一つ目の巨人に美しいセイレーン、キルケの魔女も!『オデュッセイア』を盛り上げるギリシャ神話の住人たち
聞いた者を破滅に導く歌声の持ち主セイレーン
次々と仲間を犠牲にしながら、一行の船はその歌声を聞くと破滅に導かれるセイレーンの生息域へと進んでいく。セイレーンはギリシャ神話に登場する海の怪物。上半身は女性、下半身は魚(または鳥)で、岩場から歌声を響かせ、船乗りたち誘惑して捕食してしまう。オデュッセウスは部下に密蝋で耳栓をするよう促し、自身は栓をせず身体を帆柱に縛り付けるが、その魔力は強力で、誘惑に抗えず耳栓を外して海に飛び込む兵士の姿も描かれた。
『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』(11)には人魚が船乗りを誘惑して襲う描写があり、『リトル・マーメイド』(89)のアリエルが、世界で一番美しい歌声を持つという設定もセイレーンがヒントだろう。最近では、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』(公開中)に登場する巨大な人魚でその名を知った人も多いかもしれない。スターバックス コーヒーのロゴのモチーフになっているのも、2つの尾を持つセイレーンである。
船を海底に引きずり込むカリュブディスの大渦
オデュッセウスの苦難は続き、それぞれに大きな犠牲を伴う2つの航路のどちらかに進む選択を迫られる。その1つに待ち受けているのが、激しい飛沫を噴き上げる巨大な渦潮カリュブディスだ。渦潮を擬人化した怪物で、ギリシャ神話では1日に3回海水を飲み込み、その際の渦で船を沈めるとされている。
『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還(エピソード6)』(83)のサルラックは、砂漠に潜む触手と鋭い牙を備えた巨大生物。アリジゴクのようなすり鉢状の穴を作って捕食する姿が、カリュブディスにも通じる。『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(06)のクラーケンも巨大なイカのような怪物だが、海水を吸い込んで巨大な渦を生みだすほか、嘴のビジュアルもカリュブディスを思わせる。
6つの頭を持つ怪物スキュラ
ヘビのような頭を6つ有するスキュラは、カリュブディスの大渦とは別の航路に潜んでいる。ギリシャ神話では、キルケーの魔法で6本の首と12本の脚を持つ邪悪な怪物にされた美しい海の精霊だった。映画ではその長い首を伸ばしてオデュッセウスの部下を次々に餌食にしていく。撮影現場にはフルスケールの頭部が用意され、スタントマンにかみつきクレーンで上昇する様子が撮影され、そこにCGの頭部や長い首が合成されている。
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(19)、『ゴジラxコング 新たなる帝国』(24)にはこのスキュラをモチーフにした怪獣が登場。長い6本の脚を持つカニを思わせるデザインになっている。
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