2024年11月29日金曜日

愛は恐怖を超える!黒沢清監督が語る、愛のホラー映画論 | ブルータス| BRUTUS.jp

愛は恐怖を超える!黒沢清監督が語る、愛のホラー映画論 | ブルータス| BRUTUS.jp

愛は恐怖を超える!黒沢清監督が語る、愛のホラー映画論

恐怖で背筋を凍らせるホラー映画の中にも、愛は存在する?『CURE キュア』や『クリーピー 偽りの隣人』など、傑作ホラーを手がけてきた黒沢清監督が、愛を描きながら同時に恐ろしい映画の歴史を紐解く。

text: Yusuke Monma

歴史的に見ると、映画が発明したオリジナルの物語で、愛を描くホラー映画として最初に成立したものは1932年の『ミイラ再生』だろうと思います。エジプトの王女に恋をしていた男が、数千年後の現代にミイラ男として蘇り、王女に似た女性を追い求める。まあ、最終的には破滅していくわけですが、ごく初期の頃には女性を愛してしまった怪人の哀れな物語がいくつか存在していました。

しかし60年代以降、ホラー映画はそういった愛の物語を否定する方向で発展していきます。モダンホラーの先駆けともいえる『サイコ』('60)では、標的となる女性がモノのように扱われ惨殺されていく。その後の『エクソシスト』('73)や『悪魔のいけにえ』('74)も、愛を拒絶するところから生まれた作品です。

決定的だったのは『羊たちの沈黙』('90)で、そこでは女性が全裸の腐乱死体として、単に即物的に描写されていました。それはホラーが愛と訣別した瞬間だったと思います。おそらく愛と恐怖は本来相いれない表現なんでしょう。

愛を描き出す誘惑は強く、恐怖の表現は実に儚い

ところがそんなホラー映画の歴史の中でも、愛の場面に胸を打たれるような作品は例外的にあって、真っ先に思い出すのが『蠅男の恐怖』('58)です。脳がだんだんハエ化して、人間の理性を失っていく男が、震える手で黒板に「アイ・ラブ・ユー」と書く場面。ほとんど人間性を失った彼に、最後まで残っていたのは妻への愛だったという、本当に胸を打たれる場面でした。

映画『蠅男の恐怖』
『蠅男の恐怖』より。電送実験に失敗しハエ男となってしまった科学者にも、妻への愛があった。©Everett Collection/Aflo

ちなみにこのリメイク版が、デヴィッド・クローネンバーグ監督による『ザ・フライ』('86)で、これもまた愛が胸を打つ見事なホラー映画です。

トビー・フーパー監督の『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』('89)も素晴らしい作品ですね。主人公の男は水爆実験の影響で、母親の胎内にいるときから放射線を浴び、怒りが爆発すると体中から炎を噴き出してしまう。ところが恋人の前では、彼女を焼き殺してしまわないように、怒りを抑えなければならない。結局、彼女を愛で守りつつ、一方で怒りが別なところで爆発し、人類を破滅に導くという、恐ろしくも感動的な映画でした。

人間が一種の化け物のようなものを愛してしまう映画もたまにあって、それが『処女の生血』('74)です。処女の生き血しか吸うことのできないドラキュラが、処女ではない美人たちの血を吸って苦しむという奇抜な物語でしたが、唯一処女である醜い女性が彼を深く愛してしまう。最終的に体に杭を打たれ、死骸となったドラキュラに、その女性が駆け寄っていき抱きつくラストは、涙なくしては観られません。

同じように人間が人間でないものを愛してしまう映画に、トビー・フーパー監督の『スペースバンパイア』('85)があります。人間の精気を吸い取る宇宙人──これが全裸の女性なんですが──を、本来なら彼女をやっつけなければならない主人公の男が愛してしまい、最後はドラキュラの物語さながらに、彼女もろとも串刺しになる。これもまた強烈な愛の映画でした。

映画『スペースバンパイア』
『スペースバンパイア』より。人間の男が、地球人の精気を吸い取っていく宇宙人を愛してしまう。©Photofest/Aflo

まあ、愛を物語の主軸に据え、同時に恐ろしい映画というと、そういったところでしょうか。そのような映画は近年ではほぼ思いつかない、というのが正直なところです。それならと思い、ホラーっぽいけれども、思いきって愛に寄せていく作り方をした映画が、2016年に監督した『ダゲレオタイプの女』ですが、作ってみて確信したのは、愛を貫くと恐怖がどんどん遠のいていくんだな、と。

