大野晋の文法論『古典文法質問箱』も、助動詞の「る・らる」が複数の意味を持つことを日本人の特性と結びつけていて興味深い。
《 「る」「らる」という助動詞は、学校文法では自発・尊敬・受身・可能という四つの意味を表すと教え、生徒はそれをただ暗記しますけれど、なぜ一つの言葉がそういう四つの意味をもつのかということを考えてみると、「る」「らる」の性格がもっとよくわかってくるのではないでしょうか。
この四つの意味の根本は、自発、つまり「自然の成り行き」を表すところにあります。日本人は物事を自然の成り行きととらえる傾向が強く、また、成り行きであれば仕方ないこととして容認する傾向も強いのです。》
要するに日本人は、尊敬に値する人は、自然の成り行きでそうなる、つまり自発的に可能になる事柄に対して受身であるに違いないと無意識に考えているいうことだ。
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