザー・ライフルを撃つ。バッと血しぶきがあがり、シャア、奥へ消える。
追うアムロ、閉じていくハッチをすりぬけて、立ち止まる。戦争博物館の前の通路より飛んでくる槍がかすめる。
キャノン109、上部吹き飛び、ハッチ開いてハヤト、出てくる。108は垂直の壁に立って撃っている。
カイ「あのバカ! ひとりでやってちゃあしょうがねえじゃねえか!」
キャノン109、ザクに足をやられ、崩れる。ライフルを持って身をおこすカイ。
カイ「白兵戦かよ!」
不時着したコア・ブースターからセイラ飛び出し、拳銃を抜きつつ来る。
セイラ「みんなは!!」
ホワイトベースそこここで銃撃。
セイラ「ア? 兄さん!!!!」
セイラ飛び込んで、こわれた通路の奥、前進する。
停泊しているザンジバルに内火艇が入って行く。キシリア、入ってきて敬礼する。
兵P「冗談じゃあないよ! 死ににいくわけじゃあないんだ! あ! 護衛機をまわせ! ザクでいい、ザクで!」
キシリア「手間どるようか?」
士官F「申しわけありません」
キシリア「急がせい! ほかの兵に気どられるな!」
ヘルメット姿の兵たちを見送ってセイラ、奥のほうへ進み、ハッとする。戦争博物館の部屋が見える。
シャア「貴様が最強の兵だからだ!」
アムロ「本当の敵は、ザビ家ではないのか!」
シャア「わたしにとっては、違うな!」
シャア、槍を投げるが、アムロよける。シャア、壁の剣を取り、来る。
シャア「わかるか!? ここに誘い込んだわけを」
アムロ「ニュータイプでも体を使うことは、普通の人と同じだと思ったからだ!」
斬り込むシャア、かわされて、ふりむく。
シャア「体を使う技は! ニュータイプといえども訓練をしなければな!」
アムロ「そんな理屈!」
アムロ、下手にかまえて突っ込み、シャアと剣を交える。セイラ、ふたりを止めようと流れてくる。
セイラ「ふたりが戦うことなんてないのまやめてください。ふたりが戦うなんて!」
アムロのり出し、スパーク発する。アムロの剣がシャアのサンバイザーを貫き、シャアの剣がアムロの肩を突く。
反動で正対するふたりの間にスパーク、ララァ入る。流れるふたり。
アムロ「い、い、いま、ララァがいった…ニ、ニュータイプは、こ、殺し合う道具ではないって……」
シャア「いまというときでは、人はニュータイプを殺し合いの道具にしか使えん。ララァは死にゆく運命だったのだ」
アムロ「貴様だって……ニュータイプだろうに!」
セイラ「やめなければだめよ。あっ!」
爆圧に3人飛び、アムロとセイラ、壁にぶつかる。
アムロ「うわーっ!」
セイラ「ア、アムロ!大丈夫!」
シャア近づき、セイラ、キッと見る。
シャア「アルテイシア!」
セイラ「兄さん! やめてください!ア、アムロに恨みがあるわけではないでしょう?」
シャア「ララァを殺された!」
セイラ「それはお互いさまよっ!」
シャア「なら、同士になれ、そうすればララァも喜ぶ」
アムロ「正気か?」
セイラ「兄さん」
シャア「貴様は野放しにはできんのだ」
3人吹っ飛び、アムロは通路のむこうへ、セイラは壁にぶつかり炎のかたまりのほうへ流れてゆく。
シャア突っ込み、セイラの手をつかむ。
セイラ「に、兄さん!...ひ、額の傷は?」
シャア「ヘルメットがなければ、即死だった」
バーニアで止まったアムロ、壁にしがみつき、肩の剣先をにぎってゆする。
アムロ「ああ-っ、うっ!ン、ウン!」
アムロ剣先を引きぬき、右へ倒れかかる。腰のケースからテープを取り出して、傷目にもってゆく。
アムロ「う……うっ……」
通路、瀕死の兵とシャア。
士官G「キ、キシリア様が脱出されるので…護衛にと思いましたが……残念です。大佐なら…」
シャア「安心しろ、貴様に代わって、キシリア殿は必ずお守りしてみせる」
士官G「あ、ありがとうございます。(うわさのやけどは、ございませんな……)」
