ヴァンス礼拝堂
マティスはニースから約20kmの場所にあるヴァンスのロザリオ礼拝堂の建設に1948年から4年間にわたり携わり、自身でもそれを芸術人生の集大成とみなしています。
かつてマティスのアシスタントとモデルをしていたモニク・ブルジョワは、1944年にドミニコ会に入りジャック=マリー修道女となりました。彼女は礼拝堂の建設についてマティスに助言を求めました。マティスはそのとき、ニースの戦火を逃れるため、ヴァンス礼拝堂のすぐそばのヴィラ・ル・レーヴに移住していたのです。マティスは、クチュリエ神父とレシギエ修道士、そして鉄筋コンクリートによる建設技術を推進していた建築家オーギュスト・ペレとともに、礼拝堂の建築と室内装飾のデザイン計画を進めました。
ステンドグラスの図案は幾つかのヴァージョンを経て、青色、黄色、緑色の3色を用いて、生命の木をモティーフとした案が採用されることとなりました。これらのステンドグラスと鮮やかな対比をなすのは、静謐な雰囲気を醸し出す3つのパネルです。そこには、十字架の道行、聖ドミニクス、聖母子が白い陶板の上に黒いインクで描かれています。陶板にはステンドグラスから透過する色鮮やかな光が映り込み、太陽が昇ったり沈んだりする時間の経過に従って、光の反映によるイメージも移り変わります。
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