『ダゲレオタイプの女』'16/仏=ベルギー=日
パリ郊外の古い屋敷。被写体を特殊な器具によって長時間拘束する、世界最古の写真撮影法"ダゲレオタイプ"が、生と死の境を曖昧にし……。フランスで撮影され、全編フランス語で製作されたホラーラブストーリー。監督:黒沢清。

やはり愛は強力で、恐怖はどうぞどうぞと、遠慮深く愛に道を譲ってしまうんです。愛を描きたいという誘惑は映画においてそれほどまで強く、反対に恐怖表現はちょっとしたことで壊れてしまう、実に儚(はかな)いものなんですね。

もし愛と恐怖がどちらも完全にみなぎった映画を誰かが作ったとしたら、それは画期的なことだと思います。例えば生きているうちには達成できなかった強烈な愛を、死んでから成就するような、恐ろしいホラー映画。それは作ってみる価値があるのかもしれません。

黒沢監督が選んだ、胸を打つ愛のシーンがあるホラー映画

  • 映画『スペースバンパイア』2
    人間の精気を吸い取り、次々とゾンビ化させていく、宇宙からやってきた吸血鬼。彼女を最初に発見した宇宙船の船長は、街をパニックに陥れる彼女を始末しようとするが……。吸血鬼役のマチルダ・メイが人気に。監督:トビー・フーパー。
  • 映画『ミイラ再生』DVD
    『ミイラ再生』'32/米
    調査団によって発掘されたミイラが、生前に思いを寄せていた王女の面影を追い、殺人を繰り返していく。初期ホラー映画の大スター、ボリス・カーロフが主演し、ミイラものというジャンルを確立した原点の一作。監督:カール・フロイント。
  • 映画『蠅男の恐怖』DVD
    『蠅男の恐怖』'58/米
    頭部を潰された状態で、死体となって発見された科学者。その妻が、電送実験でのミスからハエと融合し、頭と片腕がハエになってしまった男の悲劇を回想する。反対に人間化してしまうハエの描写も恐ろしい。監督:カート・ニューマン。
  • 映画『ザ・フライ』DVD
    『ザ・フライ』'86/米
    『蠅男の恐怖』を数々のホラー作品で知られる名匠がリメイク。当時の最新SFX技術を駆使し、人間がハエ化していく姿をおぞましく描く。オリジナル以上に際立つのは、男を愛した恋人の苦悩。監督:デヴィッド・クローネンバーグ。
  • 映画『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』DVD
    『スポンティニアス・コンバッション/人体自然発火』'89/米
    ホラー映画界のレジェンドによる、人体自然発火現象を題材にしたSFホラー。水爆実験により怪物のような存在が生み出されてしまうのは、『ゴジラ』に対する監督のオマージュから。人体発火シーンが衝撃的。監督:トビー・フーパー。
  • 映画『処女の生血』
    『処女の生血』'74/米=伊=仏
    アンディ・ウォーホルが製作し、モリセイが監督した、一連のモンド系ホラーの一つ。その後は怪優として名を馳せるウド・キアが、処女の生き血しか吸えない吸血鬼に扮した。ロマン・ポランスキーらも出演。監督:ポール・モリセイ。
  • 映画『スペースバンパイア』2
    『スペースバンパイア』'85/英=米
    人間の精気を吸い取り、次々とゾンビ化させていく、宇宙からやってきた吸血鬼。彼女を最初に発見した宇宙船の船長は、街をパニックに陥れる彼女を始末しようとするが……。吸血鬼役のマチルダ・メイが人気に。監督:トビー・フーパー。
  • 映画『ミイラ再生』DVD
    『ミイラ再生』'32/米
    調査団によって発掘されたミイラが、生前に思いを寄せていた王女の面影を追い、殺人を繰り返していく。初期ホラー映画の大スター、ボリス・カーロフが主演し、ミイラものというジャンルを確立した原点の一作。監督:カール・フロイント。

実話を基にした“泣ける洋画”の傑作は? 珠玉の名品(5)ナチスから子供たちを救えるのか…ズシリと重い感動作(映画チャンネル) - Yahoo!ニュース

実話を基にした"泣ける洋画"の傑作は? 珠玉の名品(5)ナチスから子供たちを救えるのか…ズシリと重い感動作(映画チャンネル) - Yahoo!ニュース

実話を基にした"泣ける洋画"の傑作は? 珠玉の名品(5)ナチスから子供たちを救えるのか…ズシリと重い感動作

映画チャンネル

世の中には、自分には決して真似できないと思うような苦しい戦いを乗り越えてきた先人たちが存在する。今回は、実話を基にした、心が温まる洋画を5本セレクト。世界各国で、仕事や病、時には国家や迫害者とひたむきに戦った人々の真実を描いた作品をご紹介する。第5回。(文・阿部早苗)

『ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命』(2023)

上映時間:110分 原題:One Life 製作国:イギリス 監督:ジェームズ・ホーズ 脚本:ルシンダ・コクソン、ニック・ドレイク キャスト:アンソニー・ホプキンス、ジョニー・フリン、レナ・オリンロモーラ・ガライ 【作品内容】  第2次世界大戦直前、プラハではナチスから逃げてきたユダヤ人難民が厳しい生活を強いられていた。状況を目の当たりにしたニコラスはナチスの侵攻が迫る中、子供たちをイギリスに避難させるため奔走する。 【注目ポイント】  ナチスを題材にした作品の中でも、多くの命を救った人物といえばオスカー・シンドラーを描いた映画『シンドラーのリスト』(1993)が有名だ。  本作は"イギリスのシンドラー"とも呼ばれた人道支援家ニコラス・ウィントンが669人のユダヤ人児童をプラハから脱出させた救出劇と50年後が描かれた作品だ。    若き日のウィントンを演じたのは俳優でミュージシャンでもあるジョニー・フリン。物語の軸となる50年後を名優アンソニー・ホプキンスが演じている。  第2次世界大戦直前、ナチスからプラハに逃げてきたユダヤ人難民は、住まいや食料もない過酷な状況下で生活を送っていた。  この様子を見たニコラス・ウィントン(ジョニー・フリン)は、子供たちだけでもイギリスへと避難させるため同志と共に資金集めと現地の里親探しに急ぐ。ビザの発行に難をきたしつつも、次々と子供たちを列車に乗せていった。  ナチス侵攻による緊張が走るなか、とうとう第二次世界大戦が勃発。プラハの国境は閉ざされ250名の子供達が乗車していた列車は脱出不可能となる。  プラハ脱出を予定していた救済リストには約6000名にも及ぶ子供達が記録されていた。開戦とともに、残された子供達は大人と共に収容所へ。その後、チェコの収容所から生存したユダヤ人児童は約100名とも言われている。  ニコラス(アンソニー・ホプキンス)は、それから50年もの年月が経っても救えなかった子供たちのことを忘れられず自責の念に駆られる。やがて当時の子供達の記録をきっかけにテレビ番組の収録参加の依頼が来る。そこでニコラスは奇跡的な再会を果たす。  クライマックスといえる再会のシーンは、実際にニコラスによって助けられた子供達や、その家族が一部参加しているという。669名しか救えなかったと自身を責めていたニコラスが、実は6000名もの命を救ったという事実はまさに感慨深い。  今の時代も、世界では戦争が勃発し多くの子供たちが親を失い、罪のない人々が犠牲となっている。犠牲を伴わない戦争はない。それを決して忘れてはならない。  ちなみに、ニコラスの娘・バーバラ著者の原作を基に、構想やリサーチなど15年もの長い年月をかけて映画化を成し遂げた本作。是非とも史実に触れてみてはいかがだろうか。 (文・阿部早苗)