シャア「ここもだいぶ、空気が薄くなってきた。アルテイシアは脱出しろ」
セイラ「兄さんはどうするのです?」
ライフルをとりつつ、シャア。
シャア「チャンスは最大限に生かす。それが、私の主義だ」
セイラ「に、兄さん……」
シャア「お前も、もうおとなだろ?」
シャア、セイラの肩を抱いて、
シャア「戦争も忘れろ。いい女になるのだな。アムロ君が呼んでいる」
セイラ「アムロが…」
シャア歩み、セイラの手、ふわっと上がる。シャア、立ち止まって見上げ、飛ぶ。勢いよく開くドア、シャア上昇する。
シャア「キシリア殿は!?」
兵I「出港されるところであります」
上昇するシャア、上のハッチ開いていく。ザンジバルのブリッジ、キシリア正面を見ると、漂いかげんのシャア。
兵士P「10! 9!」
シャア、ふっと敬礼のしぐさ。
シャア「ガルマ、わたしのたむけだ。姉上と仲良く暮らすがいい」
キシリア「シャアか? (ガンダムから逃れて?)」
ザンジバル、船底のロケットふかし上昇。シャア、バズーカをかまえるや撃つ!
火線がブリッジをつきぬけ、火を吹くザンジバル、上昇しつつビームを撃つ。
(シャア、ハッチへ飛び込む。ドォーツ、とのびる火線。)
燃えるア・バオア・クー。
噴き出る火、アムロ突きとばされ止まる。よろめき倒れるセイラ。
セイラ「み、みんなのところになんか······い、行けない......。い、行ったって……生きのびたって兄さんが......!」
アムロ、爆圧とともに飛ばされる。
アムロ「ち、畜生……こ、ここまでか......」
アムロ、降下すると、ガンダムがいる。
アムロ「ま、まだ助かる?」
アムロ、ガンダムの上体を強制排除する。
アムロ「し、しかし、ホワイトベースのみんなは? セイラさんは?」
コクピットにすべりこむアムロ、スイッチを押す。
アムロ「ララァのところへいくのか?」
ララァの声「殺し合うのがニュータイプじゃないでしょ?」
アムロ「え? そ、そうだな、どうすればいい?」
ララァの声「フフ!アムロとは、いつでも遊べるから......」(音楽)
あおぐアムロ、パッと目を開く。
アムロ「あっ! 見えるよ! ララァ、見えるよ、みんなが!」
スパークのなか、ホワイトベースがいる。必死で戦っているブライト、ミライ、フラウ、ハヤト、カイ。瞬間、ララァのイメージ。
ララァ「ね?アムロなら見えるわ」
アムロ「セ、セイラさん!立つんだ」
セイラ、はっと顔をあげる。
セイラ「アムロ!?、アムロなの? でも、ここはどこだかわからないのよ!」
アムロ「!!!!」
セイラ「ここをまっすぐ?」
アムロ「そうです。そして500メートルいったら左へ90度曲がってください」
セイラ「500メートル行って…」
アムロの誘導に従って、セイラ進む。
ブライト「第16ハッチは封鎖だ!」
兵「はいっ!!」
ふりむくブライト。
ブライト「アムロだ?」
アムロ「!!!」
ブライト「退艦命令を出さないと全滅する!!!」
ミライ「ハッチを閉じて! もう向こうに味方はいないわ!」
兵「は はい!」
ミライ入ってきて、ハッとする。
ミライ「アムロ!」
アムロ「!!!!」
ミライ「そ、そうね、ランチの発進準備をさせるわ!」
チビたちを連れたフラウ、ハッとする。
フラウ「アムロ!!」
アムロ「ぼくの好きなフラウ!次に銃撃がやんだら.....一気に走り抜けられるよ!」
フラウ「アムロなのね? どこにいるの?」
アムロ「ランチのところへいくんだ! いいね」
フラウ「あたしが走ったら走るのよ、いいわね」
キッカ、カツレツ「うん!」
銃撃のジオン兵が消え、4人とハロ行く。
ハヤト後退しつつ銃を撃ち、カイ飛び込む。
カイ「えーい! 敵の陸戦隊の野郎、ホワイトベースだけを......!」
ハヤト「ホワイトベース目立ちますからね!」
ふたり、ハッとする。
ハヤト「......! 聴こえましたか?」
カイ「あ? アムロだ!」
