本や漫画の黄ばみを取るのは意外と簡単! 表紙・製本傷みの修復方法をまとめて解説
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18歳で古本屋でバイトをはじめて以来、古本の虜に。図書館や出版社で働きましたが、やはり古本が大好き! 34歳で独立後、神戸にてふらりと気軽に立ち寄れる古本・趣味の店「ふらり堂」をオープン。古本まみれの日々を送っておりマス。
本のクリーニングは自分でできる
長年、大切に保管してきたはずの本たちが、気がつくとホコリまみれになっていたり、汚れがついていたりしませんか? 「こんなはずじゃなかった」「捨てるにはもったいない」…と思っている方、あきらめちゃいけません! ある程度は、自分で本のクリーニングができるんです! 今回、ご紹介するクリーニング方法は、カインズで購入できるものを使った気軽にできるものばかり。どうかご参照くださいネ。
本の汚れ・傷みの種類は、主に3つ
私は普段、古本を取り扱う仕事をしていることから、いろいろなお宅に買取に行って、いろんな状態の本を見てきました。本の汚れや傷みには、主に次の3つがあります。
- 表紙の汚れ
- 小口の汚れ
- 製本の傷み
これらのクリーニング方法について、詳しく解説していきます。
本のクリーニング:表紙汚れの落とし方編
表紙汚れは、大きく2種類に分けられます。泥やホコリ、食べ物の汁などが付着してできた「付着物による汚れ」と「油性マジックペンでの書き込み」です。一見すると取れにくそうですが、表紙に光沢があるものでしたらほぼ確実に取ることができます。
表紙の汚れ落としに使うもの
準備するものはこちら。全部揃えても、ワンコイン(500円)で足りるくらいです。
「付着物による汚れ」を落とすとき
「油性マジックペンでの書き込み」を落とすとき
「付着物による汚れ」の落とし方
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クリーニング前
表紙の色が変わってしまうほど汚れていますね。これを落とすときに使用するものは、雑巾に霧吹きスプレー、少量の中性洗剤。これだけあれば大丈夫。
霧吹きスプレーに8割ほど水を入れます。そこに、中性洗剤を何滴か入れ、水で薄めた洗剤を作ります。
水で薄めた洗剤を雑巾に吹き付けて、少しずつ表紙を拭いてみてください。
おっ、こんなにキレイになりましたね。 ここでワンポイント。最後に、水で固く絞った雑巾で、もう一度拭いておきます。というのも、少しでも中性洗剤の成分が残っていると、本の表紙が劣化することがあるからです。
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クリーニング後
キレイに拭き取って、表紙はピッカピカ! どうです? 簡単でしょう。
「油性マジックペンでの書き込み」の落とし方
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クリーニング前
つづいて、油性マジックペンでの書き込みを落とす方法です。油性のものを分解するには、マニュキュアを落とすときに使用する「エナメルリムーバー」がもってこい。ベンジンやライターのオイルでも代用できるのですが、揮発してすぐになくなってしまうんです。
ちなみに、この記事のために、光沢のある本にマジックで線を引いてしまいました。よい子はマネしないように!
少量のエナメルリムーバーを雑巾につけて、マジック部分を拭いてみてください。ここで注意するのは、エナメルリムーバーをつけすぎたり、雑巾で強く拭きすぎたりしないこと。エナメルリムーバーは成分が強いので、表紙のコーティングが剥げてしまうことがあるんです。
慎重に拭いていき、マジック部分が取れたと思ったところで、すぐにやめておきましょう。
上手にできると、もう、ほぼ元通りに。うん、これだけキレイになると気分がいいですネ。
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クリーニング後
本のクリーニング:小口の汚れや黄ばみの落とし方編
小口の汚れも、けっこう気になるところ。本棚に並んでいる本は、小口の上部(天)にホコリが溜まりやすくなります。窓の近くに置いていると、紫外線で小口が茶色く変色してヤケたり、湿度が高いところだと小口にカビがついたりして、黄ばんできてしまいます。人によっては、小口に蔵書印を押していることも。ああ、やはりこういう状態を見たら、すごく気になります……。
気になりだしたら止まらない。無性にクリーニングしたくなるんです。古本屋の性(サガ)というものでしょうか。ここはズバっとキレイにしちゃいましょう。
小口の汚れや黄ばみ落としに使うもの
準備するものはこちら。ミニサンダーはあると便利ですが、なくても大丈夫です。
「小口のホコリ」を落とすとき
「小口の黄ばみ」「蔵書印」を落とすとき
「小口のホコリ」の落とし方
まずは、小口のホコリを取っちゃいましょう。
使う道具は、どこにでもあるような歯ブラシ。新品ではなく、使い古しのものでも構いません。これで軽~くブラッシング。指や手で払うよりも確実にキレイになります。ここでは、歯ブラシで強くこすらないことがポイント。力を入れすぎると、ホコリが小口にめり込んで、さらに汚れがついてしまうことに。軽~く、軽~く、力まずにブラッシングしましょう。
「小口の黄ばみ」の落とし方
続いては、小口の黄ばみ。ここからはちょっと力が必要になります。用意するものは100番の紙やすり。
そうです。ここまで見てわかった人はエライ! 紙やすりを小口に当てて、ひたすらやするだけなんです。紙やすりを適度な大きさに切って、小口をひたすら磨いてください。時間はかかりますが、だいぶ取れるはずです。
ミニサンダーを使用すると、スピーディに黄ばみを落とせる!