阿部早苗

殺意の重奏 - ドラマ詳細データ - ◇テレビドラマデータベース◇


森村誠一の殺意の重奏

三宅明と秋本は大手商社のエリート社員である。ふたりはライバルとして将来を嘱望されていたが、秋本のほうが一足先に係長に抜擢され、三宅はその下で働く屈辱を味わされていた。ある夜、明は課長から秋本への伝言を思い出して、秋本へ電話した。電話に出た秋本は明らかに不機嫌な声だった。電話からは女性のふくみ笑いが聞こえた。翌日、秋本は死体で発見される。【以上、東映チャンネル番組広報資料より引用】撮影協力:比叡山国際観光ホテル(比叡山ホテル)、奈良ホテル、白浜温泉 ホテル天山閣、ホテル ハイ・プレー、皇子山カントリークラブ。【出典:ドラマ本体のクレジット表示より採録(採録:古崎康成)】
キー局ANB放送曜日放送期間1978/05/27~1978/05/27
放送時間21:00-22:24放送回数1 回連続/単発単発
番組名土曜ワイド劇場(第46回)
主な出演田村 正和多岐川裕美小池 朝雄成田三樹夫天田 俊明長谷川明男矢吹 二朗矢吹 二郎)、林 彰太郎和崎 俊哉早川 絵美三木  豊津山 栄一)、峰 蘭太郎藤沢 徹夫星野美恵子蓑和田良太簑和田良太)、岡田 雅美常山 直子丸平 峯子司  裕介白井 滋郎木村 英子原田 二美池内 彦祥大矢 敬典大月正太郎前川恵美子藤村 晃一竹内 健一和田秀一郎小池  榮小池  栄)(クレジット表示なし)、
主な脚本猪又 憲吾杉本 容子
主なプロデューサ大久保忠幸秋田  亨奈村  協(東映)、(スチール:中山 健司
主な演出(監督:松尾 昭典)(助監督:依田 智臣)(記録:梅津 泰子
原作森村 誠一「殺意の重奏」(角川文庫版
局系列ANN
制作会社(制作:東映、ANB)
制作(制作担当:白崎 英介(ANB))(進行:管田  浩)(演技事務:西秋 節生)
音楽鏑木  創
撮影技術赤塚  滋、(照明:海地  栄)(録音:伊藤 宏一)(編集:荒木 健夫)(現像:東洋現像所
美術佐野 義和、(装置:太田 正二)(装飾:山田 久司)(美粧結髪:東和美粧)(衣裳:豊中  健

http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-16508

万葉集(0092): 秋山の木の下隠り行く水の


https://art-tags.net/manyo/two/m0092.html

原文: 秋山之 樹下隠 逝水乃 吾許曽益目 御念従者

作者: 鏡王女(かがみのおおきみ)

よみ: 秋山の、木(こ)の下隠(がく)り、行く水の、我(わ)れこそ益さめ、御(み)思ひよりは

意味:秋山の木陰を流れて行く水のように静かに、わたくしのほうこそ、あなたさまのことをもっともっと思っていますわ。

この歌は、天智天皇(てんじてんのう)鏡王女(かがみのおおきみ)に贈った歌に和して詠んだ歌です。

27.秋山の樹の下かくり・・・ - 一般社団法人 桜井市観光協会公式ホームページ

秋山の 樹の下隠り

 

逝く水の 吾れこそ益さめ

 

御思いよりは

 

 万葉集巻2ー92 鏡 王女

   


歌の意味

秋山の木の下を隠れて流れていく細い流れの水が、次第に水かさを増していくように、私のあなたに対する思いのだけは、あなた自身の私への御思いよりはまさっているのですよ。

 

鏡王女

近江の国野洲郡鏡里の豪族・鏡王の女と言い、その妹が額田王と考えられています。二人は近江の水の女、高級巫女として天皇家に仕えたと考えられていますが、万葉歌人として著名で、鏡王女は藤原鎌足の正妻としても知られています。

 


第2回『森村誠一の殺意の重奏』 | むチュー刑事

東映テレビドラマLEGACY                 第2回『森村誠一の殺意の重奏』 | むチュー刑事

チューもく!!東映テレビドラマLEGACY                 第2回『森村誠一の殺意の重奏』

文/伊東叶多

先月よりスタートさせていただきましたコラム「東映テレビドラマLEGACY」。第2回となる今回は、『土曜ワイド劇場』(77~17年)における初の田村正和主演作品『森村誠一の殺意の重奏』をご紹介します。

『土曜ワイド劇場』は、日本のテレビ界における長時間ドラマ枠の先駆け。この枠の成功により、1980年代はそれこそ毎日のように「2時間サスペンス」が放送されるようになりました。ただし『土ワイ』については最初から2時間枠だったわけではありません。番組がスタートした1977年7月から1979年3月まで、2年足らずの間だけは90分枠だったのです。今回、ご紹介する『殺意の重奏』も、そんな時代の作品。放送年月日は1978年5月27日でした。田村正和は当時34歳。当時は主演時代劇『若さま侍捕物帳』もオンエア中でしたが、この作品では、会社での出世のために、野心を隠そうともしないギラギラした男を演じています。

大手商社の経理課に勤務する三宅明(田村正和)は、ある夜、佐野課長(天田俊明)からの指示で、同期で係長を務める秋本(長谷川明男)に電話をかけ、「明日は早めに出社するように」と伝えました。どうやら、課長と秋本は何か問題を抱えているようです。

