2026年4月3日金曜日

CG制作の裏側|『果てしなきスカーレット』若手クリエイターインタビュー④ アニメ美術に挑戦した背景表現|DF TALK

CG制作の裏側|『果てしなきスカーレット』若手クリエイターインタビュー④ アニメ美術に挑戦した背景表現|DF TALK
【若手メイキング④】
映画『果てしなきスカーレット』
CG制作の裏側。

背景アーティスト古橋が
雪山や星空、巨大な「地獄の穴」など
壮大な背景シーンを制作。

ダンテ『神曲』を参考にした
世界観づくりの工夫を語ります。
https://note.com/dftalk/n/nf5607e2d8a80?sub_rt=share_pb

CG制作の裏側|『果てしなきスカーレット』若手クリエイターインタビュー④ アニメ美術に挑戦した背景表現

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細田守監督作品『果てしなきスカーレット』では、《死者の国》のパートを中心にデジタル・フロンティアがCG制作を担当しています。

キャラクターや背景、エフェクトなど、さまざまな工程が連携しながら画作りが進められました。

今回は、背景室・古橋さん(インタビュー当時3年目)に、制作現場での取り組みについて聞きました。

担当したのは壮大な背景シーン

─まずは担当したカットを教えてください。

・見果てぬ場所へ通じる山々の大判カット。(分離壁が映るシーン)
・内省の巨大な穴の俯瞰と、穴の内部
・山頂付近、雪山付近全般
・ルックデブ用の遺跡の背景を制作して(仮コンプまで)
などの背景制作を担当しました。

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見果てぬ場所へ通じる山々の大判カット

入社4ヶ月でルックデブ用背景を担当

入社4ヶ月目には、ルックデブ用背景を任されました
求められるクオリティは高く、フィードバックが多かったです。
その中で、"絵作り"とはどういうものか、多くのことを学ぶことができました。
制作を進める中で、どんなビジュアルが細田監督に響くのかという感覚も、少しずつ理解できるようになっていきました。

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ルックデブ用背景

星空と雪山は、自分で撮影した写真をリファレンスに使用

─工夫したことを教えてください。

背景制作の中で、星空や雪山のシーンは、自分で撮影した写真をリファレンスで使用しています。星空の撮影では、仕事終わりに自分の車でヤビツ峠へ向かいました。後ろの車に煽られながら登って(笑)、頂上で星空を撮影しました。撮影した写真は整理し、Lightroomで編集してリファレンスとして使用しました。

また、雪山のシーンでは、実家に帰省した際に、三重の「御在所岳」へ行きました。友人の車にスタッドレスタイヤを装着して、標高1200m 付近まで登って撮影した写真を、雪山のリファレンスとして使用しています。

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地獄の巨大な穴は「神曲」を参考に

─印象に残っていることを教えてください。

印象的なシーンの一つが、「内省の巨大な穴」の制作です。

このシーンでは、穴の色や雰囲気を決めるため、ディレクターと複数のパターンをテストしました。しかし、なかなか監督からOKが出ませんでした。

そこで、この世界観の元になっているダンテの『神曲』を調べました。
地獄の階層構造を理解し、
・上層:炎の地獄
・下層:氷の地獄(堕天使ルシファーが幽閉されている)

という設定を踏まえて色設計を再構築しました。
その結果、
・穴の俯瞰は真っ赤な炎の世界
内部に入ると
下は水色
というビジュアルに調整し、監督チェックを通すことができました。

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穴の外の俯瞰
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穴の俯瞰
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穴の内部

「情報を削る」アニメ美術の考え方

─学んだことを教えてください。

今回の制作では、Unreal Engine(UE)をメインツールとして使用しました。

個人で触った経験はあったものの、制作パイプラインの中で使用するのは初めてだったため、UEを使った映像制作のワークフローを学ぶ機会にもなりました。

背景制作では、自然地形を作る際につい情報を詰めることが多いです。
しかし本作では監督から「情報を詰めすぎないように」という指示がありました。

CGではディテールを作り込むことが得意ですが、本作ではアニメ美術のように情報を削ることで空間を表現する手法が取り入れられていました。

そこで、手前に情報を詰め込みすぎないように配置して奥と対比を取り、中景はグラデーションのように色が分かるよう調整して、ディテールをコントロールしました。

また、レンダリング負荷を抑える工夫など、技術面でも多くのことを学びました。

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プロシージャル技術で背景制作を効率化したい

本作では、背景の多くをプロップを手作業で配置して制作していました。

しかし、アニメ作品特有のカメラ表現によって背景制作が難しくなる場面もありました。

アニメでは同じカメラポジションでも、焦点距離(ミリ数)が変わることでパースが変化することがあります。

その結果
・同じレイアウトでも背景が広がったり
・内側に寄ったり
といった調整が必要になることがありました。

そのため、カメラのパースに合わせて紙芝居のように背景を配置し直す作業も多かったです。

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技術で制作環境を良くしていきたい

─今後の目標を教えてください。

今後取り組みたいと考えているのが、
プロシージャル技術の活用です。

プロシージャルとは、ルールやアルゴリズムを使って
オブジェクトを自動生成・配置する技術のことです。

例えば地面を指定すると、その上に木や石などを自然なバランスで自動配置される仕組みです。

こうした技術を制作に取り入れることで、背景制作の効率化とチーム全体の作業負担の軽減につなげていきたいです。

将来は、チームメンバーから頼られる存在になることが目標です。

CG制作の裏側メイキング一覧|映画『果てしなきスカーレット』
本メイキング

若手メイキング
① キャラクターモデリング・表情シェイプ・ライティング・Nukeコンポジット
② プロップモデリング・キャラクターテクスチャ制作・ライティング
③ 主役キャラクターの演技アニメーション
④ 雪山・星空・地獄の穴などの背景制作(この記事)
⑤ 「馴染みすぎ」から始まったアニメ表現のコンポジット(近日公開)
⑥ 物語の重要シーンを支える演技アニメーション(近日公開)


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