スピーディに行いたいなら、ミニサンダーを使用しましょう。紙やすりだけでもいいのですが、けっこうな労力が必要なので、大量の本を扱う際にはシンドイのです。ミニサンダーはちょっと高いですが、長い目で見ると十分活躍してくれます。
ミニサンダーの大きさに合わせて紙やすりをカットし、ミニサンダーに装着します。今回使った紙やすりでは、6枚取ることができました。1枚につき数冊はクリーニングできます。
ミニサンダーを小口に当てるときは、できるだけ力が均等に伝わるように注意してください。偏った力を加えると、小口が削れて傾いてしまいます。
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クリーニング前
ミニサンダーをかける前は、シミなどの汚れでとても汚い小口。やすりをかけた後は、頑張った甲斐あってだいぶキレイになりました!
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クリーニング後
「蔵書印」もキレイに取れる!
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クリーニング前
蔵書印も紙やすりで削り取ることができます。こちらも、手でやすりがけをする際は多少時間がかかりますが、小口の具合を見ながら慎重に行ってください。
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クリーニング後
ハイッ、跡形もなくキレイになりました!
本のクリーニング:ワレや表紙破れなど、製本の傷みの修復編
これまで紹介してきたものと比べると、本のワレや表紙破れなどの「製本の傷み」はちょっと厄介で難儀ですが、補修するとすごく気持ちのいいものです。一見すると「直りにくいかな…」と思うのですが、ある程度までなら元通りに直すことができます。自分の腕を試すつもりでチャレンジしてみてくださいネ。
製本の傷みの修復に使うもの
準備するものはこちら。いたって普通の文房具があれば作業できちゃいます。
「ワレ」を修復するとき
「表紙破れ」を修復するとき
「ワレ」の修復の仕方
「ワレ」とは、本が綴じてある「ノド」の部分が割れてしまうこと。同じ本を何度も読んでいるうちに開きグセができ、写真のように「パカッ」と、ページとページに隙間ができてしまいます。これは大変ショックですよね。読みたくても本が破損しそうで、怖くて開けることもできない……。
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クリーニング前
このワレ、余程のものでなければ直すことができます。
用意するものは、液状のりと木工用セメダイン(ボンドでもOK)。
液状のりと木工用セメダインを、少しずつ垂らして混ぜましょう。比率は5:5くらいで。今回、混ぜるときにマドラーを使いましたが、厚紙を細長く切って使っていただいても構いません。
混ぜた接着剤を、マドラーを使って割れた部分に少しずつ塗っていきます。厚塗りしすぎると接着剤が塊になり、硬くてページを開きにくくなる恐れがあるので、薄く塗りましょう。
塗り終わったら、そのまま閉じてブックエンドなどで固定して、1時間ほど置いておきましょう。よりしっかり接着したい方は、ポリ袋で包んでから固定したほうがいいでしょう。乾くとちゃんと修復されていました!
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クリーニング後
余談ですが、液状のりと木工用セメダインを混ぜるのには理由があるんです。
液状のりだけだと接着は問題ないのですが、乾くまでに時間がかかりすぎてしまいます。また、木工用セメダインだけだと乾くのは早いですが、かなりカチカチに固くなり、またワレやすくなってしまうんです。両方を混ぜることにより、それぞれのよい部分を活かすことができるわけです。
「表紙破れ」の修復の仕方
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クリーニング前
最後に、表紙破れの修復です。表紙の破れ方にはいろいろなパターンがあって、すべてを修復できるとは限らないし、跡も残ります。しかし、貴重な本などは多少手間をかけても修復したいものです。
作業はいたってシンプルです。破れた箇所の裏からメンディングテープを貼るだけ。このときに忘れてはいけないのが、メンディングテープを貼る位置を決めたら、本の表紙がずれないように重さのあるものを載せて固定しておくことです。私の場合は、文鎮(ぶんちん)で固定しています。
そのほかに、紙を裏から貼り付けて破れを修復する方法もあります。しかし、私は手軽ということもあり、メンディングテープを使っています。メンディングテープは劣化しにくいので、セロハンテープなどより修復作業に向いていると思います。
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クリーニング後
テープを貼り終わったら、これ以上破損しないようにブックカバーをかけておしまい。これは、特につけなくてもいいのですが、カバーをつけるとできあがりがキレイになり、安心して読むことができます。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
人生の要所要所で出会った本は、大切に手元に置いておきたいものです。年を経て、汚れたり、破損したりするのは仕方ないこと。しかし、こうやって手間をかけてメンテナンスすることで、よりいっそう、自分だけの大切な一冊になるものだと思いますヨ!
※売り切れや取り扱い終了の場合はご容赦ください。
※店舗により取り扱いが異なる場合がございます。
※一部商品は、店舗により価格が異なる場合があります。
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