ところが翌日、秋本は早く出社するどころか、無断で遅刻。電話もつながらないため、三宅が秋本の住むアパートへ様子を見に行くことになりました。

すると――なんと秋本は自宅で死んでいました。死因は青酸化合物による中毒死。自殺か他殺かも含め、警察の捜査が開始されます。やがて、秋本の業務上横領容疑が発覚。秋本の単独犯行ではありましたが、上司の佐野も責任を取らされて左遷。そのため課長、係長のポストが空き、三宅の係長昇進が決定しました。さらに三宅は、秘書課の立花弓子(多岐川裕美)とも結婚。まさに前途洋々といった状況でしたが、警察は秋本にライバル意識を抱いていた三宅に着目し、「秋本が死んで最も得をした人物」として、彼をひそかにマークし始めました。

そして事件から約1年が経ったころ、捜査は意外な形で進展を見せるのでした。

この『殺意の重奏』、ドラマ版では原作の骨子を活かしつつも大きな改変が加えられており、「誰が犯人なのか」というサスペンスが終盤まで持続する形となっています。タイトルの"重奏"の意味も、この改変によって、より深まったように感じました。

さて、あらすじに記した面々のほかにも、豪華なキャストが顔を揃えています。中でも、特筆したいのがベテラン刑事役で登場している小池朝雄。その役作りはまさに、小池が長年にわたって吹き替えを担当した"コロンボ"そのものなのですが、当時は本作に限らず時折このようなパロディ的な刑事役を演じていました。そして小池と同じく名バイプレーヤーとして知られた成田三樹夫(50代の若さで世を去ったのも小池と同じ!)も出演。ただしこちらは1シーンのみでした。なんとも贅沢ですね。

また、東映特撮ヒーロー作品のファンにおなじみのキャストも。小池朝雄とコンビを組む若手刑事役は、『仮面ライダー』(71~73年)のFBI捜査官・滝和也や『ロボット刑事』(73年)の新條刑事などを演じた矢吹二朗(千葉治郎)。三宅に想いを寄せるあまり、意外な行動に出て捜査陣を困惑させる女性社員を演じたのは『ザ・カゲスター』(76年)のベルスター役だった早川絵美です。さらに、「下着泥棒で逮捕される予備校生」という役どころで、後に『電子戦隊デンジマン』(80~81年)のデンジイエロー役となる津山栄一(本作では本名の「三木豊」名義で出演)も登場。全く本筋に関係のない人物かと思いきや……詳細は本編でご確認ください。

クライマックスで次第に明らかになっていく、いくつもの悲しい真実。この時代の「テレビ映画」の良さは、説明過多にならず、最低限の表現で、あとは「視聴者に想像させる」というスタンスを採っているところ。逆に言えば、それだけ監督に演出力があり、また役者の演技力にも「信頼」が置けたという証明でもあると思います。視聴者に気を遣いすぎるあまり、なんでもかんでも「分かりやすく」見せるという近年(に限りませんが)の風潮は、それはそれで手間のかかることではあるでしょうけど、時に「そこまでしなくても」と感じてしまうのは、贅沢なことなのでしょうか……。

それでは、また次回へ。なお4月の「違いのわかるサスペンス劇場」では、本作のほか、1983年に『火曜サスペンス劇場』で放送された「青い幸福」(原作:平岩弓枝/主演:新珠三千代、岡田裕介)も放送されます。どうぞ、ご期待ください!

<放送日時>

『森村誠一の殺意の重奏』

4月6日(土)13:00~

4月20日(土)13:00~

4月30日(火)13:30~

『青い幸福』

4月3日(水)24:00~

4月13日(土)13:00~

4月27日(土)13:00~

2024年11月28日木曜日

四国を舞台にしたおすすめ映画10選 | ciatr[シアター]

四国を舞台にしたおすすめ映画10選 | ciatr[シアター]


四国


眉山

阿波の踊子

寅さんかもめ歌

空海

スズメの戸締り

  • 2.徳島県美馬市が舞台 古き良き人情を描いた映画『虹をつかむ男』
  • 3.愛媛県四国中央市が舞台 大人も観たい青春映画『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』

https://ciatr.jp/topics/148531

四国を舞台にしたおすすめ映画10選

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1:木下惠介の言わずと知れた名作【1954年】

『二十四の瞳』の舞台となったのは瀬戸内海に浮かぶ小豆島です。教師として赴任して来た大石先生と12人の子供たちが、第二次世界大戦の暗さや悲壮さに巻き込まれていく様子が描かれています。 小豆島の「二十四の瞳映画村」には映画に使われたセットや小道具が展示されていて、多くの観光客が訪れる場所になっています。

