第34回「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」のロケ地 | コラム | パイオニア吹奏楽団 | Pioneer
2012年 7月 9日
7月に入り、第10回アンサンブルコンサートの日が近づいて来ましたが、前回に引き続いてそのアンサンブルコンサートに演奏する曲目の話題を取り上げます。今回は「レイダース・マーチ」です。
「レイダース・マーチ」は、ハリウッドの大ヒット作である「インディ・ジョーンズ」シリーズのテーマ曲です。CM等でも盛んに使われているため、映画の枠を超えて広く知られている曲だといえるでしょう。曲名は普通に考えるとシリーズ名から採って「インディ・ジョーンズ・マーチ」となりそうなものですが、シリーズの第1作のタイトルが「レイダース 失われた聖櫃」だったため、「レイダース・マーチ」と題されています。映画は現在まで4作公開されており、2008年の「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」も記憶に新しいところです。
このような大作においては様々な場所でロケを行うのが通例ですが、その中でも「インディ・ジョーンズ」シリーズによって一躍有名になったといえるのが第3作の「最後の聖戦」のロケ地であるヨルダンのペトラ遺跡です。ペトラ遺跡は映画のクライマックスに登場しますが、それだけに映画を観た人に強くインパクトを与える存在であり、「最後の聖戦」のロケ地といえばまずペトラ遺跡の名前が挙がるほどです。
ローマ劇場の残るヨルダンの首都アンマン
このペトラ遺跡はヨルダンの首都アンマンから車で3時間ほど南に下ったところに位置しており、ヨルダンを代表する観光地として各地から旅行客が訪れています。中東ではシリアのパルミラ遺跡、イランのペルセポリス遺跡と並ぶ遺跡とされ、これら3つの遺跡の頭文字をとって「中東の3P」とも呼ばれています。その中でもペトラ遺跡は最大の規模を誇っており、1985年には世界遺産にも登録されています。
映画の主役であるインディ・ジョーンズは考古学者ですが、ペトラ遺跡は考古学上非常に重要な遺跡でもあります。歴史を紐解くと、紀元前1200年頃にこのペトラには人が住んでいたと推察されており、その後ローマ帝国の一角に組み込まれました。しかし、以後は衰退が進み、更に4世紀にこの地方を大地震が襲ったこともあって、ついには廃墟となります。20世紀以降、当時の状況を解明すべく発掘や研究が進んでいますが、その全容はまだ分かっていないというのが現状です。
そんなペトラ遺跡を「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」の監督であるスティーブン・スピルバーグがロケ地に選んだ理由は分かりませんが、少なくともこの謎めいた遺跡がインディ・ジョーンズの世界観に合っていたからなのは間違いないでしょう。決して映画用のセットでは表せないようなリアル感が、ストーリーになお一層の説得力を持たせているといえそうです。
「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」のロケ地・ペトラ遺跡の一角
筆者は実際にこのペトラ遺跡を訪れたことがありますが、何はともあれその規模に圧倒されました。全部見ようとすると、丸1日掛けてやっと回れるかというほどの広さです。遺跡内には数多くの遺構が点在しており、自分の想像以上に栄えていた古代都市の有り様を目の当たりにした感がありました。映画で出てくるシーンも迫力がありますが、それ以上の荘厳さを感じさせてくれたペトラ遺跡の姿は今も心の底に強く刻まれています。
今回のアンサンブルコンサートではこの「レイダース・マーチ」をフルバンドでお送りする予定です。インディ・ジョーンズの好奇心・冒険心を想像させるような軽快なマーチですが、それと共にペトラ遺跡の雄大さも感じていただけるような演奏をお送りできれば、と思います。
文責:磨墨
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