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ミケランジェロ・アントニオーニは、なぜ事前に撮影計画を立てないのかを次のように説明しています。
「私は、あらゆる芸術的努力には、まず選択のプロセスがあると信じています。カミュがかつて言ったように、この選択は現実の力に対する芸術家の反抗を表しています。ですから、私はシーンの撮影を始める準備ができたら、常に「処女」の状態でロケ地に到着します。なぜなら、シーンを撮影する環境と、その瞬間の私自身の特定の心の状態との間で起こる「衝突」によって最高の結果が得られると信じているからです。私は、実際に撮影を始める前夜、あるいは数日前にシーンについて研究したり考えたりするのは好きではありません。そして、そこに到着すると、周りに誰もいなくても環境を感じることができるように、完全に一人でいるのが好きです。
シーンを再現する最も直接的な方法は、環境自体と親密な関係を築くことです。これは、環境から何かを示唆してもらう最も簡単な方法です。当然、私たちはその場所を選んだ瞬間から、その場所を事前によく知っているので、撮影する特定のシーンに適した設定を提供していることがわかります。したがって、シーケンスを整理して配置し、周囲の環境の特徴的な詳細に適応させるだけです。このため、屋内シーンであれ屋外シーンであれ、シーンの撮影を開始する前に、私は常に約 30 分間、その場所に一人で留まります。その後、俳優を呼び、シーンのテストを開始します。これも、シーンがうまく機能しているかどうかを判断する方法だからです。
実際、机の後ろに座って脚本を書いた綿密に練られたシーンが、特定の場所に置かれたらもう機能しなくなる可能性があり、その場で変更または修正する必要があります。脚本の特定のセリフは、壁や通りを背景に話されると、別の意味を持つ場合があります。また、俳優が横顔で話すセリフは、正面から話すセリフと同じ意味にはなりません。同様に、俳優の頭上に置かれたカメラに向けられたフレーズは、カメラが俳優の頭下に置かれた場合と同じ意味にはなりません。
しかし、監督は（繰り返しますが、これは私自身のやり方です）、現場にいて、その場で得た第一印象に従って俳優を動かし始めて初めて、これらすべてのことを意識します。ですから、私の頭の中にすでにショットが決まっているということは極めて稀です。もちろん、映画の準備のさまざまな段階で、監督は頭の中でイメージを作り上げますが、こうした定型化されたイメージに夢中になるのは常に危険です。なぜなら、結局は、シーンが撮影されている環境の現実から抽象化されたイメージを追い求めることになり、机の後ろに座っているときに最初に見えたものとはもはや同じではないからです。
新しい状況に適応する方がはるかに良いのです。これは、ご存知のように、今日の映画の脚本の性質がますます詳細でなくなり、ますます技術的ではなくなってきていることを考えると特に当てはまります。脚本は監督のメモであり、撮影中に作業するモデルとして役立ちます。したがって、先ほどお話ししたように、即興は、環境と私たちとの間に確立された信頼関係から直接生まれます。監督と彼の周囲の人々、通常のプロの協力者と、シーンの撮影時にたまたまその特定の場所に集まった人々との間の信頼関係から直接生まれます。言い換えれば、信頼関係自体がシーンの結果を示唆する可能性があります。それはセリフの変更を示唆する可能性があります。それは即興の方法でもあるため、非常に多くのことを示唆する可能性があります。したがって、繰り返しますが、このため、私はショットについて事前にあまり考えません。むしろ、現場にいてカメラの後ろに目を向けたときに考えます。」
(「ミケランジェロ・アントニオーニの作品についての対談」より抜粋、Film Culture、1962年)
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