2:シリーズ19作目は愛媛が舞台【1977年】

有名なシリーズである『男はつらいよ』。その19作目となる『男はつらいよ 寅次郎と殿様』は愛媛県を舞台とした物語です。大洲城の近くで知り合った殿様の子孫である藤堂久宗に出会い、亡くなった息子の嫁に会いたいと依頼されて寅次郎が奮闘するストーリーです。

3:「なめたらいかんぜよ!」が流行語に【1982年】

宮尾登美子の小説で初めて映像化された作品です。大正から昭和にかけての高知の花街を舞台にした物語で、夏目雅子演じる松恵の「なめたらいかんぜよ!」という凄みのあるセリフが印象的で流行語となりました。 鬼龍院政五郎と娘の花子の荒波の人生を、この家に養子として預けられた松恵の目線から語られる作品となっています。

4:山田洋次が手がける青春の物語【1988年】

『ダウンタウン・ヒーローズ』は愛媛県出身の早坂暁が書いた小説を元に、山田洋次が監督を手がけた映像作品です。松山高校に通い寮生活をする浩介と友人たちが演劇を通して引き合い、またすれ違うさまを描いた青春のお話です。 当時現存した築100年以上の愛媛県の宇和島小学校を使って撮影されました。今は移築されて博物館になっています。

5:香川県を舞台にロックな高校生活を描く【1992年】

ロックミュージックに憧れる主人公・藤原竹良は、高校で出会った個性豊かな仲間を集めて4人でロックバンドを結成します。ロックを通じて広がる人とのつながりや、藤原竹良の成長を描いた映画です。 香川県の観音寺第一高等学校の周りを中心に、愛媛県や徳島県など四国全体で映画のロケが行われました。原作の雰囲気そのままのナレーションや言葉遊びが特徴です。

6:「寅さん」渥美清への追悼作品【1996年】

『虹をつかむ男』は山田洋次が監督を手がける喜劇映画です。『男はつらいよ』の寅次郎役、渥美清への追悼の意を込めて制作されました。西田敏行が主演を務め、倍賞千恵子をはじめ寅さんファミリーが総出演している作品です。 舞台は徳島県美馬市。この映画によって取り壊されるはずだった「オデオン座」という劇場に注目が集まり、現在は町指定の文化財として一般公開されています。

7:「セカチュー」の名で一躍有名に【2004年】

『世界の中心で、愛をさけぶ』は片山恭一のベストセラー小説が元となった映画。大沢たかおと柴咲コウが主演を演じ、観客動員数が実写映画の中で2004年の1位になりました。映画で柴咲コウ演じる律子が高松に向かうことから、ロケは四国で行われています。 またこの映画によって長澤まさみにスポットが当たり、知名度を上げるきっかけになりました。第29回報知映画賞の助演女優賞をはじめ数々の賞を受賞しています。

8:SF研究会のメンバーに起こった非日常を描く作品【2005年】

『サマータイム・マシン』は、クーラーのリモコンが壊れて猛暑にやられているSF研究会のメンバーの元に突然タイムマシンが現れ、昨日に戻ってリモコンを取って来ようと画策することから始まる物語です。 監督を手がけた本広克行は香川県の出身で、地元で大きな話題を呼んだ映画となりました。作中には香川県善通寺市や丸亀市の風景が映し出されています。

9:角田光代原作、母性をテーマにした作品【2011年】

不倫相手の娘を誘拐した希和子と、恵里奈の葛藤を描く物語です。観客動員ランキングは初登場5位となり、第35回日本アカデミー賞の賞を総なめした勢いのある作品です。 希和子が恵里奈を誘拐して小豆島に逃げるシーンでは、二十四の瞳映画村がロケ地として使われています。福田港や千枚田など、香川の自然の魅力を背景に話が展開していきます。

10:「もうひとハナ、咲かそ。」がキャッチコピー【2012年】

『人生、いろどり』は2012年に公開された徳島県上勝町のおばあちゃんたちに焦点を当てた物語です。植物の葉などをつまものとして販売する「彩事業」の成功までの軌跡を描いた作品です。 徳島県上勝町は四国で最も人口が少ない集落。高齢化が進んだこの町で、女性たちが「彩事業」を通して前を向いて歩いていく様が描かれています。

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この記事を書いたライター

Dead Poets Society: 死んだ詩人協会

  https://youtu.be/YY9Xq78zXJI?si=xzbV4uxRZv7KXGLp