チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦 Kindle版
もしヒトラーが見たら、「なんとしても感想が聞きたいね」とチャップリンは言った。総統が『独裁者』を見て、気の利いた感想を残せるほどのユーモアの持ち主だったなら、歴史は変わっていただろうか。
さて、四日違いで生まれて、同時期に同じ髭を生やし、第二次大戦開戦の直後に『独裁者』撮影開始、パリ入城の翌日にラストの演説撮影、という両者の人生における交差を見てきた。必然的偶然を重ねた二人の闘いに、いよいよ決着がついた。チャップリンによる『独裁者』ラストの演説を境に、ヒトラーの演説は激減するのである――あたかも、喜劇王が希代の演説家から、その武器を奪ったかのように。
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