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キューブリックの解決策は本末転倒
完全版は劇場で見ろで良い。
【『2001年宇宙の旅』4K DCPの仕様について】
現在『午前十時の映画祭15』で上映中の『2001年宇宙の旅』ですが、作業担当の方から4KDCPはビスタサイズの上下黒味(レターボックス)であるとのご指摘がありました。この件につきまして、過去の経緯からご説明をしたいと思います。
キューブリックはヨーロッパビスタで制作した『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』が劇場で勝手にアメリカンビスタで上映されていることに懸念を示していました。そのことは『バリー』で上映技師に宛てた「原則1.66で上映せよ」という書類が現存していることからも伺えます。また、当時のTV放映では勝手に左右トリミングし、スタンダードでオンエアするという暴挙がまかり通っていました。そのため『シャイニング』から『アイズ』まで撮影はスタンダードで行い、TV放映やビデオはそのままスタンダードで、映画上映では上下カットのビスタサイズにするという方法論に落ち着きます。これはキューブリックの「本来見せなくてもいい映像を見せてもいいから、勝手に自作をトリミングをさせないようにする」という意思の表れです。このことは『博士』がLD化された際、スタンダードとビスタの映像をあえて混在させたことからも裏付けできます。
時代は流れ、キューブリック死後のTVは16:9のワイドサイズとなりました。よって映像ソフトもワイドとなり、スタンダードやヨーロッパビスタ作品は左右に黒味、シネスコ作品は上下に黒味という仕様になりました。ところが何を思ったか『バリー』のBDだけワイドの16:9で発売し、世界中のファンからの批判がワーナーに殺到したのです。現在の4K UHDは1.66の左右黒味という正しい仕様で発売されています。
こういった経緯を知っていれば、『2001年』の4K DCPがビスタでレターボックス仕様であることは「キューブリックの意思を尊重した正しい判断」と言えるでしょう。ですが、もしキューブリックが現在も存命なら違う判断をした可能性はあるかもしれません。とはいえ、それを云々したところでしょせんは机上の空論でしかありません。
以上の理由から映画館でこの大傑作を楽しむことに何の問題も懸念もありません。ぜひ一人でも多くの方に映画館で「劇場体験」をしていただくことをおすすめいたします。
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