こちら、監督:ゴッフレッド・アレッサンドリーニ、主演:ヴィットリオ・ガスマン、ヴァレンティナ・コルテーゼ「さまよえるユダヤ人 L'ebreo Errante」(1948)のレビューです
2025年4月25日に鑑賞。DVDにて。1時間38分04秒。スタンダード・黒白。ドイツ人、フランス人の役だが、イタリア語発声。一部、ドイツ語(ドイツ兵のみ)評価=68点。
一種のキリスト教宗教映画でしょうか。ラストの字幕『このようにして、主の言葉にあったように、すべての人への愛と、献身が捧げられた。そして非情な狂信者たちが地上から消し去ろうとした民の心に新たな希望が灯った』キリスト教の布教映画でしょう。
前半の哲学的問答から、後半はユダヤ人の強制収容所からの脱出ものになる。
★[ユダヤ人の罪とは?]
(Wi-kiより)『イエスを目の前で見ながら、イエスを通してなされた聖霊の働きを、悪魔によるものだと冒瀆することです。これは、その時代の人にしか犯すことのできない罪です。
この罪は、個人的な罪ではなく、ユダヤ人全体の民族的な罪です。この罪が確定したのは、個々のユダヤ人がイエスを信じたり、信じなかったりではなく、ユダヤ教の指導者たちがイエスは悪魔に憑かれていると公式に判定したからです。
この罪が赦されないというのは、この罪を犯した当時のユダヤ人たちが民族的に神の裁きを受けるということです。イエスが十字架にかかってから40年後の紀元70年、ローマ軍によってエルサレムと神殿は破壊され、ユダヤ人たちは世界に離散しました』
●1935年ドイツ[Germania] フランクルルトのゲットーに来た老人マッテオがエプスタイン教授に救いを求める。翌日、倒れて死んだと思われたマッテオは若者になっている。
マッテオ「私を救えるのはあなただけだ。記憶を失くしたい。永遠に続くこの痛みを忘れたい」教授「神の奇蹟を求めているのと同じだ」マッテオ「必要なのは肉体の休息ではなく、このひどい渇きを癒すこと」
若いマッテオ「やっと信じる気に?この痛みはずっと罪を償い続けているからだ。何世紀もの間。余りに長く厳しい罰だ。もう解放されたい。2000年もの間孤独でした。私は自分が望む時に死ぬこともできない」
→(回想)マッテオ「発端は2000年前のエルサレムです」ユダ王国の市場、ユダヤ人たち「あのナザレ人に宮殿を追い出された」「ローマ人に助けを」裕福なマッテオ「他国者の助けはいらない。ナザレ人を守る奴らだ」「罪はあの異端者を信じる者にある」マッテオ「ローマ人は我々を奴隷にする。叛乱も防げて、偽の予言者に大喜びだ」「イエスは俺たちを欺いている」「大工の息子が★パレスチナ人に神の王国を約束し、ユダ王国の栄光を奪う」「圧政者を駆逐するのが真のメシアだ」マッテオ「隣人愛で国は統治できない。支配力と権力が必要だ」「俺たちを排除したイエスの信者たちが来たぞ」
妻サラ「(マムシに噛まれた)息子ダヴィデを救えるのはイエスだけよ」マッテオが止める。息子の死。
十字架を担ぎ歩くイエス。水を与えようとしたサラの水甕をマッテオが破壊する。★イエス「真理がお前に宿るその日まで、お前は歩き続ける」マッテオ「イエスは死んだ。妻は新たな信仰のため、私の元を去った。私は死ねなかった」放浪の旅へ。「皆が私を追い払った」★『1934年発令。黒死病に関する支払いはユダヤ人に課す。カール4世』発令『全ユダヤ人はベグノから去るように』マッテオ「私は誰も愛せずに、歩き続けた。いつだって孤独だ」
[現在・フランクルルト]
マッテオ「こんな厳しい罰はありません。永遠に歩き続けるなんて。若さが戻っても・・・老いても死ねない」教授「周りと自分を同じ人間と思えない。人を愛していないのだ」★マッテオ「愛せる訳がない。私は皆とは違う」教授★「自分も同じ人間だと思えばいい。彼らの持つ希望と不安を共有し、苦悶や苦痛を一緒に味わえば、求めている・安らぎを得られるだろう。そして人生を愛せる」マッテオ「死を愛します。死が私の影を前に逃げ出さなければ。もう私には希望は持てません。永遠に。この手で人生を終わらせられないなら、楽しんでやる。どんな手を使っても」教授★「私が唯一信じる奇蹟は人類愛だよ」
●1940年パリ[PARIGI]=『中央ヨーロッパ・ユダヤ教団 COMUNITA' EBRAICA DELL' EUROPA CENTRALE』
教授「我々を救えるのは大金持ちのマッテオ・ブルメンタールだけだ。彼もユダヤ人だ」教授と姪エスターがマッテオに会いに行く。マッテオは政商としてドイツ軍に協力している。
教授を庇ったマッテオ「私はユダヤ人だ。彼らは同胞だ」と全員が強制収容所行の列車に乗せられる。エスター「私たちがあなたを疑ったことを許して。つらい時は皆があなたの姿を見るわ。立ち向かったあなたの姿が皆に勇気を与えたわ」マッテオ「君も僕を見るかい」
収容所。医学生のエスターは軍医が医務室所属にする。踊り子のルイザ・カフマン(Nicoletta Prinzi/美形)は、SS娼館へ。逃げて鉄条網で感電死する。
教授の「脳の中枢の研究」にドイツ軍はユダヤ人で人体実験をしようとし、教授は拒否する。
マッテオの自己犠牲で終わる。脱走したが収容所に戻り、銃殺される100人の同胞を救う。
・「カッディーシュ」礼拝式の終わりに唱える頌栄。
・「さまよえるユダヤ人 L'ebreo Errante」(1948)
監督:ゴッフレッド・アレッサンドリーニ Goffredo Alessandrini、小説「Le Juif Errant(フランス語)[さまよえるユダヤ人]」:Eugene Sue、原案:Giovan Battista Angioletti、脚本:Goffredo Alessandrini、Flaminio Bollini、Ennio De Concini、Guido De Luca 、Enrico Fulchignoni、Anton Giulio Majano、撮影:Vaclav Vich、編集:Otello Colangeli、助監督:Bruno Gobel、Raimondo Toscano、Set Designer:Alessandro Fersen、Aldo Bizzarri、美術:Arrigo Equini、衣裳:Dario Cecchi、Bianca Emanuele Bacicchi、メイクアップ:Abberto De Rossi、音楽:Enzo Masetti、指揮:Ugo Giacomozzi である。
出演は、ヴィットリオ・ガスマン Vittorio Gassman 男前だねえ(マッテオ/ユダヤ人)、ヴァレンティナ・コルテーゼ Valentina Cortese(エスター・リブマン/医学生/エプスタイン教授の姪/ユダヤ人)、Petr Sharov(ルーカス・エプスタイン教授/ユダヤ人)、Inga Gort(サラ/マッテオのユダ王国時代の妻/息子ダヴィデがマムシに噛まれ亡くなり去って行く)、Noëlle Norman(エレーナ/パリ時代のマッテオの妻/ドイツ人・ゲシュタポのスパイ)、Harry Feist(ハンス/パリのマッテオの執事/ゲシュタポの将校)、Maria Krahn Heinrich(クリスティナ/エスターの母/教授の妹)ほか。
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