2026年2月10日火曜日

【予告1】『果てしなきスカーレット』<11月21日(金)公開>

本作を理解する上で読んだ方がいい本:
ダンテ『神曲』
シェークスピア『ハムレット』『マクベス』
ギリシア神話(オルフェウスの冥界くだり)
中島敦『名人伝』
カフカ『掟の門』
『旧約聖書』特に創世記、出エジプト記。

自分が鑑賞七回目で初めて思ったこと。
聖を刺す通り魔は細田守監督自身に似ている(笑)。
『国宝』でも主人公を棒でなぐる男を監督自身に似た役者に演じさせていた。
まあ出鱈目な個人的推察に過ぎないが。
演技とはいえ犯罪者にさせるわけだから監督も気を使う。そういう時代になった。

本作のドラゴンは西洋のドラゴンと東洋の龍の融合。
剣に刺されたドラゴンは剣を持つ者に復讐する。
果てしなきスカーレットはスカーレットではなくドラゴンの復讐の話。
果てしなきドラゴン…

ドラゴンのスイミー化は劇場によって鳥の鳴き声の聞こえ方が違うので、その聞こえ方次第になる。
ScreenX版では鳥の声が分離してよく聞こえたので復讐をやり遂げたドラゴンの成就という印象になった。
つまり虚無は我々の見方次第。

後半に関してわからないという人が多いようだ。
クローディアスの言う果てしなき場所は容易にユダヤ人の約束の地を想起させるし、ヨルダンにロケハンも行ったようである。マダバ地図もその時実際に観たらしい。本作の地図の元デザインになっている。

歴史上、失われた十支族は東へ向かった。つまり太陽の出る方角だ(映画では夕陽も出てくるが)。
民族移動は画面上で右から左へ動く。
スカーレット自身が空に昇る際、太陽に重なるように昇ってゆくのは偶然ではない。
スカーレットが最後に目覚める時も菊花紋のような太陽の紋章を見ている。

市場を描いたシーンは秀逸で、小説版を読むとこの部分が重要だとわかる。
プペル(ヘブルのアナグラム)を見ているなら貨幣観を比べてもいいだろう。
スカーレットにスカーフを結ぶ行為が重要で、結ぶという行為が歴史的には信用貨幣の基礎になるのである(プペルの方は減価通貨という最重要アイテムを扱いながら金属主義を脱していない)。

とにかくハムレットを愛読してる人間はアニメを見ないだろうし、アニメ好きはハムレットを読まない。
日本は精神的に貧しくなった。
細田守監督の演劇へのリスペクトは映画とは何か、考えることによって狭くしてきたのではないかと反省させられる。
エクリチュールとしての映画はイメージの明確化をむしろ阻害してきた側面がある。
本作の夢のシーンなど不安を煽る描写に長けたジャパニーズホラーでは出来なかった表現だ。

本作の日本での不評の理由としては、女性向けではない、インフルエンサーによる教養の拒絶、キャンセルカルチャー、アニメファンの声優以外ボイコットキャンペーン、戦争の準備風潮等があるだろう。
特にYouTuberは減点法で映画を観るから必然的に映画を作らない自分が一番偉いということになる。
豚に真珠、猫に小判、YouTuberにスカーレットである。

0 件のコメント:

コメントを投稿

60年前の作品とは思えない名作映画【後編】

60年前の作品とは思えない名作映画【後編】 youtube.com