さまよえるユダヤ人のmhのレビュー・感想・評価
「さまよえるユダヤ人」とは永遠に生き続ける呪いにかかって世界をさまよっているユダヤのひとというヨーロッパの民間伝承。それらはいまだにクリエーターにインスピレーションを与え続けており、さまよえるユダヤ人はあらゆるジャンルの創作物に登場しているとのこと。宗教の訓話ような話だと予想していたら、中盤以降はがっつりナチスドイツがらみなる。
イタリア映画だがフランス・パリが舞台。フランス・パリだがディヴェール大量検挙事件(1942)よりも前――1940年に強制収容所に送られることになる時間軸。
・有名な反ユダヤプロパガンダ映画「永遠のユダヤ人」と同じモチーフでこちらは反ナチ・反戦映画。
・1948年というかなり早い段階で、ナチスドイツの強制収容所をほぼ完璧に再現している。ちなみに「夜と霧」は1955年。
・実際に強制収容所で発生した抵抗運動を展開に盛り込んでいる。
と、この映画の意義は限りなく高い。
家畜用貨車だったり、名称こそ出ないが明らかにカポだったりが登場する。一部の女性は慰安婦にされていたという描写まで遠慮なし。
収容所内部の再現も、現在のそれとほとんど変わりがないという状態。
さまよえるユダヤ人がホロコーストで亡くなったとするのも、ナチスドイツの蛮行を目の当たりにして人間性を取りもどしたとするのも素晴らしい創作だと思った。
ラストのかっこいいパルチザンもよかった。レジスタンスじゃないのが、イタリアらしい。
これ、世界的にほとんど見られていないようで、IMDBにも感想はごくわずか。でもコンディションはいいし、話もしっかり面白い。これを見つけて引っ張り出してきてくれたAmazonに感謝。実際、かなりの名作だと思う。
ついでに視聴難易度が激高い「永遠のユダヤ人」も見せてくれると嬉しんだけど、反ユダヤプロパガンダ映画は難しいかな?
面白かった。
追記
フィルマークスに掲載リクエストした映画でした。これはすぐやってくれたいっぽうで、絶対に反映してくれない映画がいくつかあるのなんでなんだろね。
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