ハヤト「ここはもう撤退ですって!」
カイ「そう思うな」
ハヤト「連邦軍は攻勢らしいし」
カイ「勝つとなりゃ、ここをひきあげてもよかろう」
ハヤト「じゃあ」
ふたり、ぱっと走る。
セイラ来ると、通路のむこうにホワイトベースが見える。床をけるセイラの体がまわり、吹き飛ばされてゆく。
カイ「セイラさん! こっちよ」
セイラの手をカイの手がつかむ。
カイ「おーっと!」
セイラ「カイ!」
ブライト、カイをおさえる。
ブライト「よーし、いいぞ! やってくれ」上昇するランチ、ア・バオア・クーより出て行く。
カイ「ホ、ホワイトベースが......!」
ハヤト「ホワイトベースが沈む......!」
爆発に包まれるホワイトベース。
ブライト、顔を上げ、敬礼する。
ブライト「アムロが呼んでくれなければ、我々は、あの炎のなかに焼かれていた」
セイラ「じゃあ......このランチにアムロはいないの? ブライト!」
ブライト「いない。セイラやミライのほうが聴こえるんじゃないのか? ジオンの忘れがたみのセイラのほうが我々より、よほどニュータイプに近いはずだ!捜してくれ! アムロを!」
セイラ「で、でも……どうやって? わからないわ!」
セイラ、ア・バオア・クーを見る。
ハヤト「アムロだけいないんだ。わからないかって」
フラウ「そ、そんなこといったって……」
レツ「さっき、アムロ兄ちゃんの声聴こえたろ」
キッカ「ン!」
セイラ「わたしがホワイトベースにたどりくまでは、あれほどに……アムロ……」
爆発するア・バオア・クー。
ランチの上に出ているセイラ、ヘルメットに手をあてうつむき、涙あふれる。
セイラ「人が…そんなに便利になれるわけ……ない」
キッカ「よし! わかったぞ! わかるっ!!!」
キッカ「そうちょい右」
レツ「そうちょい右」
カツ「はいそこで真っ直ぐ」
キッカたち、パッと手をあげ、ロ々に叫び出す。
フラウ「どうしたの!? 3人とも!」
カツ、レツ「そう、こっちこっち!大丈夫だって!」
キッカ「すぐ外なんだから!」
セイラ「アムロ!!」
ミライ「わかるの?!?!ど、どこ!?!?!」
キッカ「いいアムロ! あと......5!」
レツ「4!」
キッカ「3!」
レツ「2!」
キッカ「1!」
カツ、レツ、キッカ「ゼロ!」
爆光のなかから影ひとつ出て来る。
セイラ「ああ!」
キッカ、レツ抱き合い、とびあがらんばかりに喜ぶ。
ボロボロのコア・ファイターのアムロ、起き上がる。
フラウ「アムロォ~!」
アムロ「み、みんなは!」
アムロ、右を見、正面を見、左を見、ハヤトの出している発光信号を見つける。
アムロ「ア!」
(音楽)
見ている一同。コア・ファイター、さらに機首をめぐらし、ランチの上をターンする。光の点滅するランチ。
アムロ「ごめんよ……まだ、ぼくには帰れるところがあるんだ……こんなうれしいことはない……わかってくれるよね。ララァには、いつでも会いにいけるから」
アムロ立つと、コア・ファイターひっくりかえり、おちる。アムロ、ランチに近づく。ミライがパッと手をひろげる。セイラ、アムロへ近づき、カイがそれをカバーする。ハヤト、フラウも手をひろげている。アムロ、みんなのところへ。
ア・バオア・クー、ゆらめく。
コア・ファイター、太陽へ向かっていき、見えなくなる。
N「この日、宇宙世紀0080(ダブルオーエイティ)。この戦いのあと、地球連邦政府とジオン共和国の間に、終戦協定が結ばれた」
月、地球。
グワラン入ってくる。
クレジット入る。
クレジットが終わると次の英文が入る。
And now....in anticipation of your insight into the future.
(そして今……あなたの未来への洞察を期待して。)
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