スタジオジブリ実験劇場『On Your Mark』 宮崎駿×CHAGE and ASKA対談
1995年に宮崎駿監督が作った、CHAGE and ASKAのプロモーション・フィルム『On Your Mark』製作当時の宮崎駿監督、CHAGE and ASKAの貴重なスリーショットによる対談があります。
『On Your Mark』は、宮崎監督が『もののけ姫』の製作前に息抜きとして作った、とても珍しい作品です。宮崎監督のブルーレイBOXに収録されず、騒ぎになったのが記憶に新しいですね。
大いなる曲解から作られた世界観
ASKA:
ほんとうに実現するって思ってなかったんですよ。
CHAGE:
ええ、ほんとなんですよ。
ASKA:
アニメって時間もかかるし。それと、お金もかかるぞと。いろんなところから、かなり難しい難しいって、いろんな方から言われたんですけど。
これを勝手ながら「縁」と呼ばせていただければ、ものすごい縁が、ぼくらは持てたんだなということで、ほんとうに感謝してます。
宮崎:
シチュエーションそのものから言うと、極めて絶望的なシチュエーションに世界を閉じ込めてあるんですけどね。
でも、それでも繰り返し繰り返し「それでもやめないのは」、それから「位置について」、それで「また走り出す」っていう、そういう繰り返しが、この歌のいいとこだなって思いましたから。状況設定そのものは、極めて過酷に作ってあるんですけどね。
「バイオ蛸酢」なんて書いてありますけど、蛸酢が無くなってしまった時代で、バイオで蛸酢を作って(笑)。
CHAGE:
ぼくも、そういうとこを見つけたんですけど。居酒屋のシーンで、「サバの合成」って書いてあるのは、非常に胸を打たれましたね。
宮崎:
ちょっとフレームで切れてるんですけどね、時価なんて書いてあるやつがありますよね。
まあ、ああいうところで遊んでるんですけど、スタッフが(笑)。
ASKA:
最初におっしゃってましたよね。「ぼくは、大いなる誤解をしてみたいと思います。そこから、絵を立ち上げたいと思います」みたいな。
ほんとうに、ぼくらの頭には無かった世界が……。
宮崎:
いや……、困りますね(笑)。出来上がって、どういうものかお客さんが見てから決めることですから。
だから、繰り返し見てもらえないかなと思って。そうすると、少しずつ分かってくるなとか。かなりいろいろ散りばめてありますからね。
ASKA:
さっき、ちょっとお話を聞いてね、「なんだ! そうなんだ!」みたいなとこもありましたし。
でも、そういうディテールなしに、感動できますよね。
宮崎:
チャンスがあったら、こういう人物設定で、かなりアナーキーな警官のコンビがね、いろいろやるっていうのも面白いなと思ったんですけど。
まあ、予告編ということで、楽しんでいただけたら良いなと思うんですけど。
『On Your Mark』収録作品
『On Your Mark』は、DVD『ジブリがいっぱいSPECIALショートショート』に収められています。
この作品は、出荷停止となってしまったため、現在は中古品しか出回っていません。
また、『On Your Mark』発表当時には、レーザーディスクとビデオが発売されました。
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