2024年11月15日金曜日

『シン・仮面ライダー』庵野秀明、念願だった各話フォーマット版 大河で多忙の柄本佑も追撮参加「3日間だけもらった」(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース

『シン・仮面ライダー』庵野秀明、念願だった各話フォーマット版 大河で多忙の柄本佑も追撮参加「3日間だけもらった」(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース




『シン・仮面ライダー』庵野秀明、念願だった各話フォーマット版 大河で多忙の柄本佑も追撮参加「3日間だけもらった」

 映画『シン・仮面ライダー』(2023)の脚本・監督を務めた庵野秀明が15日、新宿バルト9で行われたBlu-ray & DVD発売記念トークショー付き「各話フォーマット版」上映会に出席。自ら司会進行を務めながら、特典映像の追加撮影にまつわる裏話を明かした。この日は、准監督の尾上克郎とアクション監督の田渕景也も来場した。 【動画】『シン・仮面ライダー』のロケ地確保は「エヴァ」で!? 上映会の様子  石ノ森章太郎原作の「仮面ライダー」生誕50周年プロジェクトの一環として製作された本作。SHOCKERの手によって高い殺傷能力を持つオーグメントと化した本郷猛(池松壮亮)が、組織から脱走し、迫り来る刺客との壮絶な争いに巻き込まれることとなる……。この日特別上映された「各話フォーマット版」は、映画本編を全5話に分割・再編集したもの。新規撮影によって各話エンディングを追加し、テレビ放送フォーマットのように構成したバージョンだ。11月20日発売のBlu-ray初回限定版に、特典映像として収録される。

 開口一番、「僕が面倒くさい監督なので、こんな面倒くさい監督に付き合ってくださる方々」とふたりを紹介する庵野監督だが、「でも僕も面倒くさいと言われていますけど、僕より面倒くさい監督は、アニメにはたくさんいるんですよ。たいしたことないと思っているんですけど、実写の方だと面倒くさい方に分類されるようで。本当にアニメは面倒くさい人が多いんですよ」と軽口をたたいてみせて会場を沸かせた。庵野監督とは長い付き合いだという尾上准監督も「慣れりゃたいしたことないです」と意に介していない様子。さらに、田渕アクション監督も「久しぶりに観て感動しちゃって、つらいことはたくさんありましたけど、完成したものを観たら、どうでもよくなっちゃった。またやりたいなと思っちゃいました」と語ると、会場からは拍手が。庵野監督から「どうもすみませんでした」と頭を下げられるひと幕もあった。

 さらにアクションについて「『仮面ライダーBLACK』の衝撃はなかなかすごかった。これがテレビでできるのかと思った」と庵野監督。「あとは『科学戦隊ダイナマン』のパイロット版とか、『ビー・バップ・ハイスクール』の(ケンカシーンで走る)電車から川に落ちるやつとか。そういうのを本当は今回もやりたかったけど、無理ですと言われて。80年代はよくやってたんですけどね」と語る庵野監督に、田渕アクション監督も「やりたいんですけど、やらせてくれないんですよね。だぎってる奴はいっぱいいるんですけどね。それが正々堂々とできる場所があれば」と残念そうな表情を見せた。  特典映像となる「各話フォーマット版」の追加撮影について、尾上准監督が「庵野さんが新たにエンディングを撮りたいと言っていると聞いて。まさかやらないだろうと言ってたら。昔撮ったものをつなげてエンディングにするのかなと思ったら、新たに撮るという話になって。昔の映像を探してきて、これと同じ場所を探してくださいと言われたんですが、分かっている制作部は、本当に同じようなところを探さないと、あとでヒドい目に合うのが分かっているので。同じ場所になるように必死になって探してた」と述懐すると、「そこまでは言ってないんだけど、製作部が忖度(そんたく)してくれたんです」と冗談めかした庵野監督。尾上准監督も「やはり庵野組になるとそこは頑張るんだよね」としみじみ語った。

『シン・仮面ライダー』庵野秀明、念願だった各話フォーマット版 大河で多忙の柄本佑も追撮参加「3日間だけもらった」

 エンディングの追加撮影には、一文字隼人役の柄本佑が参加。NHK大河ドラマ「光る君へ」の撮影で忙しい中、「3日間だけもらった」と庵野監督は明かす。「柄本さんも頑張りましたね」という田渕アクション監督も、「昔の方(オリジナル版)もいろいろ四苦八苦して出てきたわけじゃないですか。いい部分が自分の身になったかなと。だからアレンジを加えたエンディングは気に入っている」と笑顔を見せた。  尾上准監督も「エンディングを撮っている時は夏だったから暑かったんだよね」と続けると、庵野監督も「ちょうど2か月くらい入院だったんで。今はわりと動くようになりました」と語りながら、足首を回転させてみせて回復ぶりをアピール。

 その後も「邦画で一番厳しいのが、撮る場所がないということ。ライダーもあそこで撮りたいというところがあったんですが」という庵野監督の思いから、苦労続きだったというロケ地探しの話。ハチオーグ役の西野七瀬が自分でアクションをこなしていたが、別現場で田渕アクション監督に会うと「今日何かありましたっけ?」とビクビクしていたという話。そして、尾上准監督が参加していた「宇宙刑事」シリーズの過酷だった撮影エピソードの数々。肉体のアクションをCGでどう補うかといった話。さらには、往年のテレビシリーズのテロップを再現し、大喜びした庵野監督が「手前味噌ですが僕の名前があの明朝体で、石ノ森先生の後に出たのを最初にみて大喜びしました」と振り返ると、尾上准監督が「あなたの喜びのために俺たちがやってるのってずるいよね。そういう風な気持ちにさせるのがうまいんだよね。これはほめてるんですけどね」と返すといったやり取りなど、ファン垂ぜんのトークが次々と繰り広げられた。

 そのストイックさとこだわりの強さで知られる庵野監督だが、「現場でできないことは言いません。頑張って無理したらできることをお願いしているだけですから」とのことで、「それが普通になったね」(田渕アクション監督)、「ほかの現場だとぬるく感じる。こんなに簡単に決めていいの? と思うくらい」(尾上准監督)というスタッフ陣。「申し訳ございません」という謝罪する庵野監督に、あらためて尾上准監督も「これは愚痴じゃなくてほめてるんです。次もよろしくお願いします」と返した。  そして最後に「各話フォーマット版は、僕としてはこちらをやりかたった。だから劇場公開のあと、これをやって、僕の中の 『シン・仮面ライダー』は完結をみるかなと。相当無理してやったんですけどできてよかった。仮面ライダーって各話フォーマットの話なので。再構築できてよかった」としみじみ語った。(取材・文:壬生智裕)

『シン・仮面ライダー』Blu-ray&DVDは11月20日発売予定

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