CG制作の裏側|『果てしなきスカーレット』若手クリエイターインタビュー⑤ 実写作品を学生時代に手がけていたコンポジターが挑んだアニメ表現

細田守監督作品『果てしなきスカーレット』では、《死者の国》のパートを中心にデジタル・フロンティアがCG制作を担当しています。
キャラクターや背景、エフェクトなど、さまざまな素材を最終的な映像としてまとめる工程がコンポジットです。
今回は、ショット室・木村さん(※インタビュー当時2年目)に、制作現場での取り組みについて聞きました。
担当したのは物語序盤や終盤の重要シーン
─まずは担当したカットを教えてください。
・序盤の聖と初めて出会うシーンから夜の兵士やコーネリウスと戦い終わるところまでの一連の作業
・見果てぬ場所に登り切ったところでクローディアスが謝罪しているシーン
・スカーレットが生の世界に戻る時の胸の発光シーン
などの夜のシーンを中心にコンポジットを担当しました。

「馴染みすぎ」から始まったアニメ表現
プロジェクトに参加したのが、入社2年目になる前の時期
でした。
それまで学生時代から実写系の作品を中心に制作してきました。
実写のコンポジットでは、基本的に背景と人物を背景になじませることが重要になります。
しかし本作では、最初に言われたのが「馴染みすぎ」という指摘を受けました。
「もっとレイヤー感を出して」「キャラクターをもっと目立たせたい」というフィードバックを受け、調整を重ねながらアニメならではの画作りを模索していきました。

特殊なルックへの挑戦
印象的だったのが、Topaz(トパーズ)というタッチ処理ソフトを使った表現です。
本作は珍しいルックの作品だったので、コンポジットとしては新しい視点での表現を学ぶことができました。
1枚の絵で空気感を伝える
─工夫したことを教えてください。
担当したシーンは、雰囲気の切り替わりが激しいものが多くありました。例えば、「聖と初めて会うシーン」から「一気に兵士が襲いかかってくるシーン」へと空気感が大きく変わります。そのため、1枚の画面だけでもシーンの雰囲気が伝わるような画作りを意識して制作しました。

モノクロ映画から学んだ緊迫感
─他にも印象に残っていることを教えてください。
印象的だったのが、クローディアスに会うシーンの演出です。
見果てぬ場所へ登る途中は美しい景色ですが、
山頂に到着すると曇り空に変わり、雰囲気が一気に変化します。
最初は自然なつながりを意識して調整していましたが、「これでは緊迫感が伝わらない」という指摘を受けました。
そこで参考として紹介されたのが、
音声もセリフのない海外のモノクロ映画。
白黒映像だけで強いホラー感や緊張感を生み出している作品でした。
その表現を参考に、空の色味、コントラスト、明暗のバランスを大きく調整しました。コントラストを強めた画作りにしたことで、「すごく雰囲気が出たね」という評価をもらうことができました。

手描きモーションブラーで戦闘の迫力を演出
─学んだことを教えてください。
剣の戦闘シーンでは、剣の動きの表現にも工夫がありました。
アドバイスを受けて取り入れたのが、残像表現や手描きのモーションブラーです。
これにより、戦闘シーンの緊迫感や迫力が向上しました。
さらに、CG特有の硬さが減り、よりアニメらしい映像表現に近づきました。監督の指摘がすごく的確で、調整していく中で表現の幅が一気に広がりました。

AI時代でも求められるコンポジターへ
─今後の目標を教えてください。
CG業界では、特にコンポジットの分野でAIの活用が進んでいくと考えています。その中でも今回の作品のような、独特なルックや表現を作れる力は今後も求められていくのではないかと感じています。
オリジナルナリティのある作品や、高いクオリティを求められる作品に関われるCGクリエイターになりたいです。
CG制作の裏側メイキング一覧|映画『果てしなきスカーレット』
▶ 本メイキング
▶ 若手メイキング
① キャラクターモデリング・表情シェイプ・ライティング・Nukeコンポジット
② プロップモデリング・キャラクターテクスチャ制作・ライティング
③ 主役キャラクターの演技アニメーション
④ 雪山・星空・地獄の穴などの背景制作
⑤ 「馴染みすぎ」から始まったアニメ表現のコンポジット(この記事)
⑥ 物語の重要シーンを支える演技アニメーション(近日公開)
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