2026年3月6日金曜日

横溝正史エンサイクロペディア・『悪魔の手毬唄』『零の焦点』『成吉思汗の秘密』揃い踏み -雑誌『宝石』 1958年-

横溝正史エンサイクロペディア・『悪魔の手毬唄』『零の焦点』『成吉思汗の秘密』揃い踏み -雑誌『宝石』 1958年-

横溝正史エンサイクロペディア・『悪魔の手毬唄』『零の焦点』『成吉思汗の秘密』揃い踏み -雑誌『宝石』 1958年-

横溝正史『悪魔の手毬唄』、松本清張『ゼロの焦点』(連載時は「零の焦点」)、高木彬光『成吉思汗の秘密』の三作品が、1958(昭和33)年の雑誌『宝石』誌上で、同時連載された時期があったことをご存じだろうか。

本田正一編『幻影城の時代 完全版』(講談社BOX, 2008/12)、「III 「幻影城」回顧」の章に収録された、連城三紀彦「幻影城へ還る」(初出:「幻影城の時代」の会・編『幻影城の時代 資料編』, エディション・プヒプヒ, 2006/12)という短文に、次の通り記されている。

特に島崎さんの部屋は、奥深く書庫が広がっていて貴重な探偵小説誌が財宝のように眠っていたから、マニアには本物の城以上の城だったろう。ある日足を踏み入れた僕は、たまたま手にした一冊の雑誌(たしか『宝石』だった)の目次に、『悪魔の手毬唄』『ゼロの焦点』『成吉思汗の秘密』の三作が連載小説として並んでいるのを見て、度肝をぬかれた。こんなものすごいミステリーの歴史を石垣にして雑誌幻影城が建っているのだと思うと、緊張で委縮し、今後書き続けていくことが怖くなり、大げさでなく雑誌を持つ手が震えたのを今もよく覚えている。

実際はどうだったのかを確認してみた(下表参照)ところ、1958年5月号, 6月号, 9月号の計3号で、 これら三氏三作品の同時連載の回があったことが分かった。 高木彬光『成吉思汗の秘密』の連載が5回と短く、期間も、横溝正史『悪魔の手毬唄』と松本清張『零の焦点』の連載期間の内数なので、最大5回はあるのかと思っていたのだが、その5回の内2回、松本清張『零の焦点』が休載となっており、三作品の同時連載は都合3回だったことが分かった。連城三紀彦がたまたま手にした雑誌『宝石』は、これら3号のどれかということになるのでは。ちなみに、雑誌『宝石』1958年9月号の目次は、右の通り。個人的にも、「おぉ!」と思うこと然り。

なお、高木彬光は『成吉思汗の秘密』の連載前に、坂口安吾「樹のごときもの歩く」を書き継ぎ、連載している(表中※:1957/12-1958/4, 『復員殺人事件』)。
江戸川乱歩が『探偵小説三十五年』を、1956/4,11(6)~1960/6,15(8)の間連載しているだけでなく、1957/8からは編集長になっているので、三氏というより、実質四氏揃い踏みだったことがわかる。本件に関して、 『江戸川乱歩と横溝正史』(中川右介, 集英社文庫, 2020/12)の、「第八章 新星――『悪魔の手毬唄』 1954~59年」にも同様の記述があるので、ご参考まで。周知の事実だったとは…。
[注記]
三作品の連載号の確認は、山前譲編『探偵雑誌目次総覧』(日外アソシエーツ, 2009/6)を、公立図書館で閲覧して行いました。こちらの刊本は、次の惹句が箱に記されている通り、私の調査目的としては十分すぎる優れものです。
◆1920年代~1960年代に出版された日本の探偵小説雑誌、35誌 1,186冊の内容細目を収載。
◆「執筆者名索引」付き。江戸川乱歩や横溝正史、甲賀三郎ら著名作家の執筆状況を横断的に調査可能。

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