『百人秀歌』と違い『百人一首』は定家の編纂ではないという「推定」を根拠に、著者は林直道による「歌織物説」を否定している。林直道(『百人一首の秘密』)の名前を出さないところが実に陰険である。
『物語二百番歌合』における藤原定家の試みを考えれば、百人一首歌織物説は否定できないと思うし、また(後鳥羽上皇の名を出すことによる)政治的な軋轢を恐れた定家が百人一首の決定版の発表を遅らせたのは当然だろう。
聖徳太子騒動でもあったように専門家が業績を上げるためにレトリカルにかつ強引に定説を否定するのは害悪でしかない。素人を甘く見過ぎだ。
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